表題1 : 6L6GT管不良 | |
AMP形式/日時 : 不明 | |
状況:音が出ない。ヒーターのみのONはOKだが、B電源側をONすると、ヒューズが飛ぶ。 | |
調査内容 : | |
取りあえず、球を全部抜いた状態で、電源をONする。 ヒューズが飛ばない。OKだ。球を目視点検するに、6L6のGT管の黒いハカマが変に灰黒くなっている。予備の球に差し替えてみるに異常なしだ。 | |
改修履歴 : | |
単なる球の劣化でした。テスターで各ピンを測定すると、ヒーターピンと、どこかのピンが短絡していました。(忘れてる。) 出力段の6L6を全て、新品に変えました。 どうせ、他の球も寿命が近いでしょうから。 | |
考察 : | |
たまにP−Pの球のバランスが崩れていて、片方ばかりに負荷がかかっているのか、出力段の球の光り具合が違うのがある。出来ればデバイス電圧を調整した方が良いと思う。 |
表題2 : 初段部のプレート抵抗 焼損 | |
AMP形式/日時 :不明 | |
状況 :音が大きく鳴らない。だいぶ古いので、球は全て、交換したとの事。(依頼者側で) | |
調査内容 : | |
鳴らしてみる。確かに、ボリュームを上げても、音が大きくなんない。とりあえず、内部を点検。特に異常なし。球を差したまま、各部のB電源を測定する。 [!高電圧に注意!普通最低でも、DC:400Vはある。] テスターのピン先をいろいろな測定点に当てていると、ガリィガリィと、ノイズが入りこみ、音が出る。実はこれで、それぞれの増幅段が正しく動作しているか、判断している。(ずいぶん乱暴なやり方だ!) 2段目のゲートピンでは音が出るが、初段のゲートピンをつついてても、ガリィガリィと音がしない。(普通は恐いぐらい大きなノイズが出る。スピーカーが壊れても知らないよ)。初段周りのソケットピンでチェックをすると、プレート電圧がかかっていない。 | |
改修履歴 : | |
電源を切り、球を抜いて、プレートの抵抗を測定する。100KΩの抵抗が、1Mに近い。(廻り込み回路の為)−−焼け切れていると判断して、交換する。(外すと抵抗値:∞)。以降、良好。 | |
考察 : | |
プレート抵抗は、負荷的にぎりぎりの設計となっている事がある。球:12AX7でも、200V−1mAで、0.2Wが負荷となる。安全係数を5倍にとれば、1Wの抵抗を取り付けたい所だが!。焼けたのは、1/4Wタイプだったと思う。 とりあえず、1/2Wタイプを取り付けた。確かに通常・正常であれば問題ないが、なんらかの原因で、球が短絡したら、共ずれで、プレート抵抗まで焼け切れる恐れがある。 |
表題3 : コンデンサ交換 | |
AMP形式/日時 :不明 [FENDER TWIN AB763] 1994/ | |
状況 : とにかく鳴らない | |
調査内容 : | |
かなり古いギターアンプだった。一部すでに交換されている部品もあった。中の配線も、より線でなく鋼線と、時代を感じさせてくれた。配線図も無いから、とりあえず、回路をチェックして、それぞれの電圧測定を行った。 なにかしら怪しげな値が測定される。が、正しいのどうなのか、わからない。 回路図と測定値をしばらく見比べてみるに、どうも、いろいろな所で、絶縁低下を起こして、回路が廻りこんでいるみたいだ。大幅な改修が必要な為、持ち主に聞くと、「直らなくなってもいいから、全部やってくれ。」との事。覚悟を決めて部品をばらした。 | |
改修履歴 : | |
ほとんどの前段部のペーパーコンデンサー(5個ぐらい)が、絶縁劣化を起こしていた。(1MΩ以下のものもあった)。フィルムコンデンサに交換した。 電圧測定するに、ほぼ予定通りの値となった。 | |
考察 : | |
古くて、まったくおかしくなった真空管式のギターアンプは、取りあえず、コンデンサー関係を疑ってみましょう。もちろん、球は全て交換した上!、での話しです。 | |
PS : これとは別のアンプでも、同じ様に、次段とのコンデンサーが、劣化し、交換した事がある。 |
表題4 : ケーブルの不良 |
AMP形式/日時 : 不明 |
状況:たまに、音が出なくなる。出ても小さく鳴る。いい時はまったく正常に動く。 |
詳しく状況を聞いてみると、音が出ないので、修理に出したが「異常なし」で帰ってきたので、しばらく使っていた。が、またおかしくなったとの事。私もその場でチェックすると、確かに音が出ない。家に持ち帰り、テストすると正常だ。!! |
調査内容: |
アンプ自身は新しいので、部品の劣化はあまり考えられない。とりあえず、目視点検/各部電圧チェック/実動確認を行う。わからない。状況から考えられる事は、接続ケーブルの断線/接触不良だ。電源を入れて、音楽を鳴らしたまま(私はギターを持たない。アンプにはCDの音楽を、抵抗で50分の1に下げ入れてる)アンプの各部・ケーブルを触わってみる。 |
改修履歴: |
ギターアンプで、ビブラートをかける為に、バネで信号を機械的に振動させている装置がある。 (スプリング・リバーブとのご指摘あり) アンプのプリント板と、この装置とをつないでいるケーブル線をいじくりまわしていると、おかしくなる。途中を結束バンドで止めてあるが、どうも強く締めすぎている様で、ここがあやしい。緩めてやり、よじれを直す。取りあえずOKなので、持ち主にその旨伝え、しばらく様子を見るようにして返却した。(接続ケーブルを交換する為には、プリント板のハンダを外す必要がある。持ち主は、新品同様のアンプに改修の後を残したくなかった。) |
考察 : |
良好状態のアンプを、推論と推定だけでチェックして、不良個所を特定するなんて、ほとんど奇跡に近い。今回の改修は”たまたま直った”だけです。チェックする上で、いろいろな線を外したりしますから、知らない間に状況が変わっている事だってありますから。 |
表題5 : ヒューズが飛ぶ | |
AMP形式/日時:不明 | |
状況:電源を入れると、すぐヒューズが飛ぶ。球を全部抜いていても、同じ。 | |
調査内容: | |
アンプそのものは古い。どれが傷んでいてもおかしくない。とりあえず、目視点検。次にヒーター電源のみが生きる様にして、電源を入れてみる。OKだ:ヒューズは飛ばない。 B電源部側の異常に絞られる。 | |
次に、電源部のみが生きる様にする。(真空管へのプレート電源供給部のケーブル線を外す:この時点では、電源部の電解コンデンサーがリークしていると思っていた)。 しかし、OKだ:ヒューズは飛ばない。電源ユニット部分は正常である。 | |
次に、出力段のプレート電源を供給する。 この時点で、ヒューズが飛んだ。球を抜いている状態でだ。出力トランスが劣化しているのかと、暗澹たる気持ちになった。出力段廻りのケーブルを全て外して、絶縁抵抗を計ってみる。出力トランスはOKだ。真空管用ソケットの各ピンで計ると、絶縁ゼロのピンがある。(プレート用のピンだったか?) | |
改修履歴: | |
真空管用ソケット(8ピン)を交換する。経年劣化したものと想定される。以降、良好。 | |
PS : ソケットについては、ギターアンプが、真空管球を逆さ吊りしている構造上、押さえ金具が付いているものがある。その様な形状のものでは、一般のソケットに取り替え出来ないケースがある。注意を要します。 | |
考察 : | |
まず最初に、いろいろな絶縁抵抗を計ってみるべきでした。 |