sorry,Japanese only

平成10年10月25日

第 6 号

岡山県自閉症児を育てる会


目次

秋の深まりの中で
11月例会の御案内
映画案内 『 学校V 』
近隣の講演会のお知らせ
9月例会 『 先輩のお母さんを囲んで 』
10月例会 『 山登り & いも掘り 』 
『 通知票 』

 空の青さや、柿の実の色にも秋の深まりを感じる頃となりました。
皆さんいかがお過ごしでしょうか?

 育てる会も、去年の秋に5人の母親たちで発足して、ちょうど1年が過ぎようとしています。5人の集まりが、今では賛助会員も含め91名にまでなりました。特に勧誘はしていないのですが、毎月各新聞に例会の案内を掲載していただいたり、同じ悩みを持つ母親同士の口コミなどで、新しく仲間に加わる方が増えてきました。
 それだけ自閉症児を抱えて、親同士のネットワーク、語り合いの場を求めていらっしゃる方が多かったのだ、という事なのでしょう。

 自閉症は、誤解されることも多く、まわりの人達に理解されにくい障害です。
同じ障害を持つ親同士にしか分かり合えない事も多いと思います。
 これからも、皆で力を合わせて頑張っていきましょう。


画案内  『 学校 V 』 (山田 洋次 監督;松竹系公開中)

大竹しのぶさん演じるヒロインには、障害のある息子がいる。その息子と暮らすなかで、彼女は人間という存在をあるがままに受け入れられる、ゆったりとした人間観をもつようになったんですね。
 自閉症の息子との生活ぶりを明るいタッチでつづった『トミーの夕陽』(鶴島緋沙子著)という小説がモデルになっています。
トミーという息子を演じた黒田勇樹君はその家族(鶴島さんご一家)とともに寝泊まりもしました。
 自閉症というのはよくないネーミングですね。「自分を閉ざす」なんて暗い言い方でしょう。この障害は、こうすると、こうなる、という原因と結果の因果関係をのみこむのに時間がかかるだけで、自分を閉ざしているわけじゃない。“自閉的” などという差別的な使い方はまちがいです。
 ときとして自閉症の人はすごい記憶力を持ったりする。発想が飛躍的でびっくりさせられたりする。だから深刻な場面では、トミーの脈絡のない言葉が、まわりをほっとさせる。
彼のおかげで、その場が救われるというシーンがあるんです。
          山田 洋次監督 インタビュー(「家の光」平成10年11月号 より)

ダスティ・ホフマン主演の『レインマン』のヒットで、アメリカでは自閉症に対する理解が10年分、一気に進んだといわれています。どんな、啓蒙的な論文より、一般の人に直接訴えるマスメディアの力のすごさ、一つの映画の影響力の大きさを感じさせるエピソードでしょう。
今、日本でも山田洋次監督の「学校 V」が公開され、自閉症児・者に対する理解がすすむ事を期待しています。

 感想この映画はあくまでも“学校”が主題の映画です。自閉症がメインテーマではありません。けれどこんなに真摯に自閉症に取り組んだ映画が日本にあったでしょうか。ぜひ大勢の人を誘って観てほしい・・・せつないけれど明るく前向きな大竹しのぶの母親役。息子役の黒田勇樹くんが、上手に特徴をとらえて演じてくれていて、「こんな子いるいる」って感じ。
まわりの理解に悩む方には、その方を誘って一緒に観てはどうでしょうか。 (鳥羽 美千子)

9月例会 座談会 『 先輩のお母さんを囲んで  報告

去る9月29日、岡山市桑野の「ふれあいセンター」において、参加者30名が集まり、自閉症児を育てられてきた大先輩の今田恒子さんをお迎して講演と座談会を行いました。

人として生きるということ』 と題して、今までの経験談や、質問を受けてのアドバイスなどを、聞かせて頂く事ができました。10時から2時までの長時間、今田さんには会場での昼食中にも悩みの相談が相次ぎ、参加者一同、たいへん有意義な時間を過ごす事ができました。
 また当日は、新聞をご覧になって来られた方や、口コミで参加された方もいらっしゃって、新たに会場で2名の方が入会されました。

 今田さんの、障害のある子であっても『人』として生きる事ができる様に育てなければ、という思いが私達に伝わり、胸が熱くなる思いでした。
 人の心を打つのは親のひたむきさであり、将来どうしても働かせたいと思うなら、今できる事をしっかり積み上げていく事。
そしてまずなにより早朝に歩きましょう、固い物を食べさせましょう、など基本的な生活からしっかり育てていく事。
また、生活の中での「1」をわからせないとダメという様な事、など・・・・みなさん本当に真剣に聞き入っていました。

この様なすばらしいお話しをお聞きする事ができ、今田さんに心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

座談会 担当:Y.M

それでは、当日座談会に出席された方から、感激のFAX・お便りが続々と届いていますので、その中からいくつか御紹介させてください。


 息子が、自閉症と診断され、悲しみに打ちひしがれていた頃、今田さんにお電話で、勇気とやさしい気持ちを分けて頂きました。
『子供を産んだ時のことを思い出して・……。』
つらい事があるたび、心の中で支え続けてくださった今田さん。
今田さんにお会いして、お礼が言いたい。もっとお話を聞いてみたい。そんな私の願いが、今回の会で一気に叶えられました。
 お会いした今田さんは、想像どおりの素敵な方でした。自閉症についての情報の乏しかったあの時代に、自閉症のお子さんを一人前の立派な人に育てあげられたというだけあって、私達の親と同世代のはずなのに、その年齢を感じさせない凛とした美しさと気迫に、圧倒されてしまいました。
 真剣な話の中にも、ユーモアを交え、明るい雰囲気を保ちながらも、時には机をビシッと鳴らしながらのお話に、心が引き締められる思いがしたのは、私だけではなかったのではないでしょうか。
 今回のお話で、私の中に強く残ったこと。
  〇 実際の生活の中で活かせるように育てていくこと。
  〇 からだ全体を しっかり使うこと。
  〇 ひたむきに努力して 勝ちとっていくこと。
 私の息子の通う学区の幼稚園では、母子通園でさえ、月に一度、行けるか、行けないか、という状態です。 つくづく運が悪いなあ…・・と、思っていたけれど、また勇気がわいてきました。10月中に、もう一度、幼稚園の園長先生にお話ししてみるつもりです。今度はお願いではなく、「こうしてほしいのですが、先生はどう思われますか?」と、いうふうに・…。
 それにしても、自閉症の息子さんに将来は介護してもらうのが夢だ、という話を聞いて、目からうろこが落ちたような気がしました。
 自閉症なんだから、一生面倒をみてやらなくては…と、勝手に決めつけて、いつもどんよりとした重苦しさを感じていたわたしには、久しぶりに晴れた空の下へ出たような気分でした。本当に。 何十年か後、私達も子育てに成功して、皆でお茶でも飲みながら、我が子の自慢話でもできたら楽しいでしょうね。新たな希望と目標を持ってがんばりましょう。
 世話人の皆さん、すばらしい企画ありがとうございました。          M.F  

 今回の座談会では、今田恒子さんがお話をされるということで、心弾む思いで津山から出席させていただきました。
 今田さんとは、以前お逢いする機会があり、その時の今田さんのお話にとても感激しました。自閉症の息子さんと共に生きてこられた自信が、表情や言葉、ひとつひとつに表れて、余りあるパワーがこちらにもつたわりました。そしてそのパワーをたくさん頂きました。
 今回の座談会では、今田さんのお話の中で
『人として、人間として、育てたい』という言葉が、とても心に残りました。
 それが、どんなに大変で、どんなに大切なことか…。中3、小6の自閉症の息子達と日々暮らしているとわかります。 それを、今田さんは息子さんと共に、生活の中で、地域の中でやってこられた・… すごい道のりです。
 私など、今田さんの道のりには足元にもおよびませんが、私も、息子たちに、「一人の人間として、生きていってほしい」、その思いで今まで育ててきました。
 2人の息子たちを育てていくことは楽ではないけれど、人の温かさを感じたり、すばらしい先生方や、今田さんのような心強い先輩のお母さんとの出逢いもあります。
 そして、今回の様なお話をきかせていただいて心が元気になる時、こんな人生もいいナって、幸福な気持ちにもなります。
今回出席されたお母さん方の中にも、きっと私と同じ気持ちになった方も多いと思います。
 がんばりましょう。『母は強し!』です。
ありがとうございました。                 A.O 

10月例会 山登り いも掘り 報告

 去る10月11日(日)、龍の口グリーンシャワー公園にて、“療育的山のぼり”が行われました。
15家族が参加、お天気にも恵まれ、さわやかな秋の空気の中の一日になりました。

 皆さんが、きれいな一直線になって登っていく光景は、後ろの方から見上げていますと、胸を打つものがありました。
お昼の自己紹介の時、お母さん、お父さんが、それぞれのルールを決めて登られた事、今日は良かった、よくがんばった、と言われていたのにも、嬉しかったです。

山のぼりは目標がはっきりしている、達成感がある、興味をそらすものが少ない、など、良い点の多いレクレーションです。
そして、何かルールを決めて、 課題を持って登れば、立派な療育になり得ます。

同じ様に、日常の生活のなかでも、療育として利用できる事は多々あります。毎日の生活をちょっと見直して、お子さんにあったルールを作り、一つか二つ、継続してみてはいかがでしょうか。
 せっかく育てる会に入られていて、例会に来られているのです。一回限りのレクレーションではなく、何かご家庭に持って帰って役立てて頂けたら、本当に嬉しく思います。

山のぼりの後、イモほりにチャレンジしたのは10家族。
鳥羽さんのおばあさんが丹精こめて作られたイモ畑で、皆奮闘しました。
大きなおイモがいっぱいで、負けずに大きな歓声があちらこちらから・・・・おイモと、心地よい疲れを抱いて、帰路につきました。

最後になりましたが、ボランティアとして参加して下さった、井上知子さん、久保田浩子さん、小林由季さん、鳥羽紗代さん、そしてこの日の為におイモを育ててくれた哲平君のおばあさん、ありがとうございました。

山のぼり 担当:H.Y

 山登りについても、感想が寄せられていますので御紹介します。 


スポーツと食欲の秋に「療育的山登り」と「いもほり」に参加しました。
今回で龍の口山に登るのは4回目と、軽い気持ちで登ろうと集合場所へ行きました。私のペースで歩きはじめましたが、のぼり道が続くと、子どもが私の手をひっぱりはじめ、「1・2、1・2」と言いながらも、徐々にスピードダウン。「 ♪ 歩こう、歩こう ♪ 」と歌ってもぐずりはじめました。私の無理が子どもに伝わって、不安な気持ちになってしまったのでしょうか。
やむなく、はやばやの休憩。後から歩いてきた人たちが、「がんばろう」「いっしょにのぼろう」と、やさしく声をかけてくださいました。とてもうれしく、私に力を与えてくれました。

そして今度は2回目の出発。無理をしないで一定のスピードで休憩なしでのぼれました。
上につくと、みなさんもちよりの、ご自慢の一品料理をいただいて、楽しいランチタイム。その後の自己紹介で、みなさんがそれぞれに目標をもってのぼられたことを聞いて、がんばりが伝わってきました。仲間がいるということが、とても心強く感じられました。これからも私自身、すてきな親に一歩でも近づくように努力していきます。

くだりは調子よくおりてこられました。続いていもほりに。
 いも畑から大きなおいもがほり出されるたびに、歓声があちこちからあがっていました。おいもの苗植えからお世話してくださった鳥羽さん一家にとても感謝しています。重いおいもを持って帰路に。みのりある秋の一日でした。

S.I

これまで「育てる会会報」はHPに全文をUPしていましたが、今は容量等の事情により一部抜粋にさせていただいています。

今後は、会報は会員の方への郵送でお届いたしますので、ご希望の方は賛助会員に申し込みをお願いします。
詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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