sorry,Japanese only

平成12年5月8日

第 24 号

岡山県自閉症児を育てる会


目次

 「山が笑う」頃に
 「自閉症のしおり」 問合せが殺到の巻
 「自閉症のしおり」 新聞記事特集
 ボランティア 研修&交流会 大成功
 キッズルームのご案内
 5月の勉強会のお知らせ
 水泳教室、サッカークラブ、山のぼりのお知らせ
 ボーリング大会 参加者募集
 ボランティアネットワークについて
 近隣の講演会のご案内
 「新一年生になりました」
 「僕と自閉症 2000」

「山が笑う」 俳句の世界では、新緑の季節の頃をこんな風に例えるそうです。
桜の花びらが散りはじめると、まもなく山々の木々の梢から次々に木の芽が芽吹きはじめ、またたく間に山がせり出してくるような勢いを感じます。
新学期のはじまりも、またたく間に過ぎていきます。いかがお過ごしですか?
私は、このお便りを病院のICUのベッドの上で書いております。
「自閉症のしおり」の作成やその後の問合せ、発送業務や、その他新年度の諸処の雑事におわれて・・・気がつけば30日余りも咳きが止まらないという日々でした。今朝(4月29日)早く、咳き込んだあと、とうとう息ができなくなるという症状にみまわれ、急遽入院ということにあいなりました。
よってこの会報もいつもよりちょっと遅れてしまったことをどうぞお許し願います。
記事だけを我が家のダンナ様に手書きで渡してお願いしております。
皆様方もお体にはくれぐれもご自愛ください。特に自閉症児を育てておられる会員の方、普通のお母さん以上に健康には気をつけていただきたいと思います・・反省の思いをこめて・・。
この会報がお手元に届く頃には私も元気になって、また息子と向き合っていきたいと思っています。
鳥羽 美千子

自閉症のしおり問合せが殺到の巻 

4月19日の山陽新聞朝刊に、「自閉症のしおり」の記事が載りました。
最初の電話が8:00頃でした。
以来連日事務局の電話は鳴りつづけ・・、発送と対応がやっと一段落着いた頃に、今度は読売新聞にも記事が掲載されました。
嬉しい悲鳴はやがて苦しい悲鳴に変わりました。交流会の準備や会報発行と重なり、自閉症のしおりは、在庫も底をつき、寝る間も惜しんでのしおり作りの毎日と相成りました。
折りから、新学期の忙しさの中、自閉症児を抱えてのみなさんの大変さはすでに経験済。お手伝いを頼むのもはばかられ、孤軍奮戦、トシを考えずに頑張った兵士(まだ老兵ではありません!)が、とうとう力尽きてひとり病院に横たわる・・・
「ゆっくり休んでください。」
今回ほど、みんなの優しさが身にしみたことはありません。
お見舞いを頂いた方、優しいメールや、ファックスでのお便りを下さった方、この場を借りてお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。トバサンは、復活しました。
もう大丈夫です。
元気にさせてくれた事のもうひとつの理由は、何と言っても届けていただいた交流会のビデオでした。
私が欠席で、イッパイ迷惑をかけたはずなのに、微塵もそんな事をカンジさせないチームワーク。
病院のベッドの上で笑ったり泣いたりしながら、ビデオを見ました。
大成功でした。ボランティアと親と賛助会員の心がひとつに溶け合って、会場の熱気が、画面を通してすら、感じられるのでした。
みんなと一緒にあの感激の中にいたかった。つくづくそう思いました。
それと同時に、一抹の寂しさも感じました。でもこれでいいんですね。
育てる会は、ここまで来たんだ。私が、頑張らなきゃと、いつもいつもそう思って頑張ってきました。がむしゃらに、引っ張ってきたつもりの私でした。
でも、もうそろそろ大丈夫。私がいなくてもなあんだ、立派にやれるじゃん。
我が子もまもなく思春期です。対応が難しい時期にさしかかっています。
ぼちぼち楽隠居で、サポート役にまわっても大丈夫、そんな気にさせられた交流会でした。
ご迷惑をかけた皆々様、今後もよろしくお願いします。

 『自閉症のしおり』 特集

自閉症という障害のことを正しく理解してほしい、そんな思いでつくった手作りのしおりです。どのようにして、より多くの方に届ければ良いのか・・・、その手段のひとつとして新聞社にお便りを出しました。
まず、4月19日、山陽新聞の朝刊で育てる会の案内とともに、しおりの紹介をしていただきました。「同じ悩みに苦しむお母さん達に、自閉症は親の育て方が原因ではないことや、接し方で症状が改善することを知ってもらい、少しでも心の支えになれば・・」としおりを作った思いも書いてくださいました。 
続いて、4月26日には読売新聞でも「自閉症児との接し方を解説」と、大きくとりあげていただきました。こちらの方は、しおりの表紙の写真で、育てる会のシンボルデザインも県内の多くの方に紹介されたわけで、なんだか嬉しくなりました。

しおりの申込は保護者の方をはじめ、社会福祉協議会や保健所、開業医の方など、いろいろな方からありました。中でも多かったのが保育園の保母の方からや小学校の先生方からの問合せでした。
初めて自閉症児のお子さんを受け持って、どう関わっていけばよいのか、悩まれている方の声をお聞きしました。
送料分の切手を返送していただいた封筒の中には、共感と励ましの温かなお手紙も入っていました(なかには、カンパを寄せていただいた方もいます。ありがたく寄付金として使わせていただきます)。
いくつか、抜粋して紹介させていただきます。
● このしおりは学校の担任の先生やお世話になった幼稚園の先生方に読んでいただきたいと、早速コピーさせていただきました。
内容については、あっという間に読み終えれて、そして専門用語もなく、自閉症という言葉をを知らない人にでもわかりやすく読んでいただけるように思えました。
自閉症は親の接し方でなるものだと思っている人達は今でも沢山いると思います。
そうじゃないんだ!と、このしおりを沢山の人々に読んでいただいて、少しでも理解していただければいいなと思います。
これからも会の発展をお祈りいたしております。 
● しおりを送っていただきありがとうございました。一気に読みました。あまりにぴったりの説明で納得できました。
甥が自閉症と診断されているのですが、今日も「本当に自閉症なの?」とたずねたところだったのです。
兄夫婦は一生懸命勉強したり、病院へ連れて行ったりしているのですが、あまり立ち入ったことも聞けず、どうなるのか心配ばかりしていました。
私には理解できないような不思議な感覚ですが、実はそうなのですね。
これからずっとふれあっていく私たちです。
少しでも協力できればと思いました。
● 我が家の孫は就学前ですが、これから先の方向付けに迷いもあり、まだまだ分からないことばかりで、不安が先に立ってうろたえています。
今まで読んだ物のほとんどが「こんなのが自閉症です」で終わっていたのが、このしおりでは、「だからこうしてやってほしい」と第三者へのアドバイスが多くて、幼稚園・学校へと広げて行けば、本当の意味で“育てる”ということに広がると思います。
私もコピーして、心ある人・所で役立ててもらおうと思います。
本当に元気が出て、「がんばらなければ・・・」と思います。
 この度は急な依頼にもかかわらず、早速しおりをお送りいただきありがとうございました。
皆様方の、このような活動が、自閉症を広く理解してもらうために貴重な力となることを信じております。
私も、実は臨床にたずさわっておりますが、自分なりに少しでも役に立ちたいと思っております。
今後とも皆様のご活躍をお祈りいたしております。
自閉症の理解を願って水面に投げた小さな小石でしたが、少しずつその輪が広がっているようで、また元気がわいてくるお便りの数々でした。

さて、育てる会の会員の中にも、今年新入学された方がたくさんいらっしゃいます。
その中からM.Fさんが、体験談を寄せてくださいました。いっしょに入学された方や、来年以降、就学を迎えられるお母さんにも元気のでるお話だと思い、紹介させていただきます。


「新1年生になりました」

M.F
今春、我が家の長男、Kは、地域の小学校の障害児学級の一年生になりました。
長い交渉の結果、3月末にやっと、小学校の先生、教育委員会の先生、議員さん、応援してくださった大勢の人の力を集めて、加配の先生がひとりついてくださることになり、とてもいいスタートをきることができました。
一生で一番、つらい日になりそうな悪い予感のする入学式の日。前もって、綿密にたてた打ち合わせと、自閉症児を指導した経験のある先生の的確な判断とタイミングの良さで、Kは、私の手を離れ皆と一緒に花のアーチをくぐり、入学式に最後まで、参加することができました。
途中でピアノの音がすると 床に座ってしまったり、「バイバイ」と言う声がきこえてきたりしたけれど、Kにしては、上出来でした。
写真撮影の時も 普通の子より、おりこうさんに座っていて、二度ビックリ。
校長先生に100点だと、ほめていただきました。
体育館にさえ入れないと思っていたのに。
つらい入学式になると、覚悟していたのに。
小さな奇跡が起きました。
言うことをきかない変な子だと、登校班の子に嫌われたり、いじめられたりしたらどうしよう・・・、いう不安も、とりこし苦労でした。上級生の子は、
「おばちゃんも 大変じゃなあ。K君が、砂をパラパラせんようになったら ぼくらだけで行けるかなぁ。大丈夫じゃ。絶対大丈夫。」
「そうよ、わたしたち みんなでめんどうみるから 絶対大丈夫よ。」
3歩 歩いてはすわりこんで砂をパラパラしたり、歩道橋で下の車に見入ったりするKの両脇をかかえ、坂道を登っていくお兄さん、お姉さんの額には、汗が流れています。
なんていい子達に出会えたんだろう。本当にありがとう。
校内放送で朝の音楽が流れ出すと、両手の荷物をドサッと落として立ちすくんでしまうKですが、それでも少しずつ少しずつ、確実に新しい世界に入っていこうとしています。
がんばれ! がんばれ! K。
お母さんも あきらめないよ。
みんな、みんな、本当に ありがとう。

これまで「育てる会会報」はHPに全文をUPしていましたが、容量等の事情により、一部抜粋にさせていただいています。

今後は、会報は会員の方への郵送でお届いたしますので、ご希望の方は賛助会員に申し込みをお願いします。
詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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