北大西洋航路客船  ジャーマニック       
 


ホワイト・スター・ライン
         (英国)

            
  就航 1875 年
            
   5,008 総トン
            
   長さ 138.7 m
     (垂線間) 
             
   全幅 13.8 m
            
   エンジン 
    レシプロ蒸気機関
    (串形連成機関)
     4,970 馬力
            
   推進器
    スクリュー1軸
            
   速力 15 ノット

 

    ホワイト・スター・ラインは,新しい会社の割には新技術を敬遠するでもなく,革新的技術を積極的に追求した。「オーシアニック級」(アトランティック号を含む)でハーランド&ウルフ造船所が一級品の客船を造ってくれたことに満足して,それから3年以内により大きくて速い2隻の船を同じ造船所で再び建造した。それは,インマン・ラインの新しい高速蒸気船シティ・オブ・ベルリン号の登場に対抗して,ということでもあった。

  1874年就航のブリタニック号と1875年のジャーマニック号は,ほとんど同型の船で,本質的には以前の船(オーシアニック級)の拡大版である。ハーランド造船所で開発され成功している造船方式を変える必要はなく,単により大きな船にし,速力を速くすればよかったのである。

  ボイラーは両面型の楕円ボイラー8基で構成された。楕円ボイラーは,以前の箱型ボイラーからの過渡期に位置するものである。箱型ボイラーは,その平らな面にかかる蒸気力のために圧力の制約があった。円筒形の構造ならば,同じ板厚でも平面の箱よりも高い圧力に持ちこたえることができる。そして楕円の形態は円筒型の持つ利点をある程度持っている。そして真の円筒ボイラー(丸ボイラー)が,次の発達段階としてやって来るのである。

  ブリタニック号とジャーマニック号がその実力を示すまでには,少し期間がかかった。ブリタニック号の場合,実験的なプロペラ構造を採用したことが,その理由である。・・・・略・・・・この新奇な機構は決して満足のいくものではなく,ときどき激しい振動を起こした。そして短期間使ってみただけで放棄され,従来の方式に取り替えられている。取替えのためには機関と軸系を再編成する必要があり,ある期間運航からはずされ,かなりの出費を要する結果となった。

  しかし,ひとたび通常の状態に修復されるや,ブリタニック号は姉妹船に加わって新記録の達成競争に参加した。それから2,3年の間,ブリタニック号とジャーマニック号は互いに「ブルーリボン」を競争し,西航あるいは東航の最速横断の記録をかわるがわるに保持していった。

(「豪華客船スピード競争の物語」 ブリタニック号・ジャーマニック号の部分より抜粋)



                             

 
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