sorry,Japanese only
『 ともに生き、ともに老いる
地域で障害者と共生五十年 』
近藤 原理:著 太郎次郎社 定価:2095円+税
ISBN4-8118-0653-0 C0036 ¥2095E
長崎の「なずな園」で知的障害者の方と共同生活を続けられている近藤原理先生の久しぶりの著作です。
「あるがままに、あたりまえに」「こまやかに、おおらかに、さりげなく」「支えあって共に生きる」みんな心にしみこむ近藤先生の言葉です。
前作『障害者と泣き笑い 30年』年からさらに年を重ね、正月のおせち料理を食べながらの会話も「今度、成人式に行くのはだれ?」から「今年は○○さんが還暦だね」に変わってきたとはいえ、そこにはふつうの暮らしがあり、ふつうの時が流れています。まだグループホームなどは、その影も形もなかった頃から、「障害があっても地域でふつうに生きる」ことを実践してきた先生です。その源は先生のお父上、近藤益男先生が作られた「のぎく寮」にあるのでしょう。(ちなみに、近藤益男先生の『この子らと生きて』は、私の一番好きな本の一冊です)
「おとうさん。先を思いあぐねてもしょうがない。あるがままでいいじゃないの。なずなのみんなといっしょに歳とればいいじゃないの。それであたりまえに生きればいいじゃないですか」
これは原理先生の息子さん、近藤真さん(中学校教諭)さんが語る、大水害にあい将来の展望がひらけず焦燥感につつまれていた原理先生へ向けての奥さん美佐子さんの言葉です。
福祉について大上段に振りかぶるのではなく、さりがなくあたりまえに暮らしているなずなの日々です。
本書は50年を契機に編集されたもので、古い著作などもありますが、かえってそれが「ぶれない」原理先生の生き方が感じられ好感のもてる一冊となっています。
(2005.10)
目次
プロローグ 見方を変えること
T ひとすじの拓かれた道
障害児教育・福祉の実践 50年
1 原爆から障害児教育まで
みずから求めて仲間と学んだ戦後 8年
2 実践こそわがいのち
U 家族や地域から切り離さない教育
1 発達と生きがいを大切に
2 生きがいにつながる教科指導
3 交流ではぐくむ福祉の心
4 障害児教育の改革
V 時代に応える社会福祉教育
大学ガイダンスセミナー長崎会場での講演 (平成 7年)
W 障害があっても地域でふつうに暮らす
ともに生き、ともに老いる
1 あるがままに、あたりまえに
2 共同生活で大切にしてきたこと
X 「なずな」に育って ・・・・・・ 近藤 真
Y 「なずな」を支えた女性たち ・・・・・・ 新福 信夫
エピローグ 祈り・想い・夢
なずな障害者教育福祉合宿研究会の歩み ・・・・・ 吉岡 久美子
あとがき
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