sorry,Japanese only

『 療育技法マニュアル 第5集
        
就労援助編

マイケル・バルカス他:著 八巻 純:著・訳
財団法人 神奈川児童医療福祉財団


冒頭では“まだ定訳はありませんが”と注釈にはありますが(1991年刊行)、現在は「援助つき雇用」との訳で知られるようになった「サポーテッドエンプロイメント」の紹介マニュアルです。
Tでは、アメリカに職業リハビリテーション・カウンセリングの研究に行かれた八巻氏が、現地から送られてきた概説です。
Uはその八巻氏が翻訳された、バージニア・コモンウェルス大学教育学部付属リハビリテーション研究・訓練センターで作成された実際のマニュアルです。
その内容は、知的障害者が実際の職場で就労・定着していくためのの支援方法を具体例を挙げて詳細に記述した「ジョブコーチ・マニュアル」となっています。

事例となっているのは、役所の喫茶室の皿洗い係として就職したマリーと、地元のショッピングセンターに掃除夫として就職したクリスの2例です。二人とも自閉症ではありませんが、その就労形態や支援方法は自閉症の人にとっても共通するところが多く、とても参考になります。
日本でもその後、ジョブコーチについては、各種の解説本も出版されていますが、実際の指導にあたっての、ここまで細かい業務分析やデータの取り方、支援方法を具体的に載せている本は少ないのではないでしょうか?

特にプロープデータ(利用者がプロンプトや強化子を使わないでどれくらい業務をできるかを、動作分析を利用してとらえた評価)やプロンプトデータ(利用者の訓練期間中に利用者に対して出された口頭指示、モデリング、身体的援助などの種類、数に関する情報)の記述の仕方、分析方法、その後の対処法など、とても助けになるものだと思います。
また固定比率スケジュールと変動比率スケジュールによる強化の仕方の区分なども初めてきく話で、実際の役にすぐたつよくできたマニュアルだと思います。

(トチタロ)


  目次

はじめに
 刊行にあたって ・・・・・・・・ 佐々木 正美

T アメリカの職業リハビリテーション ・・・・・・ 八巻 純
    ― サポーテッドエンプロイメント概説 ―

U 就労現場での実践的職業訓練のガイドブック
    ― サポーテッドエンプロイメントの実際 ―

日本の読者の皆さんへ
まえがき

  第1章 オリエンテーションと評価

1 初日
2 職場へのオリエンテーション
3 オリエンテーションチェックリストの作成と利用
4 職場へのオリエンテーションのガイドライン
5 地域へのオリエンテーション
6 職場の評価
7 初日の業務
8 業務分析のための指針
9 強化子の特定
10 利用者の職能評価
11 到達度記録の準備
12 「オリエンテーションと評価」期での問題への対処
13 まとめ

  第2章 初期訓練・技能習

1 訓練計画の策定
2 個別業務分析表
3 初期の業務評価
4 指導方法の選択
5 「最少プロンプト法」を利用したデータ収集
6 チェイニング
7 刺激プロンプト
8 職場における強化
9 初期訓練における計画的指導
10 プロープデータ、プロンプトデータの分析
11 介入時間
12 利用者の評価
13 訓練終結の理由
14 まとめ

  第3章 定着援助

1 作業効率の向上
2 作業効率向上のための指導
3 同僚の協力を得る
4 自己教示
5 作業の増加
6 業務への集中度
7 職場から離れる
8 援助時間の短縮
9 就労中止と辞職
10 まとめ

  補:専門用語解説


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