「立て直し」について
 
 先に「刻限二五会議の趣意」においても紹介いたしましたが、大本の出口王仁三郎聖師は、かつて、
「明治25年に大本は出現したが、それから50年間は地上の準備時代で、準備の日が充ちて昭和18年元旦から、いよいよ三千世界のしぐみの幕はあがり、大本神の真の光が輝き始める立て直しの時代を迎えた」(出口栄二著「大本教事件」251頁)
 と教示されました。したがって今はすでに立て直しの時代であるといえます。
 それでは、この立て直しということはどういう意味なのでしょうか。国語辞典で「立て直し」を調べてみますと、「もとのようになおす。もとのような状態にする」とあります。(小学館・新選国語辞典)
 この意味からしますと、経綸上の立て直しとは、もとの創造原理の通りに世界をもどす・なおすことであります。(このことについて詳しくは「天理・大本の経綸仕組の解明解説」参照)
 すなわち、今のこの世界をもとの創造原理にもとづいた神人和合・万民和楽の地上神国天国へともどす・なおすことであり、今はその時代であるということであります。
 
 この地上神国天国にもどす・なおす神業を実現させることについて、大本本部青年部発行の出口聖師著「愛善健康法」の編者であります木庭次守氏は同書の「編者のことば」において次のように述べています。
「出口聖師は、神人和合・万民和楽の世界の実現のためには、第一に、人の思想を改善し、第二に、人の身体を健全ならしむるにありとされ、その方法として思想の改善は宗教を清めることであり、健康は正しい医学の発達によらなければならないと主張されました」
 この中の第一の宗教を清めることに関しては、「宗教を脱して神を悟る」と題して後から紹介することにいたしますが、出口聖師が語られるには、
「わしはなあ、この世でまず仏教を滅ぼす型をやるのや。それがいろいろな宗教を滅ぼす型になるんや」
「どうして宗教を滅ぼすのですか」
「簡単や、ミロクの世に宗教があってどないする。宗教というものがないのが、ほんま素晴らしい世の中になるんや。……(以下略)」(中矢伸一著『出口王仁三郎大本裏神業の真相』180〜182頁)
 これらの言葉がすべてを語っています。
 
 宗教に依らずして真の神を直観し感得してゆく信仰が、これからの信仰であると私は考えております。(「宗教を脱して神を悟る」参照)そして、この宗教を清めるということは精神面・霊的方面の立て直しであり、第二に人の身体を健全ならしむる正しい医学の発達は、体的方面の立て直しであると思われます。
 第二の正しい医学の発達とは、現在のような霊を無視し、人体を単なる物質・物体としか見ないような医学ではなく、人間を霊体備わった存在として見る医学、神の創造原理、神の道、宇宙の法則を基礎とした医学の樹立でありましょう。もちろん地上神国天国においては「病まず死なず弱りなき」世界が実現するのですが。
 
 また出口聖師は、医学に関しては次のようにも語っておられたそうです。
「──人間の肉体の構造がわかれば、宇宙の組織や文(あや=すじみち・しくみ)もわかるようになる。──」
 という意味を、父(出口聖師)はよくいっていました。父は一時期、独学で少しく生理学などを学んだことがあり、人間の体の仕組みの中に、理想社会のあり方が諭されていると考えていたようです。(出口直日著『こころの帖』87頁)
 
 この医学と共に人間の身体を健全ならしめるものとして体育も重要なものです。
 この体育も一部の才能素質ある者が中心になる競技ではなく、あくまでも身体を健全ならしめる普遍的な万人のための体育の完成が求められます。
 この医学と体育に関しては、鍼灸や漢方薬等の伝統医学や気功・太極拳とを国をあげて普及奨励した中国を想起します。
 現在その中国の伝統医学・気功・太極拳は世界の注目するところとなり、広く深く普及と研究がなされております。
 
 くり返し申しますと、立て直しとは、もとの神の創造原理に基づく地上神国天国の建設実現であります。一方、立て替えとは、今ある世界を一旦破壊してから・・・という意味合いが強い言葉であります。これを日本の歴史で申しますと、大東亜戦争という破壊が立て替えの始まりであり、戦後の平和国家日本の建設が立て直しであります。もちろん、これは一つの〈型〉です。そして今、キリストの預言でも示されておりますように、世界的規模で〈型〉ではなく本当の立て替え・終末が始まろうとしています。(リンクページ「キリストの預言」参照)
 しかし大事なことは、先の出口聖師の教示にありますように、今はすでに立て直しの時代に入っております。このことは一見矛盾するようですが、昭和18年大東亜戦争という立て替え破壊のさ中に立て直しの時代が始まっていることから考えて、立て替えという破壊終末のさ中あるいはその前から立て直しは始まるようです。したがって、今から立て直しの働きをなさねばならないのです。
 
 昨年12月に12月8日の仕組が再び発動されました。また、3月には、ふたたび天に王星が顕れました。(くわしくはリンクページ「12月8日の仕組について」「ふたたび天に王星顕わる」参照)まさに今からです。
 なお神は大本において、
「地上天国のいちばん低い段階までは、神力によって誰がなんといってもあげてやる」
 と神約(約束)しておられます。したがって、あとは真の神を信じ、真の神に帰るだけであります。
 
「ぜったいぜつめいの世になりたぞよ。世界のものよかいしんいたされよ。ビックリいたすことがでけるぞよ。わかりた人民からかいしんをしてくださらんと、世界の人民三分になるぞよ」(大本筆先)
「人生の真目的は地の上に無窮の天国立つるにありけり」(出口王仁三郎)
                      
 
                            (2004.5.25=小田朝章) 
(TOP)