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内容

1 はじめに
昨年(1998)の秋、私は英検1級の1次に合格したものの、スピーチの準備もそこそこに2次試験に望み、惜しくも2点足らずで不合格となりました。その後密かに挑戦し続け、今回の秋(1999)にやっと、英検1級に挑戦し出して4回目で合格となりました。2次試験の準備のための参考書は、ピッタリとしたものは無く、謂わば手探りで始めるという状態が続きました。東京には、このための専門の学校もあることを後になって知りましたが、地方ではそうはいきません。このように、私が困ったことは皆さんも困っているだろうと考え、ここにその要点を披露することにしました。

このあいだ英語学習のウェブサイトを検索していたら、目指せ英検○○級という名前のサイトが多く見受けられました。英検に限らず目指せ○○というサイトも増えています。そこで、この名前を使い出したのは、私が最初であるとここに書く事にしました。元祖「目指せ英検1級!」を名乗る訳です。これは、ウェブサイトのネーミングが弁当屋やラーメン屋のような有り様を呈して来たからで、冗談ながらの元祖宣言であります。(約8年経過)遂に、何と英検までが(http://www.eiken.or.jp/eikentimes/reading/index.html)、「めざせ1級! 新・リーディングで、、、」と記事を書くに至りました。10年前は、目指せ○○という言い方は、ネット上にありませんでした。刺激的であるけれども使われていなかった言葉を選んだのです。会話では発破をかける時に、使う人はいましたが、テレビでは使われていませんでした。さらに最近になって、英検の公式サイトで、「英検バーチャル二次試験1級」(http://www.eiken.or.jp/eikentimes/virtual/index.html)なるページが作成されていますが、これは、本ホームページの2章の内容を単にアニメ風にしたものです。本家本元が、やっと受験者の情報でどんなものが求められているかを理解し出したのだと思います。こんな情報が欲しかったというところからスタートしているのが、本ホームページです。2001年7月1日追記、2009年7月24日追記)

少々、お金を使う余裕があるのでしたら、スカイプなどネットを通じての会話レッスンで実践的トレーニングを考えたらどうでしょうか? 安いところでは、30分250円というサイトもありますし、500円、600円だせば30分で英検1級と指定しなくてもフリーの会話で、十分練習を積むことが可能な時代になりました。短波ラジオやBSのバイリンガル ニュースを深夜に聴いていた時代からすれば隔世の感があります。どういう方法であっても、早く先に真の実力をつけてしまえば良いのですから。(2017年3月3日追記)

(最近、ネット上でスピーチについてのサイトが増えております。内容も良くなって来ていますし、ビジネスとして成り立っているものもあるようです。ただし、玉石混交であることをお忘れなく。質と値段が納得出来れば活用すれば良いと思います。通信教育もあるようです。地方では、先生一人探すのも一苦労なのです。1年前は(1999)、2次試験についてはネット上にほとんど何もありませんでした。今では、情報を得ることに時間を取られることなく本来の勉強に打ち込むことが出来る環境が整って来ました。2000年11月25日追記)

(合格者の皆さんから寄せられたお便りのおかげで、益々スピーチ対策について内容が充実して来ました。思いも懸けなかったことで、感謝しております。是非「6おたよりのコーナー」のお読みください。当初は、皆さんのお便りを掲載することになろうとは予想もしませんでした。開設より10年近く経っても、お便りが増え続けていますが、どう収拾をつけるかとずっと考えていて気がつきました。このコーナーを分析するだけで、立派な対策が立てられるものと思います。色々な体験談がありますから、自分でブツかって経験することなく、どの学習方法がいいか比較検討出来る訳です。早い話が、存続する価値があるのです。まだまだ、このコーナーが役に立つと思います。それは、読者の方々が支えて下さっているからです。2001年1月9日追記、同3月10日改訂、2002年12月16日改訂、2009年6月15日改訂)

スピーチの構成について、少し書き改めました。これも偏に読者の皆さんのおたよりのお蔭で、多くのデータが蓄積されることによって分かって来ることです。何も情報が無ければ、二次試験対策が無為徒労に終わることもありますが、何かこのようにホームページを立ち上げることによって、思いも掛けずデータが集まり皆さんが余計な苦労をせずに前進することが出来ます。そのような、蓄積が出来たことは、奇跡のようでもあり、大変ありがたいことです。このデータの波及効果は測り知れません。何気なく、二次対策はこうしたらいい、ああしたらいいとこのホームページを読んで思うかも知れませんが、ホームページ開設時はネット上には何もありませんでした。何かあるのとないのとでは、大違いです。それだけでもこのサイトの存在価値があります。そのことを思うと隔世の感があります。今しばらく、この活動を続けようと思います。(2011年9月8日追記)

そこでお便りのコーナー以外に、時事問題に対する意見をまとめる上で参考となることを時々書いて行くことにしました。最近、思いますのは、英検のスピーチの対策が、実は国語力がないとどうにもならないということです。自分の意見を英語で論理的に説明するという基本的な作業を通して、我々の受けた教育が、如何に貧弱で国策、ないし企業の発展のためであったかと考えさせられます。自分で論理を立て、路を切り開いて行く能力が決定的に不足しているように思います。仕事を進める基本的な能力を英語の学習を通して身につけて行くというのは、不幸であるように思います。時事問題だけでなく、宗教、哲学、政治の問題も中学、高校の間にもっと深く考えて発表する力をつけていないと、海外に出た時に太刀打ち出来ません。だからと言って、受けてしまった教育は変えることは出来ません。そうであるなら、英語スピーチを梃子にして我々自信が変革を遂げるしかありません。考えを纏めて行く上での資料の集め方、読み込み方、あるいは効果的な発表の仕方を我々は身につける必要があります。そういう意味ではまず、日本語でのスピーチの訓練が必要であるように思います。もっと批判力を身につける必要があります。こういう思いから時事問題について、自分の出来る範囲でホームページに書いて参ります。これで、このサイトの寿命が少し伸びると共にもう暫くお役に立てるかと思います。この点において、他のサイトとは異なる特色が打ち出せるものと考えております。(2002年12月16日改訂)。

おたよりのコーナーは、これまでの合格者が作り上げて来た賜物です。ホームページのわたしの独りよがりな意見だけでなく、もっと違った多くの意見を読むことが出来ます。つまり、このコーナーがあることで、バランスのとれたビジョンを持って二次試験の準備をすることが可能になると考えられます。そういう意味では、このコーナーが一人歩きを始めているとも言えます。(2008年2月16日追記)。

97年より、2次試験の内容が変わっております。従って、それ以前の合格者のアドバイスが参考となりません。以前は、受験者は15人程で2次試験に臨み、複数の試験官の前で、その場で与えられた二つのトピックの内一つを選んで、パブリックスピーチをしてから、スピーチに対する質疑応答があった様です。しかし、今は試験官は必ず二人で、一人は、ネイティブ、もう一人は日本人のスピーカーです。スピーチだけで無く、態度や、質疑応答も採点の対象となっています。しばらくの間、私の言うことは役に立つこと請け合います。とは言いましても鵜呑みにせず、適宜取捨選択して自分なりの対策を立てて下さい。おおいに批判精神を発揮しながら読み進んで下さい。では、スピーチの作り方から説明して行きましょう。

昨今の時代のスピード化の影響は、英検の準備にも及んでいるようです。大概は、実力のある方からの指摘ですが、最短距離を歩む方が増えつつあるように思います。そこで、促成技術のようなものも「2b 試験までに準備すること」の冒頭に置く事にしました。(2009年6月15日追記)

英検の2次試験の合格率が、2008年度3回目で、56.6%です。受験者は、1次免除者498名を含めて1164名です。免除者が全員受験している訳でもないようですが、仮に免除者の合格率が70%とすると1次合格者がそのまま2次も合格する確立は、40%になります。半分は、通るということには、ならないかも知れません。(2009年7月6日追記)

英語とロジカル シンキングについて
水を差すようですが、書いておこうと思い立ちました。自分が考えていたことと全く同じなのですが、独りよがりにならないよう、似たような主張を書いた本から、そのままではなく要約引用という形でお示しします。
20代のための「キャリア」と「仕事」入門   塩野 誠著より
指南8
TOEICの点数は高いに越したことはないですが、どんなに高くても仕事に役立つとは限りません。
(転職の現場において、30歳過ぎてTOEICの点数を云うよりは、英語を使って纏めた案件の実績を話すべきです。)
指南23
世の中に論理的に話せる人は驚くほど少ないので、ロジカル シンキングが出来ると役立ちます。
(最初に結論を述べ、イシュー(論点)対してイエスかノーかを明確にしてから、理由を説明します。地頭の良さではなく、心構えの問題でしょう。)これで、世界が変わります。

特に若い方は、上記の点には注意して下さい。英検1級に合格しても給料が上がらなかったり、地位が上がらなかったりと、思ったように事が運ばないことがあるからです。(2014年1月9日追記)


2 スピーチの作り方

a 試験会場にて
2a-i スピーチセッション
長い前置きになったので、スキップしてもOK。
直後の項目(ここから読んでねっ)から読んでも、なーんにも心配ない!(グッチ裕三さんのスマイリー高田風に)

(ここで前もってお許し願います。英語だけでスピーチの構成を整え、事由を上手く列挙し、主な理由を分析し、対策事項まで考えられる人は、このホームページを読まなくとも合格します。残念なことに筋道の立ったスピーチを英語だけで構成する私の能力は、合格前は貧弱であることが分かりました。必勝を期すなら、スピーチの構成は、あった方がいいと思いますが、ある程度筋の通った世間話を淀みなく出来れば、これで合格出来るようです。しかし話が、途切れてはいけません。)

スピーチに構成が必要ないという意見があります。今では英検のホームページでは「第5回 スピーチに向けての練習方法」と題して、

[ 第5回 スピーチに向けての練習方法 ]

introduction, body, conclusionという構成や下書き原稿の作成についてまで、解説しています。(現在、リンク切れとなっています)

当の英検はスピーチの構成を受験者に教授しているのに、合格体験記を読むと全く構成など考えなかったという方もいるのです。何が本当なのでしょうか?このホームページに寄せられたおたよりがその解答となります。自分で、30通ほどの体験談を読んで考えてみて下さい。そして、自分の考えに沿って対策を立てて下さい。わたしは、次の項で記述するような基本的な構成のあるスピーチが出来た方が良いと思います。そうでなければ、単なる面接試験と名称を改変すべきでしょう。スピーチと名をうつ意味がありません。また、二次試験の対策としての時事問題一般について明るくなりそれなりの見識を持つことは、非常に大切なことであるとも思います。しかし、それは合格には直接に効率よくは結びつきません。だからと云って、受験者の実力を無視して、構成は必要ないだとか、時事問題の解説書は全く読まなくて良いとは言い切れません。受験者一人一人の補強すべき弱点は違いますし、まして会話力が十分な人も本当はそう多くないのではと思います。ですから、このホームページを読んで自分には何が足りないのかをしっかりと考えることが必要です。ここで、背伸びしても全く意味がありません。ボーダーラインにいる人が最も苦しんでいて、適切な助けを必要としています。このホームページでは大変有り難いことに、様々な経緯で合格した人達が後続の受験者のために体験談を寄せて下さっています。謂わば皆で対策を作りあげて行っているのです。何が助けになるかは、人に依って異なるのです。わたしは二次試験を、単に突破することだけに終わらせるのは、もったいない位教養を高めるいい経験であると思います。きちんとやれば、英検の趣旨である「社会性の高い幅広い話題についてやりとりすることができる」人材が出来ることになります。ですが、合格だけを目指すのであれば、スピーチの構成方法や時事問題に対する対策として得点を稼ぐ方法や効率のいい方法を考え出す必要があります。この点については、わたしの採った方法はやや遠回りと言えます。何故かと言えば、どこでも使えるスピーチをしたかったし、英語だけで考えることをしてみたかったからです。情報収集については今なら、英英辞典だけを使ったり、また英文の解説書例えばロンリー プラネットのような洋書だけに頼ったりせず、日本語の本も使って全般にデコボコなく実力を高めることが可能であるとハッキリと理解しています。自分の全体像を見るのは大変困難です。また時間を掛ければ、どんな方法でも実力はつくのも事実です。かなりの効率を求めるのは、時代の要請だとも思います。英検だけが、ゴールではないので、合格後のことも考える必要がありますが、若い時はなかなかそうは考えられないと思います。この英語で考える点については、適当に読み飛ばして、合格してからまた考えて下さい。(2011年9月追記)

詰まるところスピーチに求められるのは緩い構成でいいのかも知れません。構成は必要ないという印象を持った人たちの考えは、こうなるでしょう。出だしが、30語位でまとまっていて、主張について2つほどの簡単な理由付けはあってもなくても、その後は淀みなく英語が喋る事が出来れば、それをもとにして、面接官は質問が出来る訳です。ですから、受験者である社会で中堅となっている勤め人と英語の出来る高校生に対する質問が異なって来る訳です。質疑応答も世間話の続きのように軽く流していけば合格するのでしょう。深い内容を話すのではない。さりとて、表面を撫でる訳でもない。まさに、会話の能力を見る適当な詳しさ、深さです。さて問題となるのは、皆さんがそれを出来るかどうかなのです。自分の実力に合わせて対策を立てねばなりません。(2011年9月追記)

とは言うものの、英語圏の人たちの典型的な対話は、わたしが以下に続く記述で必要だと言っているスピーチの構成を基本としていることは忘れてはなりません。それは何かと云うと、幾つかの考えを述べるなら大事なことを先に言うことです。つまり、一番大事な事を述べてから他の要点や例証で論旨を支えます。そして結論や必要なら纏めを述べます。全く、以下で述べていることと同じです。(2011年9月追記)

 

ここから読んでねっ!!

トピックは、5つ。その場で与えられます。必ず、簡単なものが一つは含まれています。それを、選びます。1分で、構成を考えます。この時、日本語で考えること。英語で考えていると気の効いたフレーズや一捻りしている余裕がなくなるでしょう。体験から言いますと、前日よく寝ておかないと頭が回転しないことがあります。思わず、高校受験の前夜を思い浮かべる人がいるかも知れません。

では、試験官の目を見つめ、時にスマイルを浮かべながら2分でスピーチをしましょう。以下、構成に重点を置いて記述していますが、「気楽な意見交換を行なう(お便りのコーナー81番参照)」ぐらいの気持ちで本番ではリラックスして臨んで下さい。

YesかNoを尋ねるトピックなら、まずそれを明確に述べます。

最初に、与えられたトピックの定義を述べます。あるいは、その意義について手短かに説明します。次に、それが日本ないし世界で大きな関心を呼んでいることを具体的な数字や身近な例を交えて説明します。これは、英字新聞でよくあるパターンです。ここで、具体的かつ印象深い事例を挙げることが出来れば得点がアップする様です。これが、出だしとなります。

YesかNoを尋ねるトピックでない場合、此の辺りで結論めいたものを述べます。

次に本論ですが、主だった理由ないし対策を優先順位の高いものから2つ、時間に余裕があれば3つ程述べます。どうもこの際、独自性のある意見(オリジナリティ)が求められているようですが、的は外さないよう注意して下さい。ここでも具体的な例を挙げるのが効果的と思います。あとで少し一般化して議論を補強します。逆に、例をあげてから一般化する方が良い時もあるかも知れません。(何か言い忘れたことに気付いても素知らぬ顔で話しを続けるようにしましょう。また、旨い説明文が浮かんで来なければ自分のスピーチのペースを崩さないように、試験官に気付かれないように次に進めて行きます。)そのあと、必要であれば自分の述べたことの解釈を短くまとめます。

想定される反論に対して、長くならないように一言二言で論駁しておきます。時間が足らなければ、この部分は省いても構いません。

結論を言います。

将来に対する展望や自分の希望を述べます。出来れば少し捻ると良いのでしょうが、奇をてらうと得点が下がるというリスクもあります。この部分は省いても構いません。

Thank you (for your attention).と言って、スピーチを終えます。

注意1)90秒で大体言うべきことを言って、残った30秒でまとめ直し、結論を言う練習が必要です。
注意2)準備したスピーチは、与えられたトピックと大概少しずれているので、暗記した内容を言うのではなく、必要な枠組みだけでよいから利用するようにします。
注意3)ジェスチャーは、練習するのではなく普通をこころ懸けるのが無難でしょう。相手の眼を見つめること(アイコンタクト)は大切です、忘れないように。独りでスピーチを練習していると、しきりに下を向くとか、アーアーと何度も言っているとか、右手を無意味に動かしているとかいった、妙な癖に気付かないので、他人に見てもらうのが良いでしょう。
注意4)合格者の体験談を読んだりしますと、トピックのキーワードを定義しなかった、理由らしいことを言わなかった、反論について何も触れなかった、結論を言わなかった、漫談風に好きなことしか言わなかったなど様々なことが書いてあります。合格した人のスピーチには、何か独自の視点による意見が含まれていた筈で、そのまま眞に受けてはなりません。きちんとした論理の展開やオリジナリティの高い意見が好まれるようです。結論を言わなくても通ることはありますが、最初からそれを狙うことは難しいと思います。それにその様な人は、質疑応答が可成り出来る人です。実際の合否はスピーチと質疑応答のセットで決まるようです。サンプルスピーチの項でも述べましたが、スピーチだけに全精力を注いでいては合格は難しいでしょう。この点については、過去のお便りを参照して下さい。また、次のセクションの2003年追記事項も是非参考として下さい。(2002年12月9日、2003年3月17日改訂)
注意5)スピーチの出来が良くなくとも気を落とさず、質疑応答に臨んで下さい。挽回は十分可能です。(2003年3月17日追記)


2a-ii 質疑応答のセッション
3つの心得
1)沈黙を作らない。喋り続ける。
2)意味の無いことを言わない。論理性を保つ。
3)質問に打ち負かされない。自分の意見には自信を持つ。

1000のアドバイスより、してはいけない3つのことを記してみました。これだけで、試験に臨んで合格することは可能だと思います。イチローは、バッターボックスに立った時に、修正をかけることが出来るのは4つまでだと言っていました。しかし、この3つで終わってしまうのは、あっけないので従来の内容も残しておきます。(2010年8月追記)

ここでは、話した内容についての質問がなされます。話が膨らむように心掛け、防衛ないし防戦するつもりで臨むべきではないでしょう。意地悪ともとれる故意に突っ込んだ質問の場合には勿論、断固反論して下さい。合格者の体験談を見てみますと、意地悪な質問が結構あるようです。ある程度、芯のある論理、筋道のある論理が要求されているようです。余計な妥協や安易な同意は禁物です。例えばスピーチの中で重要な事由を言い忘れて、それについて質問された場合は、状況をよく考えて、余計な言訳などせず「それも大事な理由の一つだと思う」ぐらいに答えて、自分の話したスピーチとの整合性を外さずに、討議を続けて行くことが必要なこともあると思います。途切れないよう会話を弾ませるのがコツです。質問は、気付いていなかったことを指摘してくれているのであって、助けになると心得て下さい。スピーチの時間よりも質疑応答の方が長いのですから、ここでポイントを稼がなくてはなりません。寧ろ1分足らずで考えたスピーチは大した出来ではないでしょうから、質疑応答と合わせて自分の主張を打ち出すと考えるべきでしょう。このセッションでは、日本語で考えて英語に直して受け答えしているとまず間に合わないと思います。質疑応答を、ある程度のスピードとリズムでもって進められないのであれば、スピーチ以前の問題ですから、方針を改めて、時事問題に対する教養を高めるだけでなくスピーキングの練習を増やさせねばなりません。更に、興味深い具体例やユーモアがスピーチに添えられれば申し分ありません。私は、その場で思いついたアイデアで二人の試験官を"That's interesting."と唸らせました。(2000年8月30日、2003年3月17日改訂)

(話が前後しますが、英語は論理が問われますから、「やっぱり〜だから」などといった便利な理由付けは出来ません。他にも例えば、「何故、日本の服は高いのか?」という問いに対して「品質が良いと高くなるからです。ブランド名のために高くなります。日本で作られるからです。」と答えるようでは、議論の訓練が足りません。本人は多くの理由を挙げているつもりでも日本の服について尋ねられているのに、「日本で作られるから」では説明になっていません。「日本では、人件費が高いから日本で縫製するとコストが上がるのです。」と言わねばなりません。このことは初歩的なことですが、老婆心ながら書き加えました。)

(2017年3月3日追加)
スカイプなどネットでの実践的会話トレーニングを積むことも考えよう。安価なレッスンを、レベルも1級対策としても十分な先生を確保して提供するビジネスが、広がっています。英検は、会話の運営力を見る試験です。もともと、初めに会話ありきの筈です。経済的に余裕があれば、スピーチの質疑応答のトレーニングをして度胸を付けると、受験の不安も軽くなろうと言うものです。

(2003年4月3日追加、2006年3月10日改訂)
スピーチの準備には30%の精力を、残りの70%は質疑応答に。
かなり誇張していたつもりでしたが、100点満点の評点に変わってますます確信するようになりました。セクション1(スピーチか?)がそこそこでも、他で稼がないと合格しませんし、質疑応答を含めた他のセクションで稼ぐには、英語で喋り続けて会話力を見せるしかありません。こうなると、2次対策としてスピーチだけに的を絞るのではなく、英語の運営力を総合的に伸ばすことを日頃から心懸けておく必要があります。途切れずに英語で意味のあることを喋り続け、ある程度噛み合った意見の交換が出来、ユーモアも表現するにはどうしたらいいかと工夫することになります。英語以外の点では、基本的には日本語でまず出来なければならないことです。皆さんからのお便りには、日本語で準備したという、そのような事例が数多くあります。そして、英語での会話は、ある程度滑らかに途切れずに続けることが出来なくてはなりません。難しく考えることはありません。要は、英語で会話が成り立てばいいのです。当日はもう、文法も気にせず、少しの論理性と大きな度胸で(愛嬌があればなおよし)会話を楽しみましょう。沈黙に陥らず、笑顔で喋りましょう。(おそらくギリギリ合格した人達は、スピーチの時間が短かかった、トピックの問うところの半分は無視していた、偏った内容で全般について議論しなかった、文法の誤りを指摘された、30秒も余ってしまったなど、合格前には考えもつかないことが多々あったことでしょう。このような具体的なことが、お便りとして寄せられています。)敢えて、このあとの本文で出て来る言葉ですが、書いておきます。
よく学び、よく喋れ!

時間がない人の為の対策法について、はっきりとした形にして書き加えます。環境、健康、家庭、教育、メディアなどといった分野は、毎回出題されているようですが、応用の効くまとめ方があります。例えば、環境問題については、1)化石燃料の使用による空気汚染は原因の一つですが健康問題と結びつけておきます。2)CO2の排出は、温暖化や生態系の破壊と結びつけておきます。3)大量消費社会における資源の枯渇は、ライフスタイルと結びつけておきます。こうすると、1)から3)の理由だけで、環境問題のトピックにはだいたい対応可能なだけでなく、健康や家庭の問題にも応用可能になります。上記の例は、実際は、今回合格した方の採った方法です。掲載を希望されなかったので、差し障りのないように改変して記しております。実のところ、多くのトピックに準備していくと、このようにあるトピックで挙げておいた理由が、他の分野にも応用可能であることに自然に気がつくと思います。(2009年11月30日追記)

スピーチは、すらすら言えるものが5、6本あれば自信に繋がりますが、30本も暗記する必要はないと思います。本ホームページでは決してそう書いてはいませんが、皆さんからのお便りを拝見していますと、15本位はきっちりと暗記すべきだと受けとめてしまう方がおられるように感じます。スピーチを暗唱しているかどうかは、実は聞けばすぐ分かります。余り練習し過ぎると説得力に乏しくなってしまうこともある位です。喩えて言えば、余裕のない新米のバスガイドのつまらない説明を聞いているようなものです。即興性を失うと、その場に適した内容からどんどん離れて行きます。映画「ローマの休日」でオードリー ヘップバーン扮するアン王女が翌日の行事でどのスピーチをするのか執事と打ち合わせるシーンがありました。このスピーチはどこでも通用するお決まりのものです。またこの映画の最後で、王女がグレゴリーペック扮する新聞記者と握手がしたいがために予定にない質疑応答を自ら提案し、それを受けた記者団の質問に日程になかった「ローマでの滞在」が最も楽しかったと答える場面があります。そして誰からも怪しまれずに、グレゴリーペックと別れの握手を遂げた時、密かな休日の予想もしていなかった写真を受け取ります。これこそお互いに相手に想いを伝えるということです。(映画では王女の私的な意図が絡んでいますので、ここで挙げた例は余り相応しいものではなかったかも知れません。)話を元に戻して、分かり易く申しますと、考える時間と併せてスピーチは3分で、2次試験全体は10分弱ですから(2003年7月より後半の質疑応答が3、4分に変更になったようです)、準備する労力の配分としてスピーチに割くのは30%位の積もりで望めばいいのではないでしょうか?(2003年4月3日追加)

スピーチの構成と質疑応答について(2003年3月12日追記)
ここ1年ぐらい、「構成のよくないスピーチをしたが合格した。スピーチの構成なんて合否に関係ないのじゃないか?」とのお便りが相次ぐようになって来ました。

英検合格者は2つないし3つのグループに分けられると思います。
(イ)スピーチの草稿をもともと必要としない。日頃から論理立てて英語で意見を普通の速さで言うことが出来る。ジョークも交えてユーモアをもって話すことが出来る。話の勘所を押さえている。特に注意を払わなくても服装、立居振舞い、愛想すべて申し分なく、相手に興味を持たせるように円滑に話が出来る。自分の得意分野に話を誘導出来る。相手が気付かぬようにこちらの思うように質問をさせることが出来る。全く準備していない話題でも常に8割以上の成功をおさめることが出来る。
(ロ)イとハの中間。スピーチはトピックによるが、ほとんどアドリブで何とかなる。トピック次第では十分に力を出せるが、知識に片寄りがありオールラウンドとは言い難いことを自覚している。話題によっては旨い英語の言い回しが困難なので意味は通じる言い方で済ませることがある。時に会話がしっくりとは噛み合わないことがある。
(ハ)準備なしでは幅広い話題に渡って、普通の速さで纏まった話をすることは困難である。英語を話す機会はそう多く無いし、人前でスピーチをする機会もほとんどない。質疑応答に対して準備するための、二次試験まで残された時間は余りにも少な過ぎる。質疑応答では、的確に答えられるかどうか不安である。愛想よくし相手の興味を引くように会話をするには、意識的に行なわないと出来ない。

このホームページは、主に即興のスピーチはある程度練習してからでないと出来ない方のために書きました。そこで本ホームページで最も簡単な例を示しましたが、これは極めて基本的な構成です。新聞の報道記事や科学論文を調べてみれば分かりますが、大体決まった形式となっています。意見を作る上で、物事の事由に日頃から優先順位をつけることを習慣とするのは大切なことです。そうすれば、スピーチで例えば、優先順位の低い方から理由を述べて行って最後に「中でも最も重要であるのは、、、」などという修辞法も使うことが出来ます。これは頭の中にいつも物事の優先順位を考えていることによって成り立つものであって、構成が不要ということには成りません。仮に漫談風にスピーチをしても、質疑応答でポイントを外すような受け答えをしていては会話が成立たない筈です。質疑応答でも、日頃から考えている事由の重要度が効いて来るのです。一つでもスピーチのパターンが身についていれば、応用はいつでも可能です。いつも同じパターンで喋っていては詰まらないというのでしたら、パターンを破っても構わないでしょう。しかし、受け答えでは重要なポイントは外さない方がよいでしょう。実際、質疑応答の要領というのは難しくひと夫々ですから一般化には馴染みません。私は、資料集めから準備していれば自然とポイントを外すような受け答えをすることはないと考えていました。ですから、実力のある方達から、これまでホームページに余り記述していなかった盲点を衝くようなお便りが寄せられるようになりました。大体8割取れる訓練をしておけば、余り細かいことまで気にしなくとも合格出来るものと、今は考えております。テクニックに走らないことを願って、これ位にしておきます。英検の勉強を通して本当の実力を身につけることの方が重要だと思います。資料を集めたり、何が時事問題の論点であるかを考え、それに対する種々の解決法の一長一短を知り、自分の意見を作り上げ、それに関して質疑応答も行なうという過程で総合的な英語の力を身につけて行くことが出来ると思います。

スピーチの構成と質疑応答について その2(2008年3月12日追記)
合格者からのおたよりを拝見しますと、スピーチの構成や内容が、そんなに緻密でなくともよいとの印象を持たれる方もいることでしょう。二次試験は、英語の運営力を試すものですから、おそらくそんなに高度なレベルを想定していないと考えられます。何しろ、当日に披露するのは即興のスピーチですから。日頃から物事を批判的に見る習慣があり、時事一般に通じておられる方なら、何も準備をしなくとも英語の会話力がそこそこあれば、合格可能だと思います。(ピアノが弾けるひとが、みなジャズのimporvisationなどという即興演奏が出来る訳ではありませんね。耳で聴いた曲を誰もが直ぐにピアノで再現出来る訳ではありませんね。テニスを例にとれば、フォームが綺麗でも試合で勝てない人もいます。フォームの美しさとゲームでの強さは異なるものです。英語の発音が上手くても、語彙が豊富であっても、内容のあることを喋ることの出来ない人もいるのです。)しかしそうでない人は、準備が必要だと思います。その準備の必勝法は何かと考えたのが、このホームページです。しかし、書いてからおよそ10年が経ち、わたしの考えも少し変わりつつあります。ですが、本質は変わらないでしょう。どんなことがあっても8割は取れる準備をしておけば大丈夫でしょう。ここには、過大な準備の方法が書かれているのです。取り越し苦労に終わるようなことも書かれているのです。どう準備するかは、ひと夫々です。当たり前のことですが、ここに書いておくことにしました。英会話に関して言えば、相手の質問をよく聞いて、質問に相応しい答えをする訳です。言葉で言い表すとこんなに簡単な説明になりますが、的を射た答えをすることは結構難しいことです。常に、自分の言っていることが、どのレベルでどのぐらいの一般性を持っているかなどど考えなくてはならないからです。訓練としては、英語を用いて、「どうして?」「それは、何々だから。」という問答を数多くしておけばいいのです。簡単に言えばしょっちゅう英語で喋れば言い訳です。今では、暗記よりもより即興性を発揮出来るように練習することが大事だと考えます。そのためには、日頃から何事に対しても自分の意見のもととなる根拠を3つ言えるようにしておけば、いいのではないかと思うようになりました。日本語でこのような準備をしていても、すぐに英語で言い換えられる人は、このホームページを読まなくても大丈夫です。そうでない人は、英語である程度の速さで説明が出来るようにしなくてはなりません。これが、覚束ない人はスピーチ原稿を用意せねばなりません。応用を利かすには、どんなフレーズを使うか、どんな理屈の立て方がいいか、何を覚えておけばいいかなどと、色々考えながら準備することが、自分の実力を伸ばすのだと思います。これは、わたしが自分で感じたことでもあります。二次試験の準備を通してわたしは、自分の意見をまとめて簡単に2分間で言うことが、大変自分の視野と考察力を広げることに役立ちました。それは計り知れないものがあります。今までの自分が受けた教育を揺るがすように思えたのです。このような訓練は、日本語でいいですから、是非中学と言わず、小学生からでも実践して頂きたいぐらいです。

スピーチの内容について その3(2008年12月17日追記)
このたび、留学経験もある方からの貴重なおたよりを頂戴しました。その方は、実践的な意見を述べておられます(201番のおたより参照)。「英語の試験」なので論旨が通っていれば良いと思われますので、自分のポリシーとは関係なく書き易い筋書き、、、」というご意見は、そのまま2次試験のスピーチの組み立てにも適用出来る考え方です。若くて、正直な方には抵抗があるかも知れませんが、そういう立場も取れるという頭の柔軟性は、まさに英語の運営力に繋がるものです。是非参考として下さい。

talking hippos

付録(2000年2月15日追加)
スピーチ後の質疑応答

体験例をご紹介しますので、雰囲気を味わって下さい。
How will the decreasing number of students affects education in Japan?
というスピーチを終えた後で。
(Q-1: Japanese interviewer, Q-2: English interviewer, A: myself)
Q-1では、生徒数が少なくなるので海外から呼んでくる訳ですね?
A そうです。日本には大学は、数多くあって施設は揃っています。学生がいないのです。学生を例えばアジアの国々から呼んだら良いと思います。彼等は、必死に勉強するでしょうし、宗教や文化習慣の違いもあって、日本人の生徒が良い、、、
Q-2 影響を受けて国際的な面にも目がいくのでしょう。
A そうです。アメリカを見て下さい。数多くの移民によって成り立っているのです。活気があふれ、競争があります。日本は、何とかしないといけません。他の国の人を受け入れることで大学教育のレベルもあがります。このまま少子化が続けば、西暦3500年には日本の国には、誰もいなくなってしまうのです。
Q-2 (laughter)  私もそれを読んだことがありますわ。
Q-1 そう、そう。ありましたね。
A 日本は、人口が減っているのですが、世界では増えています。増えた国から呼ぶという考えなのです。兎も角、この前、60億を越えたばかりです。
Q-1 ところで、アジアといっても広いですね。どこか特にこの国といったことは考えていないのでしょうか?
A アジアでしたら、中国に大層興味を抱いております。欧米の国々ですとフランスに興味があります。
Q-1 それはまた、どういったことで?
A中国人は、自分達が最高だと考えています。フランス人も
Q-2、A(同時に) 自分達が最高だと考えています。
Aこのような最高同士がぶつかり合うと日本人学生も当然影響を受けるので、面白くなってきます。
Q-1、Q-2、A (laughter)
Q-2 外部から人を呼んで来る。それは、面白いですね。
Q-1 確かに、面白い。では、あなたの思うところで、日本人学生は自分達のことをどう捉えていますか?
Aそれが、残念なことに、最高とは思ってないでしょう。日本人は、控えめで恥ずかしがり屋ですから。
Q-1 一口に中国といってもウイグルの方まで広いから、中国でも色んな人達がいるのではないですか?
Aそういった、違いはあるとおもいます。中国には、二回行ったことがあります。一回目は、大学生時代に学校代表として。二回目は、両親をつれて北京から南京まで2週間旅行しました。北と南では、言葉が少し違うようですし、気質も少し違ったように思います。現地の人もそう言ってました。しかし、中国奥地のチベットの方まで行ったことがないので、知的に中国の他の地方の人の話しをすることは、出来ません。
Q-1 あなた自身は、中国人と話したことがありますか?
A ええ、あります。2年前に私の研究室に中国人留学生が来ていました。英語で話しを(計時係:タイム!)していました。
Q-2 ごめんなさい。面白い話だけど、もう時間が来てしまいました。
A面接ありがとうございました。
Q-1、Q-2 さようなら。
A さようなら。


2a-iii スピーチ前の挨拶と会話
部屋に入って行く時から試験が始まっています。鞄や上着は、見苦しくなく、不躾にならないように置きます。決して不作法な振舞いをしないようにします。若い日本人係員が直前に指示した鞄を置く机が、部屋に無いこともありました。それでも慌てずに自然に振る舞うのがいいでしょう。鞄を置こうとしている時に話し掛けられるかもしれません。そんな時でも落ち着いて、挨拶は、相手の顔を見つめてややゆっくりハッキリと言いましょう。

このセクションでは、どこから来たのかだとかこれまでに行った外国はなどと、聞かれます。会話を楽しむことを前提としておくべきなのでしょう。試験官によっては会話の途中で、思い付きで一般論を尋ねて来たりしますが、話の展開を考えて応える必要があります。在り来たりの一般論は余り意味が無いし、妙なことを言って突っ込むきっかけを与えてもいけません。かと言って話を急に切ることも出来ないのですが、あんまり考えすぎて話が止まっては台無しです。自分のペースで話せばいいでしょう。このセクションはリラックスするための時間ですから、ここで楽しい話をして心を落ち着けるようにします。良い印象を与えるにはどうしたらいいかということは、考えておいた方がいいでしょう。英米人好みのマナーや対話法は、英語を話す上で重要ですが、万が一「男は黙って、、、(相当古いですね)」だとか「男児(おのこ)たるもの」といきがったり、保守的に「女性としては、こうあるべきだ」などと思っておられる方がおられたらネイティブスピーカーに確認しておくべきだと思います。これは、一朝一夕には身にはつかない類のことですから日頃から英語で会話をして場数を踏んでおく必要があります。(2003年3月17日改訂)

最近になって知ったのですが、英検面接試験委員である山口昌彦氏の書「英検○級面接(二次)試験合格の秘訣」に次のようなことが書いてあるそうです。
自由会話は、『アティチュード』の採点に含まれます。、、、『積極性』は、自分の言葉を理解してもらおうと十分に自己表現をしてコミュニケーションを持続させようとする意欲を評価します。面接委員を見ながら質問を聞いているか、わからない語を近い意味の語で代用したり、ジェスチャーなどを使ってなんとか相手に理解してもらおうとしているかなども評価されます。、、、『音声の明瞭さ』は、適切な大きさの声で明瞭に音読・応答しているかを評価します。、、、『反応の自然さ』は、自然な流れを損なわないスムーズな応答ができているかを評価します。、、、当然のことですが、受験者の服装や髪型などの外面的なものは評価の対象とはされません。、、、(2003年3月17日追記)

面接を受ける際の服装についての意見が、おたよりの207に出ました。普通ならさっぱりとした服装で行くものと考えると思います。年配の方の意見ではありますが、若い方は心して拝読すべきかと今のわたしなら思います。 (2009年11月27日追記)


2b 試験までに準備すること
スピーチの内容の深さと用いる語彙
最新の233のお便りを読みますと、スピーチの内容は大したことはなく、語彙も大したものを用いる必要もなく、発音も上手でなくても構わず、英語での会話が噛合えばいいということになります。合格した方たちが、時事問題一般に対してシンプルないし適度な英語で喋る事が出来たということは事実です。では、ボーダーの方たちはどうかと言えば、231のお便りからは「イチゾーさんによると、大半の1級合格者は、2回か3回に1度しか合格できない実力とのことです」。だから、気をつけて頂きたいのは、自分の実力がどの程度で、どのような準備が適しているかを考えることです。1次に合格しさえすれば、3、4回目には2次も合格します。初回は、時間もないので、通れば儲け物ぐらいで、ポイントと思われるところを重点的に準備して、試験に臨み、不合格であれば、自分の実力に応じて対策を考えることになります。(2012年11月追加)

間違えるな、時間配分
スピーチの準備には30%の精力を、残りの70%は質疑応答に。試験会場で如何なる自信を持って喋っているかを、想像しながら、何が自分に欠けていて、どう補って行くかを考えよう。それは、自分と闘うだけでなく、時間と闘うことも意味します。(2011年12月追加)

質疑応答のために対策が必要、時間を掛けよ
質疑応答対策は、バリエーションが豊富なので、一般化は困難です。皆さんからのおたよりのコーナーでチェックしてみて下さい。わたしの述べた従来の方法にも何がしかの利点がある筈です。

スピーチは忘れる
スピーチの準備には30%の精力を、残りの70%は質疑応答に。そして、一旦覚えたスピーチは忘れて試験にのぞむと、当日は即興性に富んだ活き活きとしたスピーチになります。(本の紹介で取り上げた、debateの本Pros and Cons: A Debater's Handbookからです。"No talented debater writes out a speech word for word, even to memorise and discard it.")ただし、何人かの合格者が語っていますように、一度はスピーチの練習をしておかないと、ちょっとつっかかったら言葉が出てこなくなると思います。おたよりをお寄せ下さった方は、本番で冷やっとしてもそこをクリアした方ばかりですが。(2009年7月移動追加、2010年3月改訂)

敵を知る
すぐさま、「6章の皆さんからのおたより」を2、30通ほど読んで下さい。色んな方法があります。総合的な戦略として、自分に合う方法を編み出して下さい。決して、わたしの書いた方法を鵜呑みにしないで下さい。もちろん、合格者の方法が、自分に合う保証もありません。ここで、悔いのないように準備対策を立てることになります。(2010年3月追加)

己を知る
たった今、「受験英語は実は役立つ」という題で1分のスピーチをしてみて下さい。1分で100語程度の速さで何か纏まったことを喋ることが出来なければ、メモだけに頼る方法を採用すべかどうか真剣に自分と向き合わなければなりません。この項の後に続く「じっくりと英語で考えることが出来ることも目指す時」の記述も参考にして下さい。スポーツに例えるなら、フォームも出来ていない選手が試合で勝てる訳がないことに似ているでしょう。また、熟達度によってコーチのアドバイスが異なって来ます。熟達しないと、アドバイスの意味が分からないことも多々あることです。人に依ってはある程度の基本事項を暗記で身につけなければならないこともあります。スピーチを25本用意して合格した人は、それなりの実力をつけたのです。要領だけで合格した人が、もし次に受験した時に合格するかと言えばそれは分かりません。しかし、実力をつけた人は次も合格することでしょう。スポーツにおいて反復練習が重要であることは異存ないと思います。例えば、通訳ガイドの2次試験ですが、およそ300の日本の特徴的な事について準備して望みますが、メモだけでは太刀打ち出来ません。それらを英語で纏めたあんちょこ本が出ています。ほとんどの受験者がその暗記反復練習という過程を通るものと思われます。極端な例を挙げましたが、暗記も悪くないところがあるのです。忘れがちなのは、全く正確に再現することでなく、意味を伝えることに注意を向けなければならないことです。それくらいの良い加減さで構わないのです。別の言葉で言えば、会話として成り立つある程度の速さが必要なのです。それには、反復練習が必要なことがあるのです。速さだけでなく、話す内容にも同じことが言えます。(2011年8月追加)

論点の整理
226番目のおたよりにありますように、質問対策として論点を整理しておくことが必要となる方がほとんどではないでしょうか?

この方法は、人それぞれです。Astronomy-Girl(210番)さんのように、植田一三先生の本を読むだけで大丈夫な人もいますが、大半は意識的に地道な準備を必要とするのではないでしょうか?その時に心掛けることは、論点の整理あるいは簡略化で、使い回しも出来るようにということでしょうか? 時間がない時や面接一回目では、ここをある程度いい加減に切り上げて英語で喋ることに重点を置くか置かないかを、決断するしかないのでしょう。(2011年12月追加)

メモが大事(頭の中で整理されているのなら書き出さなくともよい)
即興の英語による発言力は、日頃からメモを片手にしょっちゅう練習すべきでしょう。これは、即興のスピーチがほとんど出来ない人でもそうです。ベレ出版から即興で英作文をするための本が数冊出ています。(2009年7月追加、2010年3月改訂)

上級者は、草稿の形をとらないメモ程度のもので十分でしょう。暗記に頼るよりは、応用の利く方法を目指す方が、より本番では自信をもって臨むことが出来るでしょう。確実に合格を目指すなら、このメモの質と量が決め手になります。準備する時間が足らなければ、このメモを充実させ歩きながらでも風呂に入りながらでもスピーチをぶつぶつとつぶやいておれば良いのです。このメモは、当初は英文でと思っていましたが、日本語でも全くかまわないと今は思います。要するに得意分野においては十分な知識を持ち、意見をまとめてあれば何とかなるのではないかと思います。ただし、その分野ではある程度の速さで90秒は、いつでも淀みなく英語でスピーチが出来ねばなりません。(2009年7月別の箇所から移動、2010年3月改訂)

わたしは誰もがしている当たり前のことだと思って書いていなかったのですが、多分このやり方が効率的でしょう。それは、15本のトピックについての説明をそれぞれ2、3行の、およそ30語ぐらいの英文で間髪入れずに説明する練習です。理由づけが二つは要るなんてことは、ここでは問いません。英語が口から出て来ない時には、何かそれらしいことをまづ喋らないといけません。この反応を鍛えておけば、度胸もついて来るのではないかと思います。日頃から頭が冴えている時に、この数をそれなりに増やしたり、内容を膨らませたりしていけば良いのです。たいていのトピックについてある程度の概念は、普通に社会人や学生として生活していれば持っている筈ですから、本番では出だしさえ言えれば後は何とかしてしまいましょう。例えば、「塾」「エネルギー資源」などに反応出来るようにするということです。(2011年9月追加)

瞬発力
瞬発力は大切です。頭の中を常に整理して置く事です。相手の意図するところを察したり、反論したり、質問を誘導したり、強調したり、冗談を言ったり、好印象を与えるなど、様々なその場の状況に合わせた対応を取ることを瞬発力という言葉で表わしましたが、これはもともと英語とは別の次元の話です。しかし、これがないと集中力も発揮出来ませんし、噛み合う議論も出来ません。また、このスキルを伸ばすことは最も困難です。このホームページを読むだけで1回で二次試験に通った大学生や、このホームページの推薦書「英語で意見を論理的に述べる技術とトレーニング」の最後の2章を単にメモしただけでスピーチの練習もせずに通った高校生は、まさにこの瞬発力だけで合格していると言えます。このようなことは、全員が出来る訳ではありません。とは言え、誰もがその力量に差はあれ、瞬発力を持っている筈です。当日、自分の持っている瞬発力が出せるように、睡眠も含めて体調を管理し、リラックスした気分で試験に望むことは実は思いのほか重要です。(2010年8月追加)

瞬発力の例
これは、英語の能力ではなく別のものです。

あと数点が必要な時は、是非お読みください。

曖昧な知識は使えないので、少なくて良いから、知識をうまく組み合わせることです。このトピックならこれとこれを結びつけて、というように日頃から訓練するとその力も伸びることでしょう。本当のことを言うと一次を突破した人なら誰でもここに、集中すべきだと思います。この方法を工夫することが、頭を使うということです。そして、反復練習も加味して身につけてしまうのです。

本番で仮に、「日本の世界遺産について」という題が出た時に、うまく言えないと思ったら、自分の家の周りには、京都や奈良や姫路などに世界遺産がある。最も家から近い姫路城は、、、、」と続けるのは、許されるでしょう。ここで、「日本には16の世界遺産があり、文化遺産が12件で、自然遺産が4件です。最近、平泉と小笠原諸島が付け加えられました。」などと、立派な解説など数字も覚えていない時には、出来る訳がありません。個別的なことや私的なことを勝手に半分以上盛り込んでしまうのも一つの手です。そして、喋り易いことを言っている間に、一般的な纏めも考えておいて最後にぽっと付け足せば、即興のスピーチとしては収まります。

仮に題目の趣旨から少し脇にそれたことを言ってしまっていることに気づけば、「もっと大事なことは、」と付け足せばいいのです。 これは、一番簡単で応用が効く方法です。仮に何か思いつかない時は、ふっと話題を変えるように、「このようなことは、個人としては構わないかも知れないが、人として私は良くないと思う」などより一般的に話し易いところへ持って行く。あるいは、「わたしの子供に起こったことで、」などと少しの関連で、自分や身近な人の具体例を出すと云った具合です。

質疑応答で、質問を誘うことも可能でしょう。面接官の質問に、二番目に大事な事を述べ続けていれば、一番大事な事を聞いて来るでしょう。あるいは、二つ理由があると云って、一つ目を長々と喋れば、二つ目を聞いてくるでしょう。あるいは、スピーチでは、大事なことにちょっとだけ触れて、全部は言い尽くさなければ、足りないところを質疑応答で聞いて来るでしょう。自分に苦手なことがある時に、こちらの優位な土俵に相手を引き込むのは、スポーツでは良く用いる手法です。オールラウンドに自信があれば、敢えてする必要もありませんが。

こういったことは、必勝法とは言えないのですが、あと数点で合格するという時には、思いの外効いて来ると思います。勿論、落ち着いて頭が冴えていないと出来ません。(2011年9月追加)

会話の実践の時代です
ネットを介した、実践会話トレーニングを活用しよう。時代が変わりつつあるようです。(2017年3月追加)

速く反応して喋る為に
面白い本を見つけました。広瀬直子氏の著わした「1分間英語で自分のことを話してみる」という中経出版から出ている本です。英語での反応を鍛えるのにも役立ちます。これまでに英語で話した絶対時間数が足らないがために、書く能力と話す能力が乖離してしまっていることはよくあることで、これを素直に受け容れて、簡単な英語で話す訓練を積む必要があると気づいた方にお薦めです。この傾向は、最近の本がCDを付録としてつけても安くなっていることとも関連しているでしょう。似たような本で少しレベルが高い、江口裕之氏著の「新・英語で語る日本事情」も簡単だけれどなかなか言いにくいことを英語で言う訓練には向いています。やはりCD付きです。通訳ガイドのための「あなたも通訳ガイドです  英語で案内する京都」という柴山かつの氏の本もCD付きで、会話での案内例をうまく配列して、瞬時に英作文をする力も伸ばすという発想に基づいています。かつては、日本の事象を説明する本としては、文章英語として綺麗に纏まっている退屈な解説書しかありませんでした。英検対策も通訳ガイド対策も、より実践的に会話が出来るような教材にシフトして来ているようです。これは、昔の人が会話が出来なかったことを意味するのではなく、非効率的でも各自がそれを独力で補っていたのだと推察します。結局、ある程度の英文ストックが頭の中に蓄積されていないと速い英会話は成立しないのではと思います。(2011年9月追加)

CDを活用して、もっと実践的に
「どうしても英語で伝えたい日本の事情100」(IBCパブリッシング)
「どうしても英語で伝えたい日本の歴史100」(IBCパブリッシング)
「言い返さない日本人ーあなたの態度が誤解を招く! Talk Back! 」(IBCパブリッシング)
「英語で意見を論理的に述べる技術とトレーニング」 (ベレ出版)

「新・英語で語る日本事情」(ジャパン タイムズ社)CD付き
「1分間英語で自分のことを話してみる」広瀬直子 著(中経出版)CD付き
「知識と教養の英会話」(DHC)CD付き

「英語検定2次試験対策」(旺文社)CD付き

いずれも、通訳ガイド試験のために読んだ本ですが、これがナカナカ良く出来ていて、英検にも使えるなと思っていましたところ、2011年度2回目の試験の合格者のお便り225番目で、これを活用して合格した人が、その対策法をお寄せ下さいました。上記の本と重複しますが、ずらっと並べてみました。時代の流れが変わったのかも知れません。手軽に音声の入った電子媒体が活用出来るようになりました。試験対策のための切り抜き帳や書留めたり纏めたりしていた時事問題の要点が、活字で出版されるに至りました。つまり、ここで挙げた本、例えば、「日本の事情100」を読み、「英語で語る日本事情」を何度も聴いて、1分の模擬テストを通勤の列車の中で繰り返して、速く喋る練習をすれば、これは最も実践的な対策となります。下調べをするなど余計なことに時間は全く取られません(これは利点にも欠点にもなり得ます)。鍛えるのは、英語の運営力であり、臨機応変に質問に答えることが出来るように頭を使うことになります。

225番のお便りの方は、初めてこの方法をお寄せ下さいました。また同様に、「知識と教養の英会話」のアマゾンの書評にも「この本の40テーマを暗記するほどマスターしておけば、5つのうち3つぐらいのテーマは、覚えた内容を応用することでカバーできます。そして2分間のスピーチでは(多少与えられたテーマとずれていても)それなりの意見を言うことができますし、そうすれば、当然合格できます! 合格できたのは、この本のおかげです。(感謝!) 」とありました。

極端な言い方をすれば、もう本ホームページではなく、上記の内から2、3のCD教材で英検1級の二次試験は大丈夫ということになります。英語検定2次試験対策(旺文社)もいいのでしょうが、わたしは使ったことがないので、各自チェックした上でご使用下さい。多分、実際の2次試験の概要を知る上で良く出来ているものと考えられます。でも、ようく考えてみると、効率が幾分よくなっただけで、やっていることは実は変わっていないというようにも思います。従来の方法は、スローではありますが、調べ纏める作業を行なうことで質疑応答対策にはなっています。質疑応答対策は、バリエーションが有り過ぎるので、一般化は困難です。従来の方法にも何某(なにがしか)の利点がある筈です。皆さんからのおたよりのコーナーでチェックしてみて下さい。しかし、音声に重点が移って行く流れは正しい学習の方法であるように思います。(2011年12月追加)

音声重視か、日本語から英訳? あるいは、スピーチ書き出しか?
前回書いた音声重視がこれからのトレンドであるかのように思われると不味いと思い書き加えることにしました。音声重視だけで行ける人は、今日ちまたで良く言われている瞬間英作文を必要とする人よりは、会話力は優れているでしょう。スピーチを書き出す人は、瞬間英作文を必要とする人よりは、会話力においてやや劣るでしょう。ここで、自分に何が合っているかを良く見極めることが必要です。背伸びしても仕方がありません。音声重視の方法だけだと二次試験一発合格が出来ないこともありますので、注意が必要です。逆に、スピーチを丁寧に書き出す方法だけだと一発合格出来ないこともあります。当たり前のことですが、巧く組み合わせることです。日本語でも、例えば芸として披露する落語を習得する時に、師匠の語りの録音から書き起こして台本にして、それを覚えて行くと云います。最初は、覚えたものではありますが、それを磨いて行くという作業を続けて行くと、効率が突然良くなることも起こり得ます。これを体験した人もいる訳で、本当に学習方法は人それぞれです。時間が足らない時は、悠長な方法に手は出せないでしょう。暇な時に考えるなり、試してみて下さい。何度も云うようですが、本ホームページの「皆さんのおたより」を読んでよく考えて対策を練って下さい。(2012年10月追加)

音声教材へのシフト/英語で発信するためには
(勿論、1対1の個人レッスンがベストであるのは、当たり前のことです。テソーラスハウスやCELソルーションズといった専門校が優れているのも事実です。お金が許すのでしたら、実際の対話を重ねる方が楽ですし、質問もして貰えるのですからある程度効率良く準備が出来ます。しかし、あくまでも他力であるので、もっと実力を伸ばすには、その事を自覚しておかねばなりません。)

ガイド試験の受験準備から、考察したことを記します。ご存知のように、ガイドは質問に対して間髪入れずに答えられなければなりません。

CD教材を聞き込み、何事もポイントを外さずに、どんな質問でも空かさず英語で答えられるように訓練することが、大切です。

どうも音声教材へのシフトは、避けられない流れであるようです。これは、言葉が会話をすることから始まった訳ですから、本来の姿でしょう。いくら知識があっても一言も英語が口から出て来なければ、周りからみていれば何も知らないのと同じです。CD素材の普及に伴って、学習の形態が変わりつつあるのです。広瀬直子氏が、日本の事象を簡単な英語でさえも最初は説明出来なかった体験から「1分間英語で自分のことを話してみる」という本を出版するに至ったのは、考えてみれば当たり前のことです。さあ、そのレベルですが低いように思われるでしょう。ですが、同じことを台本なしでやるのは結構困難ですので、最初はこのレベルから始めるのが適切であると思います。その次のレベルが、「新・英語で語る日本事情」であり、その次のレベルは「知識と教養の英会話」となるかと思います。何もすべてをリサーチして述べているのではありません。大規模書店の英語のコーナーで手に入る入手の容易な本の中から目敏く見つけ購入したものについて述べているだけです。

ここで、例えば「神社と寺の違い」について1、2分で喋ることが出来るように練習する時に思いの外、暗記が重要であることに気付きます。説明すべきポイントを自分の語彙で説明すると、冗長でモデル解答の2倍もの長さになることが往々にして起きます。結局、英語で纏める力にはこれに対処しつつ蓄積された知的作業が、効いて来るのではないでしょうか?全くの丸暗記はつまらないですが、要点は抑えているが長々と聞かされるのも適いません。種本が違えば、使用する単語も少し違います。鳥居を説明する語が本に依っては、pillarとcrosspiecesだったのが、poleとcross-beamsとなっていたりします。どちらを選ぶかということも考えざるを得なくなります。鳥居が邪気を払うことまで云うかあるいは、そこをくぐった人は浄化されることは敢えて云わないなど、色々考えることになります。

ともかく、ガイド試験ですとおよそ300項目について延々とこの作業を繰り返す訳ですが、最近試験の傾向が変わりました。単に知識だけを問うのではなく、「日本のどんなファストフードがお勧めですか?」、「なぜ日本は江戸時代に鎖国を行なったのですか?」、「現在の世界的な経済不況をどう思いますか?」だとか「もし交通渋滞中、ツアーバスの乗客のある女性がトイレに行きたいと言ってきたら、通訳ガイドとしてどうしますか?」といった実践的な問いに半分位シフトしました。今まで通り、日本の事象について説明しているだけでは合格出来ません。答えとしての説明も、次に投げかけられる質問のことも考えて、詳しくないことには、突っ込まれない程度に纏めて逃げなくてはなりません。自分の知識の全体のバランスを考えて、解答することになります。

同じことは、英検1級にも言えます。スピーチの後の質問には何か答えねばなりません。一行、出来れば三行ほどは空かさず口から出るようにする発言の初歩には、口慣らしが必要です。これを瞬間英作文と称して解説したものが多数出版されています。解説書に頼らずとも英検1級1次試験合格者なら、前述のCD教材で独習可能かも知れません。自分の力を考えて判断して下さい。

さて、「CD教材を用いて真似するだけで果たしていいのか」ということですが、活字の本も必要です。上記の教材は、英文がすべて書かれていますから、それを参照するのです。聴くだけだと、余り使われない単語、例えばhauleなどと云う語は、意味が俄(にわか)には取れません。これは、山車を引き回す時ことを説明するのに重宝する語ですが、別にparadeでもいいのです。このような知識は、英文説明が添えてあれば瞬時に覚えられるので、記憶には活字媒体が必要なようです。その延長上に、活字媒体としての「どうしても英語で伝えたい日本の事情100」が位置します。活字から眼を通して瞬時に知識を入れます。活字の方が圧倒的に、知識の吸収速度が速いからです。これは、質問対策で、回答の知識のストックを仕入れることに相当します。詰まるところ、CDにシフトするけれど、活字の本も必要と云うことになります。

英語の運営力ですが、英語で頻繁に会話をしていればその力は付きます。本を読んでいても付きます。しかし、模擬問題に対して口に出して答える訓練は、やればやるほど、モデル解答が如何によく作られているかを味わうこととなり、適切な語を使い分け、云うべき内容を取捨選択し、纏める力が備わりますので、是非実践し実感して下さい。

さて、英検対策を商売にしている人たちは、語学学校、通信教育、本の教材やネット スクール、はたまたスカイプなどを駆使した個人レッスンなど様々なものを提供しています。わたしは、それを否定はしません。寧ろ、お金さえあるのでしたら個人レッスンをお金を出してでもした方が良いのです。しかし、夫々が特徴を出していますので、どこか偏りがある可能性があります。例えば、添削の講座ですが、英文スピーチの添削そのものは完璧に近くなっても、それだけを目指すと合格が遠のく可能性があります。商売ですから、欠点は云わないのです。多分、このホームページのどこかにそのビジネスとして英語教育をしている人達の云っていることと似たようなことも書かれていると思います。このホームページでは先人の協力のお蔭で、幅広く対策法が挙げられていて、かなり良い対策が見つかるのではと、思っております。つまりこのホームページを参照すれば、バランスを取り易いということになります。

この間、盲人の方でプロの翻訳家が、その講演の途中に聞き取りにはこのような物を使うのですと、ICレコーダーを再生してデモンストレーションして下さいました。倍速の英語が流れて来て、その後にこれは、こう言っていたのですと普通の速度で言い直して下さいました。わたしは、仰天し、感心することしきりでした。聞く時間を半分にすることが可能なのです。英検1級では、ここまでする必要は全くありませんが、これはわたしの課題となりました。リスニングの飛躍的な強化が期待出来そうだからです。(2011年12月追加)

実際の会話による訓練
時代が変わりつつあるようです。(228番のおたよりをご覧下さい。)ネットがこんなに進化するとは思いもよりませんでした。会話の練習のためにシャドーウィングについての言及もちらほら見られますが、会話が相手なくしてあり得ません。何が言いたいかと申しますと、スカイプなどを駆使したネットでの英会話個人レッスンが、格安で1時間1000円位でも成り立つようになって来たのです。海外のアジア人が直接経営しているものでは、1時間500円というものもあるようです。勿論英米人が加わっているものもありますが、それでもせいぜい3500円位までです。今ではカフェをレッスン場としての1対1のレッスンでもその位の値段であるようです。こうなると、会話力を伸ばすには経済力が勝負という側面も出て来ます。個人レッスンは、これまで学生にとっては大きな負担でした。しかし、1時間500円なら話は違います。(20年前に、45分4500円という個人レッスンを語学学校で週1回受けていたことがあります。当時学生には払える額ではありませんでした。)わたしは、独学を勧めているのではありません。英語力を総合的に伸ばすことを勧めております。実力をつけてしまえば人がどう言おうと、自分の実力なのです。語学学校には行かない、個人レッスンは受けないという立場を固持する意義は、少ないと思っています。相手のいない会話はないからです。英検1級の二次試験に関しては、情報が少なかったので、こんな情報があったらなぁと始めたのがこのホームページです。今もその考えは変わっていません。教育が代金を払えば受けられることは見方を変えれば、身分制でなく厳しい条件ではありますが、機会は均等にあることを示しています。ただ、その情報がビジネスと結びつき、例えば過去問に関しては特定の出版社がおさえているように見えます。その他の皆さんは、その狭間でビジネスを展開したり、本を出されたりしているようです。それとは関係なく、自分の英語の実力を高めればいいと考えております。(2012年3月追加)

スピーチに対する考え方の違い
日本人は、スピーチと云うものは完璧な、言葉遣いにも気を配り、すべてのことを漏れなく充分説明しているものだと考えがちでしょう。英語を母国語ないし準公用語として用いる人々は、そうは考えません。話し手の言いたいことを質問をしながら理解するのは、聞き手の責任と心得ています。寧ろ、話し手には不備なところがあるかも知れないと思っています。スピーチが分かりにくい、情報が足らないと思うと質問をします。話し手は、聞き手をコントロールし、聴衆から自分の知らないことを聞かれても威厳をもって「それは、この問題の解決に繋がる重要な指摘です。しかし、私も初めてそれに気がついたところです。只今のところ、解決策は持ち合わせていませんが、少し時間を下さい。調べて何時何日までにお答えします。」などと、回答します。また、話し手と聞き手が、スピーチの後にも問題解決に向けて、オープンに議論します。揚げ足を取られないように下調べをし尽くして、万全の態勢で防戦一方の日本人と、準備は適当で何か新しいアイデアが出て来るかなとワクワクしながら議論に望む英語圏民とでは、話し合いの場の楽しさが違って来ます。英検ですと、初めにスピーチを済ませますが、続く質問は、上記のような意味合いが元々ありますので、堅苦しく考える必要がないと云えば、楽になりましたか?(2011年12月追加)

時間がない人の為に
1回目は、勉強時間が2週間ほどしかありません。やるべきことは、大変抽象的ですが、次のようになるでしょう。
1)スピーチの枠組みを身につける。Firstly, Secondly,,, In conclusion, などと云った定型を使うことに慣れる。Yes, Noを明確に初めに述べる型も身につける。
2)教育、環境など得意分野をつくる。理由付けのメモは、日本語でも良い。
3)日常の何事にも反論出来るよう分かり易く考えるようにする。自己矛盾に陥らない。
4)英語で反射的に対応出来るようにする。頭の中で絶えず整理しておく。難しい語は要らない。しかし、簡単な英語で言えねばならない。
初回は、通常の試験準備では間に合わないでしょう。時間との戦いです。効率も考慮せねばなりません。ここで、頭を使って下さい。そのために、先達の貴重な合格体験記を活用して下さい。何が効果的は、人によって違います。これだと思うものを見つけ実行に移して下さい。初回は、ともかくぶち当たって下さい。勢いで合格することもよくあることです。(スピーチではオリジナルな意見を言うべきと以前は、思っていましたが、そうではなく、一般的な解説が出来れば、即ちそれなりの教養のある人が喋る内容であればいいのだろうと思うようになりました。)(2010年11月追加)

多くの人が、1次試験の合格通知が来て気がついたら後10日しか勉強時間がないといった状況ではないかと思います。そのような時間がない人の為の対策法について、はっきりとした形にして書き加えます。環境、健康、家庭、教育、メディアなどといった分野は、毎回出題されているようですが、応用の効くまとめ方があります。例えば、環境問題については、1)化石燃料の使用による空気汚染は原因の一つですが健康問題と結びつけておきます。2)CO2の排出は、温暖化や生態系の破壊と結びつけておきます。3)大量消費社会における資源の枯渇は、ライフスタイルと結びつけておきます。こうすると、1)から3)の理由だけで、環境問題のトピックにはだいたい対応可能なだけでなく、健康や家庭の問題にも応用可能になります。上記の例は、実際は、今回合格した方の採った方法です。掲載を希望されなかったので、差し障りのないように改変して記しております。実のところ、多くのトピックに準備していくと、このようにあるトピックで挙げておいた理由が、他の分野にも応用可能であることに自然に気がつくと思います。なお、準備のし過ぎで不合格になるという批判を聞いたことがありますが、それは要領が悪いことを意味しています。どんなに忙しくとも頭の中の整理はしておかねばならないのは、世の常です。現場で必要な時に瞬発力が発揮できないのは、日頃のやり方に問題があるとみて自分の物事の進め方を、一度客観的に批判して改善する必要があると思います。これは、結構困難なことです。(2009年11月30日追記、2010年3月改訂、同8月追記)

このパラグラフに続く従来の準備法に関する記述は、いわば正攻法、王道をいくようなものです。8割は、確実に取れるでしょう。でも、手間も暇もお金も掛かります。このホームページが書かれた10年前は、暢気な時代、悠長な時代だったのかも知れません。これはこれで、その価値が失われるものではありません。名実共に実力をつける方法です。(準備のし過ぎで不合格になるという批判を聞いたことがありますが、それは単に要領が悪いだけのことです。段取りが8割、技量が2割と、江戸の伝統技能彫刻の職人が言っていました。)しかし、2次試験のスピーチは、会話の運用能力を判定すると考えるなら、勉強に割ける時間のない人には、それなりの対応があってもいいのではないかと最近考えるに至りました。面接の場で選ぶトピックには、ごく一般的で簡単な”My idea of success in life”といったものが入っていることがあります。これだけですと、準備は不要かもしれません。しかし、このような問題が出なかったらどうしたらいいでしょうか?多分準備は多少なりとも必要です。準備時間が足らないのなら、例えばよく出題される、教育、環境問題、健康の問題など得意分野として絞り、日本語でいいから色々な意見をカバーして、日頃からよく考えておくことです。その分野なら、英語で何とか1分は、淀みなく解説が出来るようにすることです。スピーチが1分余りでも合格は可能です(皆さんのおたよりのコーナーを参照)。面接では、自分が正しいと思う意見よりは、議論がし易い立場でスピーチを組み立て、質疑応答では力強く論駁するような方法が、効率的ではないかと思います。この方法なら、日本語の意見を英語に翻訳しつつ喋った時に、違和感のない程度の会話の速さを維持出来るのであれば、ほとんど準備をしなくてとも大丈夫です。もし、準備をするとしたら、キーワードの入った英文フレーズをストックすることくらいでしょう。但し、ある程度の会話力がないとこの方法は使えません。難しいのは、自分の実力を知ることです。(2009年6月15日追記、2010年追記、2011年8月追記)

時間がある時の着実な方法
勉強時間はたっぷりある、あるいは二次試験に不合格だったという方達は、こちらの項目にも目をお通し下さい。

時間があるけれど、効率も追求したい時
実は、先ほど述べたこととほぼ同じです。まず、只今の時点での英語の実力と時事問題の知識のままで、過去のトピック15ほどの骨格、すなわち理由付けをそれぞれのトピックについて3つ程が、日本語で言えるようにする。それを基に、英語で30から40秒程で喋ることが出来るかをチェックする。知識が足りなければ、日本語の週刊誌程度の特集記事を利用して知識を仕入れておく。英語表現が乏しければ、例えば朝日キーワードの英語版か各社から出ている時事英語と云ったガイドブックで英語表現を補強する。この時準備するのは、スピーチの草稿ではなく、メモにとどめる。しかし、頭の中は絶えず整理するように心掛ける。日本語で話す内容を瞬時に思い浮かべられるように訓練する。そして、簡単な英語でそれを説明出来るようにしていく。言ってみればこれだけです。結構、頭を使う事にはなります。頭を使うことに時間をかけて下さい。スポーツの基本技の反復練習と必要な戦術パターンを捻出することに似ています。このようなことは、学校や仕事の行き帰りに出来ることです。お風呂やハイキング、散歩の時にも出来ることです。

これで何とかなりますが、余裕があるならこの次になすべきことは、英語圏の論理力を身につけることです。それは孔子の「論語」のように結論だけを述べてその過程は、各自が考えるという文化圏にはないものです。参考書としては「英語で意見を論理的に述べる技術とトレーニング」や「論理力を鍛えるトレーニングブック」などを利用して、論理の整合性や自分の述べたことの及ぶ範囲や重複がないかを絶えずチェックすることです。物事の理由が、問題の核心を7割がた衝いていればOKです。別の言い方をすれば、優先順位を考えるということです。

論理力について他の項で挙げた例ですが、「何故、日本の服は高いのか?」という問いに対して「品質が良いと高くなるからです。ブランド名のために高くなります。日本で作られるからです。」と答えるようでは、議論の訓練が足りません。本人は多くの理由を挙げているつもりでも日本の服について尋ねられているのに、「日本で作られるから」では説明になっていません。「品質の良い素材は高く、日本での人件費も高いから、品質の良い素材を用いて日本で縫製すると品物の値段が上がるのです。ブランドのライセンス料が加味されるとさらに高くなります。」と言わねばなりません。(2011年8月22日追記)

じっくりと英語で考えることが出来ることも目指す時
(このホームページを最初に書いた時は、私はすべて英語で考えることを念頭においていました。その昔、英英辞典を使って効率の悪い方法で大学受験をしました。しかし、最近になって英文を読む速さが突然速くなって来て思ったのは、速読を続けていると、独りでに英語で考えることが速くなると気付きました。また、時事一般の内容の理解と英語で喋ることは、分けることが可能だとも思うようになりました。時事問題の知識は、日本語で全く問題ありません。勿論、英文を毎日読んで、毎日聴き続け、機会があれば英語を喋ることも続けての話です。真の実力をつけるには敢えて回り道をすることもありますが、自身が何を目指すかでやり方が変わって来ます。2011年8月22日追記)

言うまでも無く、毎日英語を使うことです。毎日英語を喋ることです。毎日英字新聞を読み、英語ニュースなどを聞くことです。(単に英語をかけっぱなしにしておいても知らないうちに何かが変わってくるようです。自然な英語を聞いているだけで効果があるようです。)当たり前のことですが、同じやるなら聴いて理解するように工夫した方が効果があります。(2011年8月25日改訂)

(今は、Net上のpodcastやCS放送があるので、下記の内容は古くなりました) 試験対策としては、NHKBSのニュースの特集が良かったのですが、2000年3月27日の番組改正後は、深夜不定期に0時を過ぎてから放送されているので私は、聴かなくなってしまいました。このBSのニュース程度の速さで話すことが出来れば、大丈夫です。分かり易い例ですと、NHKのsub-channelで同時通訳ではないニュースの速さです。(因みに、私は、The Japan Times、The Japan Times WeeklyそしてTimeを講読しております。ニュースは、BBC(短波かBS,CS衛星放送)、NHK(VHFの10時のTVニュースsub-channel)のどれかを毎日、2時間近く聞いております。(2000年11月25日改訂)

(今は、このようなやり方は、推奨しません。毎日の日課としての英語聴取は、1時間でもいいですし、集中するなら30分でもいい。大事なことは、内容を理解することです。だから、聴きながらどんどん辞書を使うなどしてやり方を工夫する必要があります。2011年8月22日追記)

教育、健康、科学、平和、環境問題は、特に良く出題されるので、記述が日本語英語に関わらず知識を仕入れておきます。特に高齢化、少子化、教育、健康は頻繁に出題されるようです。ただし、注意が必要です。例えば、不登校についてであれば文庫本や単行本では却って要旨がぼやけてしまうので、新聞の特集記事の長さ位が適当です。かといって、The Japan Timesの半年分の切り抜きだけでは既出問題対策としては足りませんでした。あとは、要領よく必要な材料を他所からも日本語ないし英語でこまめに仕入れるしかありません。(今は、このようなやり方は、推奨しません。英語でも日本語でも週刊誌程度の特集記事で十分だと思います。全般にある程度の知識を得ることは、必らず出来ることですから、焦ることはありません。自身の得意な分野を強化する方が早そうです。2011年8月22日追記)

newspaper clips for 6 months
集めた資料の一部

on labour issue
労働問題の資料

日本の論点、朝日キーワード等の本を読んで、まとまった知識で、系統だって時事問題を語ることが出来るように、常に人に語って説明することを意識して、考えの筋道を英語で組み立てておくことです。2つないし3つの理由を何事に対しても英語で言えるよう訓練します。時事問題全般に対して、自分のビジョンを持つ努力が必要です。出来れば、借り物でない自分独自の意見が望ましいと思います。例えば、学級崩壊の理由を大事なものから3つ英語で淀みなく言えるようにするといった具合に(註)。最終的には、自分の言葉で数々の理由を要約しておかないとその場では、使えないと思います。ひとの書いたスピーチを暗記しても決して自分のものにはなりませんので気をつけて下さい。そういったスピーチは、スタイルや語の使い方を模倣するには好都合でしょうが、自分の言葉で書き直し、自分が日頃考えていることを織込まないと何故か使い物にならないのです。

註)Firstly, it is because they are not catching up with the studies at school. Secondly, it is because they are not able to interact with others smoothly. Thirdly, it is because they do not fit in the Japanese school system. Apart from this, here is a bee looking for titbits. Let's work hard like this bee to pass the STEP test.

a bee looking for titbits

想定課題に対する、スピーチの草稿を全分野をカバーすべく30本程作っておきます。この30本には異論もありまして、5本だとか、15本だとか、いや60本だなどと人によって言うことが違います。これは、少し長目に作っておきます。カットしたり、別のスピーチの一部を付け足したりして、試験場で修正を加える必要があるからです。(これを、やっていると二三のパターンでどんなトピックにも対応出来ることにも気付くのですが、私はそれは邪道だと思います。試験会場で頭が真っ白になったら奥の手として用いても良いでしょうが、英検だけの勉強をしてもつまらないでしょう。また、30程の草稿と書きましたが、必勝法を記述するとこう書かざるを得ないのであって、絶対に30本準備すべきであるということではありません。実際は、15本も作れば面接試験日となり準備時間切れとなりますが、どれか近い課題が出題されるでしょう。)上級者は、草稿の形をとらないメモ程度のもので十分でしょう。暗記に頼るよりは、応用の利く方法を目指す方が、より本番では自信をもって臨むことが出来るでしょう。確実に合格を目指すなら、このメモの質と量が決め手になります。準備する時間が足らなければ、このメモを充実させ歩きながらでも風呂に入りながらでもスピーチをぶつぶつとつぶやいておれば良いのです。(2000年8月18日改訂2009年7月10日改訂)

「はい、今からいうお題で2分間の英語によるスピーチをして下さい。」と、突然言われて、まとまったことを述べることの出来る受験者は、いったいどれほどいるのでしょうか?一回も、スピーチをすることなく、試験に臨むのは、無謀だと思います。まずは、スピーチをしてみて、素直に自分の実力を見極めることは必要だと思います。(2009年11月1日追加)

(以下の記述は、ある程度まとまった内容で、ある程度の速さのスピーチが出来ない方についてです。)
最初は、スピーチを暗記して、淀みなく抑揚をつけて暗唱するところから始めるしかありません。(最初に、このように書いたので、本ホームページは、暗記を推奨しているように受けとめられたフシがあります)初心者には速いかも知れませんが、1分間に120語位の速度でよいでしょう。これも1分100語でよいと教える学校もあることでしょう。それは、速さとしては、少し遅い方です。私は、1年前に自分の即興スピーチの録音を初めて聞いた時、何て遅くて下手なんだろうと思いました。(2011年8月20日改訂)

メモも何も見ずにスピーチを1本(以前は5本くらいとしていました)でも(お風呂やお便所で)出来るようになると、そのうち内容に注意が向くようになります。そうすると、構成の善し悪しが何となく掴めるようになりますから、スピーチに修正を加えて行きます。時間配分にも目が向くようになりますから、此の時点で、簡潔な言い回しが必要となり、要約する力が身についてきます。こうなると、飛躍的に英語力が伸びるのが実感出来ます。気の利いた言い回しなども使ってみたくなって来ます。ますます、知識量と総合力がアップするという訳です。上級者には不必要ですが、覚えるには、声に出した方が頭によく残るようです。声に出していると、覚えやすいフレーズ、言いやすいフレーズがあることに気づきます。これが、貴方の言い方であると考えて下さい。身についていない言い回しは、本番ではミスの素です。言い慣れたイントネーションやリズムに乗った喋り方が、英語らしく聞こえる重要な要素です。しかし私は、暗誦を唱道しているのではありません。5から6本位はきちんとしたスピーチがすらすら言えれば自信が着くのではないかということなのです。それに、一度自分の即興スピーチを聴いてみて下さい。恥しいことこの上ないことでしょう。あとは、パターンや論理の運びの枠組みを 利用しつつ、随時必要に応じて論証のストックフレーズを挟み込んでスピーチを即興 的に作ることが出来れば、それで良い訳です。(2000年8月30日改訂2009年7月改訂2011年8月改訂)

スピーチでは、繋ぎ言葉が重要です。これで、考えの筋道が示され内容が引き締まります。サンプルスピーチで示した、Firstly, SecondlyやIn conclusionなど決まり切った言い回しがあります。これらについては、スピーチやディベートの本或いはビジネス英語の交渉の項目で纏められていますので参考として下さい。(2000年3月13日追記)

次の段階では、本番と同じように、前もって知らされていない題目について、実際に2分でスピーチをする練習を積みます。これは、過去の問題との関連を問わず、任意のトピックについて行ないます。批判や質問は出来れば、ネイティブ スピーカーにお願いするのがいいでしょう。批判を素直に聞き容れるのが上達のコツです。そして、内容に厳しく突っ込んだ質問をして貰うのです。これは、週に一つや二つではなく、時々集中的に10個ぐらい連続で行なうと急に要領が掴めると思います。この質疑応答については、英検の協会がWeb上で出しているThe Eiken Timesは極めて参考になります。先生もいない 、お金もかけられないということであれば、敢えて日本語で練習するのも、一つの手ではあります(2000年11月22日改訂)。

また、90秒で大体言い終えるようにしておきます。残りの30秒で、それまで言ったことをまとめて力強く結論を述べるようにします。これをしておかないと、気がついたら後15秒しか残っていなくて、言える筈のことも言えなくなったりしてしまいます。試験官に焦っていることを悟られてはいけないのです。

表現については、あまりくだけた言い方は避けましょう。最近、丁寧な表現、中間的な表現、親しい間柄の表現などを解説した本が出回るようになって来ました。中間的な表現だけで十分だと思います。それらを末尾の参考文献の欄に記しましたので、利用して下さい。私自身は、formalとneutralのいずれかを使い分けられるように注意しています。informalな言い方は、自信がありません。

トピックは、恐らくThe Japan Timesの特集記事である程度カバー出来るのではと推定します。時間がなければThe Japan Times Weeklyの特集記事でも何とかしのげます。時事問題ならば出題者も同じようなニュースソースしか持っていない訳ですから、注意深く新聞を読んでいれば出題される分野が分ってきます。本当です。何だか自分が、ニュース解説者あるいは時事評論家になったような気がしてくるから不思議です。そこまで、読み込んで下さい。とは言っても、英語の上手な高校生も合格する訳ですから飛び抜けて難しい問題など出る筈がありません。普通の論理力があれば通る筈です。

論理性は、英語を使って英語国民とコミュニケーションをとっていると自然と身について来るものです。要は、自分の言っていることが何を意味しておりその限界は何であるとか、自分の行なった事由の場合分けに重なりが有るのか無いのかだとか、自分の言ったことで前後の繋がりが誤っていないかということなど、いわゆる推論の原則を絶えず考えることなのです。英語を使う場合、最初は意識してこれを行なう必要があります。勿論、英語で色々な人達と喋って一つ一つ頭を打たれている内に体得されるという側面もあります。もし、参考書をと云うのでしたら、「CLトレーニング」という本を末章で取り挙げてありますので調べてみて下さい。

最近、面白い本が相次いで出版されました。渡辺パコ著論理力を鍛えるトレーニングブックと云います。かんき出版から1400円で上梓されています。2次試験だけでなく広く他の分野にも応用の効く論理力のトレーニングになります。題名そのままですね。2冊目の意志伝達編は、英検には不要かも知れませんが、1冊目を読んだら2冊目も読みたくなりますね。作者によると3冊目も構想中だそうです。このレベルになりますと中小企業のマネージメントに必要な能力として書かれています。私は、今までになかった本だと思います。(2002年7月31日追記)

よく学び、よく喋れ!

(2000年5月31日追記)
書き足しておかなければならない事がありました。日頃から時事問題について英語で話し合っていなくてはならないと言う事です。当たり前のことなのですが、本番では日頃喋っていることの半分も力が発揮できないことを予想しておかなくてはなりません。話題が代わっても瞬時に対応するには一度はどこかで話した事でないと普通はそうスムースには、議論出来ないのではないでしょうか?よく学び、よく喋れです。喋る練習を念頭においていないとスピーチは円滑でなく、内容も乏しく、とても聞くに耐えない代物になってしまいます。ユーモアを交えるには、どこでそれを言うかなどといったことを考える余裕がないとまず言えるものではありません。人を笑わせるのは、日本語でも難しいのですから。一つの話題について20分位は途切れることなく英語で話し会えるように日頃から訓練する事が必要です。語彙は豊富であることに越したことはないのですが、余りに専門的な語や俗語や若者語などは避けなくてはなりません。それは、喋っていると(よく聴いていても)分かって来ます。

試験の前夜に読んで下さい
もう、ここまで来たらあとは、力を出し切るだけです。ここ1年ぐらい(2003年の秋ぐらいから)、とにかくスピーチの後のセッションで絶え間なく喋ると合格するんだという心強いアドバイスが相次ぐようになりました。明日は、思いっきり喋り散らして来て下さい。それと、覚えたスピーチは忘れて下さい。(2009年7月改訂)


2c 学習の秘けつ、時事問題のとらえ方など

***英語よもやま話***
ここに、今後気づいたことを書いていくことにします。他に類のない解説を目指しま した。

活用できるBBS
BBSで意見交換をご希望方には、「頑張ろう!英検BBS」「THE ROAD TO STEP1」をお薦めします。英語全般ですと、「英語を学ぶすべての人へ」と「英語はこう攻めろ!」で良質なアドバイスが得られるものと思います。その多くは、目次の下の欄でジャンプ出来るようにしてあります。勉強は、孤独にしていては楽しくありません。こういったサイトの手紙には、勇気づけられたものです。

集中力について
大事なことを忘れていました。何事もそうですが、集中力を発揮しますと短時間で物事が思いの外旨く運ぶことがよくあります。英検1級の2次試験でも同じことが言えます。集中しますと、実力の2倍も3倍もの力を出すことが出来ます。集中するには、日頃からグッと短時間で一気にやり遂げる訓練を積まねばなりません。しかしこれも限度があって、集中力だけで合格してしまった場合は、あとで会話力不足で苦しむことでしょう。名実ともに実力をつけることの方が本当は大切であります。また別の箇所で私は、本番では実力の半分も出ないなどと書いていたりしますが、対策としては最悪の事態に備えることは言うまでもありません。
ここでいう集中力ですが、例えば面接の時にトピックカードを渡されてからの1分の間、スピーチで述べるポイントがまるでトランプのカードを選ぶように見える心の状態を言います。言い換えれば、どれが効果的なカードかという戦略を練ることが出来るような嵐の前の静かな状態です。勿論必死で様々なことを考える訳ですが、どこか落ち着いているのです。それには、そのような状態になれるよう日頃から努力が必要です。集中すれば、具体的な例を挙げて説明すべきか或いは抽象的な語を用いてまとめるべきかということにも注意を向けることが出来ます。幾つかの質問も予想出来るようになります。わざと説明をはしょって相手の質問を誘い、楽に議論を進めることが出来るかも知れません。もっと余裕があれば、ジョークも思い浮かぶでしょう。こういったことが英語の能力かどうかは分かりませんが、どんな仕事をするにしても必要な能力であることは確かです。(2001年5月29日追記)

電子辞書の効能、24時間放送の効果
3ヶ月程前、6月頃だったと思いますが、電子辞書を買いました。ロングマンの英英辞典も入っているものです。これを使ってみて分かったことは、辞書を引く手間が楽になり以前より頻回に単語の意味を調べるようになったことです。また、衛星放送を家に居る時はかけっぱなししているのですが、聞き慣れない単語があるとすぐ引くようになりました。例えば、topsyturvyだとかsecedeという語です。以前も辞書は使っていたのですが電子辞書の方が速いので、ニュースやドラマを見ながらでも面倒でないから話の筋に関わる重要な語を調べても置いてきぼりにならなくて済みます。こんなことをずっと続けていて気づいたのですが、英語を聴けば聴くほど、そして知らない単語が減れば減るほど、楽に意味が取れるようになって来ました。当たりまえといえば当たりまえですが。しかし、この1年の聴解力と話す力の伸びは、おそらくこういった電子機器を使う前と比べて、感覚的には5倍位の違いに思われます。もっとあるのかも知れません。(私は、日常生活で英語が必要な環境におります。)英語をかけっぱなしにしておくとそれだけで何かが違うようです。何だろうかと考えていたのですが、それは、子供が知らないうちに言葉を覚えるのと似ているように思います。天気予報だとか、葬式の報道だとか災害にあった人へのインタビューなどを何となしに聞いているうちに、受験英語でない本物の英語が頭のどこかに僅かずつ残って行くようで、人が通常と違う言い回しをするとおやっと感じるようになって来ます。番組の話し手の冠詞や複数形の誤りに気づくようになります。文脈に合った適切な形容詞や、動詞が何だかパターンとして入って来るように感じます。だから、以前苦労して単語熟語集を覚えたのよりもずっと簡単に使える正しい英語がそれこそ湯水のように頭に入って来るのです。こんなに、気軽で楽しめる勉強法はありません。気づく度に、知らない単語を電子辞書でどんどん引いていると、引くべき単語数は減る一方になります。寧ろ興味は、類語の方に向くときもあります。ここで、述べたいことは、効率のよい学習方法を身につけると、そしてある段階まで来ると突然飛躍的に英語の総合的な力が伸びることを自分で体験するということです。(英語を掛けっぱなしにしていても、解説や英文をしっかりと確かめることをしなければ実力は伸びないという意見もあります。この勉強法に関しては向き、不向きがあると思います。私の言うことが、万人に当てはまる訳ではありません。)1年前は英検1級が「凄い」ことだと少々思っておりましたが、その後こんなに伸びるのなら、上級者の実力は果てしないものがあるということが今頃になって分かって来たのです。やっぱり、英検1級は単なるSTEPだったのです(11月20日追記、2001年2月3日加筆)。

論理についてのあれこれその1
「右」は、どう定義したらよいでしょうか?例えば、「正面を向いた時多くの人の利き腕の側を云う」と、定義出来ます。岩波の国語辞典で「右」をひくと次の様に述べられております。相対的な位置の一つ。東を向いた時、南の方、また、この辞典を開いて読む時、偶数ページのある側を言う。この定義は、実は、電子辞書から採りました。ですから、画面上で偶数や奇数のページはあり得ません。これは、内容を考えずにただ紙面を入力したからこうなった訳です。ところで、これが本に書いてあったとして、方向を定義するのに辞書のページを用いるというのは画期的なアイデアです。この様に定義を考えることが、発想を促します。この様なトレーニングを多く積む必要がある様に思います。更に上達を望むならば、このトレーニングを英語を使って行なうのです。因みにCollins Cobuild Student Dictionaryでは、11番目の意味として「右」は、このような定義になっております。"Right is one of two opposite directions, sides, or positions. In the word 'to', the 'o' is to the right of the 't'." 岩波の定義に似ていますね。1913 Webster's Revised Unabridged Dictionaryでは、私の定義に似たものとなっています。8番目の意味として、"Of or pertaining to that side of the body in man on which the muscular action is usually stronger than on the other side; --opposed to left when used in reference to a part of the body; as, the right side, hand, arm."この訓練を実際に一人で続けてみますと、物事の分類に気を使うようになり、枠組みを使って考える習慣が身について来ます。定義を考えるということが、簡単に論理を鍛える方法になるという例を挙げました。(2000年3月21日追記)

トピック予想のピットフォール(2000年6月2日追記)
さあ、英検の試験日が迫って来ました。トピックのやまも張ったし、きっとこれは出題されるだろうなんて、考えている人もいるでしょう。少年犯罪は、出題されるだろうと誰しも思うでしょう。ちょっと、待った。少年犯罪について語る時、使われる語はどうですか?難しくありませんか?少年法改正、凶悪、少年審判制度、刑事罰、器物破損、対人暴力、自己制御などの語がすらすらと英語で言えますか?私は、言えません。凶悪犯罪は、英字新聞を読んでいると何とserious crimesでも構ないようですが、簡単かつ一般的な語を選んで使う練習が必要となって来ます。少年犯罪をトピックの狙い目とするには、かなりの実力を要とするものと私は考えます。勿論、法学部出身の方や少年犯罪に明るい方は、数多くおられるものと思います。その方達にとっては、何でもないことでしょう。しかし、他の大多数の人にとってはこのトピックは、要注意と言えるのではないでしょうか?
では、語彙が豊富だったらやま中のやまの少年犯罪は、楽勝だろう。ちょっと、待った。落とし穴があるのです。凶悪な少年犯罪が増えて来た原因は、、、と単に思っていてはいけないのです。20歳未満の殺人事件は、95年で154人、98年に200人を越えて284人、99年は207人と推移してるのは、事実です。ところが、1965年には、14歳から19歳の殺人率は100万人当たり50(週間文春6月1日号、72ページ)となっています。グラフから読みとっているので、確かではありませんが、1995年のそれは1.9です。戦後殺人率は、減少し続けてていますが、若年者の殺人事件数が今よりも遥かに高かった時代があったのです。だから、分析が難しくなります。報道の質が変わったことも考えておかねばなりません。このような以前のことは、本番のスピーチでは述べなくても、知っておかねばならないと思います。(少年犯罪に関連して先々週(8月20日の週)、朝日新聞の文化欄に東大の広田照幸先生の記事が載っていました。内容は先ほど述べたマスコミの報道の質の変遷についてであります。見出しだけ拾ってみますと、”メディアと「青少年凶悪化」幻想、事実ゆがめる統計解釈、事件の安易な一般化禁物”となります。新聞雑誌を良く読んでいるとそんなにも驚く主張ではありません。9月1日追記)
この様に結構奥が深い問題もあるのです。一般化しますと、自分の手におえる範囲か少し手を伸ばせば届く範囲のトピックを選ぶのが、高得点につながる選択法ではないかと思います。

意見をつくる
歴史教科書がアジア諸国の批判を受けています。これは、英検で問われることはないと思いますが、例えば新しい教科書の記述内容に賛成ないし反対の意見を作ってみるということは、discussionの力を伸ばすことにつながります。しかし、こんなdiscussionを避けるために教科書検定そのものを廃止したらどうかという意見すらあります。
Centralized textbook censorship is a rarity among the industrialized democracies. In the United States, textbooks are either approved by state authorities or adopted at the discretion of individual schools. In Britain, voluntary adoption is the rule. In Germany, censorship is exercised by provincial authorities.(The Japan Times Apr. 2, 2001)
(2001年4月6日追加)

恰好の材料その1
先週(4月19日付)の朝日新聞に、時事問題分析に最適な記事が載りました。学級崩壊について、文部省が依嘱した学級経営研究会の報告では、「1学級の人数がある程度の数、40人近くになった学級で学級崩壊が起こりやすくなる」というものです。これは、150の例の詳細な調査に基づいたものです。私の小学校の先生は、当時45人も1クラスに抱えていましたから旨くやっていたものだと感心してしまいます。それはさておき、この記事の分析内容はスピーチに使えそうです。別のページの関連記事では学級崩壊から立ち直った5つのケースを紹介しております。例えば、生徒に「口で言いにくい事実」を書いてもらい、これを基にして話し合いを重ねたといいます。他人がどのように自分のことを思っているか、どのように自分の言葉を受け止めているかを知るに及んで、生徒は変わって行ったのです。クラスの一人一人がお互いに関わっていることをはっきりと認識できるようになったのです。今までは、兄弟が少なく、核家族世代の親に甘やかされ欲しいものは何でも手に入れて、叱られたことのない我儘な子供は、プライドだけが強くなってしまって本当の自分の姿が分かっていないといった、一言でいうと子供の躾けを問題とする意見が大半であったのですが、今回の記事は違います。極めて具体的です。この具体性が、英語では好まれるように私は思います。これを英語でスラスラと説明出来るようにしておくと、スピーチの際、学級崩壊に就いて具体的かつ説得力に富んだ議論が出来るようになるでしょう。(残念なことにAsahi Evening NewsやThe Japan Timesでは、英文の記事は見当たりませんでした。)(2000年4月24日追記)
(本日9月2日のBBCで報道していたことです。小学生が暴力を振るおうとしたのでこれを、ちからでねじ伏せた校長先生が二審で勝訴したそうです。この判決を受けて、イギリスでは各学校にトレーニングを受けた先生を配置して、children's disruptive behaviourを押さえ込む動きがあるそうです。トレーニングのデモンストレーションを放映していました。日本も遅れて追随するのでしょうね。2000年9月2日追記)

恰好の材料その2
8月21−28日付けSpecial Double Issueのタイムに、日本の教育問題の一つが掲載されました。所謂「ひきこもり」についてです。They are called hikikomori, people who withdraw, like a turtle into its shell and one psychologist estimates there are as many as 1 million in Japan.単に英検の対策だけでなく、知っておくべきこととしても重要な事柄だと私は思います。(2000年9月18日追記)

恰好の材料その3
登校拒否や引きこもり現象の打開策として、最近自由学校(フリースクール)の役割が取り上げられています。関東にある東京シューレという(Schule独語)ユニークな学校の名もよく耳にします。この学校は、色んなメディアで、The Daily YomiuriやThe Japan Times、TIMEでも取り上げられていました。欧米で行われている家庭での親や家庭教師による初等中等教育も解決策の一つでしょう。学校という枠組みを一旦、解体してしまって、考えをまとめた方がいいように思います。学校が本当に必要なのかということを考えてみるのです。時々、教育問題も含めて時事問題に関してはインタビュー記事が新聞に載りますが、こういう記事は、直ぐにスピーチに使える有り難い材料です。例えば、The Daily YomiuriのMatters of Opinionの記事(9月19日のDefiant children a product of school rigidity、10月17日のModern Japan afflicted by many addictionsなどなど)がそうです。日本語ではありますが、昨日(11月21日)のNHKスペシャルで取り上げられた不登校の実態と対策についてなどは自分の意見を作り上げるのに参考となります(2000年11月25日改訂)。

恰好の材料 その4
What charter schools are
I have recently heard a great deal of talk in Japanese education circles about bringing the charter-school movement to Japan. It is hoped that this will help reform Japanese education. However, I find that most people do not understand what is meant by the term "charter school."

In the United States, a charter school is a public educational institution that is legally and financially independent and operates in many ways like a private business. Those who wish to start a charter school prepare a mission statement and a business plan that they submit as a proposal to a chartering body, either a state agency or a local school district. If the proposal is accepted, then the future operators of the school are given a charter to establish the school. The charter stipulates a length of time that the school can be in operation, usually from five to 15 years. The charter could not be renewed or could even be pulled prior to the renewal date, for any malfeasance -- financial or legal -- or for not fulfilling the mission as stated in the school's charter. Significantly, charter schools are supposed to be exempt from most of the state regulations that impact regular public schools.

From The Japan Times: Dec. 20, 2000 (2001年1月15日追記)

恰好の材料その5
「子どもの危機をどう見るか」尾木直樹著岩波新書6862000年8月18日初版
子どもをめぐる環境について、学級崩壊、いじめ、不登校、引きこもりなどが網羅されています。時間のある人はどうぞお読みになって下さい。上記のチャータースクールについても触れています。(2001年1月15日追記)

恰好の材料 その6
What makes children strong
exerpts from The Japan Times' editorial(Jan. 28, 2001)

The important thing is for children to have experiences in which they can persuade others to accept them fully, the good and the bad included. Such relationships lead to the feelings of self-respect by which children come to terms with themselves.

Everyone has a unique value. It is important for both adults and children to grasp this fact. If someone sees that even one other individual recognizes his or her value, he or she will gain that much self-confidence -- and then another life can begin anew.(2001年2月3日追記)

恰好の材料 その7
Global standardに対する誤った認識について---The Japan Timesにのった記事の一部です。何とglobal standardという日本における概念は、誤っているというのです。

Which 'global standard'?
The governor's (Mr. Ishihara, Tokyo governor at the World Economic Forum held in Davos, Switzerland) reference to "global standard" reflects the widespread but mistaken view in Japan over the past four or five years that there is a neatly codified set of management rules and practices that the U.S. has claimed to be "global" in applicability and that it is trying to force Japan to adopt. Explaining the origins of this view provides interesting insights into the Japanese perception of their role in the world.

It was in this context that reformist Japanese businessmen and journalists started to use the term "guroobaru sutandaado" in the mid-1990s to indicate reforms Japan needs to undertake -- in corporate governance, accounting practices, etc. -- in order to cope successfully with the changes brought about by globalization. The curious fact is that although the term comprises two English words, the concept is Japanese.

From about 1995, I have been asked repeatedly by Japanese how Americans view guroobaru sutandaado. In response, I have consulted with American and European business executives, business school professors and management journalists. I have checked management books, business conferences, and Internet newsgroups. What I have found is that although "international standards," "de facto standards," and "global standards" are used to refer to technical standards (as in ISO discussions at the OECD), these do not refer to the kind of corporate and management rules and practices that the Japanese have in mind.

Many Japanese are shocked to hear this, since they have all along assumed that guroobaru sutandaado was something concocted by Americans to force Japan to change.

Friday, February 9, 2001
(2001年2月23日追記)

本日3月9日の朝日新聞に大平健氏による、“「時の話題」自問自答わすれずに”というコラムが掲載されました。これは、まったくこの記事を読んで調べたことを書いているのです。---ジャパンタイムズで、石原氏の言及したグローバル・スタンダードが見事に説明されていた。作者のフクシマ氏によれば、「グローバル・スタンダード」というのは日本人だけが言っている概念で、アメリカ人には自分たちの形手法を丸ごと日本に押しつけようとする積もりなどないのに、、、」---このように、日本のマスコミには、横のモノを縦にするだけのことが認められ、そんな時はだいたい1ヶ月から3ヶ月遅れています。他の例をあげると、EQなる言葉が、数年前にタイムで取り上げられてから約半年で日本の新聞紙上を賑わすようになりました。日本語の週刊誌の世界情勢のコラムにも同工異曲のものが多く見られます。英語で書かれたから有り難い訳ではありません。勿論、未だに偏見や全くの誤解に基づく日本に関する報道がタイムやニューズウィーク、ワシントンポストでも時にありますが、日本語のメディアにおいて、単に英語を訳すだけで有り難い記事になるなんて少しおかしくはありませんか?よく、気をつけて双方の記事を読む必要があります。オリジナルな意見の豊富さについては、私は英語のメディアの方に軍配を上げます。しかし、わたしがここで案内していることも後から振り返れば、結局はほとんど横のものを縦にしているのと大同小異でしょうね。ただ違うことは、ここでは批判的な眼を養うという目的で一連の文章が書かれているということでしょう。(2001年3月9日追記)

恰好の材料その8
英語の綴りが変わってしまう?英語を生み出した英国で、綴りのアメリカ化が議論されています。

How do you spell that again?
Another storm has been raging lately in the teacup of English. Like many linguistic squalls, this one is centered on spelling. It blew up in Britain late last year after the government's Qualifications and Curriculum Authority decreed the use of internationally agreed spellings for some scientific terms -- "sulfate" rather than "sulphate," for example, or "fetus" for "foetus" -- in British examinations.

The Japan Times: Feb. 11, 2001
(2001年2月23日追記)

恰好の材料その9
日本が産んだi-modeは、インターネットの未来を先取りしているようです。
(2001年2月23日追記、後改訂)

それに引き続くL-modeも画期的な素晴らしい企画ですが、法的障害があってやや滞っています。しかし、いずれ認可されるでしょう。日本発のアイデアである、携帯電話と固定電話から直接にインターネットにアクセスするというのは、振り返って考えると当たり前なのですが、よく考えついたものだと拍手を送りたいものです。さらに、ゲーム機であるPlay Station IIの可能性も果てしないものがあり、インターネットとつないで無限の広がりを夢見させてくれます。ソニーは、このPlay Station IIのチップをすべてのソニー家電製品に組み込みインターネットによる遠隔操作を考えていると読んだことがあります。ジャパンタイムズやタイムの次の記事を読めば、i-modeとPlay Stationによって、インターネット情報社会を日本がリードして行くのではと、期待で胸が膨らむ思いです。

1. Foreign firms to get i-mode, PlayStation
NTT DoCoMo Inc. and Sony Computer Entertainment Inc. said Monday that they and six foreign companies will jointly develop new mobile communications network services that combine DoCoMo's i-mode technology with SCEI's Play Station video game technology.
The Japan Times: Jan. 30, 2001

2. State wants fast L-mode introduction
Telecommunications chief Toranosuke Katayama on Friday urged the two regional carriers of Nippon Telegraph and Telephone Corp. to revise their plans to introduce a limited Internet service for fixed-line phones.

"It's better to implement (the new service) early by making adjustments so that it can be done within the framework of the present law," Katayama told a press conference after a Cabinet meeting.

The new service, which is a fixed-line version of NTT DoCoMo Inc.'s i-mode, will allow users to access specially condensed Internet content.
The Japan Times: Feb. 3, 2001

3. Revised L-mode plan submitted
In a bid to clear a legal hurdle, the two regional call firms of the giant Nippon Telegraph and Telephone group unveiled Thursday a revised plan to launch L-mode Internet access service for fixed-line phones.
The Japan Times: Feb. 16, 2001

4. L-mode fails to clear legal hurdle
The telecom ministry decided Friday to ask the two regional carriers of NTT Corp. to revise parts of their plan for the L-mode Internet access service for fixed-line phones to resolve legal problems, ministry officials said.

Given these circumstances, the panel is likely to discuss whether L-mode type services should be called regional communications services and urge the two firms to reconsider their plan after showing them concrete conditions for approval, ministry sources said.

The council will finalize their discussions by mid-March after consultations with the two NTT firms and KDDI, the sources said.
The Japan Times: Feb. 17, 2001

5. Excerpts from Time
Internet A La I-Mode
The Japanese are wild about Web surfing on their cell phones. Will Americans catch the same wave?
BY TIM LARIMER/TOKYO

In Japan they are speaking in thumbs. Everywhere you look--in restaurants and in movie theaters, on crowded trains and in taxicabs, in baseball stadiums and in university lecture halls--the New Man and New Woman of Japan walk and sit with head down, arm extended and one thumb feverishly tapping buttons on a new kind of cell phone, one that lets you surf the Web using a technology called i-mode.

Indeed, Japan and the Internet have gone together like sushi and ketchup. It's still surprising that tech-savvy, gadget-happy Japan sat on the sidelines during the boisterous dotcom boom. (Remember that?) Even today, in Japan, the world's second largest economy, only 625,000 homes have high-speed Internet access, out of a population of 126 million people. PCs never caught on, in part because the first models were ugly and bulky and used keyboards the Japanese aren't comfortable with. "We're keypad people," says DoCoMo's president, Keiji Tachikawa.
MARCH 5, 2001 VOL. 157 NO. 9

6. Japanese mobile phone technology seen as a laboratory for the rest of the world
And nowhere is this process happening faster than in Japan.

The Japanese market, dominated by huge NTT and its DoCoMo mobile phone subsidiary, is like a working laboratory for the world.

Three-G, third generation mobile phone technology is already a year ahead of everywhere else - if all goes well, DoCoMo will introduce its system at the end of May.
(BBC World, Friday 23rd March 2001)

7. Revised L-mode plans submitted for approval
NTT's two regional carriers on Wednesday reapplied for approval to launch a modified version of their L-mode Internet service.
(The Japan Times: Apr. 12, 2001)

8. NTT launches L-mode Internet service
多くの障壁を越えてついにL-modeのサービスが開始されました。The Japan Times: June 30, 2001が伝えています。
In a bid to halt the ongoing demise of fixed phone services, the Nippon Telegraph and Telephone group on Friday launched L-mode, a text-based Internet browsing service that does not require a computer.
(2001年7月13日追記)

9. First 3G mobiles launched in Japan
ついにDoCoMoがやりました。世界初の3G携帯電話です。インターネットにアクセスが出来、映画も見ることが出来れば、音楽も聴ける。勿論、電話としても使える。日本が世界をリード!嬉しいですね。以下は、BBCのニュースから一部引用しました。
Monday,1 October, 2001, 03: 14GMT04: 14UK

Japan's leading mobile telecoms operator, NTT DoCoMo, has launched the world's first third generation (3G) mobile phone service.

Users of this revolutionary phone will be able to surf the internet and see pictures of the people they are talking to, and eventually they will be able to watch movies and listen to music on their handsets.
(2001年10月2日追記)

恰好の材料 その10
生徒だけでなく、問題のある先生もいます。(あっ、当たり前か、、、)アエラの記事をもとにそんなことが取り上げられています。an excerpt from The Japan Times, April 1, 2001
Problem teachers slapped with failing grades
Aera (April 2): With the growing recognition that undisciplined children are not solely to blame for declining education standards, Aera reports that a new buzzword has popped up in pedological circles: The word is "M," or "maru-M" -- the first letter in mondai-kyoshi -- problem teacher.(2001年4月6日追記)

意外な報道
APRIL 2, 2001, VOL.157 NO.13
Head of the Pack
From humble roots to frontrunner for Japan's top job, Hiromu Nonaka has come a long way
タイムは、次期首相は野中氏だと踏んでいたようです。しかし、現実は違っていました。タイムは、また野中氏について、日本では全く報道されない側面にも踏み込んでいます。一部週刊誌では、タイムで示されたローマ字を用いて記事を引用する形で報道していたりしました。海外のメディアは、日本でいうしがらみがないためか皇室や政治、宗教、差別に関わる点について、日本では自主的に報道規制がなされていることにも平気で論評していきます。だから、かえって日本で起こっていることがよく分かるといった奇妙な現象も生じるのです。それにしても、最近の小泉首相の演説の単純明快なこと。聴いていて小気味よいですね。
(2001年5月15日追記)

新刊紹介講談社現代新書1544「倫理という力」
これを紹介しましたのは、英語国民と話をする時に見え隠れする宗教と関わりがあります。日本人にも宗教心がない訳ではないのですが、何しろ一神教でないため個人個人で曖昧な判断をしてしまうことに起因する、彼らとの論点の食い違いを皆様も経験されたことでしょう。議論でも対等におこなうためには日頃から己を知る必要があります。日本には、和辻哲郎など優れた哲学者がいますので何も卑下する必要はありません。この本の著者は、クリスチャンでないのでしょうが宗教にどう対処するかといったことにも考察を加えています。一読をお勧めます。子供のしつけや学校教育の問題を考える上でも役に立つことでしょう。
(2001年5月21日記)

タイムの日本特集
APRIL 30, 2001, VOL.157 NO.17
How the world sees Japan
Why Japan cares what you think
これは、朝日新聞などもうあちこちで取り上げられています。明治から現在までの日本の変貌を、一般的な日本人の感情的な側面も含めて旨くまとめられています。好意的ではないにしても西洋に追いつけ追い越せの時代から血の滲むような先代の努力についても言及してあります。いわゆる西洋人の意見に弱い日本人像が描かれています。一読の価値がある特集です。
(2001年5月21日記)

田中外相の訪米報道について
田中外相のパウウェル国務長官との会談後、BBCはthe "benefits and burdens" of the Japan-U.S. security allianceという田中外相の発言をcurious, strangeと評していました。burdensについては、英国人には沖縄の置かれている状況が全く予備知識として無いため、米国と安全保障を結んでいる国が何を言っているのかという反応の様です。また国の意見を外相として、missile defense planに関して何も述べなかった上に、米国がmissile defence systemについての研究が必要であることを外相が理解したとする報道に留まっていました。日本国内との報道とは随分違うようですが、つまるところ単にアジアのニュースとしてしか取り上げてはいませんでした。これを聞いていて、日本のメディアに気をつけなくちゃと思い直したところです。余談ですが朝日新聞の特派員によると、オーストラリアでは、自分の意見をいうことの出来る外相が誕生したと大方が好意的であるらしいです。
(2001年7月1日記)

これからの医学1
これからは、クローン技術や再生医学の時代がやって来るでしょう。人工臓器はもはや金属やプラスチックで作るのではなく、欲しい臓器を自身の成熟細胞の遺伝子を操作するか幹細胞を分化させて造り出し、疾患によって機能しなくなった自分の臓器と取り替えるのです。自己の細胞から作るので拒絶反応の心配がありません。免疫抑制剤も不要です。脳死した人から臓器を貰う訳でもないので、臓器提供者を待つ必要もなく、また倫理的問題も生じません。30年後位には、実現しているのではないでしょうか?受精卵からの細胞を使用する方法は、現在も議論が続いています。
(2001年7月13日記)

これからの医学2
ロボットが手術をする時代が来ようとしています。「ダヴィンチ」という手術ロボットは既に稼動しています。Intuitive Surgical社製で、1億円もする高価なものです。これは、内視鏡による手術をする時の主役を担うロボットです。胸部や腹部に3つから5つほど小さな穴を開け、そこからファイバースコープやメスに鉗子、CO2送風機や光ファイバーといった手術用具を挿入し、術者である外科医は患者から離れたところにある操縦席のような遠隔操作機で細かい手術を行ないます。これを応用すれば遠隔医療も可能となり、無医村問題も解決する可能性が開けます。ロボットなしには、治療が考えられない時代がもう直ぐそこまで来ているのです。
(2001年7月13日記)

恰好の材料その11
2001年9月7日に、文部科学省が1993年度に不登校であった中学3年生の追跡調査の結果を発表しました。1999年に個別調査に応じた約1400人のアンケートをまとめたものです。朝日新聞によりますと、65%が中学卒業後直ちに高校などへ進学、5年後の成人の頃には26%が正社員やフルタイムの家業手伝いで働き、17%が大学、短大、専修学校で学んでいました。約7割の者が仕事や学校で自分に自信が出来たと肯定的に捉えていたといいます。自分探しの旅は、大方実のある結果が出ていることになります。こういった具体的なデータに基づいて意見を作っておくと議論では、説得力を持つことが出来るようになります。(2001年9月18日記)

恰好の材料その12
不登校は、日本の文化だと考えることも出来ます。不登校が日本でのみ特異的に認められ、しかも増加しています。高校生や大学生の不登校やフリータ−も増加していて、受験勉強に原因があるとするだけでは説明がつかないことから、日本の文化と考えた人がいます。年齢に相応しい社会集団に属すことが出来ない者が増えている要因を分析して、拙い自己表現の結果としての拙い他人との関係は、日本の精神的風土と現代社会の有り様に由来するとしています。
冨田和巳著「子どもたちの警告---不登校といじめは日本の文化」法政出版
(2001年9月18日記)

報道の時間差
先週の火曜、9月11日にアメリカのワールドトレードセンターに2機の旅客機が衝突炎上するというテロ事件がありました。1機目の報道をNHKでたまたまテレビを観ていたところ、眼の前で2機目が先程とは別のタワーに突っ込んでいくところが放映されました。アナウンサーは、最初何が起こっているのか分からないといった様子でした。この後から、NHKと衛星放送CNNとBBCとを比べてみました。大体、5分から10分位の遅延があってNHKで具体的に説明がなされていました。翻訳に此れぐらいはかかるのでしょうね。もちろん、CNNが一番素早い報道をしていました。(2001年9月18日記)

Cloning: Where to draw the line?
アメリカでは、クローン技術に制限を加える模様です。以下のTimeの記事がそれです。制限を掛けすぎるとアメリカは、この分野で遅れをとることにもなるのですが、今回は倫理に立脚した意見が他を押さえた感があります。この記事では、最低限クローン技術を語る上で知っておくべき事柄を分かりやすく説明してありますので、読んでおいた方がいいように思います。
The House vote to ban all human cloning was the first skirmish in the research wars to come. Next up: stem cells

By studying cloning, scientists hope to figure out how to take a full-grown adult cell, restart the clock and transform it into entirely new tissue. Then when you have a heart attack, doctors will take one of your skin cells, remodel it into heart tissue and repair all the damaged parts of the heart with new, healthy cells. Such direct remodeling could heal bone breaks, trauma, burns, kidney malfunction and on and on.
Time Magazine August 13, 2001(2001年10月2日記)

学級崩壊と現場の先生の意見
2001年10月2日付けおよび8日付けの朝日新聞によりますと、国立教育政策研究所の調べによる、全国の公立小学校の20分の1のおよそ1150校の校長約530人と教員約6600人に対する今年3月のアンケート結果が公表されました。学級崩壊があったと認めた校長、教員は約30%にのぼるといいます。学級崩壊の発生は学年別では、小学校一年が約9%で、他の学年ではおよそ20%との結果が出ています。こうなると社会現象として認めざるを得ません。誰が担任しても同じだと答えた教員は、24%を占めました。しかし、担任交代を実施した学校の教員88人のうち、87.5%が好転したと回答しています。また、困っている教員をお互いに支えあい、教え方についてもアドバイスしあうと好転率が2倍になることも判明しました。学校を取り巻く状況として、「自分の子どものことしか考えない保護者が多い」あるいは「子育ての環境に恵まれない家庭が多い」と学級崩壊の発生率は3倍になるといいます。このデータは具体的な考察の材料になります。

また、回答した校長、教員は子どもに対して次のように答えています。「問題のある児童は教室から出て行ってもらうことも検討すべきだ」と4割近くが考えており、6割以上が、「学校で子どもの生活全般まで面倒を見る必要はない」と答えています。しかし、この6割の先生方を分析すると子どもや親とのコミュニケーションが不十分なようです。翻って教員については、6割以上が「教師に向かない教員は出来るだけ転職させた方がよい」と考えています。詳しくは、新聞を当たって下さい。
(2001年10月9日記)

恰好の材料その13
2001年10月23日付けおよび29日付けの朝日新聞では(地方では夕刊がないので東京や大阪とは2、3日のずれがあるかも知れません)、前述の国立教育政策研究所のアンケート調査を詳しく報道しています。例えば、23日付けですと、「すべての子抱えるのは無理」「できない子見る余裕ない」「家庭問題まで面倒みきれぬ」「事務処理能力ない人辞めて」などの見出しが紙面で踊っています。29日付けですと、悩む先生「ゆとり」どこへと題してデータをまとめてあります。その前のページには、生きる力どう育てたら、、、と云うタイトルのもと教師の悩みがこれでもかと思うぐらい例をあげて記載してあります。私は、モンゴルに行ったことがありますが、人は厳しい自然の中で一度暮らしてみれば、日本の衣食住の環境は、いかに恵まれているかが分かるのではと思います。日本の子供達が自分で動かないと、水一杯飲むことの出来ないところで、生きて行くことの辛さと楽しさを知れば、子供達の考え方も自ずと変わるというものでしょう。
(2001年12月4日記)

炭疽菌騒動
炭疽菌について一通りの知識があった方がいいように思います。タイム(10月22日、29日付け)でもThe Japan Times Weekly(10月27日付け)などでも特集を組んでいます。面白かったのは、タイムの29日付けの方で、安全な事務所にするにはと、図解しながら説明している記事です。換気孔の位置を2階以上と高くし、建物の回りにゴミ箱は置かず、ベテランの守衛を出入り口に配し、大きな細長いプランターで障壁を設け、24時間監視カメラで見張るなど色々細かな対策について述べられています。こういう記事を読んでいると日頃から頭が練られていきます。
(2001年12月4日記)

テロとアメリカ
日本にいると米国寄りの意見を持ってしまう恐れがあると思います。最近朝日新聞では、「テロは世界を変えたか」という連載をしています。中でも11月22日付けのフランス人歴史学者の意見が、興味深いです。世界秩序の要は、アメリカであった。だが、テロでそれが崩れ去った。要のない世界では、複数の文明が並立して行くことになる。(中略)アングロサクソンは、社会的な平等ということに最も関心の薄い、個人主義的で自由主義的な文明だ。それが、民主主義や経済自由主義に適していたが、そのモデルが世界のどこにでも通用するという訳には行かなかった。(後略)時々、こういう意見も読んでおかないとバランス感覚が保てなくなる様に思います。
(2001年12月4日記)

安楽死について
オランダで条件付きで認められています。タイムでも記事がありました。(April 23, 2001 A License to Kill? BY JOHN CLOUD)少し古いのですが、参考にはなります。NHKでもALSの男性が安楽死で死んで行くドキュメンタリーを何年か前に放映していました。私からみると、まだまだ十分生きることが出来るのにというのが正直な感想でした。
(2002年1月22日記)

日本バッシング?
2月10日にBBCを観ていますと、日本の船がニュージーランド沖で座礁しオイルが流れ出し海岸に漂着し鳥も油まみれになっている、海岸には人々が繰り出しオイルを手作業で除去しており、動物の救済も始まっているとの報道がありました。ところが、日本のテレビ、新聞では一向に報道されないのです。どうなっているのだろうと調べますとロイターは、パナマ船籍だと伝え、 BBCは今度は韓国の船だとweb siteで述べています。これは、日本バッシングの例かと思ってBBCに問い合わせてみました。BBCの意見でなく、あくまでも担当部員の意見であるとの断書きのついた返事が返って参りました。事件の報道初期には、情報が錯綜しデマも起こり易いのだと考えさせられました。

>From bin Wed Feb 13 00:14:49 2002
From: NewsOnline
To: "'hershey@XXX'"
Subject: RE:
Date: Tue, 12 Feb 2002 14:53:50 -0000
Status:
Thank you for your comment regarding our story.
There does seem to have been some confusion in the early reports as to who exactly owns and operates the Jody F Millenium, and where it is registered.

Both Reuters and Associated Press reports have said the ship is owned by a Japanese company - Soki Kissen Co Ltd.

Most of the wires agree the ship is either "operated" or "crewed" by a South Korean-based company - Hyundai Merchant Marine Co (Reuters).

The ship is, however, registered in Panama.

Yours

Andrew Webster
Senior Broadcast Journalist (2002年4月1日記)

私の有事法制論
中坊公平氏
(略)今度の米国のテロは『人道と文明に対する犯罪』と言われた。日本国を軍事裁判で裁いた時も同じような罪名だった。概念だけで戦争をとらえている。その怖さを考えないといけない。米国でのテロは絶対許されないが、そこまで憎悪をかき立てているのは、世界の極端なまでの不平等がある。貧困層との間にアンバランスが起きている。米国に追随することが、日本にとってどんな意味があるのかという議論がない。日本はいかに対応するかばかりの『How文化』。『Why文化』に変わらなければ。国民一人一人が高い理念から現場を直視して『なぜか』と考えなければ。それが自立の第一歩ですよ。

杉田敦氏
憲法論切り離しは疑問
(朝日新聞2002年3月6日)
(2002年7月31日記)

風 カイロから同時多発テロ半年
嫌米意識 消えぬまま

(略)ニューヨークのテロのすさまじさは、米国のアフガニスタンに対する武力行使に一定の国際的理解をもたらした。だが中東では「理解度」は低かった。いきなりイスラム、アラブをテロの温床としてやり玉に挙げたことへの反発があった。(略)米国は、次はイラク攻撃を公然と語っている。パレスチナ問題の解決に、米国が積極的に乗り出す気配は今のところない。これでは、多発テロに対し、米国民が怒りとともに抱いた「なぜこうも憎まれたのか」という疑問への答はつかめないまま、米国を嫌うイスラムの世論を引きずることになるだろう。(略)
(朝日新聞2002年3月7日)
(2002年7月31日記)

歴史とは何か
歴史に関連してハーバード大学の入江昭教授が、「歴史とは各国別々ではなく、共有されるもの」と述べています。「新しい歴史教科書を作る会」の教科書に「歴史は民族によって、それぞれ異なって当然かもしれない。国の数だけ歴史があっても、少しも不思議ではないのかもしれない」という序章の言葉を受けての発言です。
(朝日新聞 文化欄 思潮21より)
(2002年7月31日記)

アメリカ版女子高生言葉
何とアメリカでも日本の女子高生言葉とそっくりな物言いが流行っているようです。いえ、流行っているみたいな、そんな感じ?
(from The JapanTimes Weekly June 8, 2002)
"Can I go get my textbook? It's, like, in my locker," said Monica. "Where is it really?" I asked her. Anyone who spends much time with teenagers has noticed their unfortunate use of word "like" outside the parameters of affection or comparison. As a high-school teacher, I probably hear more than 100 superfluous "likes" a day.
(2002年7月31日記)

漢方について
Herbal Healing
Could Asia's traditional medicine chest hold the cures to age-old ills-and can Western science finally unlock its secrets?
(from Time Magazine, June 10, 2002)

今、漢方薬、中でも痩せ薬が日本で取り沙汰されていますが、西洋医学は漢方に注目しつつあります。西洋医学の特徴は、診断に主眼がおかれ、薬物治療は慢性疾患にはほぼ半永久的であることが大半です。それに引き換え、漢方では疾患のステージ毎に処方が違います。疾患の時間的変化が治療に組み込まれているからです。ここが、根本的に疾患に対する見方が違う点であります。また、漢方は体質改善を目指していますから、免疫を賦活化し時にはウィルスとの共存などという離れ業も難無くこなす効き目を持っていたりします。
(2002年7月31日記)

E-Mail中毒について
12 Steps for E-Mail Addicts
みなさんの中にもE-Mail中毒になっている方がおられるかも知れません。旅先でインターネットカフェに入ったり、一日たりともモーバイルPC/organiserを手離せなかったりしたら要注意。その対処法があります。
Step 1: Admit you have a problem.
Step 2: Recognize the symptoms.
Step 3: Take responsibility.
Step 4: Practice the rule of three
(If an e-mail thread has gone back and forth three times, it is time to pick up the phone.
....
(from Time Magazine, June 10, 2002)
(2002年7月31日記)

学力低下に関連して
読書離れ
情緒力の低下が国滅ぼす
このように数学の藤原正彦教授が書いています。この論説には、恐ろしいことが明確に書いてあります。論理ではなく感情が最終的な決定権を握っているというものです。このように書くと吃驚する方もおられるでしょうが、情熱が論理の運営を支えていると書けば理解して頂けるかも知れません。ちなみに藤原教授は、「若き数学者のアメリカ」というエッセイで有名です。ラジオ朗読シリーズにもなっていました。その中にはストリーキングの体験談も書かれてあります。

..........どれも論理が通っているから、何を選択するかに論理は役に立たない。いくら情報を集め専門知識を集めたところで、どれを最優先すべきかは別問題である。(段落)選択は情緒による。家族愛、郷土愛、祖国愛、人類愛、卑怯を憎む心、もののあわれ、他人への不幸への感受性、などといった情緒がどれをどれほど重視するかの価値判断に働く。
(朝日新聞2002年6月15日)
(2002年7月31日記)

学校崩壊に関連して
守るべきは教育か教員か
現代日本の教育の崩壊を招いている固定観念とは次のようなものである。
1)みんな潜在的に平等な能力を持っている。 2)誰にとっても勉強は苦痛であるが、がまんして勉強すれば役に立つ。3)正しい教育法があって、それによって生徒の学力が伸び、個性が開発される。4)学校教育は無条件に生徒個人に有益である。5)ある学校を卒業すれば能力、教養、技術が備わっている。

これらは、無意識のうちに私達の思考に組み込まれていたようです。岸田秀という大学教授(精神分析学専攻)が書いておられます。
(朝日新聞2002年6月16日)
(2002年7月31日記)

ひきこもり再び
まとまって「ひきこもり」について語るのに丁度良い資料です。
(from The JapanTimes Weekly June 29, 2002)
見出し
Medical disorder or modern phenomenon?
Young men who shun society
"Japan is a rich country, but we have no identity, no confidence, no ability to communicate with others."

a list of reasons
●A declining birthrate means this patrilineal society has more families with only one son in whom they place all their hopes
●Boys grow up without male role models because their fathers work all the time
●Japan's "culture of shame" makes people fear how they're perceived if they have a problem fitting in
(2002年7月31日記)

The Fatal Promise of Cloning
クローニングについて最近の話題も交えた意見です。纏まった内容を頭に入れておくと議論が容易になることでしょう。
Advocates say they will never create human fetuses. Can we believe them?
(from Time Magazine, June 10, 2002)
(2002年7月31日記)

日本語は論理的?
日本語が論理的でないとお悩みの方がいることと思います。朗報があります。そんな思いを吹き飛ばしてくれる待望の書が出ました。「日本語に主語はいらない 」という本がそれです。日本語文法は、明治時代に英語文法を下敷きとして作られた。それまでの、本居宣長らの永年に渡る分析を無視して文法を打ち立ててしまったから混乱が生じた。「愛らしい」「赤ん坊だ」「泣いた」ーーー日本語の基本文はこの3種で必要十分である。作者は、カナダのモントリオールで日本語を教える学者です。日本語学科の学生に文法を教えていて、質問に答える内に既製の文法では例外が多すぎて困っていた時に気付いたそうです。主語を使わないのは、ポーランド語でもそうだとポーランド人から聞いたことがあります。活用で分かるそうです。ですから主語を省いてしまう日本語は、単に冗長度が低いだけかも知れません。日本語が論理的でないなら、大阪商人の商いにおける交渉も非論理的に行われていることになりますが、そんなことは無いでしょう。よく、「わたしは、たぬき。ぼくは、きつね。」という文が、論理的でないと言われますが、それは、きっと「わたしの食べたいものは、たぬきそばです。ぼくの欲しいのは、きつねうどんです。」という文において、相手に伝える最小限の情報を抜き出して伝えることの出来るのが、日本語であるということを無視いるからではないでしょうか。○○は、の「は」は主語でなく、問題の提示を示し、その範囲は、その文中だけでなく、同じ内容を含む幾つかの文、時に段落全部に及ぶことがあるなどといった説明を聞くと、胸のつかえがおり、スッキリした気分になるではありませんか?この他にも、自動詞と他動詞は目的語のあるなしではなく、基本形からして違うことや、使役と受け身の活用の仕方は、母音の変化で説明がつくなど、見事な説明が続きます。一部、明治時代に日本語を学んだイギリス人が既に当時に記していることを再発見したなどというエピソードも交えて堂々と日本語の文法を語っています。英語を勉強するならまづ足元の日本語も勉強しておかなくてはいけないのではないでしょうか?
日本語に主語はいらない 金谷武洋著 講談社選書メチエ
(2002年8月1日記)

(2002年12月1日記)
金谷先生からメイルをいただきました。

ハーシー様、

突然のお便りで失礼致します。モントリオールの金谷武洋です。貴HPで拙著「日本語に主語はいらない」のことを好意的に取り上げて下さって有難うございました。

今後も微力ながら日本語文法を改革する方向で頑張ります。ちなみに私の連載エッセーがお読み戴けるHPを御紹介します。御参考になれば幸いです。
[ 金谷武洋の『日本語に主語はいらない』 ]

また、お蔭様で処女作が好評だったものですから色々な出版社から執筆の話が舞い込んで来ました。嬉しい悲鳴を上げています。

第二作目として、「日本語文法の謎を解く」ー「ある日本語」と「する英語」ーと題した本がちくま新書から来年1月に出ます。(1月20日に刊行されました。)

今回は主に英文法との比較ですから面白く思われるかも知れません。

ではまた、

政治に興味を持つには?
最近になって初めて通して読んだのですが、外交、防衛問題などに興味を持つにはうってつけの本を見つけました。「加治隆介の議」という弘兼憲史氏のマンガなのですが、とっつきやすいのでこれを切っ掛けとして政治を考えるのにはいいのではと思います。
(2002年8月25日記)

日本語ローマ字化をくいとめた女性達ーーー東京セブンローズ
第二次世界大戦後の日本では、アメリカが占領軍として統治していました。その政策の一つに日本語ローマ字化がありました。これを知った7人の若く美しい女性達が、立ち上がったといいます。井上ひさしの手になる「東京セブンローズ」は、日本語の美しさを再認識させてくれる抱腹絶倒のコメディーです。
(2002年8月25日記)

三たび引きこもりについて
日本の若者の「引きこもり」が世界でも話題になりつつあるようです。BBCテレビ Correspondentの10月放送分"Japan: The Missing Million"で、実際に4年間も6畳ほどの自室に引きこもっていたという日本人の若者にBBCがインタビューをしていました。夜起きていて、ゲームや音楽を楽しみ、家族も含めて人と会話することなく暮らしている例を取り上げていました。2年前からアルバイトをするようになったとかで、社会に戻りつつあるようです。レポーターは、日本では不思議なことに専門家に問題解決を求めるよりも家庭の問題となって表面に浮上してこないと述べていました。解決策の一つとして、斎藤環氏が著した"「ひきこもり」救出マニュアル"をとり上げ、本人とも書店の中でインタビューをしておりました。この番組への反響は、大きなものがありました。日本だけの問題じゃない、イギリスでも引きこもりがあると多くの人が、自分の息子、娘や知り合いの例を持ち出していました。それは男だけに限りません。引きこもりは、先進諸国に共通の問題となりつつあるのでしょうか?その程度は、日本で最も著しいと思われます。勿論、そんな輩は"nutters(気違い)"だから顔をはたいてきちんとさせろとのイギリス人の意見もありました。引きこもりだったという日本人が、見事な英文で意見も寄せています。(Japan: The Missing Million-comments, http://news.bbc.co.uk/1/hi/programmes/correspondent/read_your_comments/2335031.stm)
参考 社会的ひきこもりー終わらない思春期 斉藤環 著 PHP新書
(2002年12月16日記)

チャータースクールについて再び
2002年10月の朝日新聞の教育特集「競争加速」というタイトルのもとに、7本の連載がありました。「米の先進地 選択自在公立校も淘汰」との記事があり、チャータースクールが一つの解決策として取り上げられていますが、このチャータースクールは、設立の仕方により5年から15年しか存続出来ず、途中でチャーターの変更は出来なくてチャーターを充足しなければ、学校の存続は停止されてしまうと読んだことがあります。(恰好の材料 その4参照)ですから、必ずしも明るい未来がある訳ではないので、こういった記事を読む時には注意しなくてはなりません。
(2002年12月16日記)

ノーベル賞受賞者による座談会
ノーベル賞受賞者7人を一堂に集めて意見を聞くBBCの毎年恒例の番組があります。ノーベル マインズと言います。今年も、昨日放映されました。英語による討論で通訳は付きません。日本人には当然不利です。じっと黙っていたら何と思われることでしょう。何年か前に日本人のS先生が出演されていたのですが、1回だけ司会者が発言を求めたところ、返答が余りに遅いので、二者択一の質問に切り替えたら、今度はその答えの説明がよく分からず、司会者が困惑していたのを覚えています。それに引き換えロシア人学者が、訛りの強いゆっくりとした英語で他人を遮りながら自分の意見を言いたいだけ言おうとする姿には、圧倒されました。さあ、今回はというと、、、案の定二人の日本人受賞者は黙ったままです。話題は、科学は利益あげることに結びつくとdistort(ねじ曲げる)されてしまうかということになりました。ところが、基礎科学を企業は支援しないからとの意見に、アメリカ人が、アメリカでは違うと述べると、スイス人だったですか、アメリカの大学のシステムとヨーロッパの大学のシステムは歴史的にもともと異なると反論しました。日本人が二人もいるのに、アジアは全く無視か。ああ、前と同じ展開になるのかな。どうして、日本の大学を出た二人が、日本のシステムを説明しないのか?一言でいい、間違っていてもいい、田中さん、例えば「私は企業だけにいて、この賞を得た。日本では、企業は基礎研究にも力を入れている。」と言って下さいと念じるような気持ちで観ていました。始まって25分が経ちここで、ブレイクとなりました。以前の例があるから、司会者は日本人二人と打ち合わせをするだろうと私は勝手な予想をしていました。そんなことを考えていると後半が再開されました。先ほどの続きです。日本人は、依然黙ったまま。あーあ、今年もか。そう思った時、司会者が田中さんに質問を振って来ました。おっ、打ち合わせてあるなと感じました。最も若い受賞者として、この研究の支援についての意見を問われると、田中さん、喋ってくれました。年齢は、関係ない。支援も価値がある研究ならば来るといった内容だったと思います。番組が始まって30分。これで、溜飲が下がりました。これに対して、すかさず事態はそんなに単純じゃないとの反論が出ました。残念なことに、田中さんの反論は聞くことが出来ませんでした。では、小柴さんはというと、あと15分というのに黙ったままです。あれ、小柴さんはかなりの英語の話し手だったはずなのに。その時、小柴さんにも司会者が質問して来ました。小柴さんは、発見は時間の問題ですときっぱりといいました。その後、司会者から促されて詳しい説明を始めました。主観と客観の区別をしてからサイエンスの基本原理を述べ、私でなくても誰かが同じことをやり遂げていた。アインシュタインが何年か論文提出が遅ければ、誰かが同じ理論を提出していた。天才しか出来ない例としてモーツァルトの話もしておられましたし、何が確かについては科学が宗教と似た側面を有すると結びました。この後、話がやや外れて行くような気もしました。そういうことに関して確率統計の話を持ち出した学者に、数学は主観が入るでしょうと一喝。まるで、中国の高僧が喋っているような威厳を感じさせました。小柴さんは、引き続き何回か発言して議論に加わっておられました。最後に司会者に促され、今後のサイエンスの展望について何人かが意見を述べて今年のこの番組は終わったのでした。二人に日本人ノーベル賞受賞者の発言に、積年の思いが晴れる様でした。
(2002年12月16日記)

イギリスのコメディー
The OfficeというBBCのコメディーを御存じでしょうか?イギリスで大ヒット。2002年にBBC1での視聴者投票で一位だったとか。今やアメリカでも人気上昇中といいます。今年からニュージーランドからアイスランドまで放映されるそうです。本当に、アメリカ人にイギリス流のジョークが分かるのだろうか?日本人からすればそんなに面白くないところも多々あると思います。冗談を言う前に笑い顔を見せたりしません。登場人物は真面目な顔して辻褄の合わないことを言ったり、状況によって嘘をつかなければいけなかったりするからです。日本の番組ではまずお目に掛からないようなユーモアが楽しくもあります。ロンドンのあるオフィスのボスとその部下の話です。どこにでもいそうな嫌な上司を笑いのめしています。陳腐な引用を多用しインテリジェンスをみせつけたがり、おやじギャグを飛ばしまくり、部下思いと思わせたり、権力を誇示したり、保身のためには平気で嘘をつき、美人の秘書には愛想をふりまくといった、どこか自分の上司と似ているところがあるのでしょう。自ら上司Brentを演じているRicky Gervaisが脚本を書いています。部下も部下で全く仕事をせず、文房具の置き場所一つでいがみあったり、受け付け嬢を口説いたり、上司の似顔絵を部内で回していたりとだめな社員の典型です。部内のクイズ大会で、いかさまをしてまで全員が優勝を狙って最後には、優勝者を相手に果たし合いまで始まる有様です。そこへリストラの波が押し寄せて来た。さあ、全員が戦線恐々として、、、とドラマは続きます。この社員の中に仕事が出来ないくせにボスのアシスタントを務める男がいるのですが、terriotiral armyにいたことをやたら自慢します。これは、週末に訓練する義勇兵のようなものであるらしいのですが、本人はそれを自慢する割には正規の兵士であったものにはやや卑屈になるといった屈折した心をもつ変わりものです。ホームページもあります。興味があれば訪れてみて下さい。
http://www.bbc.co.uk/comedy/theoffice/
DVDもそのうち手に入るようになるでしょう。(2003年3月25日記)

シラク大統領のインタービューから
Time, Feb. 24, 2003

"France Is Not a Pacifist Country"
A war of this kind cannot help giving a big lift to terrorism. It would create a large number of little bin Ladens. Muslims and Christians have a lot to say to one another, but war isn't going to facilitate that dialogue. I'm against the clash of civilizations; that plays into the hands of extremists. ...... France is not a pacifist country. ...... It is not France's role to support dictatorial regimes in Iraq or anywhere else. Nor do we have any differences over the goal of eliminating Saddam Hussein's weapons of mass destruction. But we think this goal can be reached without starting a war. ...... Are there nuclear arms in Iraq? I don't think so. Are there other weapons of mass destruction? That's probable. We have to find and destroy them. ...... (What evidence would justify war?) It's up to the inspectors to decide. We gave them our confidence. They were given a mission, and we trust them. If we have to give them greater means, we'll do so. It's up to them to come before the Security Council and say, "We won. It's over. There are no more weapons of mass destruction," or "It's impossible for us to fulfill our mission. We're coming up against Iraqi ill will and impediments." At that point, the Security Council would have to discuss this report and decide what to do. ......(2003年3月25日記)

教育の資料
(2003年5月20日追記)
近頃、学力低下が話題になり教育問題に対する社会的関心も高まっております。各紙でも取り上げられています。ネット上では、毎日新聞社の「教育の森」で教育関連の資料を比較的簡単に手に入れることが出来ます。少し古いのですが、十分役に立ちます。ところで、朝日新聞の最近の記事から見てみますと、、、
教師力--転機の教育(4月20日から6回掲載、まとめが5月12日)
1回目 相次ぐ苦情 悩むベテラン 失われた自信 「やめないで」
2回目 評価の視線 教壇に迫る 容認の空気も
3回目 校長の腕 問われる時代 より権限強く 英は責任重大 さまざまな声
4回目 指導力判定 基準に課題 研修後退職も 「客観」めざし
5回目 多彩な研修 目標への糧に 自信を探しに 熱意は自力で
6回目 人材養成へ手探りの改革 子と向き合う 教員を「仲介」
まとめ
教師たち:
力量の差なくす評価/人間相手、見守って/「管理」金八先生生まぬ
生徒たち:
私たちと向き合って/心では熱血教師歓迎
親たち:
学校の甘い体質にメスを/先生と親とは敵ではない

教師力余録--米国で(4月27日)
質向上へ州ごと養成
コネティカット 本採用、3年以内に判断
ロサンゼルス 「無免許」教員の研修も

教師力余録(4月20日)
「多忙」先生追い込む
ほぼ半数「退職考えた」 「やりがいある」も多数
見えぬ子ら、組合も変化

学校でしつけ「不必要」7割
現場の教育観 少しドライに?

増える教師 減る子ども

不登校
学校に戻す前提 最善か
踏み込み不足の不登校対策
(朝日新聞4月21日)(2003年5月20日追記)

健康度
国立教育政策研究所によると
多人数学級 低い「健康度」
小5 1万5000人アンケート
私語や立ち歩き
(朝日新聞4月22日)(2003年5月20日追記)

少子化
ダウンサイジング にっぽん---少子高齢社会の衝撃
人口減、衰退の引き金か
(朝日新聞5月4日)(2003年5月20日追記)

縮む事業 描けぬ未来
通勤地獄は過去のもの
年金減額も現実に

生産人工、95年から減少
50年後、高齢化35.7%に

少子化
子ども減少、22年連続 4月、総務省調査
総人口中の割合、過去最低14.1%
(朝日新聞5月5日?)(2003年5月20日追記)

戦後憲法をめぐって
日本が背負う二重の困難 極限まで活用の後 超える道を
本来は権力側の義務 9条も主体的意思で 原則を逸脱する米国
宮代 真司 東京都立大助教授
(朝日新聞5月2日)(2003年5月20日追記)

ネット心中
三者三論:ネット心中
斉藤 環氏(「社会的ひきこもり」の書で有名)
「生」の希薄さ、根底に

大平 光代氏(「だから、あなたも生き抜いて」の書で有名)
仮想空間、疑ってみて

西村 博之氏(ネット掲示板「2ちゃんねる」を創設)
ネット「救いの場」にも
(朝日新聞5月2日)(2003年5月20日追記)

学力低下
小中45万人 全国テスト分析
文部省
実感する力 足りない
円の面積正答53%「公式暗記頼らずに」
諭吉の理解不十分「肖像画・伝記活用を」
学力テスト分析公表
子ども、どこで間違えた
生活体験不足も影響
データ公表し、多角的検討を
(朝日新聞5月13日)(2003年5月20日追記)

西洋文明批判
南海サモアの酋長ツイアビの演説集「パパラギ」(立風書房)
「パパラギ」は白人のこと。
「目的地に早く着くことがたいした得になるわけではない」
「丸い金属と重たい紙、彼らがお金と呼んでいる、これが白人たちの本当の神様だ。 、、、笑いも、名誉も、良心も、幸せも、それどころか妻や子までもお金のために捧げてしまった人がたくさんいる」
「物がたくさんなければ暮らしていけないのは心が貧しいからだ」
痛烈な批判が並んでいます。一度目を通そうかと考えています。
(朝日新聞5月10日)(2003年5月20日追記)

哲学について
最近、哲学が静かなブームです。哲学は、すべての学問の根本です。博士のPh.D.は、哲学に由来するのはご存じだと思います。哲学は、実は数学に強くないとものになりません。私は、中学の時に哲学者になりたいと担任の先生に言ったら、それでは飯は食えないと叱られました。そんなことはさておき、朝日新聞が取り上げていた本だけでも紹介しましょう。「事典哲学の木(講談社)」、「哲学のエッセンス(NHK出版)」、「ソフィーの世界(NHK出版)」、「考えることで楽になろう(メディア ファクトリー)」(朝日新聞6月17日)(2003年7月30日追記)

Stupid White Men by Michael Moore
Penguin Books 」7.99
翻訳もされていますが、短めの分かりやすい英文で書かれていますので、読んでみてはどうでしょうか。この本は、あの9月11日の前日に刷り上がり、翌11日に全米に搬送される予定だったのです。しかし、貿易センタービルへのテロ攻撃があり、搬送のやりくりがつかない内に、その内容が反米的であることからほとんどお蔵入りとなりかかっていたというのです。しかし、これを伝え聞いたある女司書が、司書のネットワークを使ってその違法性を訴えたことから出版に至ったとありました。ここで取り上げたのは、米国外で出版されたものですので、そんな経緯が特別に掲載されています。これを読むと、彼が何故、"Bowling for Columbine"という作品でアカデミー賞を取った際の、スピーチで米国の現大統領を罵ったかがわかります。彼からすると、受賞の言葉は、あれしかなかったのです。他にも色々面白いことが書いてありまっす。2000年の大統領選では、フロリダで組織的に犯罪者に関係した人や名前ないし生年月日が同じというだけで選挙権が無効とされ、期限後に来た国内からの不在者投票やe-mail がブッシュ側に有利に働いたこと。ブッシュ家とビン ラディンに繋がりがあったこと。クリントンが8年間何もせず、引退間際に見せかけの環境保護法案を通過させたこと 。Colorado Springs school districtで代表されるように学校内での商品の販売や体育館の屋根などでの広告を認める代わりに、莫大な資金を得ている事実などなど、知らなかったことが次から次へと並び立てられています。アメリカは、一体なんて国なんだと誰しもが思うことでしょう。文献リストもついていますので真偽も確かめられるようになっています。(2003年7月30日追記)

女性の仕事について
老いも若きも女性であれば、人生設計を練る上でうってつけの本を見つけました。齋藤美菜子の「モダンガール論」です。私は、最近までこの著者の手になる他の本の題名だけで「この人は、B級の作家なのだろう」と考えておりました。ファンになったのは、「文章読本さん江」を読んでからです。私にはまねの出来ない口語調の少し品格に欠けるように思う文章はさておき、その考察たるや格調の高い論説に決して劣りません。私は、「文章読本さん江」が小林秀雄賞に輝かなくとも、その価値はなんら揺るがないと思います。しかし、正統派ではないとも思います。ともかく、笑っているうちに読めてしまうのです。内容は、極めて真面目で、きちんと明治の初期からの女性論になっており、日本社会の仕組みや、我々の祖先が如何に貧困の中から立ち上がって、現在の経済大国を築きあげたか、その中で女性の果たした役割と、家庭や職場での地位がどのように向上してきたかが、説明されています。目次を挙げるだけでも、読みたくなることでしょう。第1章 将来の夢、みつけた 16頁 女学校に行かせて! 39頁 お嬢さんは職業婦人 60頁 主婦ほど素敵な商売はない 、、、第4章 高成長の逆襲 220頁 めざせOL、女子大生 243頁 あなたも私も専業主婦 267頁 翔んでる女がぶつかった壁 、、、などなどです。女性の皆さんだけでなく、男性の皆さんにも男女平等の社会を考察する上できっと役立つと思います。(2004年4月4日追記)

NHK朝の連続ドラマ てるてる家族
以前、NHKに下記のようなクレームをつけてみました。何の返事も来ませんでした。
NHK大阪局御中、

朝の連続テレビドラマ「てるてる家族」を毎朝楽しく視聴しております。さて、気になったことが一つあります。この家族が佐世保に居たときのエピソードでの所謂外人俳優の起用についてです。私は、フランス人が、アメリカ人のコックの役を、またイギリス英語を話す人がアメリカ人医師の役を演じていることに驚きました。これは、顔だけ外国人の顔をしていればいいだろうという 制作者の意図があるとされても反論しにくいだろうと思います。私は、何か日本人全体が、バカにされたような気がしました。もっと、丁寧にドラマは制作すべきでは、ないでしょうか?日本人が、英語に弱いままであると思っていたらとんでもないことです。時代は、進んでいます。人も変化しています。何故、こんな俳優の起用がなされたのでしょうか?是非、ご意見をお聞かせ下さい。よろしくお願い申し上げます。(2004年4月10日追記)

オフィスがゴールデン グローブ賞受賞
以前紹介しましたイギリスBBCのコメディーがゴールデン グローブ賞に輝きました(2004年1月26日)。BBC のページからです。
Ricky Gervais scored an unlikely triumph

British sitcom The Office was the shock winner at the Golden Globe Awards, while The Lords of the Rings won the main film honours at the US ceremony.

The Office won best TV comedy and its star Ricky Gervais collected best comedy actor for the BBC show.(2004年4月10日追記)

オウムと英語で話が出来る
2004年1月26日のBBCのホームページからです。
Feathered prodigy: N'kisi leads the field

The finding of a parrot with an almost unparalleled power to communicate with people has brought scientists up short.

The bird, a captive African grey called N'kisi, has a vocabulary of 950 words, and shows signs of a sense of humour.

He invents his own words and phrases if he is confronted with novel ideas with which his existing repertoire cannot cope - just as a human child would do.

イラクへの自衛隊派遣
2004年4月12日のBBCホームページの記事の中の見出しからです。
JAPAN'S IRAQ MISSION

550 troops in Samawah
Helping to rebuild infrastructure
First time pacifist Japan has sent troops to combat zone

橋田信介氏の殉職
このたびイラクにて殉職されました橋田信介氏の死に際して哀悼の意を表するとともにご冥福をお祈りします。氏の「戦場特派員」を読みますと報道に懸ける熱意が伝わって来ます。日本政府は、報道陣については危険地域への立ち入りを禁じているため、そのような地域からのレポートは、フリーランスの人たちに頼っているのが日本の現状です。この人の文は、迫力が違います。丁度、次のような事例と同じであります。BBCのイラク戦争の報道中に報道班が攻撃に遭遇し運転手が死亡しましたが、イギリス人レポーターは血まみれになりながらも報道を続けていました。カメラに血痕がつき流れ落ちる映像は、現場では何が起きているかをはっきりと物語ります。(2004年7月25日記)

インターネットラジオのすすめ
ニュース英語ばかり聞いていると、普通の人の訛りのある英語が聞き取りにくくなるかと思います。インターネットラジオは、どうでしょう?
http://www.bbc.co.uk/radio4/
コメディーを聞くと、結構いいリスニングの練習になると思います。インターネットラジオは、ロンドンの地元の局やオーストラリアでもどこでも今ではネット上にありますから、多様な英語を仕入れるにはうってつけです。(2004年11月13日記)

いずれ討論についての興味深い例を挙げます。
こう書いておくと暇が出来た時に書かざるを得なくなるでしょうから、自戒の念を込めて予告を出しておきます。(2003年3月25日記)これは、新しいコーナー8章の冒頭に置きました。遅くなりましたが、掲載致しました。(2009年6月記)

日本語では知り得なかったこと
 英語を話してみたい。そう思ったのは、子どもの時に観たミュージカル映画が楽しくて、その登場人物のように異国の言葉を喋ることが出来れば、格好いいと思ったからだろう。その後、中学で念願の英語を習うようになったが、幸いにもネイテフィブ スピーカーから英語を教わる事が出来た。今から思えば、ブロークンではあったが、英語で喋る度胸だけはティーンエイジャーの時につけるが出来た。この英語に対する思いは今も持ち続けている。さて今日は、その英語でわたしが独自に仕入れた取って置きの話をしよう。

 2009年オバマ米国大統領が就任する前にイスラエル軍は、ガザ地区から撤退した。我が国の自衛隊は、セルフ ディフェンス フォーシズというのは、ご存知であろう。ところがイスラエル軍もディフェンス フォーシズなのである。何故かイスラエル自衛隊あるいは防衛軍とは日本のどのメディアも伝えていない。その自衛隊を小泉首相が、イラクに派遣したが、日本では戦闘地域に派遣したことにはなっていない。これがために、2004年イラクで殺害されたフリーのジャーナリスト橋田信介氏は、戦争保険を掛けていたにもかかわらず、イラクが戦闘地域でないことを口実に遺族への保険金の支払いがなされなかった。しかし、当時のイギリスBBCは、日本がコンバットゾーン(戦闘地域)に軍隊(troops)を派遣したと明確に伝えていたのである(BBC Homepage, www.bbc.co.uk, Jan. 26, 2004)。

 日本の歴史をイアン ブルマという人が書いている (Ian Buruma; Inventing Japan 2004)。その中に、マッカーサーは日本人を十二歳扱いしたが、第二次大戦後の米軍の日本占領政策の一端として、日本の映画にはキスシーンを取り入れるべきだということになり、「二十歳の若者」という映画がその最初だったと書かれている。戦前の日本の男女関係が封建的で人前ではお互いに手も握らないので、それを打破するためだという。先日岡山駅の新幹線のホームで別れのキスをする若いカップルを見かけたが、それはこの米軍の占領政策の成果なのであろう。

 マイケル ブリーンという人が「韓国人」という本を書いている(Michael Breen, The Koreans 2004)。韓国語は、感情的な要素が強く、ちょっとした動詞の語尾の使い間違いから殺傷事件も起きたことがあるという。子どもに対するような面子をつぶす物言いが問題となるらしい。やっかいなことに韓国人は、すぐに怒るのだが、実のところ計算づくで怒っていると著者は云うのである。しかるに、傷つきやすく繊細でもあるという。さらになかなか謝らないという。こうなると、どう接したらいいのか心配になるが、わたしが2年前に韓国の釜山から京城まで旅行した時は、丁寧に遇してくれることが多かった。韓国語は、議論するには向かないそうだ。あるインテリの夫婦は、議論は英語でするのだという。

スーザン シャークという人が、「中国」という本を書いている(Susan Shirk, China 2008)。これを読んで分かったのは、中国は外交では強気の発言しかしないが、実は欧米だけでなく日本のメディアや世論をも気にしているということである。軟弱といわれる日本の外交であるが、国民がしっかりしていれば何とかなるということを意味する。

 アヤーン ヒルシ アリという人が、「閉じ込められた乙女」という本を書いている(Ayaan Hirsi Ali, The Caged Virgin 2004)。イスラムの女性について書かれた本である。イスラム教徒がヨーロッパでは地域に溶け込まずコミュニティーを作ることが問題視されているが、イスラム教徒の女性が何故若くして結婚し子どもを産み、高い教育を受けること無く、親兄弟だけでなく親族の男性にも仕えるがごとく一生を過ごすかが解説されている。

 以上、書評のようになってしまったが、相手を知ることから理解が始まるのである。英語なら、ネットや国際空港などで容易に手に入る情報が、質も量も優れていることがよくあり、相互理解の基本となるであろう。(2009年4月記)

民主主義の行方、我が国の行方
 ひとは、皆平等であろうか? 医療において真実は、異なるであろう。 なぜなら、病魔は弱い者を苛めるからである。正確に云うなら、抵抗力の弱い者を疾病は徹底的に蝕むからである。医療は、自然の流れを逆行させることで、治療を行なうという側面を有する。では医療においてではなく、現実の人間社会において、ひとは皆平等であろうか? 未だに平等が叫ばれているということは、現実は異なるのであろう。強力な抗生物質や辛い化学療法のような相当の介入がないと平等は維持出来ないであろう。

 猫が、動く前に準備体操をしているのを見かけたひとがいるだろうか?猫は、危険が身に迫ると、あっと云う間に逃げ去ってしまう、その速いこと。誰も準備体操をしている猫を見たことがない。猫は昼寝をしていても、常に警戒態勢にあり、危険を感じると次の瞬間には移動し出すことが出来る。犬は、自分の縄張りに不用意に他の犬や人間が近づくと、警告として吠え始める。子供の頃、飼い犬が食器に首を突っ込み勢いよくエサを食べているところへ、エサを足してやろうと思い手を伸ばしたら、吠えるや否や噛み付かれてしまった。エサが分捕られると思ったのだろう。飼い主がエサを取ったりすることはないとは、思わないのだろう。猫でも犬でも自分のことは、自分で守るのだ。

 芸が世襲制によって維持されることは、よくあることである。染色、陶芸だけでなく、能や歌舞伎、落語などもそうである。芸だけでなく、小売店も大企業もそうである。教師、タレント、学者、弁護士、医師も親がそうだったからという理由で代々引き継がれていたりするが、神社、寺、政治などが世襲制によって維持されることは、何かおかしくはないだろうか?(この原稿は麻生首相が取上げる前に書かれたものである)イギリスでは、政党が未来の党首を大学生の頃からスカウトして育てているといった話を聞いたことがある。

   白洲次郎なるgentlemanが第二次世界大戦後、当時日本を占領統治していたGHQ(連合国軍総司令部)との折衝に、終戦連絡事務局次長として我が国を代表するがごとく尽力した。GHQによって「従順ならざる唯一の日本人」と称されたその白洲が、職務上その課程を知り尽くした上で、極東裁判を批判し日本国憲法は米軍の押付けであったと述べていることは、興味深い。経済的に破綻し、物資に窮していた戦後処理には、吉田茂のようなワンマンな首相を必要とし、イギリスで自由であるがエリート教育を受けた白洲が活躍することが出来たが、それから60年経た今、我が国の政治は、マスコミと一緒になって、あらぬ方向へ向かっていないだろうか?大量破壊兵器を抱えているから、イラクを叩く筈であったのに、見つからなかった。そのイラクへの派兵には、日本国民の6、7割が反対していただろう。日本という国は、このような時、派兵を止めることが出来るシステムには、なっていないのではないか?実は、イギリスも止められなかった。しかし、イギリスには、ロビン・クックという元外務大臣がいて、ブレア首相が打ち出した派兵政策に異議を唱え、自分の信念を貫くために枢密院議長を辞任した。この時の演説は、簡潔で格調高く潔い。歴史に残るものであろう。イギリスでは派兵についての議論は、きちんとなされていたのである。この人は、女性問題も起こしてはいるが、離婚をして4週後に、責任をとる形で部下の女性と結婚した。まことに人間的な側面を併せ持つ政治家でもあった。

 民主主義政治に誤りがないことは、ない。寧ろ誤謬だらけである。いや、民主主義は発展途上といってもいい。科学、数学、哲学ですら発展し続けている訳である。民主主義も勿論のこと発展し続けるものであろう。民主主義は、どこに向かうのか? 今日までは、セカンドベストの考えであっても大多数の意見で決めたから、どのような結果も甘んじて受けようということではなかったか。たとえ、一部の賢人には、もっと良い方策が見えていたとしても。しかし、それでは立ち行かない事態を迎えてしまった。2001年の同時多発テロに象徴される文明の対立、2008年秋のリーマン ショックとその後の経済不況である。これから、我が国は、独立独歩の国になれるだろうか? 抵抗力があり、警戒態勢が整い、十分な防衛が出来、能力や資質を備えた世襲制でない政治家を養成し、民意も蔑ろにしないような国を作り上げることが出来るだろうか?国会議員の質を向上させる必要がある。衆愚ではない政治を実現する必要がある。それだけでなく、経済的には裕福にはなれないという制約を課せられた賢人、政治的には部分的に特権を与えられた賢人の知恵を拝借して纏めた立法を基にするという、妥協案としての政治体制が出現するのではと、予想する。賢人をどう選ぶか、議員としてなのか、あくまでも諮問機関としてなのかは、難題として考えていかねばならないが。(2009年4月記)

手っ取り早い雑誌
「東洋経済」が色んな特集をしています。特集は、経済に限っておらず、例えば最近なら古典、中高一貫校、日本をぶち壊せ!、経済超入門、新エネルギーバブル!、雇用壊滅!、テレビ・新聞・陥落!、「仕事力」劇的アップ勉強法、若者危機などなど700円ぐらいでそれなりの情報や考え方を知ることが出来ます。大学卒ぐらいのレベルでしょうか。(2009年7月記)

議論の番組
日本語の番組なら何と言っても「たかじんのそこまで言って委員会」でしょう。出演者にもよるのですが、お笑いの要素も取り入れて、理屈の通る話し合いがなされています。その他の番組では、司会者が意見を言っていたり、トピックの周辺事項を反論として言い合ったり、根拠がなかったり、あってもヨーロッパではなどと自分の意見でなかったり、声を大きくしているだけだったり、全く知識の不足しているコメンテーターと称する人が論じていたりと、議論を噛み合わせる努力が番組に認められないものが多いと思います。英語なら、BBCの"Dateline London", "Hard Talk"かずばり"The World Debate"がマナーを守って議論をしているので、参考になると思います。イギリスの国会中継は、ヤジをとばしていいらしく結構見ていて面白いです。「スパイだ!」と声がかかると議会が中断してスパイ探しをするらしいです。議員側と王族側の対立構造がまだ残っているそうです。 参考までにWikipediaのリンクを張っておきます。 [ Strangers (Parliament of the United Kingdom) ]

(2009年7月記)

わたしのマニフェスト
---引きこもりを巡って---

先の衆議院選挙で、民主党が大勝し日本史上初めて民主的に政権交代が実現した。 2009年8月31日のことである。別に次の参議院選挙に打って出る訳ではありません。しかし、わたしが当選した暁には、マニフェストとして引きこもりを無くします。今や社会問題である引きこもりが無くなる秘策がわたしにはあるからです。

引きこもりは、自己を取り巻く社会的な関わりから亀のように関係を断ってしまうことであり、日本には100万人もいると推定されている。これは日本に特有な現象と思われていたが、韓国や中国でも報告がある。社会的な挫折や進学の失敗などで外見を気にして、一旦引きこもり社会の一員として機能しなくなると、例え社会に復帰しても儒教で重んじられる上下関係が崩れてしまうために復帰が困難になるとの指摘がすでにある。以前BBCの報道でイギリスの報告例を読んだことがある。最近報告のあったイタリア、アメリカ、オーストラリアなども含めて先進諸国には認められる現象と考えていいであろう。

登校拒否や引きこもり現象の打開策として、最近自由学校(フリースクール)の役割が取り上げられることがある。関東にある東京シューレという(Schule独語)ユニークな学校の名もよく耳にする。この学校は、多くのメディアで、The Daily YomiuriやThe Japan Times、TIMEなどでも取り上げられている。欧米で行われている家庭での親や家庭教師による初等中等教育も解決策の一つであろう。学校という枠組みを一旦、解体してしまって、教育に対する考えをまとめた方がいいであろう。学校が本当に必要なのかということを。

日本の若者の「引きこもり」は世界でも話題になりつつある。2002年にBBCテレビ において"Japan: The Missing Million"で、実際に4年間も6畳ほどの自室に引きこもっていたという日本人の若者にBBCがインタビューをしていた。夜起きていて、ゲームや音楽を楽しみ、家族も含めて人と会話することなく暮らしている例を取り上げていた。2年前からアルバイトをするようになったとかで、社会に戻りつつあるようである。レポーターは、日本では不思議なことに専門家に問題解決を求めるよりも家庭の問題となって表面に浮上してこないと述べていた。解決策の一つとして、斎藤環氏が著した"「ひきこもり」救出マニュアル"をとり上げ、ある書店の中で本人とインタビューをしていた。この番組の反響は大変大きく、これは日本だけの問題でなく、イギリスでも引きこもりがあると多くの人が、自分の息子、娘や知り合いの例を持ち出していた。引きこもりは、先進諸国に共通の問題となりつつあるのだろう。その程度は、日本で最も著しいと考えられる。

前置きが長くなった。引きこもりは、過度な競争社会がもたらしたものであろう。教育にも競争が持ち込まれたため学齢期の者も巻き込むのである。引きこもっている人たちは意識しているいないに関わらず、この社会に強烈なアンチテーゼを投げかけている。学校なんか要らない、競争社会なんて不要だ、と。

カンボジアの遺跡を巡ると、「一ドル頂戴、学校に行きたいんだ。」と小さな子供が纏わりついて来ることがあった。インドの駅構内では、乳飲み子を抱えた恐らく14、5歳の母親が、物乞いをしていた。このような環境におかれた人々は、引きこもっている場合ではないであろう。日本の引きこもりは、親が成人している子の面倒をみることが出来るようなある程度恵まれた、中流階層に認められるという。それならば一度、生きるという原点に戻って考えてみればいいのではないか。モンゴルを旅した時のことである。大草原に設えられたゲルというテントに暮らす遊牧民は、家族全員が仕事を持っていた。小学校に上がろうかという男の子が、馬に乗って100頭もの羊を追い、そのお姉さんとおぼしき女の子が、重そうに水を運んでいた。家族の一員が仕事をしなければ、一日が終わらない。彼らにとっては、人生とは毎日が生きるのに精一杯なのである。もちろん、引きこもっている暇などはない。教育やお金などなくても生きていけるのである。それは、それで全く正しく成立することである。日本もつい200年前の江戸時代はそんな社会だった。そこで、秘策である。引きこもった者を、生活の原点に立ち戻らせるのである。モンゴルの遊牧民に弟子入りするのもよし、北海道の牧場や猟師に弟子入りするのもよし、無人島に行くもよし。但しこの秘策の欠点は、アフターケアに乏しいことである。また勉強や競争がしたくなって実社会に戻った時の受け入れ先が、全く整備されていないことが問題なのである。だから、最初に参議院選挙に打って出る訳ではないとわたしは断っておきました。

(2009年10月記)

日本語では知り得なかったこと その2
"Documents on the Rape of Nanking" editied by Timothy Brook, Ann Arbor, University of Michigan Press, 1999
これを読むと、日本で語られる南京虐殺の話が、英語圏で語られているのと異なることが分かります。国際委員会の報告書でも、医師であったDr. Wilsonが家族に宛てた手紙でも、どれか一編でも読むと、日本軍の規律はどうなっていたんだと驚愕することでしょう。南京市内に設置された27名の外国人による安全地区を管轄する国際委員会(南京市の市役所や消防警察機構がこぞって撤退する前に、委員会に市役所などの果たす機能の権限が移行された)のメンバーの日々の報告書とDr. Wilsonの家族への手紙の数々、極東軍事裁判の判決文と、パル判事の意見書の抜粋が収録されています。そのほとんどが、感情を排し、悲惨な実情について述べています。一次資料ですので、この南京の事件について議論するには最適と思います。日本軍は、この時は南京攻略部隊に対する補給計画を立てていなくて、南京攻略後の統治方法も全く準備することなく侵攻したものと思われます。軍紀を引き締める命令は、攻略前から出されていましたし、国際委員会からの再三の要望に答える形で、南京市陥落後も出されてはいました。物資の現地調達策は、後のインパール作戦の時にもとられました。余談ですが、およそ10年前にシンガポールの現地市内ツアーに参加しましたら、日本人のわたしが混じっていると知らずに、ガイドが「ここ(マレーシアに最も近い港)で日本軍がシンガポールの男性、老いも若きも5万人を殺戮した。」と語ったことがあります。ツアーの後で、「僕は、そんなことがあったとは、知らなかったが、あなた達は日本人を良くは思っていないんだね。」と問うと、「いや、戦争は昔のことで、今はそんなことはないよ。」と言い訳していました。調べてみますと、イギリスによる現地人の殺戮の歴史もあったようです。

日本の戦争をめぐって
南京事件 秦 郁彦著、中公新書 増補版
今まで、わたしは小林よしのり氏の漫画からの知識と文芸春秋の雑誌やWillという雑誌の知識で南京虐殺の話を考えて来ました。この秦氏は、日本では虐殺された数に関しては中間派に属するそうです。しかし、残された資料をもとに、南京攻略の経緯と死者数の詳細な検討については、耳を傾ける必要があると思います。当初は、南京を攻略する予定ではなかったとも記されています。また、攻略が始まってからは、南京城壁都市へ入城する部隊は2つに初めは限ろうとしていたことも記されています。

それでも、日本人は「戦争」を選んだ 加藤陽子著、朝日出版社
栄光学園高校の歴史を愛好する生徒を対象に、ある冬休みに著者が行なった7日間のセミナーを本にしたものです。さすがは、栄光学園、レベルが違います。大人にも完全な理解が困難な内容です。当時の日本が、軍部を押さえ切れなくなって行く状況や、軍内部での抗争とも言える意見の食い違いをうまく解消できなかった様子が描かれています。どうして、このような本が今までなかったのでしょうか。

(2009年10月記)

Fast Food Nation
by Eric Schlosser Penguin Books 2002
アメリカでのファスト フードの歴史を描きつつ、その裏の資本主義社会の持つ利益のためにどんなことが行われているかが描かれています。日本でも、北海道のミートホープ社のひき肉の内容物が問題になっていましたが、そんなものではない大規模屠殺場と肉の加工の裏側を暴いています。また現代の技術では、フレーバーでどんな味を作るのはお手の物であること、多くのフレーバーは米国の数社が牛耳っていることや、スクールランチの利権の話など、知るとハンバーガーをしばらく食べるのはよそうと思ってしまいそうな内容です。最後に、これからの食のあり方にも言及しています。

差別と日本人
野中 広務、辛 淑玉 著、角川oneテーマ21新書 2009
アメリカは、一時野中氏を時期首相と見ていた節があります。もし、野中首相が誕生していたら、日本はオバマ大統領よりも先を行っていたことになります。野中氏が、差別を受けても非難するよりは、寧ろ世の中を改善すべく政治の世界に飛び込んで行く下りは感動的です。わたしは、加藤紘一の乱の時だったか、野中氏がこれをつぶしたと思っていたので、結構非情な側面のある政治家だと思っていましたが、多くの法律の成立に関わる、根は優しい政治家であると認識を変えました。もう、引退してしまっているので、やや美談が残るという批判はあると思います。しかし、このような本が出版されること自体、時代が変わったと認識させられます。(2009年11月記)

カーネーション
2011年度後期 NHKの朝の連続ドラマへの問い合わせ
現在放映されている朝の連続ドラマ「カーネーション」ですが、NHKでの取り扱われ方に不満足です。このドラマは、恐らく日本のこれまでのドラマを含めても最高傑作に属すると思います。多くの掲示板への毎日の書き込みを見れば、それは明らかです。絶賛するだけでなく、多くの人が主人公小原糸子を近所の知り合いのように描写しています。それなのに、視聴率が伸びません。これは、NHKの本社の姿勢によるものではないのですか?「おひさま」や「てっぱん」のような作り事に終わらない、等身大の女性をリアルに表現した秀逸な良質なドラマをもっと喧伝していただけないでしょうか?

nhk_auto_reply_tokyoよりの返事
ハーシー様 日ごろNHKの番組をご視聴いただきありがとうございます。お寄せいただきましたご意見・ご要望・お問い合わせは、問い合わせ番号[132xxx_xxxxx]でお受けしました。

大阪放送局からの返事
ハーシーさま

朝ドラ「カーネーション」に関して、東京のホームページへお便りを頂きました。有難うございました。「カーネーション」制作局の大阪放送局からご返事を差し上げています。

私ども制作の「カーネーション」をお楽しみいただき、また制作スタッフとして誠に励みになるメールを今回、お寄せいただき、有難うございます。現在、大阪放送局では、カーネーションの後半、終盤への収録準備を行っているところです。

視聴率の件でもご心配いただいているようですが、NHKのドラマ制作としては、現在も関西・関東ともに20%近くの視聴率を頂いており、決して低い数字であるとは考えておりません。また、今は本放送と再放送に加えて衛星放送での放送などがあり、これらを加えると、20%後半、30%近くの数字となろうかと思いますが、これは、大変ご支持頂いている数字だと考えています。

放送日や時間帯など条件が各番組によって違うことから、視聴率も一概に各番組を比較する物差しとして使えるものでもなく、民放各局などはスポンサーなどへのアピールからこの数字を重宝しているようですが私どもNHKとしましては、そう重きを置いているものではありません。しかしながら、制作者としてはやはり気になる判断材料のひとつではあり、前出しました各再放送などの数字を合わせると大変満足すべき「数字」であると認識しております。

また、ネット上の掲示板にも皆さんのご感想を沢山載せていただいています。このことも、我々、充分に認識しており我々からのお礼をネットに直接掲載することはできないのですが、出演者も含め制作スタッフ一同、読ませていただいており、大変感激しているところです。

こういった皆さんからいただく熱い激励や応援が、ドラマを作っていると言っても過言ではないと思います。最終週26週まで、是非お楽しみいただき、またご感想などございましたら、お寄せいただければと思います。

有難うございました。
大阪放送局 広報部 カーネーション
(2012年1月記)

NHKへの再度の問い合わせ
カーネーションのファンとして、以前本社に大いにこの番組を喧伝していただきたくメイルをお送りしました。然るに、大阪局から返事を頂きました。これは、正に東京本社が、本気でこの番組を世に知らしめようとしていない態度の現れだと思います。良いドラマは、良いとNHKをあげてその喧伝に取り組んで頂きとう存じます。宜しくお願い致します。(止せばいいのに、もう一度食い下がってみました。全く無視されました。この後、視聴率はぐんと伸びて近年ではトップの25%越えを記録しました。)(2012年2月記)

小田原市教育委員会への問い合わせ
●質問タイトル
「ハゲ」と言われ平手打ち 神奈川の教諭、生徒16人に
(2013-02-03 08:36:00)
●質問内容
件の教諭だけでなく、関わりのあった16人の生徒もそれなりに処分が必要である。ここまで、教師を追い込む生徒は悪質であり、生徒の先生に対する虐めである。処分されるのは、先生だけでない筈である。

●担当課
教育部:教育指導課
(2012年3月記)

小田原市からの回答
●回答日時
2013/02/20 17:27:56
●回答課
教育部:教育指導課
●回答

お寄せいただいたお問い合わせについて、お返事させていただきます。

この度、市内中学校において発生した教職員による生徒への体罰につきまして、児童生徒や保護者をはじめ、多くの皆様にご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
市教育委員会では、いかなる理由があろうとも、「体罰は認められるものではない」と考え、日ごろから様々な機会をとらえ、教職員に徹底してきたにもかかわらず、今回のような体罰に至ってしまったことは、誠に残念でなりません。当該教職員は教育者として冷静に対応すべきであったと考えます。
今回の件はもとより、人権を侵害する生徒の言動に対しては厳しく指導していく必要があります。今回のような言動がどんなに非常識であるか、社会的に許されるものではないということをしっかりと指導していかなければなりません。また、こうした指導は家庭においても行っていただく必要があります。
今回の事案を受け、他人に対する思いやりの心、善悪の判断、自己への責任など、生徒に対してより適切な指導を行っていくとともに、日ごろから教職員と生徒との信頼関係が築けるよう、コミュニケーションのあり方や生徒指導のあり方について、学校全体で取り組んでいく必要があると考えています。
なお、教職員の処分につきましては、今後、県教育委員会による事情聴取を経て、処分の内容が決定されます。
市教育委員会といたしまして、二度とこのような不適切な指導を起こさないよう、体罰根絶に向けた教職員一人ひとりの意識の徹底と向上を図るとともに、信頼回復に向け、全力で取り組んでまいりますので、ご理解くださるようお願いします。

以上のようにお返事させていただきます。今後とも、本市の学校教育についてご理解とご協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
(2012年3月記)

かってな読書案内
(「かってなルール」というNHK子供番組のピタゴラスイッチの一コーナーのもじり)

新釈 遠野物語 井上ひさし著
2010年に亡くなった井上ひさし氏は、人形劇「ひょっこりひょうたん島」の作者として知られる。遅筆堂と名乗り、締め切りに間に合わないことも度々だったが、良質の作品を残した。「遠野物語」は、柳田國男氏が現在の岩手県遠野市で取材した多くの民話を文学、民俗学にまで高めたことで有名であるが、「新釈 遠野物語」に収められた話は、すべて犬伏太吉老人からの伝聞であるというパロディーである。種本にはないユーモアが随所に見られるだけでなく、同時に語り手である青年の苦悩する姿も描かれている。夜更けにいろりを囲んで語り聞かせるような話なので、つい引き込まれてしまう。夫々の話の結末には必ずや、しんみり或はニンマリとするであろう。

[ 新釈-遠野物語-新潮文庫-井上-ひさし ]

(2012年3月記)


3 サンプルスピーチ
ここにあげますのは、単なるサンプルです。100点満点で、恐らく67点から84点位の代物です。スピーチの構造や時間配分、例証の仕方、まとめ方などが参考になると思われます。高得点のサンプルをお望みなら、The Eiiken Timesか英語専門学校のウッブページをご覧下さい。スピーチが80点位でも、後に続く質疑応答が出来なければ、合格は難しいのでスピーチの草稿作りだけに全精力を注ぐのではなく、総合力の向上も必要であることを忘れないで下さい。

Disruptive behaviour by children at school
Disruptive behaviour by children at school is now a serious social problem across Japan. I heard this from a sister-in-law who is a teacher at junior high school in Tokyo. During the class, one student suddenly started singing a song which was irrelevant to the school subjects. She lost her control over the class for a while. This is not a story in a remote country. It is happening at your nearest school.

Why does this kind of phenomenon occur? Major reasons are; Firstly, it is because many children are not able to catch up with the studies at school. Secondly, they are not able to interact with others smoothly often resulting in selfish behaviour. The parents of these children may be from nuclear family. The cause may be originating from decades ago because of decreasing number of children. Thirdly, it is because they just do not fit in the Japanese school system. Rote learning has been long considered the right way of teaching method in this country.

Regardless of the reasons, this phenomenon is casting a serious question to the present education system. Of course, the children are not aware of the meaning of what they are doing. We might have put so much emphasis on school records. If the number of children who drop out of school keeps increasing, what becomes important will be qualification. We are in a transitional period. If we are successful in making the education system change toward more qualification oriented one, our future will be brighter.

Thank you.


Internet
Internet is a computer network connecting all the computers in the world. It was first introduced as a military strategy in the united sates and then introduced to the public because of its usefulness. It has been growing ever since.

On the net, texts as well as pictures and sounds are dealt with. Because of these merits, it is being used for business but there arise so many problems such as fraud, swindling, smuggling identification numbers, among others as is often the case.

At the same time there is a research going on to make better encryption using finger prints, iris patterns and voice patterns and so on. There will be the day, I hope, encryption is perfected for practical usage.

On the net, there are entertainments too. Everyone can share information. Varieties are uncountable from tour guide to cinema. Net is more than a library.

In conclusion, internet is useful. You have to be careful when you make an access to the net because there is a pit fall, too. Life is enjoyable and convenient with the internet.

Thank you.


Why I prefer travelling alone
I have been to many countries, most of the western European countries, the united states, Canada, China, New Zealand, Australia and so on. I went alone or only with my wife most of the time.

It is because of the following reasons:
Firstly, I can decide where to stay and I can take as many hours as I like for sight seeing. If I like the place, I can stay there. You can't do it in a group tour. If I like the sight, I can spare time for it. You can't do it in a group excursion, because the hotels are already booked .

Secondly, I like to intermingle with local people. I was invited to local people's home when I asked them the way to the nearest hotel. Through communication, you may become friends even in a foreign country. Thus you gain more knowledge. You can't do it in a group tour, because the itinerary is already fixed and there is no time to have a chat with local people.

Finally, I like the troubles during my travel. You encounter so many unpredictable things. I came across a railway strike in Vienna, for example. I had to change the destination in 15 minutes, because that was the time when the last train was leaving. After overcoming such incidents, I feel I am mentally stronger.

With these reasons, I prefer travelling alone. Although it is very difficult for a Japanese, you have to be tough to achieve it. I learnt this from my travelling.

Thank you.


二次試験トピックスの傾向と主なもの
私は、問題に傾向があるように思います。先ほども述べましたが、高齢化、少子化、教育、健康については特に良く聞かれるようです。その傾向を、具体的に見てみましょう。受験者は、午前か午後のいずれかに振り分けられます。

(2003年5月20日追記)
最近になって、旺文社関連EVIDUSなるサイトに2次試験の目的がハッキリと書いてあることに気づきました。そこには、『「日本人が英語でコミュニケーションができるようになる」という前提に立って、題材に日本の社会・文化・政治や 日本人のものの考え方などに関するものを取りあげています。』と謳ってあるので得意な分野を作っておくのが得策でしょう。

最近の問題をお知らせ下さると幸いです。ネットで見当たらなくなっているような気がします。3年分ぐらい押さえておけば、後は腕力で。

[ 二次試験の例題(日本英語検定協会のホームページへ その最下段へ進む) ]

平成11年度第1回検定 1級二次試験
Speech topics of the Morning test

  1. The effects of TV and movie violence on young viewers
  2. Should organ transplants be made more available in Japan?
  3. Would a five-day school week be beneficial for students?
  4. The public's lack of interest in politics
  5. Which modern inventions have changed our life style the most?

Speech topics of the Afternoon test

  1. Should the legal drinking age be more strictly enforced ?
  2. The increasing amount of disruptive behavior in school classrooms
  3. Should doctors be permitted to help terminally ill patients die?
  4. Would daylight saving time be beneficial for Japan?
  5. The definition of success in life

平成11年度第2回検定 1級二次試験
Speech topics of the Morning test

  1. How will the decreasing number of students affects education in Japan?
  2. The increasing problem of credit card debt
  3. Do computer games help or hinder children's development?
  4. Japan's reputation as a safe country
  5. My idea of an effective leader

Speech topics of the Afternoon test

  1. Japan's changing eating habits --- good or bad?
  2. Should teachers be evaluated by their students?
  3. Telecommuting --- the the pros and cons of working from home
  4. Japan's role in UN peace-keeping activities
  5. Something I hope mankind will accomplish in the next century

平成12年度第1回検定 1級二次試験
Speech topics of the Morning test

  1. Is today's pop music too commercialized?
  2. Has the Japanese work ethic changed?
  3. Should there be restrictions on Internet content?
  4. The advantages and disadvantages of hosting the Olympics
  5. Should school teachers share the responsibility of parenting?

Speech topics of the Afternoon test

  1. Should professional athletes be prohibited from taking part in the Olympics?
  2. The government's role in managing crisis situations
  3. The future role of robots in daily life
  4. The export of Japanese pop culture to foreign countries
  5. Should schools encourage more individuality in students?

平成12年度第2回検定 1級二次試験
Speech topics of the Morning test

  1. Business ethics: Product quality vs. the profit motive
  2. What things contribute to a person's quality of life?
  3. Urbanization in Japan: Is there a crisis?
  4. Causes and effects of juvenile delinquency
  5. The Information Revolution and its effects on society

Speech topics of the Afternoon test

  1. Suggestions for improving hospital care
  2. When should a person be considered mature?
  3. Would more severe punishment prevent crime?
  4. Do Japanese people need to become more internationally minded?
  5. How the aging population will affect society

平成13年度第1回検定1級二次試験
Speech topics of the Morning test

  1. The continuing controversy over nuclear power
  2. Overmedication: Are people relying too much on medicine?
  3. Should all political leaders be chosen directly by the public?
  4. Which sport should be considered Japan's national sport?
  5. What tomorrow's children need to study

Speech topics of the Afternoon test

  1. The ethics of science in the age of genetic engineering
  2. The role of the media in shaping public opinion
  3. What can be done to improve the Japanese economy?
  4. Gambling: Harmless pastime or dangerous addiction?
  5. Is modern education moving in the right direction?

平成13年度第2回検定1級二次試験
Speech topics of the Morning test

  1. Euthanasia: The ethical dilemma of mercy-killing
  2. Should job promotions be based on performance or on seniority?
  3. How safe is public transportations?
  4. The problem of illegal drug use
  5. Where can today's children find good role models?

Speech topics of the Afternoon test

  1. The most important task facing medical science
  2. Retirement: A beginning or an end?
  3. How recent leadership changes have affected Japanese politics
  4. Should all countries ban private ownership of guns?
  5. The role of family relationships in childhood development

2002年度第1回
午前
1. Japan's declining birthrate - a national crisis?
2. Cars-convenience vs. environmental concerns
3. Should capital punishment be abolished?
4. Is the Internet bringing the world's cultures closer together?
5. What is your philosophy of life?
午後
1. Is medical care too expensive in Japan?
2. Are environmental groups making a difference?
3. Should developed nations do more to help developing nations?
4. Will newspapers become obsolete in the Internet-driven 21st century?
5. World peace - a realistic future possibility?

2002年度第2回
午前
1. Species extinction - a natural process?
2. Can age restrictions in the workplace be justified?
3. To what extent should public manners be governed by law?
4. The pros and cons of a world currency
5. The caracteristics of modern society that out ancestors would find most surprising
午後
1. Will renewable energy sources ever completely replace fossil fuels?
2. The pros and cons of the double - income family
3. The fovernment's need to protect information vs. the public's right to know
4. Can the Japanese economy ever return to its former strength?
5. Do people get wiser as they get older?

2002年度第3回
午前
1. Do you think there is life elsewhere in the universe?
2. What will Japan be like 10 years from now?
3. Who should provide public services - the government or private-sector corporations?
4. Can terrorism ever be eliminated?
5. Teaching children the difference between right and wrong
午後
1. Are you from of against human cloning?
2. Is ouf pace of life too fast?
3. The increasing unemployment rate in Japan
4. Are war and violence an inseparable part of society?
5. Does university education prepare young people for real life?

2003年度第1回
午前
1. What is the biggest health threat facing mankind today?
2. Will technology ever be able to predict natural disasters accurately?
3. Does the media sensationalize crime?
4. Obstacles to nuclear disarmament
5. What rights should children have?
午後
1. Are genetically modified foods safe?
2. Is space exploration worth the cost?
3. What type of crime most threatens society?
4. Is the clash of world religions inevitable?
5. Is the family becoming obsolete?

2003年度第2回
午前
1. Healthcare: prevention versus cure
2. Is Japan democratic?
3. Could we eliminate crime by eliminating poverty?
4. The importance of the "classics" in the study of literature
5. How important is self-esteem?
午後
1. What kind of scientific research should receive the most government funding?
2. The pros and cons of capitalism
3. The company versus the family in modern Japan
4. Can world hunger be alleviated?
5. Can creativity be taught?

2003年度第3回
午前
1. What qualifications and experience should a world leader have?
2. Is technology advancing too quickly?
3. Japan's role in the global economy
4. Are educational standards in Japan declining?
5. "Better safe than sorry" - do you agree?
午後
1. Which was the greater invention: the printing press or the microchip?
2. The importance of preserving our cultural heritage
3. The future direction of Japanese foreign relations
4. Should specialist knowledge of a subject qualify a person to be a teacher?
5. "Nice guys finish last" - do you agree?

2004年度第1回
午前
1. Are we doing enough to protect the environment?
2. Would you be willing to pay higher taxes for better government sevices?
3. Should certain books, movies, or music be censored?
4. The pros and cons of self-employment
5. "Love conquers all" - do you agree?
午後
1. Will all of the world's wilderness areas eventually disappear?
2. What patriotism means to you?
3. Is the Internet harmful to children?
4. Which would you rather work for - a multinational corporation or a local business?
5. "The pen is mightier than the sword" - do you agree?

2004年度第2回
午前
1. Does political activism make a difference?
2. Do foreign management style work in Japanese companies?
3. Are food-safety standards strict enough?
4. The use of performance-enhancing drugs in sports
5. "What goes around, comes around" - do you agree?
午後
1. Is the fossil-fuel era coming to an end?
2. Is there a tendency for people in power to abuse it?
3. The need to improve security in public places
4. Should Third World debt be forgiven?
5. "Ignorance is bliss" - do you agree?

2004年度第3回
午前
1. Is the gab between the "haves" and "have-nots" increasing?
2. Should companies reward individual employees for outstanding contributions?
3. Can we win the battle against AIDS?
4. Are computer games blurring the line between the real and virtual worlds?
5. "Where there's a will, there's a way" - do you agree?
午後
1. Do young people today have shorter attention spans?
2. Are labor unions necessary in the modern workplace?
3. Which is a greater threat to mankind, terrorism or world hunger?
4. The moral issues raised by stem-cell reserch
5. "Time is money" - do you agree?

2005年度第1回
午前
1.What role should the United Nations play in international politics?
2. Do the rich have a responsibility to help the poor in society?
3. Is tradition always worth preserving?
4. Should students be asked to evaluate their teachers?
5. “Honesty is the best policy”----in all situations?
午後
1. Is globalization good or bad for developing countries?
2. Should the retirement age be abolished?
3. Do the media exaggerate the dangers of crime today?
4. Should there be more public funding for arts?
5. “Failure teaches success”---do you agree?

2005年度第2回
午前
1. Is scientific progress always beneficial?
2. Do businesses have certain obligations to the local community?
3. Is inequity in society inevitable?
4. Can working parents play a sufficient role in raising their children?
5. “Nothing ventured, nothing gained”---do you agree?
午後
1. Which has more value in modern society, science or art?
2. Why are certain countries more economically successful than others?
3. Is it possible to eliminate racism?
4. What responsibilities should have to their parents?
5. The pros and cons of conformity

2005年度第3回
午前
1. Do young people today have too much leisure time?
2. Are consumption taxes a fair way of raising government revenue?
3. Should everyone be guaranteed a job?
4. Have the Olympic become too commercialized?
5. Are humans superior to other life forms?
午後
1. Are people today too reliant on what the “experts” say?
2. Which should schools emphasize more, competition or cooperation?
3. Are advances in telecommunications making it less important to meet people in person?
4. Do the media have too much influence on politics?
5. “Actions speak louder than words”---do you agree?

2006年度第1回
午前
1. Will the 21st century be the Asian country?
2. Should there be more emphasis on the science in education today?
3. Is the family today as important as it was in the past?
4. Will the trend part-time employment negatively affect Japanese society?
5. Why do you think some people in power abuse their position?
午後
1. Are foreign workers the solution to Japan’s predicted labor shortage?
2. Should democracy be the goal of all nations?
3. Should Internet crime be taken more seriously?
4. Do you think company loyalty is a thing of the past?
5. Is spirituality losing its importance in modern society?

2006年度第2回
午前
1. Has technology changed education for the better?
2. How will the economic growth of China affect Japan in future?
3. Prevention vs. cure in the battle against crime
4. Do people today pay enough attention to traditional remedies and medicines?
5. “Win some, lose some”---Is this a good attitude to have?
午後
1. Should couples have the right to choose the sex of their children?
2. Do you think outsourcing is good for the Japanese economy?
3. Is too much attention paid to the human rights of criminals?
4. Are modern telecommunications creating a common world culture?
5. Why are science fiction and fantasy so popular today?

2006年度第3回
午前
1. Should Japan focus more on relations with other Asian nations?
2. Is it possible to report the news objectively?
3. Have modern farming methods become too industrialized?
4. Do competitive sports build character in chidlren?
5. Do arranged marriages have a role to play in society today?
午後
1. Is it possible to create an effective world government?
2. Are people today becoming less interested in the news?
3. Does the Japanese custom of gift-giving have a place in modern
business?
4. Hi-tech sports equipment vs. natural ability in sports today
5. Do young people today lack direction in their lives?

2007年度第1回
morning
1 Have people today lost their interest in politics?
2 Is government action the key to dealing with climate change?
3 Is the declining population the biggest problem facing
Japanese society?
4 Are patrols by local citizens an effective way of reducing crime?
5 The pros and cons of zoos and aquariums

morning
1 Do you think celebrities and entertainers can make good politicians?
2 Is the extensive media coverage of environmental problems having any effect?
3 Is building more roads the solution to Japan's growing traffic problems?
4 Does Japan pay enough attention to domestic issues like the homeless?
5 Do modem societies spend too much money on pets?

afternoon
1 Can human intelligence be measured accurately?
2 Is Japan a good role model for the development of other nations?
3 The impact of materialism on today's society
4 Air travel: economic boon or environmental nightmare?
5 Do you think Japan will need more lawyers in the future?

afternoon
1 The future role of artificial intelligence in the workplace
2 Is it possible to stop the decline of rural communities?
3 Can the high salaries of CEOs at international corporations be justified?
4 Is nuclear power the answer to the world's energy problems?
5 Is the adoption of a jury system in Japan a good idea?

2007年度第2回
morning
1 Should Japan's wealth be distributed more evenly among its citizens?
2 Is it possible to keep politics out of international sporting events?
3 The value of an arts degree vs. a science degree in the real world
4 Should more be done to promote equality for women in Japan?
5 Does fortunetelling have a role to play in today's society?

morning
1 Can Japanese companies remain competitive in today's global economy?
2 Do fathers today play a big enough role in their children's upbringing?
3 Is reducing poverty the best way to tackle crime?
4 Should potentially dangerous sports like boxing be banned?
5 The value of studying philosophy in the modern word

afternoon
1 The relevance of studying classical Japanese in modern society
2 Does the media exaggerate the threat of global epidemics?
3 Do we rely too much on science to solve the world's problems?
4 Will the world ever be free from the threat of nuclear war?
5 Should Japan stop using the death penalty?

afternoon
1 Do people today appreciate the importance of learning about history?
2 Is the medical profession too reliant on technology when treating patients?
3 The pros and cons of using foreign loanwords in Japanese
4 Will a global water shortage be this century's biggest problem?
5 Is conflict an inevitable result of human nature?

2007年度第3回
morning
1 Should the government do more to encourage people to lead healthy lifestyles?
2 Does the media in Japan promote Western values?
3 Should people have the right to own firearms for self-defense?
4 Is increasing taxes a good way to improve public services?
5 Does music play a positive role in society today?

morning
1 Should people be prepared to change their lifestyles to help protect the environment?
2 Does the Internet encourage people to express extreme attitudes?
3 Should the government do more to protect people from the threat of terrorism?
4 Is international aid the best way to help poor countries develop?
5 Is Japan likely to become more multicultural in the future?

afternoon
1 Are developed nations doing enough to solve global environmental problems?
2 The role of patriotism in a modern society
3 Should marijuana be legalized for medical purposes?
4 Do manga and anime have as much value as traditional forms of Japanese culture?
5 Is there too much emphasis on individualism in society today?

afternoon
1 Have advances in information technology made our lives more complicated?
2 Should young people be required to do volunteer work?
3 Do labor unions have a role to play in the business world today?
4 Is Japan doing enough to protect its cultural heritage?
5 The pros and cons of legalized gambling

2008年度第1回
morning
1 Does advertising have too much influence on our lives?
2 Can animal testing be justified?
3 Can the government be trusted to spend taxpayers' money wisely?
4 The pros and cons of having only one world superpower
5 Can hard work and determination be a substitute for natural ability in sports?

morning
1 Are printed books and newspapers destined to die out?
2 The pros and cons of ongoing urbanization
3 Does Japan's health-care system need to be reformed?
4 Is democracy the best system of government?
5 Would transferring more technology to developing nations solve their economic problem?

afternoon
1 Is pacifism relevant in the 21st century?
2 Should the pay of teachers be linked to their students' performance?
3 Should the fight against AIDS focus on prevention or cure?
4 Is space exploration a waste of resources?
5 How will future historians look back on modern-day Japan?

afternoon
1 Does the media intrude too much on the lives of celebrities?
2 Should Japan play a greater role in world affairs?
3 The moral implications of genetic engineering
4 Is the current trend toward a cashless society a good thing?
5 Should more be done to create a sustainable gobal fishing industry?

2008年度第2回
morning
1 Should companies in financial trouble receive government support?
2 Are women portrayed accurately on TV today?
3 Does religion provide good moral standards for society to follow?
4 Should university education be free for everyone?
5 Can Japan effectively reduce its dependence on oil?

morning
1 Is the Internet destroying family communication?
2 Is there enough emphasis on important issues in politics today?
3 Would students benefit from stronger discipline at schools?
4 Does sumo have a role to play in modern Japanese society?
5 Is ecotourism good for the planet?

afternoon
1 Does the political system in Japan need to be reformed?
2 Can the factory farming of animals for food be justified?
3 Is it possible to eliminate discrimination against minority groups?
4 Should celebrities use their fame to help those less fortunate?
5 Do video games have a negative impact on people's behavior?

afternoon
1 Should religion be kept out of politics?
2 The melting polar ice caps - is it too late to act?
3 Should Japan consider increasing immigration to boost the economy?
4 Can the hunting of animals for sport be justified?
5 Do self-help books really work?

2008年度第3回
morning
1 Are the police doing enough to combat crime?
2 Does Japan need to increase its level of food self-sufficiency?
3 Will globalization result in a world without borders?
4 Are humans becoming slaves to technology?
5 Is the study of ancient civilizations still relevant today?

morning
I Can government censorship ever be justified?
2 Are genetically modified crops the solution to world hunger?
3 Should countries spend less money on defense?
4 Is alcohol consumption among teenagers a cause for concern?
5 Do the pros of hosting the Olympics outweigh the cons?

afternoon
I Should public services be provided by the government or private corporations?
2 Can the human race live in harmony with the natural world?
3 Do governments every have the right to interfere in other countries' affairs?
4 Is the issue of child labor in developing countries being taken seriously enough?
5 Do people today rely too much on prescription drugs?

afternoon
1 Is national security more important than freedom of the press?
2 Should organ donation be made compulsory?
3 Is the school curriculum out of touch with students' needs?
4 Should more be done to preserve the earth's biological diversity?
5 Does the United Nations have a major role to play in today's world?

2009年度第1回
morning
1 Are senior citizens discriminated against in today's society?
2 Is the extinction of some plant and animal species inevitable?
3 Should there be more decentralization of government?
4 Is the increasing number of allergy sufferers a cause for concern?
5 Should more be done to help the working poor?

morning
1 Is it possible to make large cities more environmentally friendly?
2 Will society ever be free of gender bias?
3 Should democratic nations cut diplomatic relations with nondemocratic nations?
4 Should drug companies provide medicines cheaply to developing countries?
5 The pros and cons of TV license fees

afternoon
1 Should the government take more action against companies that pollute the environment?
2 Has the problem of juvenile crime been exaggerated?
3 Should democratic nations do more to improve human rights worldwide?
4 Will science eventually replace religion?
5 Can small businesses survive in today's global economy?

afternoon
1 Is the low birthrate in Japan a cause for concern?
2 Is it important to preserve endangered languages around the world?
3 Has the potential of renewable energy been exaggerated?
4 Has employee loyalty to the company become a thing of the past?
5 Will politics ever be free of corruption?

以後、トピック入手困難につき、皆さんのお便りより抜き書き
2009年度第1回
Has the juvenile crime been exaggerated?
大国は社会に対して環境にやさしい対策を講じることができる のか?
大都市はもっと環境にやさしくなれるか
「人口増加は真のfearか」というようなTOPIC
安楽死について

2009年度第2回
Morning ( Card A)
1. Does the mass media play a positive role in society?
2. Is Japan doing enough to ensure its energy security?
3. Should terminally ill people have the right to choose when they die?
4. Is environmental protection compatible with economic growth?
5. Should there be more emphasis on politics in the school curriculum?

Morning ( Card B)
1. Does the government interfere too much in people’s lives?
2. Which is the bigger threat to society, crime or environmental destruction?
3. Has commercialization had a negative effect on professional sports?
4. Is the family becoming less important in today’s world?
5. Should large corporations take their social responsibilities more seriously?

2009年度第3回
Morning ( Card A)
1. Can the use of capital punishment be justified?
2. Should space exploration be continued?
3. Are nature-conservation efforts worth the financial costs?
4. Will Japan’s predicted labor shortage cause a major crisis?
5. Should everyone be entitled to free healthcare?

Morning ( Card B)
1. Is war avoidable or is it simply a part of human nature?
2. Do the benefits of cloning outweigh the dangers?
3. Is the study of literature important in modern society?
4. Should more controls be placed on the financial industry?
5. Are TV news programs still relevant in the age of the Internet?

2010年度第1回
Morning ( Card A)
1. Is the use of surveillance cameras in public places a good thing?
2. Do labor unions perform a useful role in today’s society?
3. Will Japan’s lack natural resources become a serious problem in the future?
4. Are the arts a good way to promote international understanding?
5. Do professional athletes have a duty to serve as positive role models?

Morning ( Card B)
1. Can society ever be free of organized crime?
2. Should combat sports such as boxing be banned?
3. Is multiculturalism in society a good thing?
4. Should the use of alternative medicine be restricted?
5. Is it possible to write history objectively?

2010年度第2回
Morning ( Card A)
1. Should more be done to discourage young people from migrating to urban centers?
2. Do arranged marriages have a place in modern society?
3. Can the use of animals for medical research be justified?
4. Is enough being done to fight illegal drug trafficking?
5. Should large companies in Japan make English their official language?

Morning ( Card B)
1. Does the news media exaggerate the problem of crime in society?
2. Are young adults today less independent than in the past?
3. Does the public have enough say about how government money is spent?
4. Should Japan prioritize relations with its neighbors or the United States?
5. Are books in danger of becoming obsolete?

2010年度第3回
Morning ( Card A)
1. Should contemporary politics be taught in schools?
2. Should Japan make more efforts to achieve gender equality?
3. Is military strength the most important element of national security?
4. Is agriculture becoming too industrialized?
5. Agree or disagree: Advertising has a negative influence on society.

Morning ( Card B)
1. Should teachers be responsible for parenting their students as well as teaching lessons?
2. Is the testing of unborn babies for genetic diseases a good idea?
3. Agree or disagree: A person’s quality of life depends most on financial wealth.
4. Is modern technology making people less creative?
5. Does U.S. culture have too much influence throughout the world?

2011年度第1回
Morning ( Card A)
1. Agree or disagree: The sciences are more important than the arts in today’s society.
2. Can violence ever be justified in support of a political cause?
3. Is it acceptable to treat water as a private commodity?
4. Should people be encouraged to buy more domestically produced goods?
5. Is too much pressure put on children to conform to traditional gender roles?

Morning ( Card B)
1. Does the Internet promote democracy?
2. Is enough being done to integrate people with disabilities into society?
3. Can economic development be achieved without damage to the environment?
4. Does modern society encourage selfishness?
5. Agree or disagree: Art only has value as entertainment.

2011年度第2回
Morning ( Card A)
1. Agree or disagree: The Internet should be free from censorship.
2. Should countries have the right to possess chemical and biological weapons?
3. Are moral values on the decline in today’s society?
4. Has urbanization in Japan gone too far?
5. Should the government prioritize domestic issues over international issues?

Morning ( Card B)
1. Should medical care for senior citizens be free?
2. Agree or disagree: Japan should play a more active military role in world affairs.
3. Can science provide a solution to hunger in developing nations?
4. Should more be done to prevent crime in society?
5. Will Asia dominate the world economically and culturally in the 21st century?

2011年度第3回
Morning ( Card A)
1. Will the gap between rich and poor people in Japan increase in the future?
2. Has human impact on the natural environment been exaggerated?
3. Agree or disagree: Art makes an essential contribution to society.
4. Is academic performance the best indicator of future success in life?
5. Can the costs of space exploration be justified?

Morning ( Card B)
1. Should more public services be privatized?
2. Should juveniles who commit serious crimes be tried as adults?
3. Do the benefits of scientific progress outweigh the dangers?
4. Agree or disagree: The private ownership of guns should be banned.
5. Is the Japanese education system a good model for other countries?

2012年度第1回
Morning ( Card A)
1. Agree or disagree: Globalization is good for the world economy.
2. Are people in today' becoming more socially isolated?
3. Can it be justified for one nation to interfere in the internal affairs of another?
4. Is Japan doing enough to protect its cultural heritage?
5. Should advertising be more strictly regulated?

Morning ( Card B)
1. Should more be done to protect people’s privacy on the Internet?
2. Agree or disagree: Japan’s political system needs to be reformed.
3. Can Japanese manufacturing remain competitive in the global market?
4. Should the government provide more funding for scientific research?
5. Will the United States remain the world’s leading superpower?

2012年度第2回
Morning ( Card A)
1. Is democracy the best form of government?
2. Does fashion play an important role in shaping cultural identity?
3. Can Japan’s rural communities be revitalized?
4. Agree or disagree: Zoos do more harm than good.
5. Will religion have a bigger influence on global politics in the future?

Morning ( Card B)
1. Is the problem of terrorism likely to get worse?
2. Should hunting for sport be banned?
3. Are the arts given enough importance in today’s society?
4. Should poor nations be responsible for their own development?
5. Agree or disagree: The government should provide most public services.

2012年度第3回
Morning ( Card A)
1. Should the news media be more accountable for what it reports?
2. Should the Japanese government do more to promote human rights in other countries?
3. Is the human race in danger of making itself extinct?
4. Does a college education prepare people for work?
5. Agree or disagree: Higher government spending is the best way to end a recession.

Morning ( Card B)
1. Will the increasing reliance on robots and computers pose a threat to society?
2. Is the Japanese healthcare system a good model for other countries?
3. Agree or disagree: Voting should be mandatory.
4. Is foreign aid the best way to promote economic growth in developing countries?
5. Should all nations have the right to develop nuclear weapons?

2013年度第1回
Morning ( Card A)
1. Agree or disagree: Technological advances have made the world a safer place.
2. Are performance-enhancing drugs inevitable part of professional sports?
3. Can the factory farming of animals be justified?
4. Do the strengths of multicultural societies outweigh the weaknesses?
5. Can an economic system based on capitalism ever be fair to all?

Morning ( Card B)
1. Agree or disagree: Surveillance cameras should be installed in all public places.
2. Can businesses be ethical and still be profitable?
3. Has the influence of Western values weakened Japanese identity?
4. Are current global agricultural practices sustainable?
5. Is information technology changing news media for the better?

2013年度第2回
Morning ( Card A)
1. Is enough being done to protect the world’s oceans from exploitation?
2. Is there such a thing as a justifiable war?
3. Agree or disagree: The news media should be regulated by the government.
4. Is Japan a good role model for the economic development of other nations?
5. Will nanotechnology have a major impact on our lives in the future?

Morning ( Card B)
1. Will the continued loss of biodiversity lead to environmental catastrophe?
2. Is corruption an inevitable part of modern society?
3. Should taxpayer money be used to support the arts?
4. Can world peace ever be achieved?
5. Agree or disagree: A university degree is necessary for success.

2013年度第3回
Morning ( Card A)
1. Does money have too much influence on politics?
2. Agree or disagree: Homelessness is inevitable in a modern society.
3. Is government funding the only way for Olympic athletes to stay competitive?
4. Would the world be a better place if everyone spoke the same language?
5. Should schools put more focus on teaching IT skills?

Morning ( Card B)
1. Agree or disagree: As societies become more modern, religion become less important.
2. Can Japanese agriculture survive in today’s globalized economy?
3. Has the Internet made people’s working lives easier?
4. Can military dictatorships ever be justified?
5. Does society make full use of the talents of senior citizens?

2014年度第1回
Morning ( Card A)
1. Agree or disagree: Science makes a bigger contribution to society than art.
2. Is warfare between nations an inevitable consequence of human nature?
3. Would Japan benefit from a more open immigration policy?
4. Is enough being done to protect the world’s wilderness areas?
5. Are consumption taxes a good way to raise government revenue?

Morning ( Card B)
1. Is promoting a nation’s economic development more important than protecting its cultural heritage?
2. Agree or disagree: The advantages of legalized gambling outweigh the disadvantages?
3. Which is a greater threat to society, crime or environmental pollution?
4. Should Japan’s low birthrate be considered a national crisis?
5. Is it too late to protect the world’s oceans from overfishing?

2014年度第2回
Morning ( Card A)
1. Is it too late to save the world’s rainforests?
2. Agree or disagree: Internet advertising is effective.
3. Is the world heading toward another global conflict?
4. Is solar power the energy of the future?
5. Can racial discrimination be totally eliminated from society?

Morning ( Card B)
1. Does the media sensationalize the dangers of climate change?
2. Agree or disagree: Social networking sites do more harm than good.
3. Can peace in the Middle East ever be achieved?
4. Do women’s rights get enough attention?
5. Has digital technology changed the art world for the better?

2014年度第3回
Morning ( Card A)
1. Agree or disagree: Classical literature still has a place in the modern classroom.
2. Is globalization reducing cultural diversity?
3. Should the sale of tobacco products be made illegal?
4. Is modern society too dependent on computers?
5. Should celebrities stay out of politics?

Morning ( Card B)
1. Should all citizens be required to vote by law?
2. Environmentalism and big business: Will there always be conflict?
3. Does raising the consumption tax help or hinder economic growth?
4. Agree or disagree: Not enough importance is given to the study of history.
5. Is Japan facing a social-welfare crisis?

2015年度第1回
Morning ( Card A)
1. Do the pros of having only one superpower outweigh the cons?
2. Should the government make scientific research a greater priority?
3. Can the hunting of animals for sport be justified?
4. Agree or disagree: Lifetime employment is no longer practical in modern society.
5. Are the potential dangers of artificial intelligence exaggerated?

Morning ( Card B)
1. Can the arts promote peace between nations?
2. Is a loss of privacy inevitable in modern societies?
3. Agree or disagree: Modern agriculture puts too much pressure on the environment.
4. Are people today too reliant on prescription drugs?
5. Is capitalism the only realistic economic system in a globalized world?

2015年度第2回
Morning ( Card A)
1. Should more be done to protect the cultures of the world’s indigenous peoples?
2. Are large corporations solely interested in generating profits?
3. Agree or disagree: Social class is still relevant in modern society.
4. Is enough being done to stop cyberbullying in Japan?
5. Is political correctness really necessary in today’s world?

Morning ( Card B)
1. Is enough being done to stop the exploitation of workers in the developing world?
2. Should there be any limits on the right to freedom of speech?
3. Agree or disagree: Legalized gambling has a positive effect on a country’s economy.
4. Should more be done to fight piracy on open seas?
5. Will there ever be a world without religious conflict?

2015年度第3回
( Card A)
1. Agree or disagree: Japan’s predicted labor shortage will cause a national crisis.
2. Will the human race one day destroy itself?
3. Is enough being done to fight the trade in illegal drugs?
4. Does the mass media play a positive role in society?
5. Can keeping animals in captivity be justified?

( Card B)
1. Is enough being done to protect the world’s biodiversity?
2. Can the Japanese economy stay competitive in the 21st century?
3. Agree or disagree: Alcohol is more damaging to society than tobacco.
4. Does the death penalty deter people from committing crimes?
5. Can world hunger ever be eliminated?

2016年度第1回
( Card A)
1. Does the government spend taxpayer’s money wisely?
2. Agree or disagree: Urbanization has gone too far.
3. Is religion losing its relevance in the 21st century?
4. Can the human race live in harmony with the natural world?
5. Is transferring technology to developing nations the key to economic development?

( Card B)
1. Are scientific efforts to bring back extinct species a waste of time?
2. Should there be more decentralization of government?
3. Is Japan doing enough to ensure its natural security?
4. Agree or disagree: The media exaggerates the problem of juvenile crime.
5. Are space exploration programs worth their cost?

2016年度第2回
( Card A)
1. Does more need to be done to create a sustainable global fishing industry?
2. Are the police doing enough to combat crime?
3. Should domestic issues take priority over international issues?
4. Is there too much emphasis on individualism in society today?
5. Do labor unions have a role to play in the business world today?

( Card B)
1. Are protest movements an effective way to bring about change in society?
2. Should the pet industry be more tightly regulated?
3. Should investigative reporting play a bigger role in Japanese journalism?
4. Should people have the right to own firearms for self-defense?
5. Can businesses be both profitable and ethical?

2016年度第3回
( Card A)
1. Will printed newspapers become obsolete in the Internet-driven 21st century?
2. Which should school curriculum emphasize more, competition or cooperation?
3. Are family values today as important as they were in the past?
4. Is economic inequality in society inevitable?
5. Can terrorism ever be eliminated?

( Card B)
1. Can censorship be justified in a democratic society?
2. Is the fossil-fuel era coming to an end?
3. Is too much attention paid to the human rights of criminals?
4. Can political activism make a difference in the modern world?
5. Are war and violence inevitable in human society?

2017年度第1回
( A日程)
1. Would the global economy benefit from having a single world currency?
2. Is it possible for developed countries to sustain present standards of living?
3. Agree or disagree: Technology is undermining the role of teachers in the classroom.
4. Will infectious diseases become a greater threat to humanity in the future?
5. Are the police in Japan equipped to deal with the challenges of a modern society?

( B日程)
1. Is world peace an achievable goal in the modern world?
2. Agree or disagree: Multinational corporations have become too powerful.
3. Do the advantages of ecotourism outweigh the disadvantages?
4. Do the values of today’s company employees differ from those of past generation?
5. Are the threats to society posed by the Internet being taken seriously enough?

(Is religion essential to achieve world peace?)

2017年度第2回
( A日程)
1. Can the consumption of meat be morally justified?
2. Is the Japanese economy too dependent on manufacturing?
3. Can the efforts of individuals change society for the better?
4. Are enough public funds invested in the arts?
5. Should more be done to combat extremism on the Internet?

( B日程)
1. Will Asia dominate the world stage in the 21st century?
2. Is enough being done to stop the illegal trade in endangered species?
3. Has the quality of journalism declined in the digital age?
4. Agree or disagree: Sexism has been eliminated from modern society.
5. Should the study of history be a higher priority in modern education?
(Are developed countries doing enough to help developing nations?)

[ 二次試験の例題(日本英語検定協会のホームページへ その最下段へ進む) ]

これを眺めていますと、マスメディアのあり方、脳死移植問題、安楽死、医学健康、学校教育、少子化問題、インターネットやカード取引、在宅勤務、エネルギー問題、民主主義、国連平和軍、といった折々の話題、しかも日常よくニュースで特集されるものと、人生において成功することはだとかリーダーについてなどといった全く一般的な題目に大別されます。時事問題に造詣が浅い年少者は、後者を答えることになるのでしょう。それで合格するのですから大したものです。尚、11年度第1回午後のE、「人生における成功とは」という出題は、この次の項目で示しますように過去にも出題されているものです。大学生以上の人は、この後者だけを狙って準備してもスピーチをする力は伸びないでしょう。この傾向を分析したのが、植田先生(参考文献参照)で、14の部門に分けておられます。ですから、準備するのは全体の3分の2程度、1分野2つ位なら約30個のスピーチで足りるということです。5つ出題されるのですからどれかが準備したものと合致ないし近いものとなる筈です。試験場で修正、応用あるいは切り張りが利くように、内容は広くカバーしたものにして少し外れた話題でも利用出来るようにしておけばよいのです。その上で、英語の運営力を向上させ、どんなトピックスが出されても即興のスピーチが出来るようにしましょう。ストックスピーチだけでは合格は難しいと思います。その場を切り抜ける能力が、スピーチには必要でが、実際にはスピーチに続く質疑応答のセッションで最も要求されます。ここは、少しお金がかかってもネイティブスピーカーの力を借りて、急場をしのぐ訓練を積んで置かねばなりません。実際にスピーチを人前で行なって、他人に批判して貰うのです。ダンスやスポーツをしたことをある人なら美しいフォームというのはなかなか身につけるのが難しいことをご存知だと思います。英語も然りです。では、主なトピックスを掲げます。97年度以降の問題も加味してこの程度に絞ってみました。(2000年8月18日改訂)

トピック予想のピットフォール(2000年6月2日追記、のち簡略化)
さあ、英検の試験日が迫って来ました。トピックのやまも張ったし、きっとこれは出題されるだろうなんて、考えている人もいるでしょう。少年犯罪は、出題されるだろうと誰しも思うでしょう。ちょっと、待った。少年犯罪について語る時、使われる語はどうですか?難しくありませんか?少年法改正、凶悪、少年審判制度、刑事罰、器物破損、対人暴力、自己制御などの語がすらすらと英語で言えますか?私は、言えません。凶悪犯罪は、英字新聞を読んでいると何とserious crimesでも構ないようですが、簡単かつ一般的な語を選んで使う練習が必要となって来ます。少年犯罪をトピックの狙い目とするには、かなりの実力を要とするものと私は考えます。勿論、法学部出身の方や少年犯罪に明るい方は、数多くおられるものと思います。その方達にとっては、何でもないことでしょう。しかし、他の大多数の人にとってはこのトピックは、要注意と言えるのではないでしょうか?
一般化しますと、自分の手におえる範囲か少し手を伸ばせば届く範囲のトピックを選ぶのが、高得点につながる選択法ではないかと思います。

主要なトピックス
Family and marriage
My idea of the perfect family
Should women change their family names when they marry?
Changes in the traditional Japanese family
Working mothers and their influence on the family

School Education
Changes needed in Japan's education system
Should schools encourage more individuality in
The growing number of children not wanting to go to school
The increasing amount of disruptive behavior in school classrooms
Causes and effects of juvenile delinquency
Would more severe punishment prevent crime?
How will the decreasing number of students affects education in Japan?

Should teachers be evaluated by their students?
Should school teachers share the responsibility of parenting?

Technology
The social impact of new technology
How the internet can change people's lives
Which modern inventions have changed our life style the most?
The future role of robots in daily life

Health
Lifestyles that contribute to good health
Japan's changing eating habits --- good or bad?
Potential dangers and benefits of genetic engineering
Should organ transplants be made more available in Japan?
Should doctors be permitted to help terminally ill patients die?
Suggestions for improving hospital care

English Education
Should English be taught in elementary schools?
English Education in Japan

Aging
How the aging population will affect society
Health care for the aged
The importance of welfare facilities for the aged
The causes of the decreasing birthrate in Japan

International affairs
Can Japan be called a democratic society?
Do Japanese people need to become more internationally minded?
Japan's role as a member of the Asian community
The future of the United Nations
The best way for Japan to contribute to world peace

The public's lack of interest in politics
Japan's reputation as a safe country
The government's role in managing crisis situations
Urbanization in Japan: Is there a crisis?

Ecology
Endangered animals
What I can do to protect the environment
Coping with natural disasters
Would daylight saving time be beneficial for Japan?

Business
Has the Japanese work ethic changed?
Business ethics: Product quality vs. the profit motive
The increasing problem of credit card debt
Telecommuting --- the pros and cons of working from home
Japanese companies moving abroad

Japanese culture
Aspects of Japanese culture I find attractive
Should the legal drinking age be more strictly enforced?
Do computer games help or hinder children's development?
Is today's pop music too commercialized?
The export of Japanese pop culture to foreign countries
The Information Revolution and its effects on society

Media
Media coverage of famous people's private lives
The impact of advertising on consumers
The effects of TV and movie violence on young viewers
Should there be restrictions on Internet content?

Shopping
Why I shop ( don't shop) at convenience stores
Internet on-line shopping

Travelling
Why I prefer travelling alone
The advantages (disadvantages) of package tours
The most beautiful sight (place) I've ever seen

Philosophy
What friendship means to me
My idea of success in life
The importance of religion in people's lives
My idea of happiness in life
The definition of success in life
What things contribute to a person's quality of life?
When should a person be considered mature?

Something I hope mankind will accomplish in the next century


4 おわりに---試験に合格したら(しなくても)
合格までの道のりでお世話になった人、助けてくれた人に感謝しましょう。お地蔵様に願いを懸けた人はお地蔵様に、神様に頼んだ人は神様に感謝しましょう。このホームページが役に立ったのなら筆者にも御報告下さるようお願い申し上げます。また、今では皆さんの体験談が、後続の受験者を支えていると言っても過言ではありません。合否に拘わらず、是非お気軽におたよりをお寄せ下さい。皆様のお手紙で、意義深く多くの人の参考になるものは、この場で紹介すべきかと考えておりますが、それには責任が生じますので、ペンネームだけでなく私へのメイルには出来れば本名もお知らせ下さい。英語は、コミュニケーションの道具にしか過ぎません。英検はステップ(STEP)ではあっても、決してゴール(GOAL)ではありません。英語を使って、これからの人生を更に豊かなものにされますように。

a waving cat

作者へのお手紙をお待ちしております。

お手紙はこちらへ。hersheytheman@yahoo.co.jp


5 参考文献
廃刊となったThe Eiken Timesには、1級の二次試験問題も含めた全部の級の全問題が掲載されていました。今は、Web上にその場を移しております。傾向を調べるのに役立ちます。また、年に1、2回、1級の模範スピーチの例が示されます。ところが突然、2013年2月28日で終了しました。一部の内容がしばらく残されるようです。下記のリンクも生きています。(2001年4月3日改訂)(2013年3月25日改訂)。

特に役立ったもの
The Eiken Times日本英語検定協会(2013年2月28日で終了、しかし当分の間、コンテンツの一部について閲覧可)
[ Web版The Eiken Times ]
英検1級直前合格対策 明日香出版社 (入手困難)
英語で意見を論理的に述べる技術とトレーニング ベレ出版
(上記の直前対策本から二次試験向けの内容を抜粋し、大幅に増補したもの。)
「英語検定2次試験対策」(旺文社)CD付き
1分間英語で自分のことを話してみる 中経出版 CD付
新・英語で語る日本事情 ジャパンタイムズ社 CD付
どうしても英語で伝えたい日本の事情100(IBCパブリッシング)
知識と教養の英会話 CD付 [単行本] DHC社
日本の論点 文芸春秋社
朝日キーワード(英語版/日本語版) 朝日新聞社
聞かれて困る外国人の"WHY?" 三修社
パターン活用やさしい英語スピーチ 創元社
英語上級者のためのCLトレーニング英友社
論理力を鍛えるトレーニングブック かんき出版
論理力を鍛えるトレーニングブック 意志伝達編 かんき出版
英会話使い分け辞典 創宅社
Function in English: Oxford
Practical English Grammar: Oxford
Practical English Usage: Oxford
The Japan Times, The Japan Times Weekly: The Japan Times, Ltd.
Time: Time Inc.

武器としての決断思考 瀧本哲史 著 星海社
なぜディベートをするのか ピーター・ミルワード著 英友社
Pros and Cons: The Debaters Handbook  Routledge社
この3冊は、英検用ではなく教養としてです。

英英辞典
Collins learner's dictionary: 三省堂International
Collins cobuild English dictionary: Collins (ポケット版あり)
Longman Dictionary of Contemporary English: 桐原書店
Seinor English Dictionary: 旺文社


6 皆さんからのおたより
(下記をクリックしてジャンプして下さい。2000年8月4日から)
重くなるとアクセスが遅くなるので、切り離しました。

皆さんからのおたより(8/4, '00開設)
新しいお便り掲載しています。


7 番外格の付録
(2001年12月16日追記)
この夏に封切られた日本のアニメーション「千と千尋の神隠し」をモチーフに英語の詩を作ってみました。

I would rather have a dream
than feel unbearable sorrow
However hard it may seem
that will fade away tomorrow

There is something to remember
Destiny isn't decided
The world is like a chamber
Our reunion will be awaited

(2000年3月21日追記)
BBSで意見交換をご希望方には、「頑張ろう!英検BBS」「THEROADTOSTEP1」をお薦めします。英語全般ですと、「英語を学ぶすべての人へ」と「英語はこう攻めろ!」で良質なアドバイスが得られるものと思います。その多くは、目次の下の欄でジャンプ出来るようにしてあります。こういったサイトの手紙には、勇気づけられたものです。

いずれ、「英語で考えるには」ということについて書いてみようと考えています。題して「廻り道の英語」なのですが、英検1級に早く通ることとは全く逆の話で、どうしたものかと悩んでおります。作者のプロフィールも書き加えようかと考えております。こちらがハーシーなどと言っているものですから、今まで、頂いたメイルには、少し距離をおいた趣があったりします。簡単に紹介しますと、私は英語好きで、これまで日常的に英語を使用する環境にあったことから対外的には、英語の肩書きが必要となって来たのです。英検を受けてみると、これが思ったよりも苦戦したのでホームページを開くことにしました。皆様のお手紙で、意義深く多くの人の参考になるものは、この場で紹介すべきかと考えておりますが、それには責任が生じますので、ペンネームだけでなく私へのメイルには出来れば本名もお知らせ下さい。このホームページが皆さんの役に立つようにと願っております。

未完の「廻り道の英語」(2000年8月18日改訂)
私は、中学生の時「どうしたら英語で考えられるんや?(関西弁のイントネーションで)」という質問を所謂帰国子女である友人にしたことがあります。彼の答えは、「うん。全部英語で考えればいいんだ。(標準語のイントネーションで)」というものでした。日本語もぺらぺらの彼は、感情が高ぶると英語が出てきました。このことを英訳の先生に相談に行きました。英文和訳は無意味であると訴える、それが無礼であることも分っていない生徒に、この英語の先生は何と「君のいう通りだ。だが、今の君の実力では単語力が伴わない。英英辞典でも、日本語訳が傍らについている辞書があるから、それを使いなさい。」と旺文社のシニア英英辞典を薦めてくれたのでした。それから、私は英英辞典を使うことにしました。見栄もあって、コリンズ社の英語だけのも愛用しました。これには根気が必要で、必ずしも受験には効率的ではありませんでした。学生時代は、これが気になるでしょう。今から思うと大学に入ってからでもよかったのじゃないかと思います。当時は、そんな事が見えないのですね。しかし英単語が、英語で説明出来ると語の持つニュアンスが感覚的に掴めるようになります。付け加えておきますと、私は中高と一貫教育の学校へ行きました。そこには、英語を母国語とする先生が何人もいて最初の英語は、日本語の出来るドイツ人から教わりました。時々英語だけの授業が英国人やアメリカ人によってなされることもあり、英語を話すことに抵抗なく過ごすことが出来ました。これは、今でもありがたかったなと思います。

大学では、外国語はなるだけ所謂外国人教官のコースを取りました。単位の都合上、全部という訳には行きませんでした。どんな時に英語だけの世界を感じるようになったかと言いますと、それは随分遅くて大学1年生のときだったと思います。朝の寝ぼけ眼で居る頃、寝る前のボーとしている時や少し酔った時など、日本語が英語の邪魔をしない時です。(特に夢の中ではパーフェクトな英語を喋っていました。そんな筈はないのに。)そこで、寝る前に必ず30分程短波ラジオで英語を聴くことを続けました。(勿論、語学ですから英語で喋ることが必要なのは言うまでもありません。1000時間英語で英語を母国語とする人と話をすると英会話が出来るようになると良くいわれています。)しかし、後になってヨーロッパ旅行をしていた時など、日本に居る時程努力しなくても相手の言うことが頭に残り英語に反応していました。この感覚は、海外旅行や出張の後、1週間程で消失してしまうので、何とかこの感覚を維持する方法は無いかと考え続けました。

結局、ニュースなどの情報は英語で入れるようにし、短波ラジオ(今ではテレビのCS放送)を聴き機会があれば英語国民と英語でお喋りをするようにしました。日常的なことを何でも英語で喋ってみたかったからです。そのうち、日本語が飛び交っていても英語で考えられるように段階的に頭が変化して来ました。これは、頭の構造が中学で習った語順に順応する事につきるのではないでしょうか?主語、時の副詞、助動詞、打ち消し語、述語、目的語、補語、方法、場所、時の順番です。主語を言えば、次に述語を選び、ついセカンドベストの単語を言ってしまってもそれに続くべき目的語を選んで、次に、、、、と状況に合わせて喋り続けていると何時の間にか英語になっているのです。それは、最初は随分拙かったと思います。だから、品のある的確な表現を仕入れるといったことが必要でした。

タイムという雑誌を、私は購読しております。最初の2年は全くの見栄で、つん読になっていました。(今なら私は、薦めません。購読し出した頃は、どうも宣伝に踊らされていた様です。隅から隅まで毎週読むなら、The Japan Times Weeklyで充分です。)最近になって(2年位前です)、知らない単語が1ページに2つか3つ位になって来て日本語の週刊誌と同じ感覚で読み飛ばすことが出来るようになりました。それまでは、良く知っている内容の記事でしか体験出来なかったことです。これには、頭の中で記事を英語で要約する癖をつけたことが大いに役立っているように思います。お陰で英語の世界と日本語の世界が頭に出来たのです。これは、世界が2倍に広がる位の衝撃的な体験です。情報は、圧倒的に英語の方が多くて往々にして内容が詳しく分析も優れているからです。

今でも私は英語を習っていますが、それは、寝る前の理解度や外国旅行中の英語に対する反応、英語で書かれていてもまるで日本語の週刊誌を読んでいるといった感覚を維持するためです。通訳をする人は、日本語と英語が頭の中で融合している様で、更に上の世界を体験しているのだと思います。まだまだ、上には上の世界がある様です。


8 議論について論理的に考える

実りある意見を交わすには---16通の紙上討論

随分前にわたしが、ジャパン タイムズから投書を切り抜いて、退屈にならないように時系列的に短かく編集したものです。10年前、本ホームページを立ち上げた際に、掲載許可願いを新聞社にお願いしたのですが、返事は頂いておりません。1982年の4月から6月の投書欄Readers in Councilと出処を明記しておきます。読むと、論理だけでなく感情も交えて意見を戦わせていることが分かります。日本の投書の多くが、著名人の引用をしたり、全くの感情論か、揚げ足取りだったりして、全く議論が進まないのとは、異なっています。きちんと人の意見を受けて議論が進んで行くのを見たことがありません。「英字新聞紙上では皆が、眼に見えないルールを守って、楽しみながら議論を進めている。何て、面白いことをするのだろう。」と、感心しました。それを伝えたいのです。敢えてParksさんの肩を持つ訳ではありませんが、この方は、しばらくして(82年ですが)別の投書では、結構日本に好意的な意見を述べていたことがあります。恐らく、問題提議のために、わざと悪役を演じてみせたのではないかと、今では思います。では、じっくりと読んでお楽しみ下さい。(2003年に書くと約束していたもので、今になってしまいました。遅くなって申し訳ありません。)(2009年6月記)

Positive and Negative Letters
1)
To the Editor:
I have read with interest the letters in the Readers in Council column throughout my two-year stay in Japan, especially those by foreigners commenting on their experiences here. I have noticed that you seem to print only those of a positive nature, which are mostly written by foreigners who have made a brief stay in Tokyo.
I agree with many of these positive comments. It is nice to live in a relatively crime-free environment and many people are exceedingly kind in helping foreigners and very tolerant of their lack of ability to communicate in Japanese.
However, the Japanese people seem very unwilling to listen to negative comments and overall their treatment of foreigners is very rude and unfeeling. I have had many good experiences here, but the bad experiences far outweigh the good ones. I live in Kyushu, which seems to be a rather backward area, as I have received far worse treatment here than in the other parts of Japan I have visited, including other rural areas.
Japanese people seem to think that foreigners are animals with no human feelings. Why else would they gawk and comment in loud voices? It seems to me that the Japanese must be an extremely juvenile and insecure people, lacking a sense of identity and true national pride, if they must denigrate (注To attack the character or reputation of) foreigners and overemphasise minor differences such as hair and eye colour. I pity a people with such impoverished souls!
The Japanese pretend to be concerned about their negative image abroad, which is largely caused by their vulgar and undisciplined behaviour, yet they do nothing to correct it. I have never seen Japanese tourists followed around Disneyland and by gangs of schoolchildren shouting “Konnichi wa” or “Ka ki ku ke ko.” Yet I cannot enjoy a simple stroll in Kagoshima’s Iso Teien without being followed by schoolboys shouting “Haro Haro” and “I know my ABCs” while their parents say nothing. I pity people who so blatantly reveal themselves to be utter fools!
Fortunately, I see hope for the future. Most of young people I teach are opening their minds and hearts to the rest of the world, showing more tolerance for those who are different and more human feeling toward their fellow man. They are searching for ways to express their pride and identity as Japanese without denigrating others. They are seeking to learn English and other languages as a means of communication rather than as a mechanical exercise or a weapon for insult or a way of showing off.

CATHELEEN M. PARKS
Kitakyushu, Fukuoka

*****
Our policy is certainly not to “print only letters of a positive nature.” As a matter of fact, “negative” ones seem to far outnumber “positive ones.” Reader Parks is only to be reminded of the large number of letters we printed recently on two major themes of debate, namely, the term “gaijin” and “Japanese doctors, “ not to mention many others on special subjects. --- Editor
*****

Positive and Negative Letters
2)
To the Editor:
I cannot agree with Miss Parks’ statement on Japanese people. I’ve been living here since October 1981 and I have never experienced any rude treatment. I personally never felt bothered if children said “Hello” to me but only pleased in the interest they have.
Also, I firmly disagree that Japanese people have a negative image abroad. (At least in West Germany this is not the case.) Their behaviour never was vulgar or undisciplined when I saw them. This I cannot say about tourists from Western countries visiting Germany.

ARNO VOLGER
Tokyo

3)
To the Editor:
For Ms. Cathleen M. Parks

Although it would be very difficult to make an objective comparison, with my experiences in Europe and in North America, I feel it fair to state that the Japanese in general tend to insult others less than Western people. In behaving foolishly, at least Japanese children are not as ill-intentioned as some adults in your country.

YO KUBO
Tokyo

Foreigners in Japan
4)
To the Editor:
In response to the items brought up in Miss Parks’ letter of April 5, it is my contention that a few points need to be put back into their proper places.
1. Foreigners are guests residing in a host country with its consequently dominating and naturally differing ways of behaviour and customs than what one was used to at “home base.”
2. Kyushu is not backward but, relatively speaking, rural and foreigners there are not “oddities” but “rarities.”
3. People finding themselves in new situations tend to act spontaneously, according to some “bluntly,” and “little people,” i.e. children, are especially susceptible to this tendency.

SUSAN KORNS
(A 4 1/2-year resident of Kyushu)
Tokyo

5)
To the Editor:
I also think it is very different for a woman. Chances are a drunk on a train won’t bother a man, but he will bother a woman. I certainly don’t think drunkenness is an excuse for harassing people.

Mrs. DOREEN BARTHOLOMEW

6)
To the Editor:
I am sometimes upset by this, but I just try to remember the American expression that “one bad apple does not spoil the whole bunch.”
The children in my neibourhood, while being quite understandably curious, are never rude, and I like to answer their questions as best I can. How else but by asking questions is person to learn? I would also offer Miss Parks the same alternative that all “gaijin” visiting Japan have --- “Japan --- love it or leave it.”

JAMES BRYANT
Nagoya

7)
To the Editor:
Learning the local language is a quicker and surer way to help them “open their minds and hearts to the rest of the world” than preaching in English to a limited audience. The local people are likely to remain “ a people with impoverished souls” or “utter fools” to Ms. Parks as long as she sticks to her native language which is, despite all the propaganda, after all a widespread variant of one of the many national languages in the world. I can assure here that knowledge of the local language eliminates unfruitful illusions that hinder sound mutual understanding.

KAZUTO MATSUMURA
Tokyo

8)
To the Editor:
Life in Japan for a foreigner is not easy. It is like standing on a stage. The audience is watching you like hawks and you have to prove yourself to everyone all the time. To some people, it can be quite an ordeal, but for others (such as myself) it is the challenge of a lifetime. My advice to Ms. Parks is that she review her act and remember to put only half the blame on the Japanese.

JOSEPH MANN
Yokohama

9)
To the Editor:
Personally, I am tired of being treated like a zoo animal and am shortly to be moving on, not back to my hometown but another more honest, less falsely polite country where they call a spade a spade but at least possess the sensitivity to treat me as an human being.

BERNARD ROSS
Mito, Ibaraki

10)
To the Editor:
I really enjoy this newspaper and look forward to the “balance” I see in Readers in Council. I thank you.

FRANK L. KAHREN
Iwakuni, Yamaguchi

Foreigners in Japan
11)
To the Editor:
Of course, many Americans are rude to foreign visitors and ill-behaved abroad. But they are criticised for it by their fellows and society in general.
On the other hand, foreigners in Japan are “fair game” and Japanese society in general views them as amusing toys or rare zoo animals. Of course, not every Japanese person is ill-behaved toward outsiders, but I feel that the majority are, and what I cannot forgive is that society in general supports the attitude that that the humanity of non-Japanese does not exist.

CATHELEEN M. PARKS
Kitakyushu, Fukuoka

12)
To the Editor:
Say “Haro,” or “Gaijin” first and watch the reaction before you make a judgment about malicious intent. The Japanese are famous for their adaptability, the British are not --- and I would guess that Mr. Ross is a member of that benighted race --- hence his reluctance to return home.
Ms. Parks talks glibly (注 glib; Marked by ease and fluency of speech or writing that often suggests or stems from insincerity, superficiality, or deceitfulness.) of sexual harassment. But has she ever walked the streets of Japan in fear of being raped, as I have in London, New York and several other Western cities? I am sure not. Sexism is only an issue in the West because neither men nor women have come to terms with it in the way they have in Japan. Here, both men and women know their roles, and fulfil them to the best of their abilities.

NAOMI GROSS
Hitachi, Ibaraki

13)
To the Editor:
As far as sexual harassment is concerned, being a man I have not been complimented in this way. I do not know what Ms. Parks looks like but if she is attractive this will happen to her anywhere in the world. At least in Japan she is not in any physical danger, unlike some big cities in the U.S. and other parts of the world.

BILL MOSIER Tokyo

14)
To the Editor:
I’ve travelled a lot, and I find that one cannot generalise about a people or a country. One must accept every person one meets as an individual and recognise his or her personality and temperament and treat the person just like an individual.
Isn’t this what we do in our own country?

KARIN BOGART
Nagoya

15)
To the Editor:
We are all members, whether we like it or not, of a vast human family and increasingly small world community. The sooner we learn to adjust to one another, the more comfortably we can share this planet. Facilitating this adjustment is the responsibility of host, guest, parents, children and nations. I see no harm in bringing it to anyone’s attention. But then, perhaps I, too, suffer from Reader Korns’ “confusion of self,” whatever that means.

RUTH SUZUKI
Yokohama

16)
To the Editor:
I sincerely hope the Japanese will retain the best attributes of their culture, and not adopt the arrogance abrasiveness and lack of understanding displayed by more than a few numbers of some other societies.

W. G. SCHEERER
Holmdel, New Jersey

*****
With this letter we wish to close the long debate we have had on this subject with appreciation to those who have contributed their views. --- Editor
*****

論理を磨くには
本を紹介します。矢部 正秋著「プロ弁護士の思考術 (PHP新書)」は、なかなか章立てが良く、視野を広げ思索を深めるのに役立つと思います。(2009年6月記)

日本人の倫理観
最近になって、新渡戸稲造の「Bushido, The Soul of Japan」を読んでいます。果たして、これだけで西洋に対抗出来るかどうか。というのは、新渡戸氏がクリスチャンであるから、やや解説に流れてしまう嫌いがあるからです。 西洋の騎士道と並び称される、「武士道」という考えと行動が一致した日本独特の不文律がある。この不文律は、ただ知るだけでは「論語読みの論語知らず」などと揶揄されるので、行動を伴わねばならない。実際には多くの思想が融合したもので、その由来は、孔子、孟子の思想だけでなく、仏教や神道にも求めることが出来る。言い換えれば、武士階級において認められた、高い倫理性を有した行動規範とも言える。「義を見てせざるは勇無きなり[論語為政]」という孔子の教えを尊び、正しいことを正しい時にすることを良しとする。武士に二言はなく、約束は守る。その言葉の意味するところは、嘘がないことになる。主君には、忠誠心をもって仕え、正しい行ないが出来ない時には、責任を取って切腹することことも辞さない。単に、刀を振り回していたのではなく、禅を心得、己を知り、琵琶なる楽器や書、詩などの文芸にも嗜みを有するだけでなく、弱き者には、「武士の情け」を掛けたりしたので優しさも持ち合わせていた。この不文律を英文で解き明かした、新渡戸稲造の”Bushido The Soul of Japan”が国際的に有名である。(2009年6月記)

自分で考える
本ホームページで参考書として取上げた「日本の論点」のパロディー版「日本の難点」(幻冬舎新書)は、一人で43題ものカレント トピックスを採りあげて自説を展開しています。同じ著者の宮台真司氏の著書で「14歳からの社会学 ーこれからの社会を生きる君に」というものも面白いです。14歳とは名ばかりで、30歳、40歳でも全部理解するのは大変じゃないかと思います。この方は、社会学が専門ですが、その説は、すべて自分の頭で考え抜いたものばかりです。90年代初頭にオタクや援助交際などサブカルチャーの語り部として活躍したそうですが、その頃のことを知らないので純粋にいい本だと言っておきます。但し、何カ所か、明らかに偏ったあるいは、余りにも一般的でない説も見受けられますが、それはそれで各自が判断するべきでしょう。まるで、目の前の著者と対話しているような力強い書きっぷりのわくわくするような本です。自分で考えたというところが、いいんですね。(2009年6月記)

本の紹介
渡辺パコ著「論理力を鍛えるトレーニングブック」
2章で触れている本です。これぐらいのトレーニングは、ビジネスの世界でも積んでおいて損はありません。レベルは、高い方です。

「詭弁論理学」 (中公新書 (448)) 野崎 昭弘 (1976)
野崎氏は、数学者ですので、その内容は精緻を極めます。このレベルの話が出来ることを学生時代目指していました。最近のすぐに絶版になるような類の本ではありません。

「逆説論理学」 (中公新書 (593)) 野崎 昭弘 (1980)

「ゲーデル,エッシャー,バッハ?あるいは不思議の環」
ダグラス・R・ホフスタッター (翻訳), 野崎 昭弘 (翻訳), はやし はじめ (著), 柳瀬 尚紀 (著) 白揚社 (1985)
数学の散歩を楽しみたい方に。

「<反>哲学教科書」 ミシェル・オンフレ著 嶋崎 正樹訳 NTT出版 (2004)
このような本が、フランスの高校の哲学の教科書に採用されていたります。こんな話を理解しているフランスの高校生恐るべし。内容は、考えを揺るがす刺激に溢れています。そして、試験は哲人の思想を述べるのではなく、全く新しい課題についてエッセイを書かねばならないそうです。

悪の説得術 (ゴマブックス 305) (新書)多湖 輝 (著) (1983)
とっさの詭弁術?相手の虚をつく発想法 (ワニ文庫) 増原 良彦 (著) (1988)
やや一般大衆向けです。世間的な知恵をつけると考えたらいいでしょうか?この手の本は、数多くあります。(2009年6月記)

自分の顔、相手の顔?自分流を貫く生き方のすすめ (講談社文庫) 曽野 綾子(著)(2004)
日本人が知らない世界の歩き方 (PHP新書) 曽野 綾子 (著)(2006)
謝罪の時代?昼寝するお化け〈第8集〉 (昼寝するお化け (第8集) 小学館) 曽野 綾子 (著)(2008)
初めて読むと突飛な意見に満ちあふれているように思われるかも知れませんが、読み進んで行くうちに、世界150カ国くらい旅をして世界の良識を身につけている方ならではの意見だと気づきます。そういうバランスの取れた物の見方が記されています。(2009年7月記)

Pros and Cons: A Debater's Handbook Trevor Sather 出版社: Routledge 18版(ペーパーバック 1999)
100年もの歴史があるディベートのハンドブックです。参考になるところとならないところがあります。最も気をつけていただきたいのが、本書の最初に書いてあるように、ディベートの準備としては、"Reading "Pros and Cons" does not count as through research!"とあることです。もう一つは、"No talented debater writes out a speech word for word, even to memorise and discard it. Using a system of notes allows you many benefits."と、スピーチ草稿を作らないことです。しかし、これはイギリス人がディベートをする時の要領です。自分の英会話の実力をまず知ることが重要です。ある程度話せるようになってから役に立つ内容です。(2009年7月記)

ディベートのすすめ (Debating in England) ピーター ミルワード著 英友社(1983)
これは、ユーモアとウィットを交えた説得のトレーニングになりそうです。ユーモアのないスピーチは、イギリス人には堪え難く、ウィットのないディベートは、全く説得力がないと断言しています。著者は、イギリス人で、アメリカ流の調査や分析資料を基にしたディベートよりも、「ペットには犬よりも猫がいい」といったことを大まじめにいくらでも論じてみせるイギリス流のディベートを好み、それについての自身の学生時代や現在も続くディベートの体験に基づく解説です。残念なことに、こと英検のスピーチには、全く役立ちそうもありません。2009年7月現在1260円送料310円

戦争に関する本の紹介
以下の2冊は、時事問題の項でも取り上げていますが、議論を進める上でも重要と思われます。

"Documents on the Rape of Nanking" edited by Timothy Brook, University of Michigan Press, 1999
これを読むと、日本で語られる南京虐殺の話が、英語圏で語られているのと異なることが分かります。国際委員会の報告書でも、医師であったDr. Wilsonが家族に宛てた手紙でも、どれか一編でも読むと、日本軍の規律はどうなっていたんだと驚愕することでしょう。南京市内に設置された27名の外国人による安全地区を管轄する国際委員会(南京市の市役所や消防警察機構がこぞって撤退する前に、委員会に市役所などの果たす機能の権限が移行された)のメンバーの日々の報告書とDr. Wilsonの家族への手紙の数々、極東軍事裁判の判決文と、パル判事の意見書の抜粋が収録されています。そのほとんどが、感情を排し、悲惨な実情について述べています。一次資料ですので、この南京の事件について議論するには最適と思います。日本軍は、この時は南京攻略部隊に対する補給計画を立てていなくて、南京攻略後の統治方法も全く準備することなく侵攻したものと思われます。軍紀を引き締める命令は、攻略前から出されていましたし、国際委員会からの再三の要望に答える形で、南京市陥落後も出されてはいました。物資の現地調達策は、後のインパール作戦の時にもとられました。余談ですが、およそ10年前にシンガポールの現地市内ツアーに参加しましたら、日本人のわたしが混じっていると知らずに、ガイドが「ここ(マレーシアに最も近い港)で日本軍がシンガポールの男性、老いも若きも5万人を殺戮した。」と語ったことがあります。ツアーの後で、「僕は、そんなことがあったとは、知らなかったが、あなた達は日本人を良くは思っていないんだね。」と問うと、「いや、戦争は昔のことで、今はそんなことはないよ。」と言い訳していました。調べてみますと、イギリスによる現地人の殺戮の歴史もあったようです。

「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」 加藤陽子著、朝日出版社
栄光学園高校の歴史を愛好する生徒を対象に、ある冬休みに著者が行なった7日間のセミナーを本にしたものです。さすがは、栄光学園、レベルが違います。大人にも完全な理解が困難な内容です。当時の日本が、軍部を押さえ切れなくなって行く状況や、軍内部での抗争とも言える意見の食い違いをうまく解消できなかった様子が描かれています。どうして、このような本が今までなかったのでしょうか。

(2009年10月記)

日本に関する本の紹介
"A Public Betrayed: An Inside Look at Japanese Media Atrocities and Their Warnings to the West" written by Adam GAmble & Takesato Watanabe
日本の週刊誌に対する批判から始まった本です。日本の週刊誌は、世界に類のない読み物で、固い論説あり、軽い小説あり、ややお色気の写真があり、またお色気の漫画があり、随筆があり、コラムがあり、紀行文があり、食道楽の記事があり、流行の解説もありとタイムとペントハウスが同居しているような日本独特のものであるそうです。さて、その編集の真意たるや、面白いだけでなく、売れるものでなければなりません。そこで、諸外国のメディアには見られない特徴が出てきます。根拠のない記事が混ざってしまうのです。松本サリン事件の犯人扱いされた人の話が採り上げられています。日本では、名誉毀損罪がうまく機能していなくて、賠償も600万円が限度で、週刊誌は書きたい放題だというのです。諸外国では、原則として根拠のない嘘は書けないのですが、一つの理由は名誉毀損罪とされると賠償が途方もない金額に上るからです。編集者は、日本ではタイムのような雑誌は数ヶ月で廃刊となると述べています。週刊誌の見出しは、新聞や電車の吊り広告で読むことが出来ますが、この風聞が事実となっていくという風潮も日本にはあると著者らは指摘しています。さらに、記者クラブがジャーナリズムの諸悪の根源であるとも指摘しています。外務省が記者クラブを廃止すると言っています。長野県では、田中知事の県政時には、記者クラブを廃止しておりました。 すべてが、正しいとは思えません。どうも、著者の日本に関する知識が不足していることに由来するのかとも思います。大筋は正しいと思います。しかし、日本には昔から瓦版の伝統がある訳ですから、アングロサクソンの報道姿勢がいつも正統派とは限らないのではとも思います。 この他にも、歴史認識の問題としてホロコーストの否定や南京虐殺や従軍慰安婦も取り上げています。

(2009年12月記)

「坂の上の雲」と「この国のかたち」
司馬遼太郎の著作である「坂の上の雲」が、NHKによって初めて総制作費60億円(当初の予定は200億円)を投じて映像化された。司馬さんは生前、イメージによって齎される誤解を嫌い、映像化を好しとしなかったという。このたび遺族の了解が得られたために映像化が実現し、2009年の末に、全13話中の最初の5話が放映されたところである。次の4話の放映は、今年の12月末で、3年掛かりの放映であるという。このドラマは、開国後の明治の日清日露戦争に至る国づくりを、愛媛出身の俳人正岡子規、海軍参謀秋山真之(後に海軍中将)、陸軍騎兵隊長秋山好古(後に陸軍大将)の3人を通して描いている。世界の一等国たらんと、坂の上の雲を目指して日本国民が邁進する姿には涙すら流れ落ちる。

日露戦争の際、秋山参謀が日本海海戦において考案し遂行した、有名な丁字戦法一斉回頭(Togo turn)は、実は瀬戸内海を荒し回った村上水軍の戦法が雛形であったとされる。半分捨て身の、海戦の常識を破る奇襲とも評し得る合理的な戦法であった。砲艦戦において敵に対して舷側を見せると、横に並んだ大砲を十分に活用できるが、敵から見ると艦は横に長くなるので被弾する危険が増す。日本の連合艦隊は、日本海において長らく待ち受けていたロシアのバルチック艦隊にまみえると、この一斉回頭を行ない機先を制したため、バルチック艦隊は混乱に陥り壊滅したのであった。

考えてみると軍事的には、古いところで、織田信長の鉄砲隊(1575)の発案は結構早く、スペインのテルシオという長槍兵と銃兵の組み合わせが成立した1534年から遅れることわずか41年である。真珠湾奇襲攻撃(1941)で採用された航空母艦と航空機による爆撃と魚雷投下の戦法も画期的であった。これによって空を制するものが、戦いを制することを初めて世界に知らしめた。その後、英国の不沈戦艦プリンス・オブ・ウェールズを航空機による爆撃で撃沈している(1941)。軍事的には日本人が創造性に乏しいとは、言えないのである。しかし日本は、自ら航空機戦の時代の到来を示しておきながら大和や武蔵といった戦艦に代表される巨艦主義を捨て切ってはいなかった。総合的な判断において第二次対戦中の軍部の思考は戦略においてもバランスを欠いていたのであろう。

ペリーによって引き起こされた日本の開国時、日本は列強諸国と不平等条約を締結することを余儀なくされた。これが解消されるのは、およそ40年後の日露戦争(1904-1905)後のことである。結局、列強との戦争に勝たないと、対等にはなれなかったのである。日清戦争(1895)後当然の権利として得た遼東半島であったが、列強ロシア・ドイツ・フランスの三国干渉に合い、清国に返還せざるを得なかった。その後もロンドン海軍軍縮会議(1930)で、日本は、新造の艦船を沈めるなどして、米英日の艦船の保有比率を守らねばならなかった。それでも日本は、一等国の扱いを受けることはなかった。この後、満州事変(1931)、国際連盟脱退(1933)、支那事変(1937)を経て第二次大戦へと進んで行く。この時でも日本は、ハルノートを最後通牒だと解釈して、開戦を決意したと言われているが、「中国の利権だけを手放して、満州は保持する」と回答していれば、米国との友好関係を保つことも可能で開戦を避けられたと云う説が最近になって現れている。わたしが調べたところ、代表的なところで上海や南京などの攻略時や、ビルマの奥地でのインパール作戦では、日本軍においては、兵站という補給の思想が重要であると認識されていなかった。わたしなりに解釈すると、食糧その他軍事物資が供給されずに現地調達となると、潤沢な資金がなければ略奪するしか物資の調達が出来ないことになってしまう。もとよりビルマなど最前線では、貨幣など意味をなさなかっただろう。このように、戦闘方法や占領後の統治法も含めて準備が十分ではなかった。つまり、最初から日本は戦争をする資格を有してはいなかったのだ。開戦百日にして拡大した戦線は、ミッドウェーの海戦を境に補給のないまま縮小し続け、本土空襲を受け敗戦に至ったのであった。

去年の夏に、NHKであったが、第二次大戦中の海軍の軍令部の参謀による反省会が特集として放映されていたが、開戦、その後の軍事作戦の失敗や、事後立法による極東軍事裁判において将校達が責任を取るような発言はなかった。驚いたことに、戦争突入前から国民は二の次でまず軍隊の存続を考えていたようであった。大東亜戦争などと云うと今でも色々な取沙汰がされるが、日本が戦わなかったら、アジア諸国の独立は、百年遅れていたであろう。そして敗戦後、GHQ主導で制定された憲法によって、わが国は真の独立国家とは言い難い状況におかれたままである。ポジティブ、ネガティブな面を併せ持つ我々の祖先の作った歴史を通して、司馬さんではないが、わたしもこれからの「この国のかたち」を考えて行きたい。(2010年3月記)

日本辺境論(内田 樹著、新潮新書)
今までにない切り口から日本の社会を捉えた論説です。いつも中央から取り残されていた日本、今でも本邦初公開が注目を浴びる日本、それを見事に一言で「辺境」と言い切ったところが素晴らしい。いつも効率のいい勉強を得意として来た日本。いや、効率的でなければ、死活に関わった日本。問題の答は、文化文明の先進地に転がっていると考える日本。これでは、リーダーになり得ません。是非、これを一読して我が国のあり方を考えてみて下さい。本人が、早く誰か英訳して欲しいと述べておられますので、どなたか名乗りをあげませんか。(2010年3月記)

エッセイ It's snowing, and money's falling(by Rachel Michaud、Washington Post)
大変美しいエッセイです。もう一度読みたくなって、Japan Timesに問い合わせましたところ、もともとはワシントンポストの随筆で、それを短縮して掲載したとの返事があり、原著がウェブにあるからそれを読んで欲しいと云うことでした。

その時のやり取りの一部を載せておきます。その前に、是非、
[ It's snowing, and money's falling ] で、一読下さい。

問い合わせ(原文 英語)
もう4年ほど前の購読していたThe Japan Times WEEKLYに載っていたエッセイをもう一度読みたいのですが。

それは、米国人の女性ジャーナリストかライターが、小学校の時の貧しかった頃の思い出を綴ったものです。冬のある晩、父親が「ご覧、お金が空から降りてくるよ。」と上機嫌で降り出した雪を見て家族につげるところから始まるものです。そんな日の翌朝は、父が契約している4,5か所の近所の公共施設の雪かきを朝の5時頃から出掛けねばなりません。何故か父は、長女でないわたしを連れて行きたがった。眠くて寒いのに朝の4時頃に起きて、支度をし長女が世話をしてくれて送りだしてくれた。雪かきは、皆の出勤の前に一度済ませねばならず、その日の内にもう一度行なう必要があった。家に帰ると皆が歓待してくれた。御褒美にいつものと違う何か温かい食べ物を仕事をして来た者には食べさせてくれた。余り寒い時は、父がこれを飲めば暖かくなるよと作業の合間にそっと琥珀色の液体を飲ませてくれた。ウィスキーではないだろうか?昔のことなので誰も咎めず大らかな時代であった。貧しかったが、家族は幸せであった。

その返事
Hello, I am the editor at the Weekly responsible for the Commentary Page on which this essay ran. I remember it well. I had to fight really hard to get the story on the page because my colleagues said it was not a ''commentary,'' but I thought it was such a well-written, charming and interesting piece that our readers would enjoy it. I am glad that you thought so too.

The essay, by Rachel Michaud, first appeared in The Washington Post on Feb. 5, 2010, under the headline ''It's snowing, and money's falling.'' This will be the full version because if I remember correctly I had to cut it a little to get it on the page. I pulled it up this morning after reading your e-mail, so am sure you'll have no difficulty finding it. However, if you do, let me know.

(2011年8月記)

済衆院
韓国の医療ドラマの済衆院の紹介です。時代は、日露戦争時代で、韓国初の西洋医学の病院の設立に関するヒューマン ドラマです。なかなか面白かったので、見終わった後に韓国SBSに感想文を書き送ったのですが、返事がありませんでした。
[ Jejoongwon (Drama - 2010) ]

This is one of the best Korean dramas I have seen. It deals with western medicine when superstition was still believed. Our country followed the same path 50 years prior to this first hospital of western medicine. Although the way the Japanese are described is stereotyped, the drama itself is interesting. The scenes of operations are so realistic.

After watching Jejoongwon,

I enjoyed the film. I came to know the hardship of founding a first Western Medical School when superstition was still believed in Korea. Our country Japan followed a similar path 50 years prior to Jejoongwon. Typical example is Tekijuku, present Osaka University medical school. In the reform process, we underwent a revolution, Meiji restoration. Tokugawa Shogunate which last for nearly 300 years was toppled. Consequently, class system was abolished. Then we felt a threat from Western Superpowers, especially from Russia. If we did not stand up against Russia, our country did not exist anymore. When we opened up our country by external pressure, we were forced to conclude treaties with western nations on unequal terms. This inequality was not dissolved until we defeated Russia by force. This is the background from a Japanese viewpoint.

Dr. Hwang should not have devoted himself into resistance movement. Later, he realised what he could do and what he could not. He decided to go to Manchuria and work as a medical officer. I thought the drama would end when Dr. Hwang jumped aboard the train leaving Seok Ran on the platform. They would never meet again, I guessed. Contrary to my expectation but to my relief, they were reunited at an unknown place. But does this have anything to do with the future of Jejoongwon? It is hard for the scriptwriter to end the drama when it has already passed the climax.

The way of describing Japanese people in the film is so stereotyped except for Naoko. She was the only Japanese who is good natured. I am afraid I do not know much about Korean history but it is true that some Japanese supported some Chinese, such as Sun Yat-sen and Lu Xun for their independent movement in those days. There must have been various types of Japanese people, which is not described in this drama. It is unnatural that Dr. Watanabe, Dr. Hasegawa and the nurses practise medicine without conscience. A doctor or a nurse would not break the ethical code of medicine so easily. Naoko is somewhat independent and insistent unlike a Japanese. But such a girl is necessary for the plot like this. She decided to end her relationship with Do Yang in exchange for the release of Dr. Hwang from prison.

Many scenes of operations were so realistic. I have never seen such an Asian drama as realistic as this one. I even checked cases of open chest surgery under anaesthesia with spontaneous breathing in those days. In some scenes but not always, at Hanyang hospital, chest X-ray films were displayed left and right reversed. For example, when Do Yang (Yeon Jung-hoon) was inspecting Dr. Watanabe’s X-ray film, the heart on the film was on the opposite side. It does not harm the quality of the drama and most people go through to the end unaware of them.

As for the way of mixing some Japanese words into conversation, perhaps all the Japanese people might feel very strange. “sodesu”, “hai”, “wakarimashita” and some other Japanese phrases were inserted at odd places of the lines. It does not give a Japanese atmosphere to a Japanese at all, when watched through original Korean with Japanese subtitles.

Overall, this is a well made drama. It is one of the best Korean dramas, such as Dae Jung Geum, Queen Seondeok of Silla and Jumong. My knowledge on Korea is from the book written by Michael Breen. I was first fascinated by Jung Geum seven years ago. Until then, I did not know much about the neighbour country. Through Korean dramas I can feel something passionate, which is seldom seen in our dramas. Thank you.
(2011年12月記)

通訳案内士
先週末に、平成23年度の通訳案内士試験の合格発表がありました。わたしも合格致しました。昨日その新人研修会案内に参加してみました。驚きました。新しい仕事がコンスタントに来るまで半年は掛かるというのです。1年掛かることも稀でないと云います。ガイドの仕事は、天災地変や経済不況や疾病の流行、すなわち東日本大震災やリーマンショック、SARSなどと云った出来事の余波をまともに喰らうので、安定した職業ではなく、専業ではなかなか食べて行けないそうです。地位の安定化と向上が望ましいと思います。ガイドは、老後までお預けです。しかしこの試験、英検1級に合格していると、1次試験の英語の筆記が免除となります。この制度を活用して、筆記の地理、歴史や一般常識は、夏休みを挟んで短期決戦でわたしは臨みましたが、集中して功を奏しました。英検1級の次の目標の一つとして、考えてもいいと思いました。(2012年2月記)

論理力を高める
「武器としての決断思考」 瀧本哲史 著
実践的なディベートの原則を身につけることが出来る本です。もともとは、京都大学での授業を土台としていますが、著者は「起業論」「意思決定論」の中の一部として位置づけております。驚いたことに医学部の学生が、その履修率が最も高いそうです。まず命題を論ずる時に、メリットとデメリットに分ける。メリットは、1)内因性 2)重要性 3)解決性 の観点から論理をチェックする。デメリットは、1)発生過程 2)深刻性 3)固有性 の観点から論理をチェックする。これで、論理を戦わせて、どちらを採用するかを決める。最後は、主観的になるがそれは構わない。例を挙げれば、

クイック リペアーという商品を買って欲しい時、
メリット:
1)内因性 あなたの自動車に傷がある。
2)重要性 傷は、恰好わるく錆のもとにもなる。
3)解決性 修理すればあっという間に元通りになる。
よって、この商品を買いなさい。

科学予算を削減すべきか?
デメリット:
1)発生過程 科学予算が減ると科学者のやる気が低下し、発展もなくなる。
2)深刻性 発展がなくなると経済的損失が大きい。
3)固有性 予算は充分にある。
よって、科学予算を削らなくとも良い。

といった具合です。本のままでなく、ほんの少しだけ改変して伝えております。

さてわたしはメリット、デメリットで多くのことを論ずることは出来るけれども、それは最も面白くない退屈な議論と思っていました。誰でも出来るし、発展性がないと考えていました。上記のように説明を受けるとその態度を少し変えるべきかと思います。巧く説得、反論が決まれば、面白いと思います。今まで、ここまでこんなに上手に解説した本は、無かったように思います。

しかし、前知識が無い時には、イギリス流の本来どうでも良い事をどれだけ面白く論ずることが出来るかということを楽しむ方が楽です。瀧本氏が、ディベートに馴染まないと挙げた「ペットは猫がいいか犬がいいか?」例がまさに、イギリス人の好むディベートなのです。これは、ピーター・ミルワード氏がその著書の中で述べていたことです(参考文献参照)。ユーモアのないものは、聞きたくないということです。アメリカ流の根拠となる資料や数字のオンパレードなんかは、ディベートとしてはつまらない。日本という国では、何でもアメリカ流で、わたしが述べたこのようなことからして一般的でなく、マイナーな意見と受け止められています。それゆえ英検のための勉強からは、やや外れてしまいます。アメリカ流、イギリス流どちらを採用するにしてもディベートでもユーモアが必要だという考え方があることを知って頂きとうございます。(2012年3月記)

高校生だけでなく、大学生にも
1997年の6月にタイム誌に掲載された高校卒業生向け(?)のスピーチです。本当は、一般読者の親に向けてではないでしょうか?

[ SPEECH FOR A HIGH SCHOOL GRADUATE]
By Roger Rosenblatt Monday, June 09, 1997
http://www.time.com/time/subscriber/article/0,33009,986505,00.html

独善に満ちあふれているかに装いながら、新しい世界に船出する高校の卒業生に優しく手向ける言葉です。

自分の洗濯物は自分でしなさい。
知識を得る事を勉強とは思ってはなりません。
毎日時間を割いて、美を学びなさい。
一日のうちに、何もせずに過ごす時を持ちなさい。
ジョギングも良いけど勝つことの出来るスポーツをたしなみなさい。

などなど、度肝を抜くような言葉が並んでいます。本文では、各アドバイスに数行分解説が続きます。原文は、上記のURLにございます。

指摘がありました。その原文は、購読者にしか公開されていないようですので、代わりにスピーチの抜き書きを示しておきます。

Do your own laundry.
Believe in institutions--governments, universities, families, all that.
Believe in institutions, but do not marry them.
Do not mistake knowledge for learning.
Spend some portion of each day studying beauty, in any form.
Spend some other portion of the day in idleness, ardent and blissful idleness.
At the same time, keep up your love of sports. Jogging is nice, but be sure to play something you can win.
If you find yourself in a fight, never strike first, but when you hit back, hit hard.
Eschew ideology. It leads to hysterics.
Avoid complaint.
Whatever you do in life, be sure to admire others who do it as well as or better than you.
A few endnotes: Vote, always vote.
Finally, arise early.
Goodbye, my boy.
(2012年5月記)

イギリス人を知る
「Watching the English: The Hidden Rules of English Behaviour」  Kate Fox 著
アメリカ人もイギリス人を理解したい時に読むというちょっと前のベストセラーです。ユーモアの大切さや階級によって人々の取る態度も言葉も服装も違うことが読みやすい英語で書かれています。何故か、他のイギリス人の書いた本よりも読みやすいのです。インフォーマルな単語も多く入っているようです。

例えば、イギリス人は、アメリカ大統領選挙戦で、政治家が宗教や主義主張を大真面目に語るのは、「いい加減にしてくれっ!!」と言うだろう。イギリス人は、真面目だけど全くの大真面目は、許さないと述べています。

While walking between the bookshelves in a library of the Medical School, one book caught my attention last week. The book is entitled “Watching the English”. Out of curiosity, I roughly read one fifth of it. The subtitle of the book is “The Hidden Rules of English Behaviour”. Kate Fox, the author states about the unwritten rules of the English people. Now I have some questions.

Humour is indispensible for the English. She says “Seriousness is acceptable, solemnity is prohibited. Sincerity is allowed, earnestness is strictly prohibited.” She also says English people are serious but not serious.

As one form of humour is understatement. But the understatment isn’t actually very funny --- or at least obviously funny, not laugh-out-loud funny, and definitely not cross-culturally funny. Then why do they keep this unwritten rule, if it is not so funny?

Example:Two Englishmen dined at a local restaurant. The food was inedible, the place was disgustingly filthy, the service rude beyond belief, etc., etc. “Oh,” said one of them, at the end of the tirade, “So, you wouldn’t recommend it, then?”

One chapter is saved for linguistic class codes.
Some words are used only by middle or upper classes. There are some words to distinguish the classes of the speakers: pardon, toilet, serviette, dinner, settee, lounge, sweet and so on.

I thought Britain is one of the most democratic countries. There are still classes which cannot be crossed by mere education. Why is it so?(2012年9月記)

資本主義のルール
ハード トーク BBCの辛口の真面目な対談テレビ番組

pod castがありますので、BBCから入手可能です。
[ Michael Woodford 28 Nov 12 2012 ]

オリンパスのchief-executiveになって、就任わずかで解雇された英国人、Michael Woodfordのインタビューです。オリンパスの過去十数年にわたる巨額の損失隠しについて語っています。初めてこのfraudを知った時に、ヤクザの関わりを恐れ、警視庁に出向かず、メディアに情報を流したそうです。もし、これがアメリカだったら、FBIに直ぐ告げたであろうと。日本は、まるでアリスの不思議の国だと本人は云っています。日本が好きで、寿司も好きで、オリンパスとの関わりも長いので、会社には忠誠心を持ってはいる。しかし、メディアの反応は冷ややかで、何も取り上げなかった。あろうことか、自身が解任されてしまいます。本人は、この損失隠しは、メインバンクも前任者もその周囲の人達も皆が関わっている出来事であると考えています。ENRONやLIBORのような酷いことは、アメリカでも日本でも起きる。でも日本は、資本主義のルールに従わない。メディアも何もしない。こんな痛烈な批判と非難をしています。結果としては、whistle blowerが叩かれたのだと。

BBCにとっては、話題の人物にインタビューをして、特別でない内容かも知れませんが、日本は資本主義のルールに従わないとハッキリと述べられると、我々はおよそ150年前の明治に開国したが、まだそんなレベルなのかと思ってしまいます。これは、多分今の資本主義が西洋由来であるからです。もっと極端に云えば、彼らからするとアジアの国々は資本主義のルールに従わない信用出来ない奴らだと。でも、本人も述べているように西洋でもENRON事件など似たようなことは、起きている訳で、対処をある程度欧米風に彼らの作ったルール通りにすれば、納得が行くのでしょう。しかし、それならば、そのルール作りに我々日本人が直接関わらない限りそのような批判はずっと受け続けるでしょう。我々が普通に考えることが、彼らも理解出来るように発信を続けなければと考える所以です。(2013年2月記)

期せずして全く同じことを云う方が現われました。
阿部首相施政方針演説 2013年2月28日
詰め込むカバンの中身が、技術、サービス、知的財産など多様化する現代では、活発でフェアな国際競争を確保するため、貿易や投資のルールを国際的に調和していかねばなりません。
わが国は、受け身であってはなりません。グローバルなレベルでも、地域レベルや2国間レベルでも、日本は、ルールを「待つ」のではなく、「創る」国でありたいと考えます。(2013年3月記)

ノーベル賞受賞者による座談会 その2
[ Nobel Minds 2012 ]

以前に書いたのは、2002年です。今回は、日本からは山中博士がBBC恒例の座談会に招かれての登場です。小柴博士が、英語が上手であることは書きましたが、山中先生はさらに上を行っていたように私は思いました。この座談会では、経済学も数学的モデルを使ったりするので、科学の扱いになっているようです。

さて司会者は、ノーベル賞を取るような学者でも失敗はするのかというところから切り出します。ice breakingです。まず、ガードン博士が、校長先生から「科学者になるのは、quite ridiculousだと云われた」という有名なエピソードを話します。2012年のノーベル賞受賞者の中には、高校を中退した者もいます。山中先生は、整形外科医としては、ダメだったので科学者になったと述べられました。話す速度は速過ぎるでも遅すぎるでもない、丁度いい位です。以前とは、隔世の感があります。大げさですが、日本も国際化したとの思いです。次に何故研究をするのかという話に移ります。面白いからというのが、全般的な答えです。英語だとcuriosityからだと云うことです。これで、場が整いました。

この後、市場と科学研究のあり方、資金とそれによる縛り、民間と公的機関などとの対立、研究の効率についての考えなど、山積する問題をおよそ45分で議論します。山中博士の発言は、計4回、ジョークも交えて申し分ありません。研究によって得た知見を独占(monopoly)することのないよう、広く世界の皆さんに活用していただきたいと、2回目の発言では言っておられたものの、実際にはiPS細胞の大事な根本の特許は日本だけでなく、世界で押さえています。3回目の発言で、日本においては地震予知の困難と福島原子力発電所のメルトダウンに至ってしまった科学盲信からの反省で、科学者に対して不信感があるが、信頼を回復するには、科学者が正直(honest)になるしか道がないだろうと述べておられました。最後の4回目の発言では、科学を推進するに当たって、政治家も科学的でなければという潮流に対しては、自分は科学においては、serendipity(思わぬものを偶然に発見する才能)を大事にしているので、良い政治家にはなれないと、ジョークで締めくくっておられました。今回は、nativeではなく英語も上手くないのに挑戦的に喋るといった癖のある話手がいなかったので、番組としては心地良い出来でした。(2013年3月記)

英語による発表 医学の症例検討会の場合
from Problem-Oriented Medical Diagnosis (Spiral Manual Series)
これは、特殊な発表例かも知れませんが、参考になります。例えば、"Someone undoubtedly will ask you for anything important that is missing from the bullet."という下りは、スピーチが完璧であると考えがちな我々にリラックスして臨むことが出来るという福音です。

A The bullet presentation is a quick, 1- to 2-minute summary, most often delivered on work rounds in the morning. It is to be considered a brief, orienting introduction to those members of the team who do not know the patient at all.
Outline of the bullet
1. Introductory sentence
2. CC and its duration
3. HPI
4. Medications
5. Physical exam findings
a. Give the patient’s general condition; e.g., good, fair, stable, dangerous, comatose.
b. State “vital signs stable” or report those that are not.
c. State definitive positive findings.
6. Pertinent positive laboratory tests
Be brief: if there are laboratory tests your team want to know about, they will ask.
7. Summary
If the case is complicated, give a one-to two-sentence summary.

B. General principles concerning the brief presentation
1. The presentation is a skeleton or framework that allows others to think about the person they are about to meet and the case intelligently.
2. Someone undoubtedly will ask you for anything important that is missing from the bullet. As long as the basic information noted above is given, you have done your job.
3.Speak decisively and distinctly.
4. Mention active and potential problems: this is the time that team members who cover the patients at night hear about them.

Sample bullet
I’ll present Mrs. Jones’s case formally during attending rounds but to give you all who haven’t met her a brief introduction; she’s a 55-year-old black seamstress with a history of well-controlled diabetes, hypertension, hyperlipidemia, and rheumatoid arthritis who entered complaining of weakness, cough, and a feverish feeling of 2-3 days’ duration. At home, she’s been on 80 units of NPH and 15 of CZI insulin per day, takes 50 mg of guanethidine per day, and is on Atromid-S qid.

On physical exam, she’s in good condition now with stable vital signs, a temp of 103V last night, a few rales in her right axilla, but nothing else on her last chest exam. The remainder of her physical exam was unremarkable.

Pertinent labs included a CBC with 12,000 WBCs without a left shift, gram-negative rods on an unspun urine (but no UTI symptoms), and a right lower lobe infiltrate on her chest film. In addition to her sputum contained polys and gram-positive diplococci. We think she has pneumonia, and she has begun to defervesce on 500 mg ampicillin IV every 6 hours.(2014年4月記)

Medical Case Presentation

bullet; 弾丸(の様に速い)
presentation; 発表、提示
bullet train; 新幹線、弾丸列車
deliver; (発表を)する
work round; 回診
orienting; 方向づけをする 
note card; 覚えのメモ
distillation; 蒸溜物(煮詰めたもの位の意)
outline; 概要
CC: chief complaints; 主訴
duration; 期間
HPI: history of past illness;既往歴
condense; 簡約する、凝縮する
include; 含める
resident;(病院住み込みの)研修医師
drone on; だらだらと低い声で続ける
summarize; 要約する
physical exam; 理学的検査 
finding; 所見
general condition; 一般、全身状態
fair; まずまずの
stable; 安定している
comatose; 昏睡状態の
vital signs;(脈拍・呼吸・体温など)生命徴候
pertinent; 関連ある
positive; 陽性の
laboratory tests;
brief; 手短な
summary; 要約
one to two-sentence;
principle; 原理、原則
concern; 関する
skeleton; 骨組み、概略
framework; 骨組み、枠組み
allow; を可能にする
person; 人物
intelligently; 知的に
undoubtedly; 疑いなく
missing; 抜けている
decisively; きっぱりと
distinctly; はっきりと
mention; 述べる
potential; 可能性のある
cover; に替わって様子を看る
noted above; 上述の
attending round; 出席している、出ている回診
seamstress; 針子
well-controlled; 良く管理された
diabetes mellitus; 糖尿病
hypertension; 高血圧
hyperlipidemia; 高脂血症
rheumatoid arthritis; リウマチ
feverish feeling; 熱感
NPH; 中間型インスリン
CZI; 結晶性亜鉛インスリン
insulin; インスリン
per day; 一日一回
guanethidine; グアネチジン
Atromid-S; アトロミド
qid; 一日4回
temp temperature; 体温
F: Fahrenheit; 華氏
rales; ラ音
axilla; 脇、腋窩
remainder; 残りのもの
unremarkable; 平凡な、特になし
pertinent lab; 関連検査結果
CBC; 血算
WBC; 白血球数
left shift; 左方偏位
gram-negative rods;グラム陰性桿菌
unspun; 遠心分離していない
UTI; 尿路感染症
right lower lobe; 右下葉
infiltrate; 浸潤
chest film; 胸部X線写真
sputum; 痰
contain; 含有する
polys; 多核形白血球
gram-positive diplococci;グラム陽性双球菌
pneumococcal; 肺炎球菌による
pneumonia; 肺炎
defervesce; 解熱する

米国の思惑
ニューヨーク タイムズからの抜粋
U.S. STRATEGY PLAN CALLS FOR INSURING NO RIVALS DEVELOP By PATRICK E. TYLER, Published: March 8, 1992

これを読めば、米国は日本を軍事上弱小国家に留める政策を取っていると理解出来ます。そして、集団的自衛権を発揮する極東における日本の利用価値は認めるものの核武装は決して許さないと云う姿勢です。実に、冷戦終了後1992年のシナリオが、たった今現実のものとなって行く訳です。それは、やっと日本がnormal countryになりつつあるとBBCも伝えています。

(略)
The document was provided to The New York Times by an official who believes this post-cold-war strategy debate should be carried out in the public domain. It seems likely to provoke further debate in Congress and among America's allies about Washington's willingness to tolerate greater aspirations for regional leadership from a united Europe or from a more assertive Japan.

(略)
Implicitly, the document foresees building a world security arrangement that pre-empts Germany and Japan from pursuing a course of substantial rearmament, especially nuclear armament, in the future.

(略)
In its opening paragraph, the policy document heralds the "less visible" victory at the end of the cold war, which it defines as "the integration of Germany and Japan into a U.S.-led system of collective security and the creation of a democratic 'zone of peace.' "

(略)
Nuclear proliferation, if unchecked by superpower action, could tempt Germany, Japan and other industrial powers to acquire nuclear weapons to deter attack from regional foes. This could start them down the road to global competition with the United States and, in a crisis over national interests, military rivalry.

[ U.S. STRATEGY PLAN CALLS FOR INSURING NO RIVALS DEVELOP ]
(2014年7月記)

イーダ(ポーランド映画)
異色の映画です。日本でも「風立ちぬ」や「永遠の零」など、戦争のある側面がかつて語られなかった視点から語られるようになりました。時代が変わりつつあるのでしょう。英語で書いてみました。

IDA, Polish film

I have watched a recent Polish film entitled IDA. The film comes to your town in turn after release in the major cities on August 2. It will be shown, for example, in Kobe from September 13 and in Okayama from October 25.

It was shot in black and white. The story was set in a Polish countryside in 1962 under the communist regime. There is not much accompanying music to the film. The layout of the protagonists in the screen appeared old fashioned with many distant scenes. And the heroine is a novice. Who will watch such a film? I did, out of curiosity.

Plot (excerpt from letterboxd.com)
Poland, 1962. Anna is a novice, an orphan brought up by nuns in a convent. Before she takes her vows, she is determined to see Wanda, her only living relative. Wanda tells Anna that Anna is Jewish. Both women embark on a journey not only to discover their tragic family story, but who they really are and where they belong, questioning their religions and beliefs. (Excerpt ends here.)

The reviews are divided. Some say it is a masterpiece. Some, not many, say it is boring. If it is boring, then why did it receive so many Polish attendants back in the director’s mother country? In 1960s, there were many untold stories, which were war related. Some had to be kept as secrets in closed circles. One of them was the whereabouts of disappeared Jews during WWII. After fining the truth, two women reacted differently. One was not able to bear the weight of the truth. The other accepted the truth and began to build a new way of life, which may be objectionable from a religious viewpoint. In a form of a film after more than half a century since the WWII at last, the time has come when untold stories are unveiled. Knowing the truth is harsh but far better than not knowing it at all.

“Ida”: A Film Masterpiece By David Denby From Newyorker

MOVIE REVIEW: Boring story renders 'Ida' uninvolving The story of a Polish nun discovering the truth about her past suffers from a weak script.

(2014年9月記)

ウィークエンドはパリで(イギリス映画)
題名に騙されてはいけません。ありきたりのラブロマンスでもありません。主人公は若いカップルではなく年老いた夫婦で、新婚旅行以来30年振りのパリへの小旅行の話です。この夫婦は、パリに何をしに来たのかと思う位最初から言い争っております。10年前なら、このような映画は観なかったと思います。しかし何故か、映画評を読んで、観てみたくなったのです。わたしも歳をとったのでしょう。人生はアメリカ映画のように単純でなく、辛く、悲しく、楽しくもあることを多分描こうとしています。そこが、ヨーロッパ人の面目躍如。コメディーに仕上げています。

Le Week-End, a British film with a French title

I happened to read about this film in a weekly magazine and had a chance to watch on the Net. It is about a British couple who have revisited Paris for the first time in 30 years after their honeymoon. If you read this beginning of the story, you perhaps think it is a love romance of a nice couple staying weekend in Paris, whose affection to each other has not faded at all. Then, you fall in the director's trap. No, it is not. I never thought I would watch a film of an old couple with bitter aspects of marriage, although I realised that the period of my marriage is getting closer to theirs. Don't worry, it is comically described with well performance of the protagonists. You will have mixed feelings towards their married life but you will also find it interesting. The script writer has got a Japanese name, Kureishi. I thought I found another Japanese English writer like Kazuo Ishiguro but the truth is he is half British and half Pakistani.

A Getaway Unravels the Ties That Bind
Paris Can’t Heal the Old Hurts in ‘Le Week-End’

(2014年9月記)

追憶と、踊りながら(イギリス映画)
Lilting
a British film awarded in Sundance Film Festival in 2014

I usually do not watch this kind of film. I happened to spot this, perhaps because it dealt with culture and language.

Suppose that you are an elderly person living alone in a home for the elderly and suddenly have a visitor who says that he is a close friend of your son, do you believe him? If you are told that your son past away and was a gay soon after you met him, do you still believe him? This film describes an old lady’s agony or stubbornness of not assimilating into the British community. She emigrated to UK with her husband when she was young but she has been so indifferent to other culture that she did not learn English. If she understood British customs and language, she did not have to live alone. Her son tried best to confess his sexuality to her but he got killed in a traffic accident on the day before he intended to tell her the truth. The son’s closest friend, actually the partner, hired a Chinese interpreter for her because even living in the nursing home, she had a boy friend who tried to overcome the language barrier for her. There might be another married life for good. She ruined them all unconsciously.

What is this stubbornness? This might be the origin of energy for one’s life when the things are going well but there is a time everything goes wrong. If only she could have improved her awkward interpersonal relationship through English a little, she could have lived a happier life.

Oh, I almost forgot to mention that there is not any humorous conversation in this film. This is so un-British.
(2015年7月記)

イングリッシュネス(Kate Fox著)
実はこの本、このコーナーで2012年の9月に紹介していたものです。訳本が昨年末に出版されました。全部読まなくても、イギリス人がどういった特徴を持った人々であるかは、理解しておく価値があります。 (2018年5月記)

Teach Your Child How to Think written by Edward de Bono
後から分かったのですが、作者は水平思考の創始者でありました。道理で、分りやすく目からうろこが落ちるような説明が続く訳です。子供に考え方を教えるということですが、どうしてどうして大人が読んでも十分過ぎる内容です。イギリスでは、この本を基にした考えるクラブがあちこちにあり、個人の家庭で老若男女を問わず考え方を磨いているようです。Kindleでは、安価な1200円で販売されており、嵩張らず気軽に読めてしまいます。内容は、大変重要です。英検にも役立ちます。 (2018年5月記)

9 目指せ英検0級!ー「廻り道の英語」のその先は?

以前、「廻り道の英語」(7章の冒頭です)にも書きましたように、英語で考えないと、本当に英語をマスターすることは出来ないと中学の時に感じました。以下は、初めて英語で考えることが出来た時の記憶です。

Thinking in English

When did you start thinking in English?

One day, I asked one of my classmates at school, a returnee from the states, “How can I be fluent in English?” He replied, “Think everything in English. Try.” Of course, this conversation took place in Japanese. I wondered how I could think in English.

A week later, that moment came. I was on a train on my way home. I said to myself very slowly in English, “Now, I am looking out of the window. The sky is blue. There are trees. The leaves are green. What I see there is a kindergarten. Wow, I am thinking in English!” I felt rejoiced.

I was fortunate to have such a bilingual classmate. We learnt English from native speakers since our school was run by a foreign mission. They taught us the most important was the English word order. To speak in English was to choose appropriate elements according to the word order and say aloud. It should be simple as that. It was not so simple because my vocaburary was limited. I recognised that there is a flow of words, which can be mastered only through experience. I decided to use an English dictionary. From that on, I emersed myself in English.

I am a qualified English tourist guide now, though I work as a physician-scientist. Thanks to my English skill, my world has become doubled. I still have been struggling with differences between Japanese and English/Western ideas but that is another story.

English education is now mandatory at elementary school from 2020. No body taught me how to think in English at school. I hope pupils who want to become fluent in English will be taught by teachers, who are able to think in English.


a waving cat

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お手紙はこちらへ。hersheytheman@yahoo.co.jp

<目指せ英検1級!---終わり>