『 自閉症の療育者 』
監修:エリック・ショプラー、佐々木 正美
発行:財団法人 神奈川県児童医療福祉財団
「TEACCHプログラムの教育研修」と副題にもあるように、この本は1989年1月に東京で行われたTEACCH指導者訓練セミナーの記録と、その期間中に日本の各地で行われたショプラー教授の「TEACCHプログラムの概要」の講演録です。
当時の日本においては、はじめてTEACCHに接する方も多かったことでしょう。そしてここに紹介されている数々のTEACCHプログラムの理念と手法は、いまも、そのまま私達の子ども達にとって助けとなる手段なのです。この本を紹介しようとしている今(2001年)は、この本が書かれてからもう10年以上たっています。
我が家はこの本の107ページ、「構造化された教室」の図を参考にして、哲平の小学校入学の時に教室を構造化させてもらいました。その哲平ももう中学2年になりました。哲平にとってはとてもためになった参考書です。でもいまも、10年たっても、まだここまで追いついていない日本の現状を聞くこともあり、せっかくの本がいかされていない現状をしり残念に思っています。
この本、写真や図も豊富で、極めて具体的、すぐにでも役立つ療育への方法がいっぱいつまっています。色褪せないTEACCHの入門書だと思います。あらためてみなさんにお薦めしたいと思います。
(2002.01)
目次
第1章 TEACCHプログラム概要
1.自閉症の治療・教育の基本的課題
2.人口統計的特徴
3.ジェネラリスト・モデル
4.診断と評価
5.インフォ^マルな評価
6.構造化された指導
7.行動管理
8.家族の参加
9.コミュニケーン
10.社会生活上のスキルと余暇スキル
11.自立機能と職業訓練
12.処遇結果
第2章 TEACCHプログラム入門
1.はじめに
2.共同治療者としての協力関係
3.プログラムの7つの原則
第3章 自閉症の特性
1.はじめに
2.自閉症の特性
3.定義の変遷
4.人口統計的特徴
5.治療教育の視点
<資料 1> 最近ぼ自閉症の定義(DSM V R)
第4章 評価
1.評価
2.フォーマルな評価、インフォーマルな評価
3.新しいスキルの教授と自立性のトレーニング
4.評価の方法
5.目標の選択
6.まとめ
<資料 2> 具体的評価の例
<資料 3> AAPEPぼ項目
<資料 4> AAPEPの学校/作業書尺度
第5章 構造化された指導
1.はじめに
2.何を変えるか
3.指導形態
4.トランジション・エリア(中継地)
5.冷静になる場所
6.物理的構造化
7.スケジュールの掲示方
8.ワークシステム
9.タスク・オーガナイゼーション(課題の構造化)
第6章 家族との協力
1.はじめに
2.家族への支援
3.学校教育への支援
4.地域社会への支援
5.専門家との協力関係
第7章 モデル授業とケース紹介
事例1〜事例5
第8章 講義 「 コミュニケーション」とその実習
1.はじめに
2.自閉症児のコミュニケーションの問題点
3.コミュニケーション・プログラムの特徴
4.コミュニケーションの5つの次元
5.コミュニケーション・システム
6.評価の方法
7.指導の方法
8.コミュニケーション・システムの指導例
第9章 講義「自立と職業訓練」 とその実習
1.はじめに
2.低年齢児の自立機能
3.職業的スキル
4.職業的行動
5.成人期との関係
第10章 講義「余暇と社会的活動」 とその実習
1。はじめに
2.なぜ余暇活動を教えるか
3.何を教えるか
4.どのように教えるか
5.どのように社会的な活動へ発展させるか
6.どんな場所で教えるか
7.授業についてのディスカッション
第11章 講義 「行動管理」
1、はじめに
2.行動マネジメントのまとめ.
3.問題行動への具体的アプローチ
4.セミナーのまとめ
講義資料 (セミナーテキスト)