北大西洋航路客船 テュートニック | ホワイト・スター・ライン |
(英国) |
就航 1889年 9,984 総トン 長さ 172.4 m (垂線間) 全幅 17.6 m エンジン レシプロ蒸気機関 (3段膨張機関2組) 17,500 馬力 推進器 スクリュー2軸 速力 19.5 ノット |
インマン・ラインの経営者たちがシティ・オブ・ニューヨーク号,シティ・オブ・パリ号の成功を謳歌していた頃,もう一つの会社は大西洋航路での運航を再構築するための計画に忙しく取り組んでいた。ホワイト・スター・ラインのブリタニック号とジャーマニック号は,会社のためによく働いていたし,乗客にも人気があるところを見せていた。
ただ,1988年の時点で15年近い船齢であり,ホワイト・スター・ラインが大西洋航路の前衛に踏みとどまっていようとするならば,新しい船を用意すべき時が急速に近づきつつあった。それに加えて,新しい船を補助巡洋艦として使えるように造るならば,政府から補助金が出る,という誘因もあった。 海軍本部との交渉がうまくいき,有事の際には武装商船巡洋艦として働ける能力を持たせることで,2隻の大型高速船の建造を補助する資金が得られたのである。テュートニック号・マジェスティック号と名付けられたこの2隻の船は,特別に海軍本部によって建造され保有された最初の船となった。両船とも,5インチ砲12門を設置できるように,局所的補強がなされていた。 海軍本部と船主,どちらの目的を満たすためにも,この2隻は高速でなければならなかった。スクリューの2軸化以外に方法はなかったが,ハーランド造船所ではいくぶん奇抜な配置を採用している。2つのスクリューは,実は互いに1.7 m重なり合っていた。軸間隔を狭くした意図は,推進効率を上げることと,スクリューを船尾船体の張り出しの内側に収めて,スクリューを保護することにあった。しかしそのような配置にするためには,右舷のプロペラを左舷のプロペラより1.8 m,船尾へずらす必要があった。こういう配置にしたことでどの程度効果があったかは,評価が難しい。ただ,ホワイト・スター・ラインではこうした配置をその後二度と採用していない。 テュートニック号とマジェスティック号の機関は,1基でおよそ 8,500 図示馬力を出すように設計されていたが,しばしば無理なくもっと大きな出力を出した。速い船にすることが,当初から造船所および船主の目的であり,実際速い船となった。9,950総トンのこれらの船は,就航後1年以内に,ともに20ノットを越える速力で大西洋横断の記録を短縮している。
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