by 弾丸X
夕暮れ時の葛城家。
おいしそうな匂いの立ちこめるキッチンで、
惣流・アスカ・ラングレーは、そわそわと同居人の帰りを待っていた。
彼女がキッチンに立つとき・・・それは特別な日。
彼女達の”自称保護者”である、葛城ミサトが帰らない日。
彼女曰く、
『味音痴にアタシの料理は食べて欲しくないの』
だ、そうだ。
それは、本当のこと。
・・・でも、それが理由の全てではない。
同居人の彼もその事は薄々感づいているようだ。
「解ってんのかな?・・・アイツ。アタシの料理を食べて良いのはシンジだけっだって・・・」
その表情はとても幸せそうだ。
鼻歌を交えながら、時折、思いだしたようにニヤニヤする。
「今日はミサトいないもんね♪食後のデザートはア・タ・シ、なんて言っちゃったりして!いや〜ん!!」
シンジのプレゼントしてくれた、手作りエプロンの端をつまんでぴょこぴょこ飛び跳ねる。
「ふふふ・・・デザート、スペシャルだもんね♪、シンジのトレーニングにも良いよね・・・」
彼女は現在、幸福の絶頂にあった。
しかし、さらに幸せを求めてしまうのが人の性(さが)。
アスカは、シンジのある一点に置いてだけ、不満があった。
しかし、その不満をそのままにしておく事など彼女にはできなかった。
常に前向きに、現状に満足しない。
それがシンジを魅了する彼女の最大の魅了であることを彼女も十分承知している。
その『その問題』の解決策は既に準備万端整っている。
その策を遂行するのに必要なものは・・・もちろん、彼女にぬかりは無い。
キッチンの奥に、今日新たに設置された一台の機械。
あきらかに家庭用ではなく、業務用とわかるその武骨なフォルム。
アスカはその機械のタンク部分をあけると、中をのぞき込んだ。
「うんうん♪いい感じじゃないの・・・さすがアタシよね!」
どうやら、思惑どうりのものが仕上がったようだ。
指をつっこみ一掬いすると、可愛らしい舌を出してぺろりと一舐めする。
「準備おっけーよ!・・・ふふ、早く帰ってきなさい、バカシンジ!!」
トウジ達を脅しつけて、シンジを引っ張りまわすように頼んだアスカだったが、
準備ができてしまえば、今度は待ちどおしい。
「あ〜ん、シンジい〜、早く帰ってこ〜い!!」
****
シンジは、なにも知らずに「のほほん」と家路を急いでいた。
「今日はアスカ、何作ってくれたのかな?僕を追いだしてまで・・・クス♪」
どうやら彼女が今晩の夕食を作っていることには気づいているようだが・・・。
彼はまだ、その計画の全貌に気付いていない。
嬉しくも辛い、運命が待っていることを。
(続)
以前某所で公開して、連載途中で止まっていたのを暫定的に公開させて頂くことになりました。
悪徳商人の元締め(笑)備前屋さんに感謝です。
・・・とはいってもオチはどうするんだったっけ?(爆)4話までしか出来ていない・・・。
皆さまのリクエストがあれば、お待ちしております(^^;
・・・鬼○やス○ト○は止めてね(爆)
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