あせも
 汗疹、汗貯留症候群と呼ばれています。
 何らかの影響で汗を排出する管(汗管)がつまり、破裂してできます。高温の環境にいたり、発汗量の多い小児に発生しやすいと言われます。涼しいところにいるだけで自然と治まりますが、発汗を抑える20%塩化アルミニウム水溶液やカラミンローションなどをつけると効果的です。
 当院では、ミョウバンや亜鉛華などを含むアセモチンというローションを処方します。炎症が強いときはマイルドなステロイド剤を使う場合もあります。二次感染をおこしたものはあせものよりといい、正式には多発性汗腺膿瘍と呼ばれます。この場合抗生物質の投与が必要になります。

アトピー
 アトピーという言葉は1923年に コカ と クーク という研究者が身の回りのいろいろなものに反応して喘息や花粉症を起こしやすい体質の方に対して用いることを提唱しました。家族の方にも同様に喘息や花粉症を起こしやすい方が多いので、「非定型的な 奇妙な」という意味の「アトピー」という言葉を選んだものと思われます。そしてそのような方は慢性的な湿疹変化をもっていることが多いことから、1935年にザルツバーガーといった研究者がその湿疹を「アトピー性皮膚炎」と呼ぶことを提唱したといわれています。現在、アトピーというと アトピー性皮膚炎 もしくは 慢性的湿疹 を意味しているようですが、これは本来の意味とはことなっています。またアトピー性皮膚炎がすべてアトピー性疾患であるかどうかはまだ明らかではありません。
 アトピー性皮膚炎にはアレルギー的側面から免疫異常としての立場とバリヤー病(皮膚を保護するバリヤーの少ない状態)としての立場があります。いずれにせよ皮膚には炎症性変化が起こるわけで、最近この炎症をおさえるにはステロイド外用剤を主とする外用剤での治療が第一選択であることを示したガイドラインが作成されました。
(http://www.dermatol.or.jp/)
 当院ではステロイド外用剤を含む外用療法を医師の指示の下に看護師がお一人お一人に指導いたします。また補助療法として、近赤外線療法(スーパーライザー)、紫外線療法、免疫療法(矢追インパクト療法)などを必要に応じ行っています。ステロイド外用剤には否定的な方もいらっしゃいますが、適切に使用すれば重大な副作用がでることはありません。重要なのは使い方ですので個々の患者様と使い方を一緒に考えていきたいと思います。またガイドラインにも示されていますが、最近アトピー性皮膚炎の治療薬としてタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)が使用できるようになりました。大人(16歳以上)の方には0.1%製剤、小児(3~15歳)には0.03%製剤が使用でき、ステロイドの使用頻度を減らすことが可能になりました。ただ外用によりひりひりとした刺激感が生じることがありますので、使用に際しては使い方を詳しく説明させていただきます。
 (軟膏指導の項もご覧ください)

いぼ
 いぼとは、皮膚の一部が丸く小さくふくらんだもののことをいいますが、通常は尋常性疣贅、老人性疣贅ことをさします。
 前者はウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス)により、後者は皮膚の老化により生じます。尋常性疣贅の治療は液体窒素による冷凍凝固が一般的ですが、痛みを伴うことが欠点です。当院では通常の綿球圧迫法のほかスプレー法も使用し、治りにくい足底イボにも一定の効果を得ています。しかし、足底のイボは液体窒素では効果が出にくい場合があり、時に抗がん剤(ブレオマイシン)を病変部に注射することがあります。これは激痛を伴いますので小児には適しません。このような場合には抗がん剤の軟膏を塗ったり、ステリハイドという消毒剤をつけたりして治療することがあります。また最近、痛みを伴わない治療法としてモノクロロ酢酸という化学物質を塗布する方法も行っています。いずれにせよ根気よく治療を続ける必要があります。
 老人性疣贅には冷凍凝固のほか電気メスによる焼灼も行います。こちらは1回の治療で済みます。

ウオノメ・タコ
 ウオノメは鶏眼(けいがん)、タコは胼胝(べんち)といます。両者とも皮膚に限局した角質肥厚で、ウオノメは下端が楔(くさび)型になっているため、神経を圧迫して痛みを伴います。角質を削ると魚の目(◎)のように見えることからこの名前がついたと思われます。足の裏にできるとしばしばイボと間違えることがあります。ウオノメやタコは幅の狭い靴などによる圧迫、機械的刺激が原因ですので、小児には比較的少ないものと考えられます。子供の足に魚の目ができたといってこられる方がいらっしゃいますが、大半はイボです。ウオノメの治療は硬い部分を削り、予防用のテープを貼ります。外科的に切り取る方法もありますが、しばしば再発しますのであまりお勧めできません。市販のウオノメコロリやスピール膏は使い方を誤ると悪化の原因になりますので使用しないでください。

おでき
 皮膚の化膿を起こす細菌による毛包の急性炎症です。
 病名としては 「せつ」 といいますが、顔面に生じたものは面疔(めんちょう)と呼ばれ、抗生物質のない時代には生命を脅かす恐い病気と考えられていました。
 現代では特に心配なものではないですが、多発する場合は糖尿病などの代謝異常や免疫の低下する病気を合併していることがあり、注意が必要です。原因菌に効果のある抗生物質や抗菌剤を使えば軽快しますが、ぶよぶよするときは切開すると早く良くなります。

おびくさ
 最近はマスコミ関係にもよく登場することから帯状疱疹と正式な病名で呼ばれることが多いようですが、以前はおびくさという俗名が使われていました。
 水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症ですが、このウイルスはみずぼうそう(水痘)の原因ウイルスです。これは子供のときにかかったみずぼうそうが治ったあともウイルスは体の神経に潜んでいて、疲れ、ストレス、けがなど体の抵抗力が落ちてきたときに神経に添って感染が進行し、その上の皮膚にみずぶくれをつくったものです。そのため、時に強い神経痛が起こります。
 原因が水痘帯状疱疹ウイルスなので治療にはアシクロビルなどの抗ウイルス剤(外用、内服、点滴)をもちいます。水疱が治っても痛みが続く帯状疱疹後神経痛が高齢の方には問題です。

かぶれ
 ある物質に触れる(接触する)ことにより生じる皮膚炎で接触皮膚炎と呼ばれます。皮膚科を受診する方でよく見られる疾患のひとつです。
 刺激による刺激性皮膚炎とアレルギーが関係したアレルギー性接触皮膚炎に分けられます。接触皮膚炎は原因を見つけて除去するのが最善ですが、実際は原因が不明な場合や分かっていても除去できないこと、たとえば職業上のため接触を避けられない場合など、も多く治療が難しい例もあります。
 身の回りにはさまざまなアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)が存在しますが、なかなか皮膚炎の原因となっているとは気がつきません。患者さんと一緒に原因を考え、必要があればパッチテストをして、原因の除去に努めたいと考えています。治療には通常、ステロイド外用剤が使われます。

しみ、そばかす
 しみと呼ばれるものには肝斑、老人性色素斑、炎症後色素沈着、後天性真皮メラノサイトーシスなどを含みそれぞれ治療法が異なりますので注意が必要です。
 肝斑は色調が肝臓の色と似ているとことからついた病名で、肝臓病とは無関係です。顔面(額、頬)、口などに境界のはっきりした茶褐色斑でいわゆる’シミ’です。20~40代の女性に生じやすいことから女性ホルモン、紫外線との関わりが原因ではないかと考えられています。治療には特効薬がなく、レチノイン酸、5%ハイドロキノン、80%油溶性アスコルビン酸などの外用剤を使うことがありますが、いずれも健康保険の適用外になります。その他イオントフォレーシス(電気分解を利用して美白剤であるビタミンCをしみのところに導入する)がある程度有効です。
 また飲み薬として、大量のビタミンC(1日1000mg)、トラネキサム酸、システイン製剤(ハイチオール)を長期間(3ヵ月~6ヶ月)使用すると効果が期待できます。補助的に紫外線防御剤(UVカット、サンスクリーン)を用い悪化させないようにします。またいわゆるレーザー治療は肝斑にはおすすめできません。
 これに対し、老人性色素斑は中年以降の方にできる500円玉くらいの茶褐色の発疹です。小さいものは液体窒素による冷凍凝固や切除をしますが、大きいものはQスイッチレーザーが奏効します。これらの治療にはいうまでもなく正確な診断が必要になりますのでご相談ください。

しもやけ
 
凍瘡といいます。寒冷の刺激で皮膚の血管が軽い麻痺をおこして、血液がたまり、赤くなる現象です。以前は子供の手足、耳たぶ、顔面によく出ていたものですが、暖房器具の発達により、最近はあまり見かけなくなりました。かわりに、薄着になった大人のしもやけが増えています。しもやけは保温に努めることが大事で、治りにくい場合ビタミンEの飲み薬や軟膏などを使います。30~40代以後の女性でしもやけのような赤い発疹が季節に関係なく出る場合は膠原病のこともあり、精査が必要です。

じんましん:蕁麻疹(じんましん)
1.蕁麻疹とは?
 蕁麻疹は一時的な皮膚の炎症による腫れで、皮膚の表面が赤く盛り上がり、いわゆるみみずばれの状態を言います。短期間で治癒してしまう急性蕁麻疹と1ヶ月以上続く慢性蕁麻疹があります。
 以下に述べるような種々の原因で皮膚の中(真皮)にあるマスト細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が、放出され、皮膚に腫れを作ります。通常は2~3時間で消失しますが、再発したり別の場所に生じたりします。かゆみが強く時には睡眠障害を起こし、生活の質を著しく低下させます。
 急性の場合はさほど問題はありませんが、初診の段階では急性と思われたものでも慢性化してしまうこともあり、注意が必要です。


2.原因

 蕁麻疹の原因は食事、薬物、吸入抗原(ハウスダスト、ダニ、カビなど)主としてアレルギー機序のよるものと温度変化、日光、機械的刺激などが関係した非アレルギー機序のよるものとがあります。また体内の病巣(虫歯、ちくのう、扁桃炎、中耳炎など)やウイルス感染が関係するもの、ストレスが関係しているものもあります。
 ただ、残念ながらこれらの原因を明らかにすることはなかなか難しく、検査しても原因不明のこともあります。慢性蕁麻疹の80%は原因不明と言われています。原因を知るためには普段から可能性のあるものをご自身で検討していただくことが重要です。
 また、蕁麻疹が24時間以上持続する場合は蕁麻疹様血管炎や膠原病などが疑われ、皮膚生検などの精査が必要なこともあります。最近、慢性蕁麻疹の原因に胃潰瘍の原因となるピロリ菌が関与しているとの報告があり、注目されています。


3.治療

 抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤などの飲み薬が治療の中心となります。
 塗り薬は一時的にかゆみを抑えますが、蕁麻疹自体の発生を止めることは出来ません。当院では他に漢方薬の処方や非特異療法(ヒスタミン加ヒト免疫グロブリン)などを行っています。


4.日常生活の注意点

1)食生活:蕁麻疹を誘発する食べ物(仮性アレルゲン=タケノコ、ホウレン草、ソバ、ヤマイモ、貝類など)、なまもの(刺し身類、生卵、乳製品など)、アルコール類は控えましょう。人工色素などの食品添加物を多量に使った食べ物(きれいな色をした清涼飲料水、漬物、あめ、インスタントコーヒー、タラコ、紅しょうがなど)も控えたほうが良いでしょう。

2)運 動:食後はできるだけ安静にしましょう。食後、急激に運動すると蕁麻疹が誘発されることがあります。


3)その他:ストレスをさけ、できるだけ睡眠不足にならないようにしましょう。ペットも避けたほうが無難です。掻けば掻くほど症状は悪化します。医師と相談の上、かゆみ対策を十分に行いましょう。


たむし
 体に生じた白癬の感染ですので体部白癬と言います。原因は水虫と同じカビです。
 診断が確定すれば抗真菌剤の外用ですぐに治ります。水虫のある人は体に感染しないように気をつけましょう。また、犬、猫などのペットから感染することもありますので注意が必要です。

手荒れ
 主婦湿疹や進行性指掌角皮症を含みます。
 手荒れと言う表現からはカサカサ、アカギレのような状態が伺えます。合成洗剤、シャンプーなどは直接手で触らないで、手袋を着用してください。ゴム手袋にかぶれる場合があります。その際は薄手の木綿手袋をつけ、その上に塩化ビニル製の手袋を着用し、食器などを洗って下さい。石鹸タイプの手にやさしい洗剤を使用するのも一法でしょう。手に保護膜をつくる保護剤(スキンプロテクトクリームなど)も効果的です。

とこずれ
 褥瘡(じょくそう)と言います。
 寝たきりのお年寄りの方にできやすく、また1度できると治りにくく、社会問題にもなっています。寝返りのできない方に発生しやすいので、予防には体位変換(体の向きを変える)が2時間に1度は必要と言われています。エアーマットの使用も予防的効果があります。
 最近、優れた外用薬が登場していますので、適切な処置を行えば治療可能です。在宅の患者さんにも積極的に治療していますのでご相談ください。

とびひ
 病名は伝染性膿痂疹といい、黄色ブドウ球菌や化膿性連鎖球菌の皮膚感染です。
 伝染力が強く、1箇所生じるとあちこちに感染しますので、「飛び火」と言われるようになったのでしょう。夏場の子供に良く見られます。適切な抗生物質の飲み薬で良くなりますので、早めの受診をおすすめします。

にきび 
 ニキビの正式名称はざ瘡といいます。
 ニキビは病気というより一種の生理現象のような印象を持つ方が多いと思います。しかし、放っておくと月面のような跡形になることもあり、早めの治療や予防を心掛けましょう。
 思春期のころにできることが多いのですが、成人以降に生じるアダルトニキビに悩んでいらっしゃる方も多いと思います。
 最近にきびの治療に画期的な外用剤が使えるようになりました。一般名 アダパレン といわれる塗り薬(ディフェリン®)です。これはニキビの原因である毛穴のつまりをとる塗り薬で、1日1回、お休み前に顔のニキビに対し広めに塗ります。皮膚への刺激症状(乾燥、ひりひり、かゆみ、赤みなど)の副作用がでることが多いのですが、これは薬が効いている証拠でもあります。副作用は使い続けていくと多くは慣れますが、慣れない場合でも使用回数をへらすことにより使い続けることができるようになります。1日1回で刺激があるときは2~3日に1回で様子を見ましょう。洗顔後、いつもお使いの化粧水や乳液などを使用してから、薬をつけると副作用を軽減できます。3か月使い続ければかなり改善する方が多いので頑張りましょう。
赤い化膿したニキビにはさらに抗菌剤を外用すると効果的です。
 ニキビ治療にはそれ以外に抗菌剤、ビタミン剤あるいは漢方薬の服用やケミカルピーリング
などの併用があり、必要に応じこれらの治療法を併用することによりさらに効果を上げることができます。
  。
 (化粧指導の項もご参照ください)

熱の花
口唇ヘルペスのことです。この病気は単純疱疹(単純ヘルペス)ウイルスの感染により生じます。このウイルスは初めての感染時には自覚症状がないことが多いのですが、感染により、神経節といわれる部位に潜伏します。そして、熱が出たり、疲労したり、直射日光にあたったりするとウイルスが活性化され、感染が神経節から皮膚に及び、水疱(水ぶくれ)を作ります。風邪などで熱が出ると発疹も出るので熱の花と言われます。単純疱疹ウイルスには2つのタイプがあり、1型(HSV-1)は主として口唇に、2型(HSV-2)は主として性器に発生します。このため2型の感染はSTD(性行為感染症)の1つとされます。抗ウイルス剤を用いると軽快しますが、誘因が加わるとしばしば再発する厄介な皮膚疾患です。

脱毛症(はげ)
脱毛症には大きく分けて3種類あります。
円形脱毛症
 突然、頭部毛髪に円形の脱毛が生じるものです。1つだけ(単発性)のことが多いが、多発することもあります。進行すると全頭に広がったり、眉毛や体毛にも脱毛が生じます。原因は不明ですが、毛母細胞に対する自己免疫説が有力です。小児の場合、アトピー素因を持つことが多いです。治療としては、通常はフロジン液やステロイド外用剤などの塗布で軽快しますが、難治なものには特殊療法を行っています。当院ではPUVA療法(長波長紫外線照射)、局所免疫療法(SADBE療法)、液体窒素圧抵などを行っています。セファランチンやグリチルリチンサンの内服や漢方製剤を使用することもあります。治療により大半は治癒します。根気よく継続的に行う必要があります
男性型脱毛症
 いわゆる若はげ。壮年性脱毛症とも呼ばれます。男性ホルモンの作用により毛周期が短縮し、軟毛(やわらかい髪)化します。頭頂部、前頭部に脱毛が見られます。遺伝的な要因があり通常の治療には反応しにくです。かつらや植毛をおこなったりして、精神的苦痛をやわらげることも考えます。漢方薬101やミノキシジール外用の効果が期待されているます。当院は希望の方には医療用かつらを紹介しています。
その他の脱毛症
 毛髪の成長には植物と同様、適度な栄養が必要です。栄養が障害を受けたり、毛母細胞の分裂が阻害されると毛の発育障害がおこります。薬剤性(抗がん剤など)や栄養障害性、甲状腺機能低下症の脱毛は頭部全体にびまん性に生じます。また梅毒などの感染症、腫瘍ならびにエリテマトーデスなどの膠原病などでも脱毛が生じることがあります。治療は基礎疾患の治療により改善されることがあります。また精神的衝動にかられて毛を抜いてしまう抜毛癖は若い年代に多く、しばしば円形脱毛症と誤解して治療されていることがあるので注意を要します。

 脱毛症の原因、治療の概略を述べましたが、どの治療がよいかはそれぞれの状況により選択いたします。脱毛であれこれ悩むより、正しい診断を受け、適した治療をお受けになることをお勧めいたします。

ヘルペス
熱の花(単純ヘルペス)、おびくさ(帯状疱疹)を含みます。

ほろせ、ほっぱん
じんましんのことを時にこのように呼びます。

まきづめ、さしづめ
陥入爪(かんにゅうそう)と呼ばれます。足の親指によく生じます。原因は不適切な爪切り(いわゆる深爪)やパンプスなど爪先に負担のかかる靴の使用などが多いようです。初期のうちはテープ固定して、爪が皮膚に食い込まないようにすれば大丈夫です。ほおって置くと細菌に感染したり、肉芽が出たりして痛み、手術が必要なこともありますが、大部分はいわゆる保存的治療でコントロールできます。

みずぼうそう
 水痘(すいとう)といいます。
 水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染で、全身に赤い湿疹ができ、発疹に水疱がでています。発熱、全身倦怠感など風邪のような症状が出ます。子供に出た場合、多くは心配ありませんが、脳炎や肺炎などの合併症を生じることがあり、特に成人に発生した場合は注意が必要です。
 アシクロビルなどの抗ウイルス剤が有効です。

水虫
 皮膚病の代表的なものの印象があると思いますが、白癬菌というカビの感染症です。足にできれば足白癬、手に生じれば手白癬です。白癬菌は皮膚の一番外側の角質層に存在するケラチンというたんぱく質を分解して栄養とします。このため同じくケラチンを含む髪の毛や爪にも感染します。髪に感染したものは俗にしらくもと呼ばれます。  水虫は治りにくい皮膚病と思われていますが、今は優れた抗真菌剤がありますので、的確に診断し治療を受ければ完治します。
 ただ水虫に似た皮膚病がありますので、自己判断は、禁物です。皮膚科で正しい診断を受け、治療してください。頭や爪の水虫、足の裏の硬くなった水虫の治療には飲み薬が必要です。

虫刺され
 原因が不明のものはそのまま虫刺症と呼んでいます。蚊、ダニ、ノミが代表的なものですが、程度の軽いものなら市販のかゆみ止で十分です。ただかゆみが強く睡眠に影響が出るようなら皮膚科を受診下さい。
 また木の剪定をした後に出る赤いぶつぶつは、毒蛾の幼虫(毛虫)の毒針毛に刺されていることが多いのです(毒蛾皮膚炎)。症状が激しくなりますので皮膚科で治療を受けたほうが良いでしょう。
 蜂に刺されたときは、可能なら針を抜き、氷水などで冷やして下さい。アンモニア水やおしっこなどはかけないように。落ち着いてから病院を受診してください。

やけど
 
熱傷です。火傷(やけど)は俗名です。範囲が狭い場合は外来で治療可能ですが、広範囲なら熱傷専門の病院(救命救急センターなど)治療が必要です。
 やけどは原因、深度、範囲によって治療が異なります。熱湯で手足をやけどしたような場合は皮膚科が適当と思います。受傷部位は氷水で30分ぐらい冷やしてください。なお、水ぶくれになったものはご自分では破らないようにご注意ください。アロエを貼ってこられる方もいらっしゃいますが、感染をおこしたり、かぶれたりすることがありますので、注意が必要です。

はたけ
  正式には単純性粃糠疹(たんじゅんせいひこうしん)といいます。アトピー体質の乾燥した皮膚を持つお子さんの 顔、上腕、首、肩 あたりに見られる白っぽいカサカサした皮膚の変化のことです。日光に長時間当たると周りの皮膚が色素沈着を起こすため鮮明になります。原因はいまだ明らかではありませんが、成長と共に自然に改善しますので心配ありません。以前「はたけ」の原因は かび であるといわれたことがありましたが、現在これは否定されています。カサカサにはビタミンA軟膏や他の保湿剤を使用します。また、目立たせないためには日焼けを防ぐサンスクリーンの使用をお勧めいたします。

脂肪のかたまり
 顔や体あるいは耳介(じかい)などにドーム状に隆起した比較的やわらかい「皮膚のしこり」が見られることがあり、俗に「脂肪のかたまり」と呼ばれています。これはほとんどが粉瘤(ふんりゅう)という皮膚の中に皮膚の(表皮)の細胞でできた袋によるものです。成人男子によくみられ、特にニキビのできやすい体質の方に見られる傾向があります。放置しておくと炎症を起こし、赤く腫れ、痛みを生じることがありますので、炎症が生じる前に摘出手術するのがよいと思います。
 炎症を起こした場合は、まず切開して内容物を除去した後、症状が落ち着いてから摘出します。

くすみ・くま
 「くすみ」「くま」は共に皮膚疾患としての正式な病名はなく、ある特定の視覚現象と考えられています。「くすみ」とは「しみ」のように境界のはっきりした色素沈着でなく、境界線不明瞭なボヤッとしたくろずみ や 肌の黄色ずんだ状態 や ツヤやハリのない状態 をさすようです。一方「くま」とは下まぶたの皮膚が黒味がかっている状態をさします。「くすみ」も「くま」も医学的には病的変化とはとらえていませんが、10代~50代の女性の肌の悩みの一つになっているとの調査結果があります。「くすみ」「くま」の成因には皮膚の老化が関与しますので、対策として紫外線対策をはじめとする日々のスキンケアが大切です。ケミカルピーリングも「くすみ」「くま」対策として受けていただいても良いと思います。また「くま」の成因には下まぶたのメラニン色素の増加と皮膚表面の血液の停滞があることがわかっており、ビタミンE,ビタミンC、ヒアルロン酸配合の化粧品がある程度効果を持つことが確認されています。

ジベルばら色粃糠疹(ひこうしん
 ジベルばら色粃糠疹は、皮膚にカサカサした赤い斑点のような発疹が多発する病気です。10代~30代くらいの若い方に良くみられるありふれた皮膚疾患ですが、俗名がないためか一般的にはあまり知られていません。ジベルというフランスの皮膚科医により発見されたバラ疹(バラ色の発疹)を主体とする皮膚疾患で、原因は特定されていませんがウイルス説が有力視されています。比較的大きな赤い発疹(初発疹)が生じた後、1~2週間して全身に発疹が拡大します。発疹の多くは楕円形で、うっすら赤く、粉がふいたようになり、胸・背中などを中心に発疹がひろがり全体像が一見クリスマスツリーのような分布をとることがあります。通常かゆみは少なく、特別な治療法を必要としません。放置していても1~2ヶ月で自然に治りますが、かゆみ・赤みが強いときは、抗アレルギー剤の内服やステロイド剤の外用をしたほうが症状は早く改善します。

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