sorry,Japanese only

平成12年10月31日

第 30 号

NPO 岡山県自閉症児を育てる会


目次

 私たちは仲間です
 11月講演会「自閉症をよく知ろう」
 11月例会「自閉症児のための木工教室」
 クリスマス会 参加者募集
 第6回 AAOのご案内
 キッズルームへ、おいでよー!!
 11月勉強会のお知らせ
 11月水泳教室・ボランティアの為の水泳教室
 「水泳教室 5年目で」
 サッカークラブ・HALの会(暫定名称)・女の子グループのお知らせ
 療育的山登り??
 速報 「スタンプラリー in 高梁」
 今月のお薦め本 「教育は自閉症児を変える」
 近隣の講演会等のご案内
 勉強会・HALの会・水泳教室・サッカークラブのお知らせ
  「通じない」
 自閉と向き合う 15
 ボランティア・ボイス

 私達は仲間です 

 急に寒くなったある日、大慌てでコタツとヒーターを出しました。
 コタツっていいですネ。
 思春期のせいかあまり話をしなくなった高一の兄も、大学生の長女も、そしてもちろん例の哲平くんもみ〜んな、居間に集まってきます。
 三匹もいる猫さん達もかたよせ合って、あ〜、団欒って感じです。
 平和な今の我が家にカンパ〜イ!!
 哲平の安定がこんなにのんびりとした日々を私達家族にくれます。
 
 育てる会の事務局をやっている関係で、色々な方と電話で話したり、初めての方からメールをいただく事があります。
そんな方の多くは、現在とっても苦しい状態の方です。
 藁をも掴みたい…、そんな思いで電話をかけてこられるのでしょう。
 お話を聞いて差し上げる事しか出来ませんが、その時最後にわたしがいう事は、いつまでも今のまんまではないという事です。
 辛い時には、この先ずーと一生このまま悲しい日々がつづくように感じます。
 けれども明けない夜はない。
 しっかり子どもを育てていれば、やがて子どもの成長と共に、自分自身の成長も加わって、笑える日々がある事を、私は、自身の経験から話せるのです。
 自閉症の原因等の解明は、まだまだ遠い先の事でしょう。
しかし、療育次第で相当改善する事、混乱状態のおかあさんに、少しでもあかりを灯してあげたくてお話します。
 今は、元気な私達育てる会の大きい子どもの親たちだって、幾度子どもと一緒に死にたい…と考えたことでしょう。
 以前ある会員の方がいわれたことを、私は育てる会への勲章の様に感じています。
 それは、

私、とっても辛くって、何度死んでしまおうか・・・・と考えたか知れません。
でも、育てる会の会報を読むことで、思いとどまる事が出来たんです。
辛いのは、私だけじゃない。
ここに、こんなに多勢の仲間がいるんだ…。
そう思うと生きる勇気が湧いてくるんです。
辛くなると、私は会報を読みます。

そんな風に言って下さいました。
こんな時、私はつくづくこの育てる会の会報を担当させていただいている喜びを感じます。
そして、私自身もまた、このお母さんの言葉から力をいただいて、新たな意欲が引き出されるのです。
互いが互いを引きたて合って、支えあって生きて行けたらどんなにステキでしょう。.
 み〜んな仲間です。
 私達は、仲間です。
同じ苦しみを乗り越えてきたからこそ、分かり合える仲間です。
地獄を見たから、今の強さがあるのかもしれませんね。
そのお母さん、今では我が育てる会の中で若手ナンバーワンの元気なお母さんです。
人は、変わります。
「私達育てる会は、動く会です。」
H副代表がこんな風に言っていましたが、その通り!
いろいろ悩んだ後は、涙を拭いて、今何が出来るか・・何を子どものために出来るか・・・
それを一緒に考えましょう。
将来後悔しない為にも今を大切に生きていきたいですネ。

キッズルームへ、おいでよ〜!!!

さあ〜、ちいさい子のお母さんお待ちかね、キッズ・ルームの日が近づいてきました。
 ちいさい子のための行事がない―というチビちゃん達のお母さんの要望で、産まれたキッズ・ルームです。
参加しているお母さんからは、次はいつですか?と、催促されるし、学生さんからは、もっともっと、子どもと関わりたいとの申し入れもあって、なかなか育ってきましたキッズ・ルームです。
「来年は、岡大の方達の主宰にしませんか?」
などととんでもない申し入れをする育てる会のメンバーに、目をキラキラさせて「面白そう!!」なんて言ってくれる学生さん達です。
 来年度は、もう少し回数を増やして月イチぐらいになったら…なんてもくろむ不届きな親達です。
 岡大児童文化部さん、本気で考えませんか?
 「ケンケンパ」が出来ない子にどうやったら、ケンケンパが出来るようになるか…、考えてみませんか?
 シッポ取りが人気なかったのは、どうしてでしょう。「ルールがわからないから。」「面白くないから。」いいえ、きっとやり方がまずいからですよ。
どんな風にしたら あの子たちがシッポを取りに来るか…工夫しませんか?
 きっとやりだしたら面白くって、もう病み付きになる事必至です。
 私達親も、そうやって子育てしているのです。自閉症児と関わったら、彼らの魅力に、彼らの魔法にかかってしまうのです。
 さて、NHKからキッズ・ルームの取材をしたいと申し入れがありました。あわせて わかば基金の贈呈式もしたいといわれています。まだ、打診程度の話ですので決定したら参加者には、お知らせ致します。(カメラに写りたくない方は、配慮をお願いしますからご心配なく)
 ここで、児童文化部 武田陽子さんからのおさそいです。
私たちは、人形劇をはじめ、ゲーム・うたなど様々なことを子どもたちと一緒に楽しもうと、日々活動しています。
次回でもう4回目を迎えるキッズルームでも、及ばずながらお手伝いさせていただき、いつもいつも、楽しませてもらっています。
手をつないだり、大きな声で歌を歌ったりしながらやる体操・音楽遊び。
子どもたちの元気のよさに圧倒され、自分の年齢を実感しつつも、やっぱり子ども心で一緒に遊んでしまうトライアルコーナー。
そして、私たちなりに、がんばって練習した人形劇。見ている子どもたちが歓声をあげてくれたりした時は、喜びもひとしおです。
どうぞ皆さん、キッズルームに来て、一緒に楽しいひとときをすごしませんか?
私たち、たいした技術はないけれど、楽しむことにかけては、どこまでもお手伝いします!!

「水泳教室 5年目で 〜1〜」

K.O
 我が子が水泳を始めたのは、小学校1年生でした。
 始めた訳は3つありました。
〇 1才から喘息になり、保育園の出席率は1/3、体を丈夫にしたい。
〇 通学路の1/4はガードレールのない用水路沿い。すごく多動な子だったので、もし用水路に落ちたらどうするの? 
  水の中で体が浮くことを教えなければ。
〇 この世の中で苦手なものを一つでも少なくして世界を広げてあげよう。
そう思ったからです。
 小学校に入学した頃、1学期の終わりからは水泳が始まるだろうと思い、あるスイミングスクールの体験に行きました。コーチと一緒にプールサイドで体操したまでは良かったのですが、「水をこれほど嫌がる子は入会できません」と言われ、ショックを受けて帰宅しました。
 その事を鳥羽さんに話したところ、津山に「水あそびの会」があるから行ってみたら、と言われ、通わせていただきました。
 1回目のプールは忘れることが出来ません。水着に着替え体操、そこまでは順調でしたが、次のシャワーでは、水のかからない端をスーッと通過したかと思うと、プールサイドを、どこに何があるのかをインプットするかのように、ウロウロするばかり・・。
それを止めようと近づくと走って逃げます。走ると危ないので、機会をみつけてつかまえる。でもまたちょっとした隙に逃げられる、の繰り返しでした。
 せっかく津山まで来たんだから、抱いてでもプールの中に入れなくてはと思い、力いっぱい我が子を抱きプールの中へ入ると、「ワー たすけてーー! たすけて〜〜!! イヤー!!!」の連発。
大きな声がプール中に響きわたり、大暴れしたのは忘れられません。
 覚悟はしていたものの疲れ果ててしまいました。これからどうなるんだろう、泳げなくてもいいから、水の中に喜んで入ってくれさえすればと願いました。
 プールが終わって、お世話をなさっているお母様が「続けることが大切だから頑張ってね!」と、フラフラになっている私を暖かく元気づけてくださいました。
「また来月待ってるよ。」と政本先生やボランティアさん達も声をかけてくださいました。
こんな子でも、ここでは受け入れてもらえるんだ、また来月も来てみようと思いました。
 周りの人達でどんなに支えられたことか。こんな子がどのようにして泳げるようになったかは、次号の会報でお伝えしたいと思います。
(次号へ つづく)

“ 療育的山登り ”??

 9月24日、AAO活動を兼ねた山登りを行ないました。
前日の大雨とうって変わり、快晴で絶好のハイキング日和です。
 前日が雨となったことで、AAO担当が来られなくなったり、当日体調を崩したTさんが欠席となり、山登り担当とはいいながら、地理にうとい私としては少々不安はあったのですが・・ いつも陽気で元気いっぱいのMさんが参加され、道案内もAAO(エイ・エイ・オー!)
の掛け声もかけてくれて、竜の口山頂をめざしみんなで元気に出発しました。
 運動会やその他の行事が目白押しの9月ですから、参加家族は8家族と少な目だったのですが、合宿の時のスタッフボラさん、AAOのボラさん、それに10月のスタンプラリーを企画してくれている吉備国際大学のボラさんも“子供たちの様子を見たい”と何人か参加してくれて、総勢31名の参加となりました。
 2人のお子さんが、お母さんと離れてボラさんと2人の参加でしたが、日頃AAOでしっかり関係ができているので、何の問題もありません。
 むしろ、TくんのボラYさんは、山登りの経験が少ないのか、下りでは「キャー、Tくん助けてー!」と何度か叫んでおられ、私は思わずボラH君に「ボラYさんをボラしてあげてくれる?」とお願いしたくらいです。
 Mさんちの妹、H美ちゃん(園児)は初の山登りで心配されていましたが、そこは元気者のMさんファミリー、2人のボラさんひきつれて、最後までおしゃべりのトーンも変わらず歩き通しました。
 お昼は1〜2品持ちよりの、いつものバイキング形式でした。みなさんたくさん持ち寄ってくださり、楽しいランチタイム。3日分くらい食べだめしたボラさんもいたような・・・
 お昼の後はお楽しみタイム。ビンゴゲームをやりました。
そろそろ帰りたい様子で「帰る〜」とぐずっていたMちゃんも、「ないゾー」と怒るYくんも、ボラH君のじらしながらのナンバー発表の時は、シーーンと静まって聞いている様子に、「ビンゴゲームになってるよ!」とびっくりしました。
 そのあと、手あそびうた。やるよーッと始めたのではないのですが、最初2〜3人で歌いだしたら、なんとなく皆のってきて、最後はみんなで時計の形を体で表現して、終わり。
ボラH君と、登る途中で打ち合わせした程度なのに、のりの良いボラさんのおかげで、とても楽しい時間を過ごせました。
 今回は本当にボランティアさんが、それぞれ担当の子だけではなく、積極的に助け合って関わってくれたり、ゲームの進行をしてくれたりで、無事山登りを終えることができました。
お疲れさまでした。ありがとうございました。
 ところで、これって“療育的山登り”??
(山登り担当:M.O)
 いいんです。充分療育になっています。
 みーんな成長しましたよ。
はじめての療育的山登りの時は、親も子も神経を張り詰めて、一列に並んで整然と登ったものでした。
(正確には、登ろうとしたものでした。)
 途中泣き出したり、「登らない」とダダをこねてた我が子も、いつの間にかしっかり足元を見ながら、今は母を助けて荷物をたくさん持ってくれる人に成長しました。
 思えば育てる会の一番最初の行事が、この「療育的山登り」でした。あれからもう二年半が経ったのですネ。
 育てる会の子ども達の歩みにも似て、いつのまにか私たちの会もここまで来ました。子ども達も育ってきました。
 お世話いただいたボランティアの皆さん、本当にありがとうございました。
(体調をくずして山登りを欠席したTさん こと、鳥羽 美千子)

スタンプラリー in 高梁 
          by吉備国際大学 ボランティア部

行ってきました。高梁
子供16名、兄弟9名 父4名、母13名、
総勢42名 無事みんな帰ってこれたよっ。
本当に楽しかったですよー! 手作りの暖かいもてなしを受けてきました。
当日の朝、雨、雨、雨
私は雨女よと豪語する代表Tを横目に、皆集合場所の女神の広場時間厳守で集まって「がんばるぞーーおっーー」のかけ声でスタートしました。
朝、これで今回の企画大成功と思いましたもの。
学生の思いがしっかり親にも伝わっていると感じたからです。
今回、吉備国の学生さんと何度かお話をさせてもらう機会がありました。
学生さんは初めてのことなのでと恐縮しながら、それでもやってみようとできあがったこの企画です。
親の立場から、プロフィール表は写真入りが良いなぁ〜そうしたら会った時、親近感が持てるからとか、行きの電車1両増やして欲しいなぁ〜座れないと子供達ぐずるかもしれないからとか・・いろいろお願いしたら、即それに対応してくれた学生さん達に感謝しています。
学生さん達にとっても初めての経験だったでしょうが、本当にいろいろ走りまわっていただきました。。関係各所に折衝して、あまり大きな声では言えませんが、拝観料を顔パスにしてもらったり、JRの入場料も顔パスにしてもらったり、色々な方達の好意で無事成功しました。
ありがとう。本当にありがとう。
親の方にも少し課題をもって参加してもらいました。
育てる会のいいところ? 楽しいだけの旅行で終わらせるにはもったいない。
少しだけ子供達に我慢の練習をさせましょうと声を掛けました。
おやつとジュースは親も子供も持っていかない、買わない、食べさせない。
団体行動です。一人が食べたら皆が食べたくなります。朝しっかり食べて集合して。おいしくお昼のお弁当を食べましょう。
水筒を必ず子供に持たせて、お茶で対応しましょう。
帰りの電車の中で、今日一日頑張ったねと声を掛けながら配ったコアラのマーチを嬉しそうに食べている子供達の顔を見ると嬉しくなっちゃいます。
本当にみんなしっかり歩きました。
リタイアすることなく電車の中も混乱無く帰れて本当に良かったです。
協力して下さった方、ありがとうございました。
スタンプラリー担当 M

通じない

吉田 英生
 「とにかく通じない。ことばが通じない。そんな人がふえてきたような気がする。」
 「友人に聞いた話しだが、」、「『いやいや仕事をするくらいならやめてしまえ』と言うと、『ハイ』とそのまま、会社を辞めてしまったり、『思いきりぶつかってみろ』とハッパをかけると、とつぜんすごい勢いで体当たりしてくるような、そんな連中がいるという。」
「“やめてしまえ”というのは、いやいや仕事をするのをやめろという意味だぞ」とか、「ここでいう“ぶつかれ”というのはべつに体当たりしろということではなく、“可能性に挑戦してみろ”という意味なんですよ」と「いちいち注釈をつけないと、いまやうっかりしたことは言えない時代なのだ
と、現代の若者とつきあう上司たち受難の時代だとコラムニストの天野祐吉さんが書いているのを読みました。[朝日新聞、CM天気図より]
 以前、書いたことがあるのですが、私が、「一生懸命やらないのなら、勉強しなくていい!やめて帰りなさい。」と一喝したら、「コレで、ベンキョウをオワリマス。レイ。」と済ました顔で帰ろうとされたことがあります。そのときは、まさに文字通りに言葉を受けとってしまった子どもに、「帰れというのは勉強をしっかりやらなかったからで、問題をしっかりやりなさい、ということだ。」と注釈をつけ席につかせたのでした。
 さて、今日一人の青年と外を歩いてきました。身体も心も成長期の真っ最中の彼ですが、どうも動きは重いようです。動くことに不安や緊張があるのでしょうか、常に母の腕にすがっていないと歩きはじめることができませんでした。
援助を徐々に少なくして、独りで歩くように促すお母さんですが、かえって彼がつかむ力は強くなっていきます。私は、後ろから「動きにくいときに助けてもらっている人が言ってくれることは、アドバイスだと思って聞かなきゃいけないよ。助けてもらうときだけ手を出して、アドバイスしてくれることには耳をかさないっていうのはダメなの。」と声をかけました。「そうですよね。」と母さんも応じます。その後、彼は力をこめていた手を少し緩めて、独りで歩こうとしていました。
 これは、ことばの「注釈」ではなく、人との関係とかあり方を「意味づける」ということです。
 「手を離しなさい。」とか、「独りで歩きなさい」などのことばは、単に「指を伸ばしなさい」、「腕を振って歩きなさい」と行動を指示しているだけではありません。
その言葉のなかには、「こういう時には、こうするものだよ」とか「この言葉にはこんな思いが込められているんだよ」などの人との関係が背景にあるということを伝えるのです。
母が、「手を離しなさい。」と言うのは、「自分の動きに自信をもって、前向きにやってほしい」と思っているのです。子どもの様子におかまいなく、あまりに大人の願いばかりを押しつけてはいけませんが、ここぞというときには、その意味づけを言葉で子どもに投げかけてやることが大切だと思います。
 実は、私はそのことが今まであまりできなくて、このお母さんや彼にかかわる人たちにそのことを教えてられてきたように思います。
 ただ、動けばよいのではなく、“君が動くことが自分にとってどういう意味があるのか”とか、“周りの人にどういうことをもたらすのか”ということが本人に伝わるように言葉をかけていきたいですね。
天野さんは、「『こんなことも知らないなんて、親の顔が見たいよ』なんて、うっかり言うと、すぐに郷里の両親を会社に連れてきてしまったりするから、この際、ことばにはくれぐれも気をつけたほうがいいと思う。」と書いていました。
 あなたの子どもさんが、学校の先生に「こんなこともわかってないなんて、・・・」なんて言われたら、すぐに学校に顔を出して、「そうなんです、ウチの子、これまでどれだけ言ったかわからないほどなのに、まだわかっていないんです。でも、これからもドンドン言おうと思っているので、先生からもしっかりお願いします。」と言いましょう。
通じない人が、ひとりでも減ることを願っています。

これまで「育てる会会報」はHPに全文をUPしていましたが、容量等の事情により、今は一部抜粋にさせていただいています。

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詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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