終戦後に再開された組織的激戦、ソ満国境要塞での秘史を明らかに…。
戦友の死、戦争の意味を世に問い続けた半世紀


中露国境の地下に眠る巨大要塞群、とりわけ東部正面の攻撃型要塞であった虎頭要塞の玉砕の秘史を日本人にはじめて紹介したのが故岡崎哲夫氏である。

■早大からの学徒動員

岡崎哲夫は1920年という、今世紀の初頭に生まれ、早稲田大学政治経済学部から学徒動員され第二次世界大戦の真只中に青春期を送った。軍人勅諭を書けば軍幹部への道が開ける士官候補生への登用試験で白紙を提出した彼は、それ以降、軍部から「目をつけられ」、国境守備隊に送られ、ソ「満」国境・虎頭要塞の全滅戦、ソ連・シベリアでの抑留生活を体験することになる。


ノンフィクションを雑誌「文芸春秋」に発表

岡崎は、シベリア抑留からの奇跡的生還の後、第二次世界大戦最後の戦闘となった虎頭要塞の全滅戦の歴史的事実を、16年の歳月をかけて丹念に調査取材を繰り返した。そして、その成果をノンフィクション作品として日本の最有力雑誌である「文芸春秋」等6冊の書籍に著し、悲惨な戦争の秘話を歴史に刻印する作業を一貫して続けた。

中国の国家プロジェクトとなった要塞遺跡保存

とりわけ、中国では1990年前後から虎頭要塞が注目を集め始め、中華人民共和国中央政府のもと、黒龍江省人民政府と黒龍江省文化局・東北烈士記念館・黒龍江省革命博物館・虎林市文化局・虎林市文物管理所が一体となり、総力を結集して科学的な調査を行なった。なかでも、哈爾浜の東北烈士記念館・黒龍江省革命博物館、哈爾浜師範大学、虎林県文物管理所など多くの機関・識者の信念に基づく尽力は特筆すべきものである。それはここ十数年の間に、岡崎の著作の再刊、中国での完全翻訳本の出版、日中両国の報道機関・ジャーナリストと市民、歴史学者、軍事考古学者、軍事・戦史専門家、兵器鑑定家、医療技術者、その他学識経験者による公式の日中共同学術調査と日中友好事業へ発展し、営々と継承されている。ドキュメンタリービデオの発刊や中国中央電視台の特集番組の放映、中国での関連著作も次々と発表され、虎頭要塞遺跡博物館も建設された。特に2000年以降、遺構の計測に矮小化されない、元兵士と軍事、戦史、歴史専門家が全面的に参加する学術調査の質的転換により、多くの発見と報道を得ることができた。この中で、同要塞は、現在では中国政府の「国家一級文物」に指定されるに至った。

新聞・テレビ等でも大きく報道

わが日本国内においても、虎頭要塞全滅戦の史実は、TBS「報道特集」、NHKラジオ特集番組、及び、2001年のNHKテレビ連続番組「その時歴史は動いた」で全国民に認知され、近年では地方紙とともに全国紙でも大きく紹介されることが増え、国民の深い共感を得るに至っている。(学術報告書、及び本サイト参照)

第二次世界大戦の正史として確立

多くの日本の国民が、戦後半世紀以上もたって、虎頭要塞での激戦が、第二次世界大戦最後の戦いであったことを知ることになった。虎頭の地名と虎頭軍事要塞の戦いの記録は永久に歴史に記録された。最近出版される太平洋戦史の書籍には、虎頭での激戦が数多く取り上げられ、それが二次大戦最後の戦闘であったことが、明記されている。一時の熱狂から戦争を開始するのはいとも簡単であるが、戦争がいかに理不尽でおびただしい死を兵士や国民に強制するものであるか、そして戦争を終結させることがいかに困難なことであるか、、虎頭要塞での歴史的戦闘から教えられる教訓は多い。



虎頭でのソ連軍との激戦を取り上げた
NHK「その時歴史が動いた」











上記
NHK「その時歴史が動いた」
の一場面








虎頭要塞を我が国で初めてスクープした
TBS「報道特集」











中華人民共和国 中央電視台による
虎頭要塞調査特別番組
(中央電視台は中国の国営放送)






































中華人民共和国
黒龍江省教育音像出版社制作
ビデオ
「虎頭要塞」




















OHK(岡山放送)放映
「人間列島」



























初の日中共同学術調査を伝える
NHK全国放送







































報道記録