sorry,Japanese only

平成12年2月2日

 

第 21 号

岡山県自閉症児を育てる会


目次 

 NPO 設立総会

 古葉書回収のお願い

 キッズ・ルーム 参加者募集

 水泳教室・勉強会のお知らせ

 近隣の講演会のご案内

 自己像

 ドラマの中の障害者 

 自閉と向き合う 10


正月以来暖かい日々が続いたせいか、このところの寒さは骨身にしみて辛いものがありますね。
皆様、いかがおすごしでしょうか。

今日は、皆様に悲しいお知らせをしなければなりません。
会員のSくんが1月9日の夜、火事による一酸化炭素中毒により亡くなられました。
ご家族が外出されているほんのわずかの間の出来事だったそうです。
その訃報を知った日の翌日、お母さんからの本年度の入会申込書が事務局に届きました。
もうすでにその時、Sくんは天に召されていたのでした。
その葉書を目にした時、何ともいえない深い悲しみに襲われました。
短かった彼の人生、ご両親の哀しみを思うとたまらない気がします。
ただ、今は、天国で神様の近くにあって、疑うことを知らないそのままの姿で、ご両親や私達を見守ってくれていると信じたいと思います。
本当に天使のような、笑顔が美しいお子さんでした。どうぞ安らかにと祈ります。

NPO設立総会無事終わる 

特定非営利活動法人NPO 岡山県自閉症児を育てる会の設立総会が,去る1月30日ふれあいセンターにて行われました。
正会員56名、出席29名、委任状22名、で成立し全会一致で特定非営利活動法人の設立が決まりました。
今年からの新しい活動として、「ふれあい活動」改め A.A.O(エイ・エイ・オー!)活動 と、「チビちゃんメニュー」改め キッズ・ルーム の年間活動が始まります。
従来通りの例会や、講演会、それに夏合宿や「自閉症のしおり」の制作もあります。
今年もみなさんの積極的参加をお願いします

 


それでは、ペンネーム松山千春さんからの「自己像」です。

青春時代の松山さんから始まります。


 自己像 

ペンネーム 松山 千春
  ずっとずっと前に書いた私の「自己像」がノートの隅から見つかりました。
 僕は,口を凛凛しく結んで

 背筋を伸ばし

 胸を張って生きている。

 やさしく

 人を大切にし、

 困っている人のそばにいよう。

 僕の前を歩いてきた人を尊敬し、

 僕の後ろを歩こうとする人に尊敬されたい。

 さわやかな汗を流し、

 温かな笑顔で,人を包む人になる。

                                   汗顔の至りです。

 

さて、子どもの話。
小学年生になると、多くの学校で海事研修がおこなわれます。海事研修では,いつも一緒にいる学校の友達のほかに,初めていっしょに過ごす他校の子どもたちも大勢います。そこでの開所式が始まろうとしているときに、担任していたひとりの子どもが、体をユラユラと揺らし続けているのに気がつきました。
(しまったー。開所式の前に,これから始まる開所式の心構えをきちんと伝えていなかった。)と、私が思ったときには、もう研修所の先生方が,次々に体育館に入ってこられていました。
(周りの張りつめた空気を感じ取ったら、あの揺れは止まるだろうか。)
しかし,期待ははかなくも裏切られました。所長のお話,学校紹介、歓迎の歌とすすむ式の間,天井を見つめて揺れつづける体。
これから始まることが,何なのかはわかっていても,その場に自分がどのような気持ちで向かうのかまでは,本人は気づいていなかったのでしょう。
その場は、それとして。彼を、開所式の後で、叱るのもひとつの方法。そばにいた友達に、注意をしてくれるように頼んでおくのもひとつの方法。さて、どうしたものか。
 
その子は、学校では、解くのが難しい問題であっても、眉間にシワを寄せ、頭を左右に振りながら、一生懸命考える子どもです。
わからないまま終わらせたくない、僕はバカじゃないと、勉強に必死で取り組む子どもです。
プライドがあり、僕はかっこ悪いことをしない子どもなんだと自分で思っている子どもです。
自己像とは、自分が自分のことをどう思うかということです。できないことの積み重なりは、僕はダメなんだという自己像を育ててしまうことがあります。できないことが多くても、できることを認めてくれる人がいて、自信がつけば、「僕、やれる」という自己像が育ちます。
「僕は(私は)、こうなりたい。」と思う気持ちを引き出すのが、私たち大人の仕事です。
さて、閉所式です。
「ユラユラしていると、おかしいなーって思われちゃうよ。」と一声かけておきました。
その途端に、うつろな視線は定まり、背中を伸ばし、気持ちに張りをもって15分間の式にのぞんでいまいした。
その姿勢を支えたのは、叱られるからではなく、言われたからではなく、子ども自身のプライドです。
その後、彼はにこやかな笑顔で、嬉しそうに荷物を背負ってバスに乗り込みました。
みんなよい自己像をもっていたいはずです。自己像は、一朝一夕にできるものではありません。叱られ、我慢し、耐えることもあり、ほめられ、できることを増やし、認められることで作られます。家で、「○ちゃんの仕事」をひとつ作って、させることの中ででもできることです。
但し書き:「おかしいよー。」と私は言っても、周りの子には聞こえないように言う。
      周りの子には、「アイツ、おかしい。」とは、言わせない。
      もしも、言ったら、話を聞いてから、言って聞かせる。
      それでも、バカにしたら、コラらしめる。
                     

ドラマの中の障害者

K.H
何年か前の話ですが、フジTVとTBS(日本TVだったかも?)で、同じ頃に障害者を取り上げたドラマがありました。
フジTVの方は、和久井映見主演、造形に長けたサヴァンな女性が人を好きになること、人の死をどう受けとめるか、などが描かれていました。

タイトルは
“ ピュア ”
第一回のオープニングは、雪の振り続く交差点の真ん中で、一生懸命雪ダルマを作っているシーンでした。
彼女はその交差点で死んだ小鳥のためにお墓を作ってあげていたのでした。
そこへ2人の男がナンパをしかけてきます。雪ダルマにこだわっている彼女を不思議に思いながらも、強引に連れて行こうとします。
それを堤真一が助けるというのが最初の出会いです。堤真一はゴシップ誌のカメラマン役でした。
「死」は彼女の中では、「空に行く」こと。父親の死がきっかけで、そう思うようになっていました。
だから、毎朝わざわざ電話で天気予報を聞きます。TVの天気予報も欠かさず見ます。
死んだ父親とお話する時は空に向かって話します。そして彼女の作る造形物(オブジェ)には羽がはえているのです。
彼との2度目の出会いは、彼女の作品の受賞式。裏では障害のことは隠そうということになっていたので、打ち合わせでは記者会見のセリフまで決められていました。ところが大勢の記者やカメラマンに囲まれ質問が浴びせかけられると、自分がどこにいるのか分からなくなります。
やっとでた言葉は、「私は、鳥になりたいです」でした。
胸をはって続けます。「私は、春になるのを待っています」
自分の言葉で伝えられたことに、母はびっくりします。
あーあもっと詳しく話したいですが、見ていない人のためにこれ以上は詳しく話さないようにしますね。
主題歌はミスチルの 「名もなき詩」でした。
 
もう一つの方は、大沢たかお主演、遅くて叶わぬ初恋を描いています。
彼はレストランで皿洗いをしながら愛犬とともに一人暮らしをしています。
そしてアパートから見えるマンションに住む女性に恋をするのです。
彼女はとても美しい人でした。
バードウォッチングが趣味でしたので、それが高じて彼女のマンションをのぞいてしまいます。
それは「守ってあげるため」という彼なりの理由があったのです。でもそれは世間では許されるはずもない行為でした。
ある日、様子を見に来た母親に見つかり咎められてしまいます。大切にしていた双眼鏡も取り上げられてしまいます。
いろんなことで落胆した彼は、愛犬に話しかけます。
「病気かな、苦しいんだ」
彼女を想う気持ちが心を苦しくさせるのでした・・まだまだせつない展開が続きます。
“ オンリー ユー ”というタイトルです。見ていた方はおられるでしょうか。見ていない方はビデオでぜひご覧になって下さい。
私は彼の役は自閉症かな、と思っていました。
だって皿洗いの場面で積み重ねた皿を見ただけで、「2枚足りない」と分かるのです。また洗い方も皿の拭き方も“ただものではない”ものを感じます。大沢たかおさんは演技がうまいですね。
オンリー ユーの主題歌ですが、我が子の好きなオリジナル・ラブの「プライマル」という曲でした。
オンエアーを見ながらこの曲に泣けていました。
 
どちらのドラマも主人公は純粋で一生懸命生きていました。
それを支える家族、理解ある周りの人たち、やがて理解していく人たち、それぞれがそれぞれの関係で、うまく描かれていたと思うのですが、もちろん見る人によって感想は違ってくると思いますので、見られた方がいらっしゃったら感想をお聞かせ下さい。
最近深夜番組を見る機会が増えました。
特に「自閉症」という演技、言葉を敏感にキャッチしている自分がホラーです。
ある日、偶然に見ていた「ビバリーヒルズ青春白書」に役どころが自閉症だろうな、と思う人が出ていました。
彼は病院でカルテの整理をする仕事をしていました。ボランティア(?)、ジョブコーチ(?)と話し合いながら、混乱のないように職場で過ごしていたのですが、カルテがバラバラに入ってしまって注意されます。
彼の言い分は「入れるところがいっぱいだったので、別の所に入れた」ということでした。
「新聞が濡れてしまったので、乾いた新聞を入れた」と古新聞を配ってしまった「学校 V」のトミー君を連想させる―アメリカ版でした。
この後の展開は見逃してしまったので、どなたか深夜放送見られていた方があったら教えてください。
この時はたまたま自閉症者の方が出ていただけで、いつもは恋愛などがテーマのドラマです。
毎週土曜日、NHK総合 夜11時40分からの番組です。
 

これまで「育てる会会報」はHPに全文をUPしていましたが、容量等の事情により、一部抜粋にさせていただいています。

今後は、会報は会員の方への郵送でお届いたしますので、ご希望の方は賛助会員に申し込みをお願いします。
詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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