医者ちゅうもんは

医者とはどんな人種か?患者さんからは見えにくい部分に
スポットを当てて話をアップしていきたいと思っております。

日本の名医○○人
 10年くらい前に本屋にふらっと立ち寄ったら「日本の名医200人」(だったかな?)という本が眼に入りました。パラパラと立ち読みして、その内容の愚かさに腰が抜けそうになりました。名医=全国の医学部の教授&大病院の診療科部長だったのです。名医であることの根拠はどこにも記載がありませんでした。
 
 たしかに、医学部の教授で人格的にも尊敬できる方は、たくさんいらっしゃいます。しかし病気を診断し、治療するという技術の優劣は、教授選に勝ち抜くのと関係がないんです。おそらく教授ということで「名医」に祭り上げられた方は迷惑に思っていることと思います。
 
 では「いったいどうやって名医を捜せばいいのだぁ」と思われますよね。実は、医者である僕でさえも、同じ病院で働いている他科の医者が、実際のトコどれくらいの実力があるのか、なんてなかなかわからないものなんですよ。まして、他の医療機関の他科の医者の腕はもっとわからない。
  僕の考え:試しに何度か診察を受けられてみて「検査をする理由」「治療をする理由」について納得のいく話が聞けて、さらに「他に選択肢はないのか?」を訊いてみて、その返答も納得できれば、そのままその医者を信じてもいいと思います。

テレビドラマの名医
 「ドクター・コトー診療所」の後藤医師とか「救急病棟24時」の江口洋介扮する「何でもできる医師」っているんでしょうか?実はいません
 
 手術って、ある限られた分野だけをマスターするだけでも、たくさんの執刀経験が要ります。当然の事ながら、誰でも最初は下手くそなんです。下手くそということは、手術を受ける側からみると迷惑を被るわけなんです。つまり、ある程度の後遺症を残すような失敗をする可能性は高い。失敗しないにしても、下手くその時期は出血量が多く、手術時間が長いんです。その2つにしても患者さんにとってはできれば避けたいことです。
 
 たとえば、ある医者がAという科の手術をマスターしようと思えば・・・最初の2−3年は実際の執刀はさせてもらえません、見学や助手が主な役割です。その次に難易度の低い手術から実際に執刀していきます。ほとんど全ての外科医は、見るより実際やってみるのは難しいものだと落ち込むはずです。「下手くそをはやく卒業して、せめて普通くらいにならないと、患者さんに申し訳ない」と必死に上手くなろうと、解剖書や手術書を読みふけったりするわけです。  
 
 で、数年精進してやっとA科の手術をマスターすることになります。おおむね10年はかかるでしょう。それでもそうなるのは少数の幸運な医者であり、症例の少ない病院や、上司がどんどん主治医の手術をパクる病院に勤務すれば、何年たっても壁を乗り越えることはありません。
 
 さあ、テレビドラマにでてくるような名医になるためには、せっかくそれまで所属していたA科を辞めて、B科の研修医からスタートです。A科で会得した技術が少しは役に立つでしょうが、それから何年も下積みの生活が待っているのです。仮にそれに耐えられるにしても、B科に関しては未熟なために、多くの患者さんに迷惑をかけることになるのです。まともな医者ならそんなことはしないでしょう。
 ところでドラマとしての「ドクター・コトー診療所」「救急病棟24時」は面白かったですね。見ているうちに、完全に引き込まれてしまいました(^^;



トップへ
戻る
次へ