U−4 まとめ
ここでの参考文献
『姓名と日本人 「悪魔ちゃん」の問いかけ』 板垣英憲 著 DHC
人にとって名前は一生を通じてその人をあらわす代名詞・象徴であり、他人と接する上では重要な第一印象である。名前は覚えているけれど、どんな人か具体的に言い表すことはできないということがあるように、他人にとってはその人を記憶する上で大きな情報であるともいえる。
そのため、名前によって人が受ける利益・不利益と言うのはその容姿、性格によって受ける利益・不利益と同じ、場合によってはそれ以上に大きいと言えるのではないか。
生まれたばかりの赤ん坊に自分で名を決めるのは不可能である。よって、命名は親権者によってなされるのであるが、その時、命名行為は純粋に子供のためとしてなされるべきである。つまり、子供が将来の社会活動において不利益を蒙ることがないよう、また自らの名前として不満足を感じないように注意し、顧慮することが必要となる。
よって、親権者が自分の嗜好を優先したり、一時の思いつきや勢いで名を決めることは不当であり、そのような行為は命名権(親権)の濫用として許されない。濫用は、子供の出生届の提出の際に戸籍管掌者が命名が不適当であることを理由として受理を拒絶することにより、阻止される。
ただ、この際戸籍管掌者が自分の価値観のみにより、受理、不受理、つまり名前の可否を判断するのは、例えば、ある場所で不適当とされた名前が違う場所では適当とされるという不統一を生むことが考えられ、問題である。よって、あらかじめ、人名用文字の組み合わせの中に人名として不適当なものがあると例示するなどして国民に示し、戸籍管掌者の判断はそれに違反していないかという点検によってなされるべきであると考える。