相続基礎セミナー
私は金持じゃないから相続なんて……なんていうあなた!
「相続税払うほど財産もないし……」と思っている方がほとんどじゃないでしょうか?
たしかに「相続税」の観点からすると、基礎控除はたっぷりあるし、配偶者控除も
所得税とはくらべものにならないくらい認められています。
おおざっぱに言ってしまえば、1億や2億の資産があっても「一銭も」相続税を
払わなくてもすんでしまう場合もあります。
実際、日本人のなかで「相続税」の申告納付をしなければならない人は毎年5%
くらいしかいません。大地主やオーナー社長の遺族くらいしか相続税の申告書を
書く機会なんかないでしょう。
だからFPとして「相続対策」という形で提案する場合、ほとんどの人は「資産家相手」
であって自分には関係ない、なんていうスタンスなのです。
……でも、ちょっと待ってください。はっきりいって、「相続対策」と「相続”税”対策」とは
まったく別のものなのです。
たとえば……
父、母、兄、弟という4人家族のうち、お父さんが死亡したとします。貯金は500万円
くらいありますが、その他の遺産といえば10年前にローンを完済したマイホームくらいなもの。
この場合、相続人は3人ですから基礎控除は4,800万円です。また、土地&建物の評価額が
2億円とすれば、貯金も含めて全部お母さんが相続してしまうと、配偶者控除は1億6000万円
まで認められていますから「相続税ゼロ」となるわけです。
……でも、相続したマイホームは誰の持ち家になるのでしょうか?
もちろん3人の「共有名義」とすることで解決すれば一応OKです。全員に所有権が等しく帰属する
ことで済めばいいのですが、今度は「居住」という問題が発生してきます。
兄「一応、俺が長男だから、母さんと一緒にここに住むよ。」
弟「それじゃあ俺はどこに住むんだ?」
兄「悪いがどこかに探してくれよ」
弟「じゃあ家を建てるから資金援助してくれよ」
兄「悪いがそんな余裕はないんだ」
弟「冗談じゃないよ! この家の所有権は俺にもあるんだよ! この家売ればいいじゃないか」
兄「そうしたら俺たちはどこに住むんだよ!」
弟「そんなの自分で考えろよ!」
兄「何勝手なこと言ってんだよ!」
弟「勝手はどっちだよ!」
……なんていうことにもなりかねません。これを「相続」ならぬ「争族」問題と称します。
このような事態を避けるためにも、相続に関する最低限の知識はゲットしておきましょう。