森永給食ミルク飲用後に異常訴え
2024年
(令和6年)4月25日 宮城県で発生
26日現在で少なくとも590人の児童生徒が異常訴え[NHK26日]
拡大660人へ[朝日26日] 更に拡大681人へ[読売26日]
更に820人へ
[tbcテレビ5/1]
 一時1000人超の報道も

仙台市教委、半ば強引に再開

 その後「飲用拒否」の意思表示をした大勢の父兄をよそに、仙台市教委は業者を入れ替えず、5月17日、引き続き森永での再開に踏み切った。その強引さには、さすがに地元紙の『河北新報』もこう書いている。「…原因が特定されないにもかかわらず、約3週間で再開に踏み切った仙台市教委の姿勢に疑問の声も上がる。 ある教委の担当者は『仙台市保健所からも森永からも何も説明がない。本当に大丈夫なのかという不安はある』と漏らした。」(『河北新報』2024年5月14日14面)

今どきあり得ない対応
 保健所の検査で原因菌が検出されなかったといっても、(保健所の能力の低下か、検査方法の弱さかは別にして)要するに「原因が不明であいまいな状態」には変わりがない。
 その「原因不明」をあえて前提として、同じメーカーの牛乳を児童生徒に再開するのは、今どき、だれが考えてもあり得ない措置である。
 常識的には、業者の入替を最優先にすべきだが、現地からの情報をみていると、「大規模な数量ゆえすぐに他社に置き換えるのは難しい」とか「早く牛乳のみたいと児童」と言ったわざとらしいキャンペーンが一部メディアで先行的に流され、「森永で再開ありき」の空気が初めから醸成されているフシがある。

「牛乳限定3人検食体制、官能検査の概念を越えて事実上の“御毒見役”配置」
 検食は通常のことだが、初めから森永という特定銘柄商品が再度異常を起こすかもしれないと想定して戦々恐々としながら、学校内に通常の校長による検食以外に牛乳限定でプラス2人の教員(計3名体制)に検食させる体制を敷いている。(『河北新報』2024年5月14日報道)
 一見、通常の検食の形式を拡大しているようにも見えるが、意味合いは全く異なる。児童に、再度危険が及ぶかもしれない認識をもちながら、あえて同じ製品を早期に再開する…。これが当館の指摘する「事実上の『お毒見役付き給食体制』」である。
 問題は森永乳業の製造・出荷体制をしらべ尽くせていない行政側にあるのだが、何かの事情を優先して、不明と結論づけてしまう。今全国で発生している問題にも通底するが、対象は、膨大な規模の児童の身体的安全である。
 同じ森永牛乳を早期に再開した現地教育委員会の姿勢は、それ自体が矛盾であり「奇怪」である。江戸時代と見まがうような泥縄対応のお話である。
 今後の現地の動きを注視していきたい。
また、森永での再開に関しては、他にもあんぐりするような一部メディアによる地ならしが行われた。後日掲載したい。
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森永乳業の給食ミルクで異常訴え
[東北]
2024年4月25日
26日現在で少なくとも590人の児童生徒が体調不良
NHK報道を転載する。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240426/k10014434111000.html

宮城県内の小中学校 給食の牛乳飲んだ児童生徒が下痢や腹痛
2024年4月26日 20時30分 NHK
25日、宮城県内の小中学校の給食で出された牛乳を飲んだあと下痢や腹痛などの体調不良を訴える児童や生徒などが相次ぎ、NHKが自治体に取材したところ県内で少なくとも590人に上っています。
牛乳を製造した業者は学校への提供を停止し原因を調査しています。

NHKが各自治体に取材したところ、宮城県内では25日、9つの市と町の小中学校75校で、給食に出された仙台市の東北森永乳業が製造した牛乳を飲んだあと、下痢や腹痛などの体調不良や味の違和感を訴える児童や生徒などが相次ぎました。
体調不良を訴える児童・生徒などは少なくとも590人に上っています。
このうち、仙台市教育委員会によりますと、市内の39の小中学校で児童・生徒合わせて337人が腹痛などの体調不良を訴えたということです。
入院するなど症状が重い児童・生徒はおらず仙台市によりますと牛乳が原因かどうかは分からないとしています。
各自治体では、体調に変化があった児童や生徒がいた場合は、すぐに連絡するよう学校に伝えているということです。
今回の事態を受けて東北森永乳業は26日から学校への牛乳の提供を停止しているということで、会社側が原因を調べています。

腹痛訴えた生徒「クラスの半分くらい『変な味』と話す」
 25日、仙台市内の中学校の給食で牛乳を飲んだあと腹痛を訴えた男子生徒はNHKの取材に対し、「牛乳を飲んで3、4時間たったあと、友人と遊んでいた際に急におなかが痛くなり、トイレにいったら下痢の症状でした。牛乳を飲んだとき、温度はいつもどおり冷たかったですが、バターを入れたクリームのような味がして変だと思いました。でもクラスのみんなが普通に飲んでいたので、そのまま全部飲みました」と話していました。
生徒はトイレに行ってまもなく腹痛はおさまり、現在は回復しているということです。
26日の学校での様子について「クラスの同級生の中にきのうの夜になっておなかが痛くなった人もいました。牛乳の件が話題になると、クラスの半分くらいが『変な味だった』と話していて今回のことで牛乳を飲むのが怖いという人もいました」と話していました。

森永乳業「大腸菌など異常なく味や香りなど検査も正常」
東京に本社がある森永乳業によりますと、今回、牛乳を出荷した仙台市の東北森永乳業はグループ会社で、牛乳は、仙台市宮城野区の本社で製造し、宮城県内の学校に提供していたということです。
森永乳業では、「味がおかしい」などと連絡を受けた学校から一部の牛乳を引き取って成分などを検査したところ、大腸菌などの数に異常はなく、味や香りなどの検査も正常だったということで、詳しい原因はわかっていないとしています。
NHKの取材に対し、森永乳業の担当者は「このたびはお客様に心配をかけて申し訳ない。今回の牛乳は、学校給食向けに製造したもので、一般の店舗には流通していないが、現在調査中なので原因究明に努めていく」と話しています。

仙台市の保健所 工場に立ち入り調査
仙台市によりますと、市の保健所は、食品衛生法に基づき、東北森永乳業の宮城野区にある工場に、25日から立ち入り調査を行ったということです。
26日午後も、担当者5人が工場で調査を行い、殺菌や冷蔵など、牛乳を出荷するまでの各工程で温度や衛生の管理が適切に行われていたかなどを調べたということです。
市では、26日までの調査をもとに、今後の対応を検討したいとしています。

【詳しく】体調不良訴え 9市町の75校 少なくとも590人
NHKが各自治体に取材したところ、25日の給食で牛乳を飲んで体調不良や味の違和感を訴えている生徒や児童などがいる学校は少なくとも宮城県内の9つの市と町の75校でした。また、体調不良を訴える児童・生徒などは少なくとも590人に上っています。
自治体でみますと、▽仙台市▽岩沼市▽角田市▽名取市▽塩釜市▽多賀城市▽丸森町▽山元町▽亘理町の9つの市と町です。
このうち仙台市では、牛乳を飲んだ複数の児童生徒から「いつもと味が違う」などと訴えがあったということです。
市の教育委員会が確認したところこれまでに市内の39の小中学校で、児童・生徒合わせて337人が腹痛などの体調不良を訴えたということです。
入院するなど症状が重い児童・生徒はおらず、市によりますと牛乳が原因かどうかは分からないとしています。
このほか腹痛などの体調不良を訴えているのは、
▽山元町では5つの小中学校で、教員1人を含む少なくとも83人、
▽名取市では9つの小中学校で21人、
▽角田市の3つの小学校で少なくとも5人、
▽塩釜市の少なくとも3つの小中学校で35人、
▽亘理町の3つの小中学校で9人です。
また、
▽岩沼市では3つの小学校でおよそ100人が体調不良を訴えていたほか、5つの中学校でも味の違和感を訴えている生徒がいたということです。

さらに、
▽多賀城市でも2つの小学校で体調不良を訴えた人がいましたが、具体的な人数などは把握できていないということです。
▽丸森町では3つの小中学校で複数の児童生徒が牛乳の味がふだんと異なると訴えましたが、いずれも体調への影響は確認できていないということです。


【コメント】
 森永乳業については、この数年間、社内でのモラルハザードがたびたび伝えられていた。森永本社はコロナ自粛期間中に大ゴルフ大会をし、厚労省職員も参加する「ひかり協会」を通じて被害者と接触する可能性のある渉外部長も参加していた。森永乳業の内部告発者は、「森永ひ素ミルク中毒の被害者を守る会」へ告発したが「当社からおだてられて調子にのっている」のでどうしようもない、と2022年に当資料館へ告発をしてきた。
 この問題で森永ヒ素ミルク中毒事件資料館は岡山県政記者クラブで記者会見を開催し、関係の深い厚労省に公開質問状を送付し森永乳業の杜撰な管理体制をただしたが、同省は未だ回答を拒否したままだ。森永は、メディアにも不遜な態度で臨んでいた。
 森永乳業社内からは怒りと悲鳴が上がり、解雇リスクをとって社員が内部告発へと踏み出しているのに、一部経済誌以外のメディアは一切が沈黙した。わざわざ資料館までやってきて「スポンサーのことは書けません」と悪びれもせず口にする地元紙の記者もいた。
 森永ミルクを学校給食に出していた自治体の神経も疑うが、それよりなにより、児童生徒の予後が心配される。まずケアをしっかりすることはもとより、行政の監督機関が強制力でもって捜査し、証拠保全を含めて厳格な対応をすることを期待する。
 いずれにしても、仙台市保健所は、とりあえず迅速に立ち入り検査をして正解であった。1955年、保健所への通報を怠った岡山大学医学部教授の浜本英次教授(同教授は、直後から阪大の西沢教授とコンビを組み、後遺症を否定する診断基準を厚生省に申請、その後14年間、被害児の後遺症への追跡を封殺した。日本初の御用学者である。)より、はるかに正常な対応である。

【関連ページ】
2022年04月26日
森永乳業幹部の新型コロナ感染危険行為に抗議する。
http://morinaga-hiso.blog.jp/archives/1079897655.html
今度は森永製菓で製品事故〜乳業の連続死亡労災からわずか23日
http://morinaga-hiso.blog.jp/archives/1061075310.html
とまらない…森永の製品事故 / 電通に強制捜査11/7
http://morinaga-hiso.blog.jp/archives/1061099261.html
ずさん…森永乳業の12万人顧客情報流出
http://morinaga-hiso.blog.jp/archives/1070848533.html
大腸菌が混入か…森永乳業が「トリプルヨーグルト」自主回収 
東京都や群馬県、埼玉県など1都8県の1870個
https://nordot.app/899994723309666304
森永ミルク事件の今も続く不正
http://morinaga-hiso.blog.jp/archives/1058436809.html


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能瀬英太郎編纂
昭和52年(1977)2月28日発行





序論 岡崎哲夫 PDF:926KB  
NEW 運動編 第一章 守る会・光を求めて20年 岡崎幸子 PDF:2.43MB
NEW 裁判編 第一章 刑事裁判 PDF:1.29MB

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