sorry,Japanese only

『 障害児教育 Q&A 』

大阪障害者センター編集委員会:編 かもがわ出版 定価:1200円 + 税
ISBN4-87699-578-8 C0037 ¥1200E


大阪で生まれた本です・・・と、言うことは、お分かりのように、かなり過激な「Q&A」です。
文部科学省(当時は文部省)や大阪府の教育委員会あてには、最初から立場をはっきりさせて批判・対峙している論調です。

親から見ると、「川は両岸から見てからの川」という印象がなくもないのですが、学校で語られるQ&Aが建前的で、白けることも多いことから考えると、両方合わせれちょうど良いのかも知れませんね (^_^;)

「障害のある子どもと親の明日をひらく」と副題にあるように、そのQ&Aの問いかけは、障害児教育全般にわたっています。その内容は目次に丁寧に書かれていますので、参考にしていただければ、と思います。

その中でも心に残った文、【自立って何?】を紹介します。教師生活25年の柴田昭二先生の文です。

何でもかんでも自分でできなければならないのか、そんなことはありません。我々もそうです。僕だって何でもかんでも一人でやったきたわけではありません。いろんな人の支えを借りながら、その時に自分が「ごめん、これちょっと教えて」とかを言える気持ち、そんな素直さが育っていなければだめなんですよね。
こんなことをききました。
誰の言葉からは忘れましたが、
「何でもかんでも自分でできることは自立ではなく、孤立なんだ」と。ほんとうに名言だと思います・

だから、仲間やまわりからの援助を受けながら、自分でできること、そんな力をどう育てるかといえば、まず自分に対する自信をつけなければならないと思うわけです。
でも最近思うようになったのは、自信だけではいけないのではないか。自信と同時に、自分には限界があるし、がんばったってこれ以上できない、だから人に頼むんや、そいうふうに素直に自分を認めること、自分の強さを認めると同時に弱さもしっかり受け止められる子どもに育てることが最も大事たと思っています。

(2004.3)


  目次

子どもと父母のねがいに応える学校と教育を ・・・・ 卜部 秀二

第1部 障害児教育 Q&A

  ○ 障害児教育全般

Q1 ノーマライゼーション・インクルージョンとよく言われますが、それぞれどういうことなのか、わかりやすく説明してください。
Q2 文部省や大阪府教育委員会のいう「教育改革」について説明してください。
Q3 障害児教育の専門性とは何ですか。
Q4 養護学校と養護学級、普通学級はどうちがうのですか。
Q5 病弱な子ども、学校に行けない病気療養児の教育はどうなっていますか。

  ○ 就学と転校

Q6 就学指導とはどんなことですか。
Q7 進路の決定は、何を基準に考えればいいのですか。
Q8 就学先は親の意見で決定できるのですか。
Q9 養護学校や養護学級から就学先を変更することはできるのですか。
Q10 学期途中などの編入の際に、先生はちゃんと配置されるのですか。

  ○ 教育環境、学校運営

Q11 普通学校での「入り込み」方式とは何ですか。
Q12 学校の先生はほんとうにあまっているのですか。今でもさまざまな介護をしてもらうのに、親が介護人を別に雇わなければならない市もあると聞きました。学校生活の援助は、やはり先生が行うべきではないですか。
Q13 先生は「いやいや」養護学校に行かされているのですか。
Q14 「養護学校の教育は、金がかかる」という議論が、大阪府議会で行われていると聞きました。子どもの障害の状況によっては、冷暖房が不可欠な場合があります。「金がかかりすぎる」ということは、結局は自分たちで教育環境を準備せよということですか。
Q15 学校で親の勉強会を開こうと呼びかけるにも、いちいち校長先生の許可がいると聞きました。自主的な勉強会にまで学校(校長)の許可が必要なのですか。

  ○ 教育内容

Q16 普通学級の教科学習が難しすぎて、子どもが自信を失っているのですが。
Q17 肢体障害のための訓練が普通学校では受けられません。せっかく母子通園で訓練を受けてきたのに、継続していくためには、学校を休学させても訓練施設に入れるべきでしょうか。また、通園の場合は、やはり訓練を重視すべきでしょうか。
Q18 「おとなしい」というだけで、学級で個別対応をしてもらえませんが。
Q19 他傷や自傷、多動などで、他の生徒に迷惑をかけてしまいます。どうしたらいいですか。
Q20 障害の重い子にばかり先生の手がとられると、他の生徒の父母から非難されるのですが。
Q21 運動会や集団学習についていけません。「いやいや」やらされるぐらいなら、その日だけでも学校を休ませてもいいでしょうか。
Q22 子どもが一番興味をもっていることは、学校の授業の進め方と異なるからと「制限」されます。「我慢」を教えるためと言われますが、無理強いされているようで納得できません。
Q23 担任が変わってから、子どもの状態を理解してもらえません。先生と何度話しても理解が得られないときはどうしたらいいのですか。
Q24 「養護学校では何でもしてもらえる、ぬるま湯や!」と他から言われます。世の中に出てから、わが子は大丈夫でしょうか。
Q25 高等部で卒業も間近です。教科授業か、生活訓練か、それとも職業教育か。子どもの将来を見通して、どんな教育を保障してやるのが一番いいのですか。

  ○ 家庭での悩み、進路

Q26 発達に遅れのある子どもに「性」の問題をどう教えればいいですか。また、異性としてのスキンシップはどうすればいいのですか。
Q27 発達に遅れのある子どもの「自我」形成期には、どんなことを注意すればいいのでしょうか。
Q28 親と学校との間に、教育方針や障害状態の理解に相違がある場合、学校に対してどのような対応が可能でしょうか。
Q29 学校卒業後の進路にとても不安があります。卒業後は一般企業に就職できるのでしょうか。
Q30 養護学校に通っている子どもが、「どうして自分はみんなと違うところで勉強をしているの」と尋ねてきます。また、妹も同じような質問をします。どのように答えたらいいのでしょうか。
Q31 父親や祖父母など、家庭内で障害が理解されません。「普通学級にやればいいのに」と責められて困っています。
Q32 「知的面」と「社会面」の発達のギャップがあります。療育手帳の判定はちゃんと行われるのでしょうか。
Q33 障害のある子のために、他のきょうだいが犠牲になっています。ショートステイも利用しにくく、病院にも連れて行けません。

第2部 シンポジウム 大阪の障害児教を考える

シンポジウムの開催にあたって ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 西脇 美代子

はじめに ― 障害児教育の専門性と子どもたちの教育保障を ・・ 実森 之生

地域の小学校(養護学級)から養護学校への転校を選択 ・・・・・・・ 峯松 かおり

12年間の教育のなかでみえてきたもの ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 枡田 千春

私たちのめざす教育実践 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 柴田 昭二

「教育改革」が障害児教育にもたらすもの ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 安見 隆生

交流とまとめ

【資料1】 障害をもつ生徒の成長・発達を保障するための後期中等教育段階の教育のあり方について真剣な論議を

【資料2】 大阪の養護教育諸学校一覧表


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