猫の口内炎は、猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)や猫白血病に感染すると難治性になり、痛くて食事ができず衰弱していきます。ヨダレや口臭、食事時に痛がるなどがあると早めに診てもらいましょう。 |
【原 因】 |
- はっきりとした原因はまだ解明されていないが、口腔内の細菌が関わっていることは確かだろうと考えられている。
口腔内の異物、傷、感染症(ウイルス、細菌など)、アレルギー、免疫疾患、栄養欠乏、刺激性の薬品を口に入れる、腎臓病、糖尿病などで起こります。
特に免疫を抑制する猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスに感染すると、なりやすく難治性にもなります。
※老猫の場合、口中に扁平上皮癌などの悪性腫瘍ができて、これが口内炎に見える事もあります。
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【症 状】 |
- ヨダレが出る、ヨダレで口のまわりが汚れている、口臭がひどい、口周辺を触ると痛がる、口を引っかくような動作をしたり、食べようとすると痛がる、食欲がない、あまり水も飲まない、口の中が真っ赤にただれている、などの症状が特徴。
口腔粘膜だけでなく、歯肉、舌、口の奥、のどの入口、唇まで赤く腫れて炎症を起こし、ただれ(びらん)、さらにひどくなると粘膜に亀裂が入った潰瘍や、粘膜が固く変質して盛り上がった肉芽になることもある。患部に食べ物や水が触れるだけで痛がるようになり、食べることができず、水や唾液も飲み込めず、息をすることさえ困難になることもあり、放置すれば衰弱、脱水症状、低酸素症、腎不全や肝不全などで命を落とすこともある。
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【治 療】 |
- 基本的には対症療法しかない。状態に応じた治療をする。原因疾患が明らかな場合は、必ずそちらも治療を行います。栄養性の場合は適切な栄養補助を行います。
1.口腔内の消毒
可能ならば行い状況により口腔内に塗る薬を投与。
- 2.適切な薬の投与
抗生物質や抗炎症薬などの投与や、口内炎症の口内塗布剤の投与。
ホルモン剤やインターフェロンを用いられることもある。
- 3.異物、歯垢・歯石の除去(麻酔が必要となる場合が多い)
- 4.抜歯療法
炎症の激しい部分の臼歯または全ての歯を抜く(麻酔が必要となる)
5.レーザー治療
びらんや潰瘍が激しい場合にレーザーで患部を焼くこともある。(麻酔が必要となる)
最も治療効果の高いのは抜歯治療といわれ、ひどい状態の場合は勧められる。
歯がなくなると、口内炎を悪化させる細菌の付着・増殖場所がなくなるために、症状が改善され、数週間から数ヶ月でほぼ正常な状態にもどることもあるという。ただ、抜いてしばらくは痛みがあるだろうし、麻酔をかけて手術するため危険も伴う。
また、症状によりレーザー治療も勧められることもある。
治療後しばらくはヤケドの状態になるので痛みがあるだろうが、現状の痛みよりは軽減されるだろうという。ただ、変わらないこともあるし、麻酔をかけて手術するため危険も伴う。
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- 【看 護】
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- 食事は、口腔内の刺激になりにくい柔らかい食事を与え、食べられない場合は点滴や流動食などを与えます。免疫力の増強とビタミンの補給も必要でしょう。
飲んで歯茎を強くするものには、ラクトニン(天然生理活性物質)があります。
歯石除去などの治療が良いのでしょうが麻酔をかけるために難しい場合は、歯磨きなどのケアが必要でしょう。Dr.キシリットCを利用するのも良いでしょう。
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【予 防】 |
- できるだけかための食事を与え、歯に歯垢・歯石が付着させないこと。(専用の療法食もある)
- 可能ならば口腔洗浄剤の使用、歯磨きなどがよいでしょう。(猫では難しいかもしれません)
- 年に1〜2度ぐらい、歯垢・歯石の除去と口腔内の定期検査を受けることもおすすめ。
- 食事量の変化や、食べにくそうにしてたり、食べれないような時には、できるだけ早く病院に連れて行くこと。
- 猫の免疫力を低下させるウイルス感染症を予防するために、ワクチン接種や室内飼いにすることも。
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