フェイスブックで「日本人検定」

日本ユニシス

20問で判定 友人と共有

(日経新聞201262014版 企業2面)

 

【記事抜粋】

 日本ユニシスは20日から「日本人検定」と呼ぶソーシャルゲームを交流サイト(SNS)のフェイスブック上で開始する。

20問の質問で「日本人らしさ」を判定し、友人と共有できる。

日本ユニシスは日本人の一般的な常識や感覚を収集。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)などと共同で研究開発している「空気が読めるコンピューター」の実現に生かす。

(以下略)

 

【コメント】

「日本人検定」というタイトルながら、いわゆる「ご当地検定」のような部類ではなく、あくまでも「ゲーム」という位置づけのようです。

20問の質問に対し各問20字以内で答えた結果を1000点満点で判定するというシステムのようで、「最もありがちな答え」に該当するほど高い得点を獲得できるそうです。

つまり、「最頻値=最高点」という配点方式ですが、このシステムそのものが「日本人らしさ」を示すものと感じられます。

 

一般的に日本人は「統制されたチーム行動」に長けている、悪く言えば「付和雷同」に陥りがちと評されます。

つまり、良くも悪くも多くの日本人は、回りの行動や空気に流される傾向があるといえます。

したがって、多くの人が選んだ回答ほど得点が高くなるとは、より日本人の思考様式、行動様式を色濃く反映する結果となるでしょう。

 

また、この検定ゲームは各設問についていくつかの選択肢を提供しているものではなく、短文ながら自由記述形式での回答方式を採っていることもポイントと思われます。

3者択一や5者複数回答など、あらかじめ設定した選択肢からチョイスしてもらう方法ならば、最頻値の解析はとても簡単です。

しかし、回答者の側にとって、選択肢のどれにも当てはまらない答えを持ち合わせていて、しぶしぶ「最ももっともらしい選択肢」を選ばざるを得ない場合も少なくありません。

回答者が自分の答えを自分の言葉で発することができる自由記述方式は、質問に対する答えをより的確にすくい取ることができます。

 

そして、自由回答を解析してある種の法則性を抽出するという技術は、最近多くのニュースで取り上げられる「ビッグデータ」の解析や活用への応用を想定していることは言うまでもありません。

膨大なデータから必要なキーワードや情報を抽出、解析する、そして完全一致はしない類似のデータ群から「ありがち」な情報を構成する、こういった論理形式が完成すれば、記事にある「空気が読めるコンピューター」ができあがるのでしょう。

 

この「空気が読めるコンピューター」は、株式や為替などマネー市場でのコンピューターによる自動注文方式に大きな影響を与えることになるでしょう。

そもそも株式市場などでの相場形成は美人投票のようなもの、と昔から言われています。

そのココロは、物理的(というか、数値的)に美人である人が第1位になるとは限らず、「(自分はともかく)投票者の多くが選ぶかもしれない」と推測した人が選ばれます。

つまり、株価は会社の業績や自分の評価ではなく、投資家の多くが「良いと“思っているか”」という文字どおり「空気」で形成されるわけですから、市場の「空気」に基づいた運用指図というのは、案外マーケットの「真理」に忠実な運用スタイルといえるかもしれません。

 

ちなみに、このゲームシステムを共同開発しているMITは、毎年「バカバカしいテーマをクソまじめに研究した成果」を表彰する「イグ・ノーベル賞」の会場でもあります。

 

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