森永ヒ素ミルク中毒事件─終わらない闇 
森永乳業の「現状」について。

乳業4社の7人 県警が書類送検
朝日新聞 2012年09月14日
◇防衛医科大談合事件/入札妨害容疑
 防衛医科大学校病院(所沢市)発注の粉ミルクの入札を巡る談合事件で、県警は13日までに、入札に参加した乳業会社4社の営業担当者計7人を競売入札妨害などの疑いでさいたま地検に書類送検した。7人は容疑を認め、「談合は長年の引き継ぎ事項だった」と話しているという。
 捜査2課によると、担当者が書類送検されたのは明治と森永乳業、ビーンスターク・スノー、アイクレオの4社。7人はいずれも男の営業担当で、防衛技官の土橋義広容疑者(56)と共謀し、2010年3月〜11年9月、病院発注の粉ミルクの一般競争入札の際、4回にわたって談合し、落札業者を決めた疑いがある。
 県警は、談合の結果、民間病院に納入される価格相場を大幅に上回る価格で落札し、不当に利益を上げていたとみている。
http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=11000001209140005
【論評】

防衛医大関係者、粉ミルク談合容疑で逮捕。
埼玉県警が、森永乳業を家宅捜索。
2012.8.30

防衛省まで手玉に取る、森永乳業の体質
 粉ミルク業界と省庁の醜いゆ着が明白になった。しかも防衛医大の購買担当を抱き込んでいたことが疑われている。国の防衛を預かる部門を篭絡し価格を数倍にまで吊り上げるとは、低次元の倫理感覚に開いた口がふさがらない。このような企業が赤ちゃんの口に入るものを作っていること自体、由々しき問題だ。

陸自警務隊が警察へ通報
 陸上自衛隊警務隊からの告発で捜査機関が動き、粉ミルクメーカーの森永乳業が家宅捜索をうけるとは砒素ミルク事件以来の不祥事。雪印食中毒事件の際、自画自賛の雑誌対談をしてみせたが、なんのことはない一皮むけば「談合」で「団子」だ。
 私益の為には自衛隊の内部秩序をも破壊する。その重大性ゆえ警務隊が動いたと見える。当然だ。国家機構までをも私物化してはばからないこの悪徳の習性は、1955年以来なんら変わっていないようだ。毎日新聞では、森永乳業への家宅捜索が筆頭で報道された。同社が深く関与していることが推測される。

粉ミルクで赤ん坊を大量殺戮した挙句、同じ粉ミルクで今度は談合
 もし森永が1955年の乳幼児大量毒殺事件を真摯に反省しているならば、このような談合に果たして関与できるだろうか?同企業は、砒素事件さえも中間管理職に責任をなすりつける様な発言を最近になって雑誌上で展開している。順法精神云々以前に、すでに犯した大量殺傷犯罪に対し、誠実な自己内省の気風が社内にあるのか、大いに疑問である。
 すでに日本消費者連盟も日本の粉ミルクメーカーの体質について厳しい指摘をしている。ちなみに現・ひかり協会の理事長は元防衛参事官らしい。

約30年にわたり仕切る
 2012年8月29日付け中日新聞の朝刊によると、この防衛技官は約30年にわたり食品関連の入札業務を仕切っており、埼玉県警捜査2課は過去の談合と見返りの有無について調べている。4社の担当者も事実関係を認めているという。

粉ミルク談合事件 報道
第一報 2012年8月28日報道
防衛医大栄養士の男、粉ミルクの談合容疑で逮捕
読売新聞 8月28日(火)23時58分配信

埼玉県警捜査2課と所沢署は28日、同県所沢市泉町、防衛技官で防衛医科大学校病院事務部医事課栄養士の土橋義広容疑者(56)を競売等妨害(談合)、公契約関係競売等妨害の容疑で逮捕した。
 発表によると、土橋容疑者は2010年3月下旬〜11年9月下旬に計4回行われた粉ミルクの売買単価契約の一般競争入札で、入札前に、粉ミルク製造販売会社4社の担当者に対し、文書や電話で価格を教え、特定の業者に落札させるよう談合した疑い。刑法の公契約関係競売等妨害罪は、11年の法改正で、それまでの競売等妨害罪に代わり設けられた。
 土橋容疑者は約30年前から栄養士として同病院に勤務し、食品などの入札事務を一手に担当。粉ミルクの入札は半年に1度行われ、06年頃から現在の4社が順番に落札するようになったという。県警は、同時期頃から談合が始まったとみて4社の担当者6人からも任意で事情を聞いている。
 県警は今年5月、陸上自衛隊警務隊から情報提供を受け、捜査を進めていた。
 調べに対し、土橋容疑者は「間違いありません」と容疑を認めているという。

 防衛医科大学校の三浦総一郎校長は「誠に遺憾で、深くおわび申し上げる。事実関係を調査し、厳正に対処する。全ての職員に対して規律の保持を強く指導し、再発防止に努める」とのコメントを出した。
最終更新:8月28日(火)23時58分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=
20120828-00001670-yom-soci

防衛医大の技官 談合容疑で逮捕
朝日新聞  2012年08月29日

◇業者に落札価格を指示
 防衛医科大学校病院(所沢市)発注の調製粉乳の入札をめぐり、業者に落札価格を指示して談合させたとして、県警は28日、防衛技官の土橋義広容疑者(56)=同市泉町=を競売入札妨害(談合)などの疑いで逮捕し、発表した
 県警は、入札に参加した乳業会社の明治(東京支社)と森永乳業(東京支社埼玉支店)、アイクレオ(首都圏支店)、ビーンスターク・スノー(首都圏北営業所)の担当者計6人について、共犯容疑で書類送検する方針。
 捜査2課によると、土橋容疑者は2010年3月〜11年9月、病院が調整粉乳を一般競争入札した際、4回にわたって入札参加予定の 業者に落札価格を電話などで指示。業者らに談合をさせていた疑いがある。
 調整粉乳の納入業者は半年ごとに入札で決める仕組みになっており、この4社は5、6年前から順番に落札していたという。同課は、医事課に所属し、入札業務を仕切っていた土橋容疑者が受注業者を調整していたとみて調べている。

http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=
11000001208290008

防衛医大の事件 実質官製談合か
朝日新聞 2012年09月01日
◇全社に応札額指示
 防衛医科大学校病院(所沢市)発注の粉ミルクの入札を巡る談合事件で、競売入札妨害容疑などで逮捕された防衛技官の土橋義広容疑者(56)が、すべての入札参加業者に応札額を指示していたことが捜査関係者への取材でわかった。県警は業者への指示文書を押収しており、実質的な官製談合だったとみて、業者側から見返りがなかったかについても調べを進めている。

 捜査関係者によると、土橋容疑者が主導的に談合に関わり始めたのは、明治、森永乳業、ビーンスターク・スノー、アイクレオの乳業会社4社で入札が行われるようになった2005年以降。落札予定の業者には落札額を示す一方で、残りの3社にも落札額を上回る金額で応札する指示をしていたという。

 談合の指示は、事務所に文書を郵送したり、担当者に直接電話をしたりする方法だったといい、4社は土橋容疑者の指示に従って順番で落札し続けていた。
http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=
11000001209010003


<粉ミルク談合>
落札のたび価格上昇

毎日新聞 8月30日(木)2時31分配信

 防衛医科大病院(埼玉県所沢市)の粉ミルクの一般競争入札を巡る談合事件で、4業者が順繰りに落札していた粉ミルク1キロ当たりの単価が、落札のたびにつり上げられていたことが捜査関係者への取材でわかった。埼玉県警は29日午後、4業者の各支店・支社や営業所を談合の疑いで家宅捜索した。
 捜査関係者によると、10年3月にアイクレオ首都圏支店が落札した単価は1キロ当たり1100円だったが、同9月は明治乳業東京支社の1200円、11年3月は森永乳業東京支社埼玉支店の1250円、同9月はビーンスターク・スノー首都圏北営業所の1280円と徐々に上がっていた。
 28日に談合の疑いで逮捕された同病院栄養士で防衛技官の土橋義広容疑者(56)は「05年ごろから談合していた」と供述しているが、当初の落札額は1キロ当たり200〜300円だったという。単価は落札のたびに「一度も下がることなく上がり続け」(捜査幹部)、当初の数倍になっていた。
 県警は、土橋容疑者と業者が共謀して単価を徐々につり上げ、業者に有利な価格で落札させて公正な価格を害したとみている。土橋容疑者は約30年にわたり入札業務を担当していたといい、業者から見返りがなかったか調べる。【田口雅士】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=
20120830-00000012-mai-soci
 埼玉県警、森永乳業を家宅捜索
防衛医大病院の粉ミルク談合:防衛技官、05年以前から「3社で」 病院、不正見抜けず/埼玉
毎日新聞 8月30日(木)12時14分配信

 所沢市並木の防衛医科大病院の粉ミルク入札を巡る談合事件で、05年ごろにアイクレオが一般競争入札に参入する以前についても、防衛技官の土橋義広容疑者(56)=談合の疑いで逮捕=が「3社で落札の順番を回していた」と説明していることが29日、捜査関係者への取材でわかった。05年以前から談合があったとみられ、不正を見抜けなかった病院のチェック体制が問われそうだ。
 県警や病院によると、土橋容疑者は1979年4月に常勤職員として採用され、逮捕されるまで給食班の栄養士として勤務。約30年にわたり入札業務を一手に引き受けていた。約400品目を管理していたという。
 土橋容疑者の逮捕を受け、三浦総一郎・防衛医科大学校長は28日付で「捜査に対して全面的に協力するとともに、防衛医科大学校としても、事実関係を調査し、厳正に対処していく」とのコメントを出した。病院側は不正のチェック体制について「捜査に影響する可能性があり、コメントは差し控えたい」としている。
 一方、県警は29日午後、さいたま市大宮区の森永乳業埼玉支店など4業者へ家宅捜索に入り、入札関係書類などを押収した。森永乳業広報部(東京都港区)は談合の疑いがあることについて「事実関係を調査している」と説明した。
 県警は今年5月、陸上自衛隊警務隊から不正があるとの情報を得て捜査を進めていた。
【田口雅士、山本愛】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=
20120830-00000054-mailo-l11

森永乳業社員ら書類送検
乳業4社の7人 県警が書類送検
朝日新聞 2012年09月14日

◇防衛医科大談合事件/入札妨害容疑
 防衛医科大学校病院(所沢市)発注の粉ミルクの入札を巡る談合事件で、県警は13日までに、入札に参加した乳業会社4社の営業担当者計7人を競売入札妨害などの疑いでさいたま地検に書類送検した。7人は容疑を認め、「談合は長年の引き継ぎ事項だった」と話しているという。
 捜査2課によると、担当者が書類送検されたのは明治と森永乳業、ビーンスターク・スノー、アイクレオの4社。7人はいずれも男の営業担当で、防衛技官の土橋義広容疑者(56)と共謀し、2010年3月〜11年9月、病院発注の粉ミルクの一般競争入札の際、4回にわたって談合し、落札業者を決めた疑いがある。
 県警は、談合の結果、民間病院に納入される価格相場を大幅に上回る価格で落札し、不当に利益を上げていたとみている。
http://mytown.asahi.com/saitama/news.php
?k_id=11000001209140005



事件の概要は、以下の文献、及び当サイトの学術論文アーカイブからも、ご覧頂けます。

↓現在の問題点にまで踏み込んだ能瀬英太郎氏のレポート




↓能瀬レポート 英語版  (Nose Report)The Morinaga Milk Arsenic Poisoning Incident  50 Years On   by Eitaro NOSE



表向き「公正中立」を偽装して登場した「第三者委員会」が、被害者を無視して
勝手に作った不正な「診断基準」。その文中に使われた「原病」という表現に
ついての解説つき。↓
能瀬レポート日英対訳版 
まだ解決を見ない日本の戦後初の産業公害 
PDF:136KB 
(著作権Free: 英語教育の教材等ご自由にコピーしてお使い下さい。)

(日本における第三者委員会方式は森永事件以降、常用され、水俣病でも被害の隠蔽に活用されるようになる
という要注意なもの。)

↓救済システムでの問題発生を学術的視点からすでに予期している秀逸な論文。





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