法然上人御遺訓・一枚起請文。

         一枚起請文
もろこしわがちょう                   ちしゃ たち    さ た    もう        かんねん
唐土我朝にもろもろの智者達の沙汰し申さるゝ観念
                      また がくもん        ねん  こころ   さと      もう
のねんにもあらず。又学問をして念の心を悟りて申
   ねんぶつ             ただおうじょうごくらく   ため      な む  あ み  だ ぶつ
す念佛にもあらず唯往生極楽の為には南無阿弥陀佛
  もう                       おうじょう          おもい  とり     もう 
と申してうたがひなく。往生するぞと思ひ取りて申
   ほか     べつ   しさいそうら         ただし   さんじんししゅ     もう   こと 
す外には別の仔細候はず。但し三心四修と申す事の
そうろう みなけつじょう      な  む あ み だ ぶつ      おうじょう          おも 
候は皆決定して南無阿弥陀佛にて往生するぞと思う
              そうろう       この   もか        ふか   こと  ぞん
うちにこもり候なり。此の外におく深き事を存ぜば
 にそん                        ほんがん       そうろう      ねんぶつ  

尊のあはれみにはずれ本願にもれ候べし。念佛を
しん      ひと          いちだい   ほう   よくよく がく   とも   いちもん  ふ ち
信ぜん人はたとひ一代の法を能々學す共。一文不知
   ぐどん     み         あぞんまにゅうどう   む ち               おなじゅ
の愚鈍の身になして尼入道の無知のともがらに同う
      ちしゃ                               いっこう        ぶつ  
して智者のふるまひをせずしてたゞ一向にねん佛す

べし

    しょうのためにりょうしゅいんをもってす    
  爲 證以 両手 印

じょうどしゅう    あんじんきぎょう      いっし    し ごく         げんくう   しょぞん
浄土宗の安心起行この一紙に至極せり。源空が所存
 この         まった   べつぎ                めつ ご   じゃ ぎ 
此のほかに全く別義をぞんぜず。滅後の邪義をふせ
               しょぞん   しるし 
がんがために所存を記しおわんぬ

けんりゃくにねんしょうがつにじゅうさんにち    だいし ざい ご はん
建暦二年正月廿三日 大師在御判

平等思想の浄土宗

 法然上人が今から800年余り前の承安5年(1175)に開いた浄土宗は、阿弥陀仏の平等のお慈悲を信じ、「なむあみだぶつ」と御名を唱えて、人格を高め、社会のために尽くし、明るい安らかな毎日を送り、そして「往生(西方極楽浄土に生まれること)」を願う信仰である。
 一般庶民にとっても、仏は帰依(きえ)すれば、必ず救いを与える尊いもの。貴族だけのものだった当時の旧仏教の中にあって、平等思想を根元とするこの教えを打ち立てた上人は、中世の人権思想の革命者でもあった。
 あまねく大衆が必ず佛の救済を受け、平和な毎日を送り、浄土に行くことができる。この「他力」の新しい教えは、たちまち日本中の人々の共感を生むが、一方で旧勢力からのいろいろな迫害や苦難も続く。
 しかし、上人はこの教えの存続を固く決意し、南無阿弥陀仏を唱えるところに必ず救いがあり、その教えを万人に伝えるのが自分の役目だと申され、その強い信念を不変のままに生涯を過ごされた。
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【正しい焼香の仕方
 正面に向かい、親指、人差指、中指の三指で香をつまみ、上に向けると同時に左の手で受け、頭の上に持っていく。焼香は一回でよく、そのとき左手は膝におく。焼香のときは、鐘をたたかなくてよい。