虎頭要塞日本側研究センター 運営指針
1.
第二次世界大戦最後の激戦地である虎頭要塞は、戦闘に散った日中露三国諸国民の鎮魂と恒久平和を願う兵士による、半世紀にわたる執念の記録作業と、虎頭戦友会の継続的な友好活動から、世界的に知られることになった。その後、三国の広範な人々の共同の努力で、その成果は虎頭要塞遺址博物館の建立と周辺諸国の平和友好交流という成果に結実している。
2.
このようななかで、関東軍国境軍事要塞群研究の端緒となった虎頭要塞の全貌と、戦没者・戦争体験者の声を正しく伝えるために、当センターは設立された。
当センターは要塞を単にモノとしてみるのではなく、要塞に散った諸国民・兵士の心の声を、真に誠実をもって後世に伝えようとする想いの人々によって自主的に運営されるものである。とりわけ、当センターは、要塞の歴史的事実を、未曾有の困難を乗り越えて明らかにした故・岡崎哲夫氏が主張した精神性と不偏不党の立場を運営基準としている。
Webサイトもまたこの趣旨に賛同する人々によって運営される。この間の虎頭要塞に関する研究成果は様々な立場や考え方を越えて集まった多くの誠実と善意に恵まれる市民・国民の共同の成果であることを宣言する。
3.
当センターの取り扱う分野は、日中間の歴史問題に関わる部分が多々あるため、様々な思想信条が交差しうる。しかし、歴史の真実を究明する作業は、一般市民が努力して積み上げてきたものであり、特定のイデオロギーや党派とは無関係に実施されるものである。政争の具にしてはならない。もっとも醜悪で警戒すべきなのは、見かけ上の「平和」や「友好」の言辞に隠れて、実は党派的影響力の拡大・個人的売名諸々のために市民の共同作業を私物化しようとする傾向である。2001年以降、当センターは、日中共同調査活動及び国内活動の両面で、この点に関する抜本的な整理整頓を行った。
共同作業では、謙虚さが不可欠である。多国間の友好活動に最も必要なのは陳腐でありきたりなスローガンではない。友好とは国内外を問わず相手のある活動であり、お互いの価値観を共有しあう、息の長い繊細な慎重さ、そして偏狭な思想を越えた広い社会的視野が必要な分野である。関与する個々人の人間性こそが決定的な要素である。人間としての常識的モラルを維持できないものは、いかにイデオロギーで偽装しようとも、「平和や友好」とは無縁である。また思想的言辞でもって非常識性を糊塗しつつ、市民活動に介入寄生し、乗っ取りを企図するような、集中的支配を志向する党派的傾向も排除する。学術団体を装った党派系フロントに関してもしかりである。
当センターは、独善を排し、謙虚な精神と、ごく常識的な社会的節度及びモラルを運営基準にする。そして、特定の思想に偏らない真に広範で良識ある専門家と一般日本人が、虎頭要塞等の大陸における軍事遺構と歴史研究交流に参加できるように、活動の中立性、バランス性をなにより重視する。その上で、中国・日本・ロシア・朝鮮半島など東アジア諸国の平和友好と文化経済交流の促進に資するために活動する。
(なお当センターは、故・岡崎哲夫氏の強い遺志により、「戦跡考古学研究会」を称するグループの代表者とは一切関係を絶っております。あらかじめ、ご了承下さいませ。)
以上
JAPANESE CENTER OF RESEARCHING KOTOU FORTRESS
虎頭要塞日本側研究センター
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