レトロウイルスの中の免疫不全を起こすウイルスが原因。猫科動物にのみ感染。
猫の免疫機能を低下させ、様々な病気にかかりやすくなり、病気が進行すると人間のエイズに良く似ているため、猫のエイズウイルスとも呼ばれています。人のエイズウイルスとは似ているが異なる別の病気なので、人の病気が移ったり、猫から人に移ったりすることはありません。
急性の感染症ではないので、感染しても発病しない猫や、発病しても長生きする事も多い。 |
【感 染】 |
- ウイルスは唾液に多く含まれるため、感染猫とのケンカによる噛み傷から感染する。
グルーミングなどからは移りにくく、同居猫とのグルーミングや、感染親猫の子猫へのグルーミングによる感染は、かなりまれだそうです。また、交尾での感染も低く、親猫のどちらかが感染している場合の子猫への感染例も少ないそうです。
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感染したらどうなる? |
- 初期ではほとんど無症状なので、感染に気がつかないことが多く、感染猫が他の病気(風邪や猫白血病など他の感染症)で受診して検査で、感染がわかる場合が多い。
各種感染症に対して、その病気を悪化させたり、治りにくくすることがよくある。
感染して発症し免疫不全を起こして猫エイズとなり、感染していても発症していない猫は無症状キャリアと呼んで区別される。1年程度でガンが頻発するようになる猫もいれば、慢性の軽い症状のまま経過していく猫もいる。エイズ期(エイズに似た状態)は、感染から4〜5年が多く、数日から数ヶ月で死亡する事も多い。
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【症 状】 |
- 無症状のことも多いが、免疫系に影響するため、病気や怪我が治りにくい、体重の減少、下痢、肺炎、リンパの腫れなど様々な症状がみられます。
約50%に口内炎や歯肉炎など口腔疾患がみられ、貧血、慢性の鼻炎や腸炎、結膜炎なども多く、まれに、皮膚疾患、膀胱炎、外耳炎、神経疾患などもあるそうです。
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【検 査】 |
- 血検査(抗体検査)で簡単に検査ができる(5000円程)。「陽性(+)」なら感染している。
猫白血病ウイルス(FeLV)との同時感染もよくあるので両方の検査を行った方がよいでしょう。
FeLV抗原/FIV抗体同時検査用キット
で、右図のように検査結果が表れる |
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- 若い猫や、感染のごく初期や、弱い感染の場合は、反応が出ない場合もあるので、再検査または定期的に検査受ける方がよいでしょう。
- 外に出る猫は、検査して感染をチェックする方がよいでしょう。
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【治 療】 |
- 感染していても無症状の場合は、特に治療は必要ありません。
ウイルスそのものを治す治療はありませんが、出ている症状により適切な治療する。
口内炎や他の感染症や外傷が見つかった場合は、その病気の治療を行う。
感染猫は感染症や外傷が治りにくくなるので、治療に対しする反応はいろいろで、エイズの症状を表している場合は、良くない場合もあります。
インターフェロン治療でウイルスを弱め、猫の免疫力を高めることを行うことも有効。
「アロマテープ」を使用することもある。首に巻いて使用し、痛みや炎症を軽減し、食欲を増進させたり、気分をリラックスさせたり、免疫の増強に効果がある。「アロマテープ」は取扱動物病院か、通信販売で購入できる。
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【予 防】 |
- 今現在、日本にはワクチンがありません。
- 感染を防ぐもっとも良い方法は、猫を外に出さないこと。
猫の噛み傷による感染がほとんどのため、同居猫間ではよほどひどいケンカをしない限りは、感染はしにくいようです。
- ケンカ防止の為にも、去勢・避妊手術を受けておくと効果的
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■感染したらどうすればいいの? |
- 感染猫はできるだけ室内飼育する。(他の病気にかからない、移さないため)
- できるだけストレスをかけない環境で過ごせるようにする。
- 食事には気をつけ、水は切らさずにきれいに保つ。
- 感染しても症状が出ないことも多いので、常に注意して猫を見ている。
- 症状が出ない時に、他の感染症にかからないように予防注射を行う。
- 定期検診を受け、健康状態に変化があればすぐに病院に連絡する。
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