sorry,Japanese only

平成12年7月31日

第 27 号

NPO 岡山県自閉症児を育てる会


目次

 いよいよ、夏合宿
 「自閉症のしおり(全国版)」
 今津房子さん、講演会報告
 キッズルームに参加して
 「自閉症児のパソコン教室」 始めました
 自閉症児のための水泳教室
 サッカークラブよりのお知らせ
 近隣の講演会等のご案内
 「 チャンネル 」

 いよいよ待望?の夏休みが始まりました。
お子さんたちの夏休みの始まりは、どんなようすでしょう。
夏が始まったばかりなのに、もう根を上げたりしていませんか?おかあさん。
 私自身の子どもの頃を思い出してみると、本当に楽しかった夏休み…。
我が子達にも、一生に一度のこの夏を実り多いものにしてやりたいと、つくづく思います。
さて、育てる会の夏、といえばもちろん夏合宿です。
現在、世話人達で着々と準備を進めております。
 交流会や、AAOの取り組みの中で、ボランティアさん達が、しっかり育ってこられたことを実感しています。自閉症を理解して下さって、安心して我が子達を托せる土壌ができてきた…と、感じています。
そこで、今年は、ボランティアさんを信頼して、すっかり子どもを預けてみようではないか。そしてその時間を利用して、親達は、しっかり明日からの毎日の為の勉強をしようではないか…。そんな合宿を企画しました。もちろんまだ小さくてボランティアさんだけでは、手に余るという方や、心配な親御さんは、親が付き添うことは、やぶさかではありません。でも基本的には、ボランティアさんにお願いするという姿勢です。
 合宿の目的は、何でしょう?
ただ、一緒に寝泊りすることだけでも、色々学ぶべきことは、あると思います。
けれども、様々な人達に協力をいただいて、苦労をお掛けする合宿です。
それだけでは、もうしわけありません。
 明日からの療育に役立ちそうなことを、目いっぱいとりいれてみました。
親にとっては、研修が中心です。青山先生の講演会に分科会、今年は話し合いは分科会でじっくりと・・2日間にわたって時間をとっています。

分科会テーマ

話し合いたいこと

第1分科会

障害の理解

障害をよく知ろう

自閉症という障害の特性を正しく理解し、子どものおかれている状況をわかってあげる。同時に将来に向けての見通しをつかむ。障害の受容についてもみんなで話し合っていきたいと思います。

第2分科会

問題行動への対応

問題行動への対応策を考える

今起こっている問題行動を、各自がエピソードとして記述し、その解決法を探る。共通の問題、個別の問題、いろんな角度から、成功例、失敗例も交えて、みんなで考えていきたいと思います。

第3分科会

IEPの作成

親の手で作ろうIEP

子どもの青年・成人期の目標とする姿を描き、それに向けて具体的にどう療育していけばいいのか。まずこどもの現状をしっかり観察し、個別短期目標をたてていくところからいっしょに勉強していく。親だけでなく、教師、専門家の方も巻き込んでいく方も考えていきたいと思います。

 

 また、子ども達にはボランティアさんと一緒に新しい経験をしていくこと。
まずは、人形劇からはいって、おやつを食べたあと、いよいよフラッグアートの制作。
大きな布に絵を描いて、自分の旗を作ります。
 乾いたらプレイホールいっぱいにみんなの旗をたなびかせましょう。
目標イメージは四万十川の上にはためく鯉のぼりの勇姿です。
さあ、成功するかな、ワクワクです。
 夜はみんなでコンサートを聴きます。
コンサートのプログラムもできあがりました。


コ ン サ ー ト

 夏の夕べ

1 ドラえもんといっしょに海へ行こう!

大型バス 海 ボートこぎ

☆☆☆☆☆☆☆☆ 休憩 ☆☆☆☆☆☆☆☆

2 クイズで曲あて

おもちゃのチャチャチャ

他6曲(ナイショ)

☆☆☆☆☆☆☆☆ 休憩 ☆☆☆☆☆☆☆☆

3 静かに聞こうね

君をのせて さんぽ トトロ

風の通り道 夕焼け小焼け

ほとんどがどこかで聞いたことのある曲、歌です。
20分ずつ、3部で構成しました。
 1、2部は、みんなで参加できるもの、3部は、静かに聞いてほしい曲と言う思いでまとめました。1,2,3部の間には、休憩を入れます。眠くなった方は、休憩時間に部屋を出てお休みください。音楽を親子で楽しもう、静かに聞く練習をしよう、など一人一人それぞれの目標をもって参加して下さるとうれしいです。
 
 翌日は年長児はハイキング、年少児はキッズルームです。そのあとみんな集ってトレイクラフトに挑戦です。このあたりで、みんないっしょに班行動している友達を意識してくれるようになってくれると嬉しいのですが・・
 そして最後は親と子ども、指導者にボランティアさん、みんな集ってプレイホールいっぱいを使ってののDRです。
暑い中ですが、最後まで集中して今年もお別れのエイ・エイ・オーまで頑張りましょう。
 今年都合で来られなかった方も、来年こそは“万難を排して”参加したくなる合宿をめざして、いってきます!!

『自閉症のしおり(全国版)』作りました 

 たばこ産業弘済会や日本フィランソロピー協会、日本財団などから助成をいただいて制作した「自閉症のしおり」の制作と配布事業、みなさんの協力をいただいて無事終了しました。
 当初の予定通り、1万部の大半を広く岡山県内に配ることができました。ありがとうございました。
“大半”と書いたのは、インターネットなどでこの冊子のことを知った方を通して、県外に“流出”したしおりが若干あるからです。そしてその一冊が、どこをどう流れたのか自閉症協会出版部の方の目にとまったそうです。
 突然の電話で驚きましたが、このしおりを作られたいきさつや思いなどを機関紙の「いとしご」で紹介したいので、原稿をお願いしたいということでした。私たちの思いを伝えられ、このしおりが少しでも県外の方のお役にもたつなら、とお引き受けしました。
 7月号の「いとしご」に記事が載ってから、それこそ全国各地から続々とお便りが届いています。新聞掲載の時は療育関係者の方からの申込みが結構多かったのですが、今度はそのほとんどがお母さんからのものでした。でも中には、昔あこがれていた武蔵野東学園や、長崎大学・・とかいうのもあって、恐縮しながら発送させていただきました。
 助成分が終わったため、今回より一冊 50円いただくことになりました。1部郵送の場合は送料 140円と封筒代 10円を足して、200円切手を同封していただいています。
 もちろん、一人でも多くの方に自閉症を理解していただきたいという思いは同じなので、その後のコピー・印刷は自由です、という事も明記しました。また、他県の方が読まれることになるので、岡山の独自の部分ははずし、代りに困った時の連絡先に自閉症協会本部の電話番号などを記載しての「全国版」です。(・・と、いうほど変わったわけではありませんが) 

先輩のお母さんを囲んで 3 今津房子さん講演会』 報告

 去る7月6日に、兵庫県高砂市にお住まいの今津房子さんをお招きして講演会を行ないました。
 今津さん、ご自身の息子さんは、現在もう33才で、「子育てのことは、少し前になるけれども・・」と言いながらも、明るく、前向きに、今までの子育てのことを、楽しく、笑いも交えていろいろとお話ししてくださいました。
 「まずは、自分の子どものことをよく観察して・・、こうすればいのかと考える知的ゲーム」と言われて、育てる事を楽しくされていることがうかがわれました。
 今、“ゴミひろい”にこだわっている我が子を見て、何か他に提供できるものはないか? と悩んでいる私にとっては、明るく光を照らしてくれているように感じました。
 当日は、就学前の幼児のお母さんから、高等部に通う青年のお母さんまで来られていて、それぞれ子育ての悩みはさまざまだったと思います。でもみんなのお母さんが元気をもらって帰られました。
 最後に、「子育ては自分の子どもから学ぶ」という言葉をいただきました。この言葉を、これからの子育ての元気の基として歩んで行きましょう
( 講演会担当:S. I )

今津房子さんの講演会に参加して

O.C
 私事ですが、我が子が自閉症の告知を受けて、パニックになっている時(親がです)、本屋へ行きたまたま手にとったのが片倉先生の本でした。その本の中に、子どもにTシャツを食べさしたお母さんの話が出ていて、とても印象に残っていました。
 このお母さんこそ今津さんでした。
 今津さんのお話はとてもユーモアがあり、話の内容は決して軽いものではないのですが、私達が頑張ってみようと思わせていただいた内容でした。
 私が印象に残っているのは「こだわりを活かす」ということばでした。こだわりはとるもの、としか思ってなかった私にとって目からウロコでした。
確かにこだわりはとらなければいけないものもあるのだけれど、視点を変えると、それによって教育ができるということもあるんだと感心しました。
 自閉症児を育てるには気転、アイデアが必要、また、子どもの才能のみを愛すると失敗する、等々・・・ どのお話もとても元気の出るものでした。
 私も今津さんのように、20年先には「子どものことで何も心配がない」といえるような子育てができたらと思いました。本当にありがとうございました。

キッズルームに参加して

S.K
 娘に一つでも多くの経験をさせ、楽しみを増やして欲しくて、4月に家の引越し、養護学校への入学など、落ち着かない状況の中でしたが、初めてのキッズルームに参加しました。
 ゲームやトライアル、体操、フラッシュカードと一通りこなして、最後の人形劇ではじっと見て、楽しそうな顔を見せてくれていました。
 ところが、2回目に参加した時は人形劇は楽しめていましたが、他の物には全然自発性がなくイライラ状態が続きました。
 初めての事には、なんとか自分なりの理解で興味を持ってくれる事が多いのですが、2回目からは何となく流れが解ると、自分が好きでないものには頑張れなくて落ち着けない状態がでてきます。
 他の方からは、この子たちは初めての事が苦手で、2回目からはしだいに落ち着いてくるという話も聞きますが、どうやら我が家は逆のようです。本当にいろいろなタイプがありますね。
 次回からは、もっと納得して参加できるよう工夫してみます。
 一つ年上の姉は、キッズルームをとても楽しみにしてくれています。妹の訓練等の時にはいつも留守番を選ぶのですが、この会ではボランティアさんが姉の方についてくれるので、母と妹を気にしないで楽しんでいるようです。
 特に人形劇はおちも解って・・次回、11月のキッズルームも楽しみにしています。

 


チャンネル

吉田 英生
 真夏の太陽が照りつけるこの頃です。これからの季節、暑苦しくて眠れない夜が多くなりますね。眠れない夜には、ついダラダラとテレビのリモコンを意味もなく押し、ボーとテレビを観ることがあります。
 僕が子どもの頃は、山陽放送と西日本放送とNHKしか映らなかったものです。それが今では、深夜でもその10倍ものチャンネルが映る時代になっています。チャンネルが多いから、いつまでもつまらないとわかっていながらみてしまうテレビ。
 さて、子どもを育てていて困ること、なんとかしたいことってありますよね。なんとかしたいけど、何をしたらよいのかわからない。そこで誰かに相談する。だけど、「そんなことってあるわよね、そのうち変わるわよ。」と言われてしまったり、「自閉症は、厳しくしなくちゃダメなの。」と叱咤激励されて、(そうなのかな)と思いながらもそれに従ってしばらく過ごしたりしたことはありませんでしたか。その頃は、合わせるチャンネルがひとつも見つからないか、ひとつのチャンネルしか見えなかったということになります。
子どもが大きくなっていくにしたがって見直していかないといけないことに、このチャンネルの数や切り変え方があると思います。四六時中子どもと過ごす親ごさんは子どもとの関係や付き合い方にひとつの基本になる型をつくって過ごしています。このことはうまく暮らしていくことには大切なことなのです。でも、もし暮らしの中にうまくいかないことが出てきたとき、子どものほうにはチャンネルを切り替える力はあまりありません。付き合う大人の側がチャンネルを変えて、ずれ始めた子どもの暮らしをもどしていかないといけないのです。

 何年か前に指導にかかわった子どものお母さんがお電話をくださいました。新しい学年になってから、クラスの友達に執拗に悪口を言われたり、つきまとわれたりするのだそうです。
「家に帰ったらそんな様子は表情には出さず、いつもの調子です。でも、お姉ちゃんが学校や帰り道での出来事を見ていて私に教えてくれました。また学期末の懇談で、先生からもその様子を聞き、とても心配しています。
 悪口を言われることももちろんなのですが、そのことで、本人の口から、『僕なんかどうなってもいいんだ。』などと投げやりなことばを口にすることがあったり、我慢できずにモノを投げたりすることがとても心配です。相手にしないようにとは言っているのですが。担任の先生も真剣に取り組んでくださっていますが、私が何かしてやれることはないでしょうか。」というご相談です。
 
私は、3つのことを提案しました。
  1. 「相手にしない」とは、どうすればいいのか。実際にこんなことを言われたらという状況を設定して練習してみること。
  2. 学校であったことを家で書かせること。
  3. 学校で、担任の先生以外にも子どもが話しをすることができる相手を見つけること。
(1)は、悪口を言われて怒ってモノを投げる、投げるからよけいしつこく言われるという流れのチャンネルを切り替える実践練習。
(2)と(3)は、気持ちの抜け道を作り、子どもにとっての相談相手を増やすこと。具体的には、交換日記を始めることです。
 学校でのできごとは先生との連絡を取ってお任せするとして、親ができることは、子ども自身がうまくできないチャンネルを切り替える具体的な方法を見つけ子どもにアドバイスすることです。幸い、切り替えるチャンネルが増えたその子どもは、1学期末は少し落ち着いて過ごすことができたようです。
 チャンネルは、本を読むこと、人の話しを聞くこと、誰かがやっている姿を見ることで増え、子どもに向かい合ってかかわってきたことで切り替え方が身につくものです。上手な人は、いくつかのチャンネルを子どもと対している一瞬一瞬に切り替え、出し入れをしています。
 「なるほどなあ、あーやったらいいんだ。」ってことの積み重ねが見つけられる場、人、機会。それをすぐに暮らしの中に取り入れることで増える親のチャンネル、広がる親子のチャンネル。
本を読むことや講演で、方法や知識は伝わりますが、子どもに対する姿勢、信念など本当に大切なことは、息使いが聞こえるような距離で見て、声を聞き、その場の空気を感じて身についていきます。場を役立てる、人がつながる、機会を活かす、それらは、順調に育っている学齢期につくっておくことで、いつかのためのかけがえのない財産になるのでしょう。

 チャンネルが増えると見なくてもよいテレビを観てしまう私。くれぐれも増えたチャンネルを振り回さないように、振り回されないように。

これまで「育てる会会報」はHPに全文をUPしていましたが、容量等の事情により、一部抜粋にさせていただいています。

今後は、会報は会員の方への郵送でお届いたしますので、ご希望の方は賛助会員に申し込みをお願いします。
詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

 会報一覧   育てる会HPへ   てっちゃん通信HPへ