CMでよく見る保険を知ろう

取扱会社

東京海上火災保険

商 品 名

レディーガード

「日本初」のストーカー保険

 実をいうとこの保険、岡山ではCMしていません。

というのも、現在取り扱いをしているのは東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、奈良県、京都府、兵庫県、滋賀県、熊本県の11都府県に限定されているからです。

でも、「日本初」と銘打ち、しかも昨今なにかと話題の「ストーカー対応保険」ですから、東京などでは大々的にCMしているのだと勝手に推測して、取り上げてみたいと思います。

 

「レディーガード」の概要

 「レディーガード」の正式名は「ストーカー対応費用担保特約付き女性保険」というものです。

「女性向けの保険」というと「積み立て傷害保険(満期時に掛け金の一部が戻ってくる)」が一般的ですが、この保険は掛け捨てタイプです。

主な保障内容は次のとおりです。

● 傷害死亡保険金

  偶然の事故によってケガを負い、事故から180日以内に死亡した場合に所定の保険金が支払われます。

● 傷害後遺障害保険金

  偶然の事故によってケガを負い、事故から180日以内に後遺障害が発生した場合に障害程度に応じた保険金が支払われます。

  ただし、後遺障害保険金を受け取った後に死亡した場合、死亡保険金から受取済みの後遺障害保険金を差し引いた差額が死亡保険金として支払われます。

● 傷害入院保険金

  偶然の事故によってケガを負い、事故から180日以内に入院した場合、入院日数分の保険金が支払われます。

● 傷害手術保険金

  入院給付金対象の入院中に手術を受けた場合、手術の種類に応じた倍率を入院給付金日額に掛けた保険金が支払われます。

● 傷害通院保険金

  偶然の事故によってケガを負い、事故から180日以内に通院した場合、通院日数分の保険金が支払われます。

  ただし、給付日数の上限は90日です。

● 賠償責任保険金

  日常生活において他人に損害を与えた場合、1回につき1000円を自己負担のうえで損害賠償額の肩代わりを受けることができます。

● 携行品損害保険金

  住宅外で携行品が盗難等によって損害を受けた場合、1回につき3000円を自己負担のうえで損害時価の保険金が支払われます。

  ただし、保険期間(1年)を通じて保障される合計損害額の上限は10万円です。

● ストーカー対応費用特約

  ストーカー行為に対抗するために綜合警備保障のサービスを利用した場合、1回につき5000円を自己負担のうえでサービス料金の補助を受けることができます。

  ただし、保険期間中の合計補助額は、保険のタイプによって3種類の上限が設けられています。

 

「ストーカー行為」の定義

 「レディーガード」が保障するストーカー対応の対象となる行為は、昨年11月に施行された「ストーカー規制法」第2条1項に定義する「つきまとい等」に該当する行為を指します。

ちなみに法律が規定する「ストーカー行為」とは、「つきまとい等」を反復する行為を指します。

【ストーカー行為等の規制等に関する法律】

第2条第1項

 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。

1 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。

2 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

3 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。

4 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。

5 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。

6 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

7 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

8 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。

 

ストーカー対応の保障概要

 「レディーガード」に付帯するストーカー対策のサービスは綜合警備保障が提供する「基本サービスセット」および「オプションサービス」となります。

 「基本サービス」の内容は次のとおりです。

● 証拠の収集

● 行為者の確認

● 簡易盗聴器・盗撮器の探索調査

● 安全対策等の助言・相談

これらのサービスを利用した場合、1日8時間と換算して1日あたり40000円の保険金が支払われます。

ただし、1回の依頼につき5000円を自己負担することになります。

この場合の「1回」とは、同一行為者への対策について初回依頼から7日以内の追加依頼は「初回依頼」とすることを意味します。

また、保険期間(1年)のうちの利用金額が20万円(携行品損害を担保するAタイプの場合。携行品損害不担保のBタイプは15万円、同Cタイプは10万円)を超える部分も自己負担となります。

 「オプションサービス」としては「監視カメラの設置」などがあり、これらも保険金による費用補助の対象となりますが、上記の「期間中の合計金額上限」の合算対象に含まれることとなります。

 

顔のケガは保障額が2倍

 顔のキズは、男性に比べて女性の場合は精神的ショックが大きいものです。

そこで「レディーガード」では、顔面、頭部、頚部のケガで外科手術、歯科手術を受けた場合、入院および通院に支払われる保険金が2倍になります。

 

第三者の加害行為による傷害も保障額が2倍

 ストーカー行為による場合はもちろん、ひき逃げなど第三者の故意による加害行為が原因でケガを負ったり死亡・後遺障害に陥ったりした場合も、所定の保険金の2倍が支払われます。

また、保険金の給付日数上限も365日分に拡大されます。

ただし、倍額保障を請求する場合は、警察への被害の届け出あるいは、ひき逃げの場合に事故発生から60日経過しても加害者不特定の場合に限られます。

 

契約検討前の注意点

 ストーカー対応特約の対象となるのは、「契約後のストーカー対策」に限られます。

つまり、すでにストーカーに悩んでいて警察機関に対応を依頼している場合には、ストーカー特約を利用することができません。

また、初回契約の場合は契約日から30日以内のストーカー被害も保障の対象となりませんし、更新契約の場合は前回契約中と同一加害者によるストーカー行為も一部保障の対象外となります。

 

住友海上の「ストーカー保険」との比較

 「ストーカー被害」に対する保険は、住友海上火災からも発売されています。

こちらは「積立女性保険 ハーフバックプラン」というものです。

この保険は、ストーカー被害に特化したものではありませんが、ストーカーによる暴行を含め、ひき逃げなど第三者の加害行為によるケガについては傷害保険金が2倍支払われ、さらにそのケガが顔面におよんだ場合には入院保険金、通院保険金が4倍に拡大されるというものです。

また、満期時には支払い済みの掛け金のうち半額がキャッシュバックされます。

 このように、住友海上の保険は顔面傷害に対する保障が厚く、満期時にキャッシュバックがある点では「レディーガード」よりも魅力的な反面、「レディーガード」のように「ストーカー被害の防止」については保障はなく、あくまでも「被害発生後の保障」を充実させている点では、本来の損害保険の姿勢である「実損てん補」のスタンスから抜け切れていないと言えます。

 

まとめ

 残念ながら、ストーカーに対して女性が抱く恐怖感というものは、まだまだ私を含めた男性には認知されていないのが現状だと思います。

目に見える被害を受ける前の、たとえば「尾行」や「つきまとい」だけでは、「思い過ごしじゃないの?」で片づけられがちです。

桶川の事件を例に挙げるまでもなく、重大犯罪が起こってからでは遅いといえる現在、保険本来の利用目的である「安心を買う」という観点から、検討してみるのもひとつの選択肢でしょう。

 

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