sorry,Japanese only

『 たっちゃんと生きる 』
  
普通学級に入った障害児との2年間
北田 庄吾:著 近代文芸社 定価: 1400円+税
ISBN4-7733-6076-3 C8093 \1400E

前作「たっちゃん」に続く、二年目の「たっちゃんと生きる」です。前作では小学校に入学してきた超多動なたっちゃんの様子を、1年2組のクラスの子どもたちの視点を借りて、おかあさんへのお話、ともだちの日記という形であたたかく描いています。お薦め本として紹介しています。二作目の本書も、2年2組になった友だちのかおる君の作文という形で、たっちゃんとまわりのクラスメートの姿が生き生きと描かれています。普通学級の中での障害児(おそらく自閉症)であるたっちゃんが、みんなから「ちょっとふしぎな子」と認められて、まわりのみんなを明るくさせて、いっしょに子どもらしい2年間を送っています。
では、なぜ「お薦め本」の方に入れなかったのか・・・それは、前作がすばらしく、大きな期待をして本書を開いて、読みすすむうちにアレレと思ってしまったからです。
確かに目次の後ろには
※ 第1部は小学校低学年向きに、第2部は小学校高学年から大人向きに構成されています。
  すでに第1部をお読みの方は、第2部からお読み下さい。
という注釈はありましたが、普通の第1部から読み始めますよね。
アレレと思ったのは、「これ読んだことがある」と気づいたからです。前半分の第1部は「まえがき」から「第1部 あとがき」まで、全く前作「たっちゃん」と同一内容です。つまり、前作「たっちゃん」の本に、2年目のエピソードを追加して、新たな本として出版されたものです。このような手法が一般的かどうかは知りませんが、2作目と思って買ったとき、なにかだまされた・・と言えば少しオーバーですが、なんとなく損をしたように感じてしまいました。これが、例えば復刻版として、新たな章を加えて他の出版社などから発売されるのなら納得がいきますが、同じ出版社から続けて販売されるとなると、出版社側の姿勢に疑問をもってしまいました。
ただ、内容としては、先に書いたとおり北田先生とたっちゃん、そしてクラスの子どもたちの生活が2年分詰まっていますので、前作を読んでいない方にはお薦めの本です。そして、くれぐれもこの本が良かったと思っても、さかのぼって前作「たっちゃん」はお買いにならないように・・・全く同じ内容です。
(2005.9)

  目次

第1部 たっちゃん
    〜普通学級に入った障害児 その1年目〜
まえがき
大人のためのプロローグ
その1 ななちゃんの「おはなし」
その2 のぶくんの「たっちゃん日記」
そして春・・・・大人のためのエピローグ
第1部 あとがき
第2部 たっちゃんと生きる
    〜普通学級に入った障害児 その2年目〜
プロローグ
1 始業式
2 ドロンコマン
3 おしりさわり
4 いじめ
5 ガラスに体当たり
6 4つの心の色
7 運動会
8 まほうじんぬりえ
9 北野小祭り
10 持久走大会
11サッカーの新ルール
12 たんけん 1
13 クリスマス会とサンタの話
14 似顔絵展
15 ダイエット作戦
16 たんけん 2
17 学年ドッジボール大会
18 お別れ会
エピローグ
あとがき

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