←Top(Index)

落書き被害と犯行の実態


とりあえず、
落書き対策講座パワーポイント解説集 収録 
被害記録写真より抜粋
 
(実際には、この程度では、とてもおさまりません…)
サーバーキャパが少ないため、これ以上写真が掲載できません。可能な限り、出前講座はしております。



「落書き」といっても、二つの意味合いがある

【対象とされる犯行】
 私たちが問題にしている落書きは、小学生がチョークでアイアイ傘を書く類のものとは全く別の代物です。
 油性のスプレーやペンキなどの塗料を他人の壁に無断で吹き付ける破壊的犯罪行為が、「グラフィティ」という落書き犯罪行為です。
【危険な教唆行為】
横文字で他の言葉に偽装される場合もあり、また現役の犯人を「アーティスト」と称して集め、合法的な装いでイベントとして「●●●ペインティング」などというネーミングで公然と実施される場合もあります。特に、公的機関へおおっぴらに企画として持ち込まれ、直接的に 税金を流用したり、公的なイベントに絡んで実施し、メジャーになろうとする場合があります。行政・公的機関は十分ご注意下さい。

問題は「グラフィティ」
 
 一晩に数十箇所から百箇所以上の犯行を連日のように繰り返し、年間数万個のペースで長年犯行を続ける犯人も珍しくありません。(詳しくはニュースレターページをご参照。)
 詳しい背景は省きますが、落書き(グラフィティ)行為を放置すると、比較的大きな都市の中心市街地が全滅する場合があります。その全滅という意味あいをどう解釈するかが問題なのです。
 詳細は省きますが、そういう落書き被害蔓延状態から脱出するには、住民が手を取りあい、協力して、何年にもわたって落書きを消し続けていくしか方法はありません。

 さらに、今では、繁華街や大都市だけの問題ではありません。数年前から全国の住宅街に被害が広がり始めています。地域によっては、警察は落書き犯をかなり検挙していますが、犯人は車両を使って広域に移動する場合も多く、県境を越えて被害が広がっています。

落書きを犯罪と知っていて、意識的に煽る大人もいる

 また、検挙しても次から次へ犯人が出て来る背景には、「犯人製造工場」ともいうべき、犯行を教唆煽動する大人やその施設が街中にあったり、海外の落書き犯罪ネットワークと連携しての、「落書き(グラフィティ)煽動イベント」が定期的に開催されているという深刻な現状があります。少数ですが、若者への影響は大です。

 また、落書き犯が住宅街に進出しているのは、住民が油断している地域へ徹底的に入り込んで、逮捕されずに、どこまで大型の破壊活動をやったかを競い合っていることをあらわしています。
 住民自治の隙に、巧みにつけ入ってくるのが、落書き犯罪(グラフィティ)です。
 通常、繁華街での犯行は、深夜から明け方にかけて行われますが、人目の少ない住宅街になると、夕方、まだ明るいうちから公然と他人の壁にスプレーを吹き付けている姿が目撃されています。


(※グラフィティ=油性スプレーペンキや油性マーカー、宅配便のシールなどを悪用した強粘着シールの貼付などで、他人の壁を破壊汚損する行為。釘ややすりなどで、ショーウインドウの高価なガラスに傷をつけて楽しむ者もいます。既存芸術品への攻撃も行います。
 このような犯罪を示す「グラフィティ」と、間違いやすい言葉で、「グラフィック」というデザイン用語がありますが、これは全く関係のない用語です。
 「グラフィティ」---。よく覚えておいて頂き、街のなかで犯罪教唆行為が広がらないようにお気をつけ下さい。ただ、確信度の高い犯人になると、「グラフィティ」なのに「グラフィックデザインっぽい展示に混ぜて公然化させる」場合もよくあります。
 また、「グラフィティ」の他の偽装表現として「アウトドアペイント/outdoor-paint」 「進化系としてのエアゾールアート」などと奇妙奇天烈な呼称をいくらでも作り出します。
 要するに、落書きを横文字で偽装しているだけなので、市民が落書きに関する認識をしっかり持たないと、懸命に消しているその横で犯人が公然とイベントをやっている場合があります。(実際、市民の落書き消しと同じ日にあわせたように、落書きイベントが施設内で実施された事例があります)


 「グラフィティ・アート」「アウトドアペイント」「ストリートアート」「エアゾールアート」といった催しが街中で実施されていたら要注意。

 落書き犯とその取り巻きの大人が、自らを「アーティスト」と称して、公立美術館や公的機関をだまして、そのスペースや費用まで使って実施する場合もあります。
 一方、落書きを商材として利用している営利企業が、自らの利己的都合から、「グラフィティ」を美化する番組を、金を出して作らせることもあるので、関係者は十分ご注意下さい。
 彼らは、これまで様々な機関や媒体をだまして実施した数々の公然イベントを「実績」として活用しつつ、新しい市場=つまりグラフィティ犯罪への認知が不十分なエリアをいつも探しています。オレオレ詐欺と似たような巧妙なダマシのテクニックを駆使して「焼畑方式」で移動しているわけです。
 
落書きが異常に蔓延する地域には
それなりの裏事情もあります


 落書きが蔓延する都市の背景にある事情としては

1.落書き(グラフィティ)がどのようなプロセスで拡がるか、落書き犯罪を放置していると、どんな問題が起こるのか、被害者と地域がしっかりとは理解できていない

2.落書き犯罪に対応したくとも、その有効な手立てが見出せず、落書きへ対応する気力が尽きてしまう

といった理由があります。
まずこれらを解決する必要があります。
そして、犯罪の裏事情として
このような被害者や地域の深刻な悩みとは裏腹に

3.犯罪を教唆煽動している実態を知っていて、
   何らかの理由で見てみぬふりをしている人や、
   落書き犯罪の痕跡を見て、面白がっている大人が多い

4.落書き行為を犯罪と知った上で確信的に教唆煽動をしている大人がいる

という可能性も高いです。

(なぜ、大人が「落書き行為」を面白がるのか? それには精神心理面での深刻な理由がありますが、長くなるので省略。)


あの落書きを書いた実行犯が逮捕されました。

NHKの「クローズアップ現代」でヘリコプターから空撮して取り上げられた
大阪地下鉄御堂筋線の換気塔の高さ16メートル部分に書かれた巨大落書き…。
先日11月22日に犯人逮捕の全国ニュースが流れました。
本人はいまだに容疑を否認しているらしいですが、
神戸電鉄車体への落書きの前科があるとのこと(下記サイト)。

大阪御堂筋線換気塔高さ16メートルの落書き
実行犯を逮捕(大阪府警曽根崎書)
今回の落書き一個を消すだけで180万円かかるという。

同人が再犯であることも指摘されています。↓
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/61123

http://www.sanyo.oni.co.jp/newsk/2008/11/21/20081121010009391.html

落書き被害には、軽微なものでも、
最寄の交番へ被害届を


 同じ落書き犯人の情報から浮かび上がって逮捕に結びついたようです。落書き犯は仲間内や、ギャラリーに面が割れています。これから常習犯がどんどん検挙されていくことを期待します。
 彼らは一人当たり、数千万円単位の被害を生み出します。本人がそれを償う努力も当然の義務ですが、なにしろケタが半端ではありません。犯行の実数だけの被害届は、おそらく出ておらず、警察が被害の全容を把握していない場合(というか把握できないほど膨大)、犯人が何万個という自分の落書きの痕跡を正直に報告するはずが無く、すべての被害額を確定するのが難しいのも現状です。(大体「できごころ」での、数箇所の犯行ということで落ち着いてしまう)
 被害者の方は、小さな落書きでも、絶対に泣き寝入りせず、被害届けを、しっかりと最寄の交番へ出してください。

検挙された犯人の今後の人生のために
再犯防止へむけた「落書き消し更正教育」を


 落書き犯罪は、再犯率が高いと以前から指摘されています。被害量が膨大すぎて確定しにくい落書き犯罪では、実際に犯した量の罪を償わなくてもいいという安心感が、最初から実行犯の側にありがちで、罪刑法定主義だけでは、真摯な反省が生れにくい場合もあります。
 NHK「クローズアップ現代」で報道されたように、落書き犯に年間最低200時間の落書き消去更正教育プログラムを課すことも検討されるべきだろうと思います。すでにアメリカでは効果が証明済みです。常習犯や再犯者には抑止効果も大きいと考えられます。罪を重ねて、もっとも不幸になるのは当の犯人です。彼らの未来ある人生のために、早めに常習化から脱出させてやるのが本当の愛情だと思います。長年の放置で中毒化してしまい、心の底の深層心理では「やめたい」と思いつつ「やめられない」というジレンマに悩んでいる人も一部にはいるかもしれないのです。

 犯罪者更正教育プログラムは日本ではまだ見られませんが、現在すでに実施されている教育的プログラムを紹介します。

所属組織が実施することは可能。
切捨て型ではなく、本人の将来を再構築する視点からの愛情ある先駆的実践を期待します。


 それは、犯人が所属する組織が本人に指示して、実施させるやり方です。イタリアの世界遺産へ落書きをした女子学生は、大学が真剣に本人と話をしたのでしょう。現地までいき、謝罪しました。あの一箇所だけでも、そこまでやったのです。あれは立派な反省のあり方です。事実、イタリア国民はそれを敬意をもって受け入れました。落書きが蔓延しているイタリアにも良い効果をもたらしていることは間違いありません。

 不祥事への組織の対処としても、退学追放という切捨て型処分よりも、手間隙とコストがかかったとしても、職員をつけて監督の上、消去更正教育をさせることのほうが愛情のある対処だと考えますし、本人の将来にとっても必ず良い効果になって現れると思います。また、そういうことに資源をさく大学は逆に評価されてしかるべきだろうと思います。
 そういう所属組織が一体となった取り組みを真剣にするなかで、学生に思いは伝わるはずです。そのなかで大麻汚染も含めた病理から脱出できることでしょう。汗を流して自らの行いを見つめ直すということはとても大切です。

広島の原爆慰霊碑への落書きに対しても…

 広島の原爆慰霊碑に赤ペンキをかけた学生の所属大学は、毎年、広島への平和学習を開始したと聞きます。事実であれば、それは良いことだと思います。犯罪者には更正教育を真剣に課し、それを生み出した組織は、組織として学びを真剣に行うことを考えるべき時代に入っています。

大人が若者に犯罪を教える構図には早急に対策を

 もうひとつ。
 犯人に落書き行為の「面白さ」を教え、結果的に煽動した大人が、組織内外に存在するかもしれません。警察機関には、それらの「犯人製造元」の情報にもご注意して頂き、しかるべき対応をお願いしたいものです。もちろん、犯行への導入経路は他にもありますから、煽動者を抑止しただけで犯行が無くなることはないですが。しかし、大人(ごくごく一部の、ですが)が「自分だけを“合法”という安全圏において」自己の売名と金儲け、時には単なる興味本位のために面白がって犯罪を普及し、子供たちだけが犠牲になるという病的な構図だけは、早期に手を打たなくてはならないと思います。それは、刑法の幇助罪に抵触する行為でもあります

 落書き犯罪は、一人の犯人が、個人では到底償えないくらいの、莫大な規模の被害を生み出します。刑事犯罪はだいたいそういうものです。それに対して、社会はどう対応するのか? みんなで考えなくてはならない問題です。

つづく

topページへ戻る