『 青年期・成人期 自閉症 教育診断検査 』
日本AAPEP研究会 E.ショプラー、茨木俊夫 川島書店 定価:4200 + 税
ISBN4-7610-0617-X C3011 ¥4200E
『 青年期・成人期 自閉症 教育診断検査 』といってもピンとこない人でも、「AAPEPの本」といえばすぐにわかっていただけると思います。
自閉症児たちの発達診断検査に広く使われている 『 自閉児・発達障害児 教育診断検査 』(PEP-R)の年長者版です。
子ども達も成長してくると、やがて社会に出て行きます。一般就労であろうと、福祉的就労であろうと自立の道を歩ませたいと願っています。そのためには、年齢に相応する正しい評価と、それを基にする個別プログラムが必要になってきますね。
学童期の個別教育プログラムを引き継いだ形での、就労に向けての個別移行プログラムの作成です。そのためのスキルとしてとても役に立つ本です。
診断・評価については専門の先生でないと正確には行えないかも知れませんが、ここに挙げられているスキル「職業スキル」「自立機能」「レジャースキル」「職業項目」「コミュニケーション」「対人行動」の項目における能力を見直すことは大切ですね。
実際の設定された検査用の「直接観察尺度」はさておき、「家庭での尺度」「学校や作業所においての尺度」などは特に大切で、「芽生え反応」や「不合格」にあたる項目については、計画的にプログラムにとりいれていくことが必要になってくるでしょう。
例をあげると、「家庭尺度」の中では、
『缶切りや包丁、トースター、ミキサーなどの一般的な台所用品をどの程度使用っできますか』
『ひとりでひげを剃ることができますか(男性)』『ひとりで生理の手当ができますか(女性)』
『簡単な案内標識を読み取り、理解することができますか』(男性用、女性用、立入禁止、トイレ、出口、止まれ・・など)
どれも、大切で将来の自立生活に向けては「合格」まで持っていってやりたいですね。
でも中には、
『来客や街で出会った人など見知らぬ人に対して、適切な方法で好ましい対人行動をとることができますか』
ア、これは哲平には、合格までいくのはチョット無理かな、というような課題もあります。そのあたりは、支援の方でなんとか・・・すれば、いいか、とあまり無理を指せない範囲で、哲平にあわせた個別移行計画が組めればいいなと思っています。
(2002.03)
「目次」
序言 (茨木俊夫)
第1章 TEACCHプログラムの概説 − AAPEPの意味 - (佐々木正美)
T 北カロライナから世界へ
U 哲学と原理
V 家族との協調
W ジェネラリスト・モデル
X 生涯における包括的支援
Y 療育の個別化
(1) Formalな評価
小児自閉症評定評価:CARS
心理教育診断検査:PEP
青年期成人期心理教育診断検査:AAPEP
(2) Informaiな評価
(3) 日常的・非日常的状況での観察と情報
Z 学校教育
(1) 構造化
(2) 物理的構造化
(3) ワーク・エリア
(4) プレイ・エリア
(5) スケジュールの予告
(6) ワーク・システム
[ 青年期・成人期のプログラム
(1) 居住プログラム
(2) 職業プログラム
(3) 社会的余暇活動プログラム
\ コミュニケーションへの援助
第2章 AAPEPの理論
第1節 青年期自閉症の課題 (茨木俊夫)
(1) 青年期における自閉症の行動特徴
(2) 青年期自閉症の発達的側面
第2節 AAPEPの構成の妥当性 (加藤哲文)
(1) AAPEPの作成の理由について
(2) PEPとの共通点と相違点
(3) AAPEPの検査項目作成の過程
第3節 AAPEP日本版の成立 (茨木俊夫)
(1) 言葉の置き換え
(2) 社会習慣の違いを反映した課題の変更
(3) 余暇活動(レジャー)
第3章 AAPEPの実際
第1節 概要 (松本好生)
(1) 対象者
(2) 検査の構成
(3) AAPEPとPEPの共通点と相違点
第2節 検査を実施する前に (松本好生)
(1) 検査の構成
(2) 検査項目一覧
(3) AAPEPに必要な検査用具一覧(項目ごと)
(4) AAPEP検査用具一覧(一括)
第3節 検査結果の整理と記録 (末光 茂)
(1) 採点法
(2) AAPEP実施上の注意点
(3) 検査結果の整理と解釈
第4章 事例
第1節 事例A (松本好生)
(1) 生育歴
(2) 治療教育歴
(3) 発達評価
(4) 行動特徴
(5) AAPEPによる評価
(6) 考察
第2節 事例B (服部純一)
(1) K.C.君の概要
(2) 検査時のK.C.君について
(3) 検査結果
(4) 考察
第3節 事例C(群) (末光 茂・松本好生)
(1) 方法
(2) 結果
第5章 マニュアル(検査手引) (末光 茂・松本好生)
第1節 実施上の心がまえ
第2節 直接観察尺度
(1) 直接観察尺度 − 職業スキル
(2) 直接観察尺度 − 自立機能
(3) 直接観察尺度 − レジャースキル
(4) 直接観察尺度 − 職業行動
(5) 直接観察尺度 − コミュニケーション
(6) 直接観察尺度 − 対人行動
第3節 家庭尺度
(1) 家庭尺度 − 職業スキル
(2) 家庭尺度 − 自立機能
(3) 家庭尺度 − レジャースキル
(4) 家庭尺度 − 職業行動
(5) 家庭尺度 − コミュニケーション
(6) 家庭尺度 − 対人行動
第4節 学校・作業所尺度
(1) 学校・作業所尺度 − 職業スキル
(2) 学校・作業所尺度 − 自立機能
(3) 学校・作業所尺度 − レジャースキル
(4) 学校・作業所尺度 − 職業行動
(5) 学校・作業所尺度 − コミュニケーション
(6) 学校・作業所尺度 − 対人行動
第5節 事例報告書の作成
AAPEP採点表