平成12年6月30日
第 26 号
NPO 岡山県自閉症児を育てる会
目次
梅雨の晴れ間に
夏合宿 参加者募集
勉強会・水泳教室・サッカークラブ
新サークル誕生「アスペサークル(仮称)」
近隣の講演会等のご案内
キッズルームの子ども達
「自閉と向き合う 13」
卒業の後に
育てる会「掲示板」
梅雨の晴れ間の気持ちの良い一日。この原稿を書いています。
私達はともすれば、梅雨空のうっとおしさばかりを気にして、「梅雨は嫌い」と言ってしまいがちですが、雨の中の色あざやかな緑、煙るような山並み、水を張った水田の美しさ、カエルの鳴き声、アジサイの葉の上のかたつむり、どれをとってみても生命に輝いているではありませんか。
そして時々おとずれる梅雨の晴れ間…。久し振りの太陽に出会えた喜びは、真夏には味わえないものでしょう。
思えば私達、障害児の親にとって、苦しい事の多い毎日の中、ほんの少しの子どもの成長や、チョットした人のやさしさに触れることが出来た時、他の人より喜びの感じ方が、より深くより強いように思うのです。まさに障害児の親の醍醐味とでも申しましょうか。
ものは考えようです。「梅雨はうっとおしいから嫌い!」ではなく、時にある晴れ間を喜ぼうではありませんか。「障害児との生活はもう嫌!」と思ってもどうにもなりません。この子との生活の中に喜びを捜す生活。そんな視点を持つ事が、子どもだけでなく、自分にとっても家族にとっても、幸せにつながるように思うのです。
さて、いよいよお待ちかね、夏合宿の募集の時がまいりました。詳しい事は後述いたしますが、どうせやるなら、育てる会でなければ・・・という企画を考えています。
私たち育てる会は、自閉症者ではあるけれど、彼らなりの精一杯、力を出しきって生きる事(つまり一人前)、それを目指すために活動を続けています。
将来一人前の人となるためには、どうすればよいのか? 今、何をなすべきなのか?
それを考えた企画、それを意識した活動でなければならないと思っています。
今回の合宿のテーマは『 はじめの一歩 』。
大阪TEACCHの新澤伸子先生の著書を読んでいた関係で、世話人会の席でピーンとこの一言が浮かんでしまいました。
自立に向けてのはじめの一歩です。
はじめの一歩は人それぞれです。
我が子の為の、ここから始まる、はじめの一歩です。
今、育てる会には告知を受けられたばかりの3〜4才の方も次々入会されています。
そんな方にも、「はじめの一歩」、一歩だけでもお子さんといっしょに歩き出してほしい・・そんな願いの合宿です。
分科会のテーマも、
1. 障害をよく知ろう(自閉症という障害を理解し、子ども達を分かってあげる事から始めよう)
2. 問題行動への対応(今困っている事を話し合う中から、解決への糸口を皆でみつけよう)
3. 親の手で作ろうIEP(我が子の将来を見とおしたIEP、子どものための個別教育計画を、親の手で作ってみましょう)
と、いうような三つの構成を考えています。
合宿へ向う道より、合宿からの帰り道の方が元気のでるような・・、明日に向って、はじめの一歩を元気に踏み出せるような合宿にできればと願っております。
鳥羽 美千子
新サークル誕生!(仮称:育てる会 アスペサークル)
会報22号で行なった、
『水泳教室やサッカークラブ、他にも必要と思われるもの・・どんどん自分達の手で作っていこう! 仲間は大勢います。
担当者は「あなた」です。』
そんな、呼びかけに応えて新たなサークルが生まれました。
普通学級で頑張っている子ども達・・・、
自閉症スペクトルの中にあって、自閉症特有の困難な障害(社会性、コミュニケーション、こだわり行動など)は持っているのに、知的障害は持たないため行政からはなんの援助もなく、学校でも理解されにくく、ワガママと誤解されてしまう・・、
そんな悩みを持つお母さん達が集って、勉強会・読書会を始めることになりました。
テキストは「高機能広汎性発達障害 アスペルガー症候群と高機能自閉症」
杉山登志郎・辻井正次:ブレーン出版 2,800円 + 税 です。
読書だけでなく、子どもが学校で頑張っている姿、トラブルで困っていることなど、諸々を話し合い、聞いてもらう場を作りたいと考えています。
詳しい事はこれから話し合っていく予定です。
問合せ先:I.M
キッズルームの子ども達
毎回、キッズルームで子ども達に人形劇を見せていただいている岡山大学児童文化部のみなさんから、暖かいメッセージが届きました。人形劇が始まるまでは、手遊びやゲームをしたり、トライアルタイムには各コーナーに分かれて子ども達を楽しませてくださっています。
そんなボランティアのみなさんからのお便りです。
今回も本当に楽しませていただき、どうもありがとうございました。今回はこちらのメンバーに新たに1年生が加わり、若いパワーで盛り上げてくれました。
感想文をお読みくだされば分かると思いますが、みんなとても楽しかったそうです。11月のキッズルームを、今から楽しみにしています。
けれどそんな1年生に対し、時間の都合等により、自閉症について前もって十分に言えなかったことが、今回の私の反省点です。そのため1年生も戸惑ったようだし、もしかしたら父母さんにもご迷惑をおかけしたかもしれません。すみませんでした。
次のキッズルームまでには、もっと自閉症のことを学んでいきたいなと思います。
次回もどうぞ、よろしくお願いします!!
岡山大学児童文化部 武田 陽子
ケロヨン
司会をやりました。みんな楽しそうにしてくれたので良かったです。
また、トライアルではたくさんの子と接することができて良かったです。
ランラン
私はロープというか縄持ちでした。縄とびそのものを楽しむ子もいましたが、縄本体が気に入った子もいました。
縄とびという形にとらわれず、子どもと楽しめるように心がけるようにしたいです。
今回も、成功していたと思います。
わかば
今回のキッズルームでは、トライアルコーナーの玉入れにつかせていただきました。
子どもの反応は様々で、個々に合った接し方が難しく、言葉がけもうまくいかなかったように思います。
しかし、私たちにとってはごく簡単なことであっても、子どもたちには理解できないことも多いということに気づくことができましたし、お母さん方の言葉のかけ方一つにしても、とても勉強になったので良かったと思います。
さつまい・MON
子どもの笑った顔を見れた時は嬉しかったです。
このキッズルームの活動を通して、お互いに認め合うことができれば良い。
父母さん方とも、話し合う時間がとれればいいなあ。
ひじょうかい・DAN
今日は一日楽しかったです。
ボーリングは、前と違いあまり人が来なかったのでさみしかったです。
マメたろう
今回はゴールシュートにつかせてもらいました。
やってて楽しかったです。はまってくれる子どももいてすごく嬉しかったです。
次回もぜひ!!
のこ
今回はやっと初めて子どもにつけてよかったです。
でも私ももう年のせいかちょっぴり疲れました。
とても元気な子でした。当日会うまで男の子か女の子、何年生かとか全然分からなかったので、ちょっと不安でした。
前もって分かっておけばもう少し安心できたような気もします。
でも、普段の公演でも前もって1人1人の様子が分かることもないし、その場その場でうまく対応できるようにならないとダメなのかなとも思いました。
なっちゃん
人一倍元気な男の子と遊びました。
当日の朝睡眠不足のため少し疲れていたけど、男の子と遊んで若さを分けてもらいました。楽しかったです。
兄弟の子どもも十分楽しめているみたいで良かったです。
くるみ
今回はトライアルの時間にボーリングにつかせていただきましたが、ボールを転がすことを説明するのがなかなかたいへんでした。
けれど、いろいろな子どもが来てくれ、とても楽しそうにしていたので、見ている私も嬉しかったです。
嬉しかったといえば、忘れてはならないことがもうひとつ。
人形劇をやり終わった後に、子どもたちが「コンピュータは?」と言ってくれたことです。
私たちのやったことが、子どもの心に生きているような気がして、とても嬉しかったです。
次回も、みんなが帰りたくなくなるほど楽しいキッズルームをしたいです。
フックてんちょう
自閉症については事前に配られた資料を読んで多少の知識は入れたつもりだったけど、実際接してみて対応の仕方が全く分からず、とても困った。
やはり資料を読んで頭に入れるだけでなく、直接接して体で覚えていかないといけないと思った。
ジョワー
1年生の僕にとっては初の公演で、できる限り練習しましたが、手あそびはみんなに楽しんでもらえたでしょうか?
この次も子ギツネコンコンが見たいなあと思ってもらえたら光栄です。
トライアルの時間では40分くらいだったけど子どもと一緒に遊べて楽しかったです。
今度はもっとお話もして、ゆっくり遊びたいです。
次回もがんばりますので、ぜひみなさん、キッズルームに来て下さい。
オレオレオ
一緒にトライアルを回る予定だった子どもが出席できなかったということで残念ではあったが、いろいろ回ってみて、子どもたちの中には、コーナーのゲームには興味を持たないが、なわとびの縄やボールそのものに関心を持つ人もいて、楽しむことができたのではないかと思った。
ホチキス・しん
初めての参加だったので、その場にならないと分からないことばかりでした。
僕は兄弟の子についていたのですが、遊んでいるのをただ見守るだけでなく一緒に遊んで楽しんだ方が良かったように思います。
会ったばかりの子と2人でいるというのはなかなか戸惑うもので、もっとうまく接することができたのではないかと思うので。
それでも子どもは楽しんでくれたようなので、とりあえずよかったかな、とも思ってます。
自閉症の子とは今回ほとんど関わりがなかったのですが、
やっぱりどう接したらいいのかはよく分かりませんでした。
次回はなるべくその子に合った楽しみ方を見極めて、楽しめるようにしてあげられたらいいかなと思います。
次回はもっと楽しめるようがんばりますので、よろしくお願いします。
しんえもん
自閉症の子どもと触れ合うことは僕にとって初めての経験であった。
そのこともあり、今回の公演では多くのことを学ぶことができた。
このような貴重な体験をさせていただいたスタッフのみなさまには感謝しています。
ハンぐるぐる
今回キッズルームに行ってコーナーについてみて、いろんな子が来てくれて楽しかった。
自閉症の子どもはなかなか対応しにくいものです。
教育実習に行って、プロの教師でも自閉傾向にある子には心のケアが必要だと知りました。
このキッズルームでは、まずは子どもたちが楽しめることに重点をおいていけばいいと思います。
しず55
今回、前回と同じ兄弟の女の子につかせてもらうことになった。
小4の女の子ということもあり、最初はかなり意識してしまったが、なんとか仲良くなれたと思う。
ゲーム類をやったが、低学年や自閉症児向けだったのでいろいろと大変だったが、迷路で真剣に取り組んでくれたことは嬉しかった。
また前回のような一方通行のコミュニケーションではなく、双方向で楽しく話ができたのが嬉しかった。
次も(できれば)彼女につきたいな。
あと、彼女以外はほとんど見えなかった。
子どもについていなかった学生は、(親の近くにいる)1人になっていた子どもについて欲しかったと思う。僕自身、声をかけていきたい。
次回も行くぞー!
おーい・おっちゃん
事実上初めての公演だったので、劇以外のいいステップになったと思う。
色々な人間がいての社会だと思うし、色々な人とふれあってこそ人生だと思うので、次は自閉症の子どもと遊んでみたい。
全コーナー回れなかった。次はうまく子どもに言って時間を一番面白く使えるように回ろう。
[その他の感想・意見]
*コーナーに、兄弟の子が楽しめるものがほしい (特に高学年の子には簡単すぎる)
*ボーリングの水は、なくてもいいのでは? (ボールが当たっているのになかなか倒れないから)
*魚の絵がとても上手だった
*しっぽとりはやっぱり分りにくい
*自閉症の子は待ってあげることが大切。とにかく楽しくやろう
*自閉症の子につく場合は、前もって教えてくれた方がやりやすいかも
児童文化部のみなさん、ありがとうございました。
次回は少し間があいて11月になりますが、よろしくお願いします。
卒業の後に
「 山陽西小学校 1年生 」 いつか知らないうちに、カレンダーの12月5日の欄に書き込まれている文字がこれです。
卒業して3ケ月。いまだに「何年生ですか?」の問いに、「山陽西小学校 6年生」と答えてしまう哲平です。
一度しっかり決着をつけた方が良いと思い、休日でヒマな日を選んで、卒業した山陽西小学校を母子で訪れました。
広い校庭を横切って、正面玄関から右へ、3番目の哲平が6年間通った、たんぽぽA組の教室を二人してのぞいてみました。
哲平の卒業と一緒に他校に転任された担任のO先生が、転任される前にきれいにそうじをして出られたのでしょう。整然と片付けられた教室には、3月の卒業前まであった哲平の机がありません。
じーっと見た後で哲平が言いました。
「カラッポ・・・・ ない!」
「机ないねー、おいてないねー」と、私。
「ある! ある! おじちゃん、ヨイショ!」
(おじちゃんにヨイショと運んでもらおうよ! との意味)
「それはだめよ。だって哲ちゃんは卒業したんだもん。」
「哲ちゃんの机は東養護学校にあるでしょ。」と、言っても
「ある! ある!」と言います。
「哲ちゃんは卒業して、もうO先生も山陽西小学校にはいないのよ」と言うと、急に悲しくなったのか泣き出してしまいました。
私もつらくって、哲平の顔を見ながら二人して泣いてしまいました。
「哲ちゃん、もう山陽西小学校へは帰れないのよ。」
「卒業したら、もうおしまいなのよ。」
本当に解らないみたいです。納得できないのです。
このわかりにくさ、この厳しい切り替えにくさに、同情と悲しみでイッパイになりました。
人はしだいに大人になっていく事。もう昔には戻れない事。時は流れ過ぎていく事・・
どのように哲平に伝えたらいいのでしょう。
カレンダーには「山陽西小学校 1年生」の文字。
12月になったら、またもう一度山陽西小学校の1年生になって、小学校生活をおくりたいようです。
(我が家のカレンダーは、12月までなので、本当は、4月があれば、4月の所に書く事でしょう)
余程、楽しかったのでしょう。そう言えば、入学したての頃、優しい6年生のお姉さんやお兄さんに囲まれて嬉しそうでした。
今、哲平はカレンダーにいろいろ予定を書きこんでいます。12月5日に山陽西小学校と書けば・・、また通えるようになると思っています。
いくら書いても・・・・、それがわかった時、どうしても戻れないとわかった時、また哲平の目から涙がこぼれるのでしょう。
自閉症児といえども、自閉症児であるからこその、どうにもできない思い、哀しみ。
私たちは、当り前と思っている卒業と別離、それがこの子たちにあたえるつらさ、悲しみ。
せめて、親だけでもいっしょに受けとめ、いっしょに泣いてやりたいと思います。
育てる会 掲示板
今月より会報に掲示板を作ることになりました。
育てる会の会員の子ども達と、支援していただけるボランティアの方のための掲示板です。
ボランティアがほしい方、ボランティアがしたい方・・そんなみんなのための掲示板です。
この掲示板は、ボランティア対象なので、原則謝礼は「なし」のものばかりです。
お支払いできるのは、交通費と昼食費当、必要経費だけに限らさせて頂きます
また、「ボランティアさん募集」の掲示の中で、プライバシーの観点から、名前や電話番号を匿名としたい方は事務局まで連絡してください。事務局が代理で掲載いたいます。
それでは、第1回のサンプルです。
サンプルですがホンマものです。「ボランティアしてもいい」と思われる方は事務局まで連絡してください。ボランティアしたいという方からのメッセージもお待ちしています。
● Y.M(小1・男)くんとプールに行ってくれる人募集 ● T.T(中1・男)くんとプールの行ってくれるボラさん募集。 ● M兄弟(小3・男と小1・男) |
これまで「育てる会会報」はHPに全文をUPしていましたが、容量等の事情により、一部抜粋にさせていただいています。
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詳細は「育てる会 HP」に記載しています。