『 就労自立を果たす指導法 1 日常生活動作編 』
ISBN4−18−116605−8 C3337 ¥1420E
『 就労自立を果たす指導法 2 生活技能編 』
ISBN4−18−116709−7 C3337 ¥1420E
『 就労自立を果たす指導法 3 働くことの指導編 』
ISBN4−18−122803−7 C3327 ¥1600E
上岡 一世:著 明治図書 定価:1・2 1420円 + 税、3 1600円 + 税
就労自立・・のためのこのシリーズ、書かれているのは ”ある意味” 当り前の育て方です。
障害児であろうと、なかろうと、就労の現場で 『これだけは』 と求められている課題があります。
そしてそれは、たとえ重度の障害をもっていても、当り前に育てていればクリアできる課題のようにも思えます。
私達の目標は、たとえ重度の知的障害、困難な自閉症という障害を持っていたとしても(我が家の哲平もそうなんですが・・(^_^;)・・)、「目指せ、一般就労!!」です。
そして、そのための気をつけていきたいこと、身につけていかせたい課題が詰まっている本です。
いろんな療育法、TEACCHや太田ステージ、応用行動分析や感覚統合など・・それ以前の、根っことなる部分のお話です。
就労に向けての幼い頃からの方針、将来を見通した一貫した方針のもとで大切にしたい指導項目が述べられています。
どちらかというと、知的に重度な子どもたちを念頭においてかかれているようにも思えます。
子どもの成長も「小学部」「中学部」「高等部」・・でも、これって考えてみると、養護学校特有の呼び方ですね。なんで普通に小学校、中学、高校って言わないんでしょう。不思議ですね・・(^_^;)・・閑話休題・・たとえ、知的に重度であっても、自閉症という困難な障害は持っていたとしても、小さい頃からの育て方、関わり方さえ、しっかり持っていれば一般就労も決して夢ではない・・そんな希望と、ある意味自覚を促されるようなシリーズです。
1冊目の最初の目次 『 自立に向けて何をなすべきか 』 を見ていただければ、すぐおわかりのように就労・自立に向けて、基本的生活習慣の自立から始まり、将来を見通した指導を通じて、親と教師が共同指導者になりながら、地域の中で育てて行こう!!
そのための考え方やノウハウが詳しく書かれているシリーズです。これを基礎として、実際の個々への指導は、TEACCHメソッドや応用行動分析などからの手法を使って療育にあたっていけばよいと思います。
そのための、根っことなる忘れちゃいけない “当り前”育て方シリーズです。(2002.04)
目次
『 就労自立を果たす指導法 1 日常生活動作編 』
まえがき
1章 自立に向けて何をなすべきか
1 基本的生活習慣の自立を最優先する
2 生活学習を重視し生活力を高める
3 働く活動を重視する
4 対人関係を大切にする
5 将来を見通した指導を行う
6 地域社会で育てる
7 親と教師が共同指導者になる
2章 自立できている子どもとは
1 自分のことは自分でできる
2 主体的に行動できる
3 働くことに喜びを感じる
4 生活する喜び、楽しさが持てる
5 頭が働く
3章 指導上何を大切にすべきか
1 子どもを愛する
・ 認識よりも感情を大切にした指導を
・ 気負いのない指導を
・ 指導者として理解ある行動を
・ 子ども中心の生活をする
2 独自性を大切にする
・ 事例1/クリーニング屋に就職したA君
・ 事例2/A君とB君の買い物学習から
・ 事例3/数えることが不十分な子
3 子どもに期待する
・ 子どもはプライドを持っている
・ 子どもの目は確かである
・ 子どもを好きになる
4 可能性を信じる
・ 母親の訴え
・ 教師の挑戦
5 子どもを正しく知る
・子どもと共に活動する
・子どもの発達段階を正しく捉える
・ 子どもに学ぶ
4章 日常生活動作の指導の基本
1 実生活に役立つ力を身につける
2 行動を思考できる力を身につける
3 パターン化の意味を間違ってはいけない
4 信頼関係がなければ指導成果はあげられない
5 指示通り動かせることが目的ではない
6 子どもを発達させる援助を行う
7 習慣と発達とは違う
8 一貫指導を行う
9 発達段階に応じた指導
10 ADLからQOLへの指導を大切にする
5章 日常生活動作の指導の実際
1 着替えの指導
・ 立って着替える * K君の事例
・ 正しい基本動作を身につける指導 * T君の事例
・ 着替えに集中させる
2 食事の指導
・ 食べる意欲のない子
・ 人のものを欲しがる子
・ 偏食する子
・ 何でも食べる子
3 排泄の指導
・ 紙でふけない子どもの指導 * N君の事例/O君の事例
・ おもらしをする子の指導
・ どこでも大小便をする子の指導
・ 排泄のマナーができていない子どもの指導
4 清潔の指導
・ 手洗い・洗面
・ 歯磨き・鼻かみ
・ 身だしなみ
・ 入浴
5 睡眠の指導
・ 活動させることを大切に
・ 就職した子どもから見た課題
6 生活のリズムの指導
・ N君の事例
7 学校と家庭の連携
あとがき
『 就労自立を果たす指導法 2 生活技能編 』
まえがき
1章 生活技能と自立
1 この子ども達の将来の生活
・ 地域で生活し、働く生活を
・ 障害者本人の主張
・ 人並みの生活ができる子どもを育てる
2 生活技能を身につけている子ども
・ 生活技能を身につけた子ども
3 職場が要求する生活技能
・ 言語的領域
・ 数量的領域
・ くらしの技術
・ くらしの態度
2章 生活技能の指導の基本
1 ただ体験させればよいというものではない
・ 机上と実際
・ 品物と名前の不一致
・ 任せられるとできない
・ 場や状況が違えばできない
2 発達年齢よりも生活年齢を重視する
・ 生活年齢に応じた生活の指導
・ 年齢に応じた生活づくり
3 将来を見通して今の指導を考える
・ 将来を想定した指導
4 実社会での指導が自立につながる
・ 重度な子どもほど実社会での指導を優先する
・ 本物の生活が子どもを変える
5 できることをよりできるようにする
・ まず一つのことが完全にできるように
・ きびしさは必要ない
・ 好きなことの中での指導こそ
6 その子の能力でできる方法を考える
・ 考えればできる方法はある
・ 可能性を求める
・ その子の持つよさを生かす
7 子どもの心を無視してはならない
・ 心を育てる
・ プライドを充足させる
8 生活を変えなければ子どもは変わらない
・ 教育は理屈ではない
・ 買い物指導の事例
・ 調理指導の事例
9 指導者が指導者でいる限り子どもは変わらない
・ 共同生活者になる
・子ども主体の生活
10 本気、本物の生活が子どもを変える
・ テレビを見てパニックを起こす子ども
・ 本物、本気の生活とは
11 形や理屈の教育では子どもは自立できない
・ 型にはめた教育
・ 教師が範を示す
12 生活の主体は家庭にあることをわすれてはならない
・ 親を責めてはいけない
・ 相互乗り入れの教育こそ
3章 生活技能の指導法
1言語領域
(1) あいさつ・返事
返事・あいさつがなぜ必要か
あいさつの指導
返事の指導
簡単な受け答えの指導
(2) ことばのやりとり
心の動きを大切にする
活動的で表情豊かな子どもにする
状況が把握できる子どもにする
コミュニケーションマインドを育てる
職場の求めているもの
(3) 指示の理解
物を使って具体的に
真剣に対応する
意味のあることばがけをする
理解の確認をする
(4) 電話
電話に興味・関心を持たせる
受信する
応答する
電話をかける
応用力をつける
(5) 人とのかかわり
あいさつ・返事ができる
一般の人とかかわりが持てる
基本的生活習慣が身についている
(6) 文字
文字の練習では効果はない
学校や家庭での指導
2 数量領域
(1) 数と量
実生活で使える力を
具体的かつ現実的な学習を
必然性のある教科学習を
独自性を大切に
(2) 時計
時間・時刻を意識させる
時間の概念を意識させる
時計を読む
重度児への対応
(3) こよみ
「きのう」「きょう」「あした」の理解
1週間の日付と曜日の理解
カレンダーの理解
(4) お金
実際の場で使える力を
まず、支払いができるように
労働と報酬の理解を
正しい管理を
(5) 買い物
買い物学習指導プログラムの設定
指導目標の設定
3 くらしの技術
(1) 交通機関の利用
自主通学
ショッピングオリエンテーリング
(2) 美化
正しいやり方を根気よく教える
同じ行動パターンを繰り返させる
1日の生活の中で教える
(3) 安全
火の安全
機械の安全
職場からの要求
(4) 係・当番
係・当番により変容したN君の事例
係・当番の指導で大切にすべきこと
(5) 調理
「自分の昼食は自分で作ろう」
「注文をとって昼食を作ろう」
一人で調理が出きることを目指す
(6) 家事
掃除
洗濯
買い物
食事づくり
家事労働と職場適応の相関は大
(7) 余暇の利用
遊ぶ楽しさを体験させる
自分の趣味をもたせる
地域活動へ積極的に参加させる
友達をつくる
4 くらしの態度
(1) 礼儀
自他の区別
生活のマナー・ルール
ことば遣い・態度
マナーは社会のルール
(2) 素直さ・明るさ
型はめ、押し付けの指導
きびしさ
自由・放任
自然な素直さ・明るさを
(3) 対人関係
問題解決
創意・工夫
信頼関係
ユーモア感覚
あとがき
『 就労自立を果たす指導法 3 働くことの指導編 』
まえがき
1章 働くことと自立
1 障害児教育が目指すもの
・ 親の本心
・ 可能性を引き出す
・ 家族の幸せが最終目標
2 自立の考え方
・ 自立的支援が必要である
・ 子どもは自立の力を持っている
3 働くことがなぜ必要か
・ 人間の基本的欲求
・ 卒業後の生活
4 就労者と未就労者の違い
・ 生活意欲の差
・ 情緒の安定度の差
5 就労に必要な力
・ 労働省の調査
・ 筆者による調査
・ 調査結果の検討
・ 基本的生活習慣の指導
・ 基本的相互交渉のスキル
・ 認知的日常生活のスキル
・ 職業生活のスキル
・ 認知的対人行動
・ 身体的スキル
・ その他
2章 働くことの指導目標
1 自主的、主体的に行動できる
・ 二人の事例
・ 主体的行動を引き出す
2 働くことに喜びを感じる
・ 働く喜びを引き出すには
・ N君の事例
3 余暇を楽しむことができる
・ 子ども主体の余暇の利用が大切
・ Aさんの事例
・ B君の事例
・ Y君の事例
4 人と交流ができる
・ D君の事例
・ O君の事例
5 自己選択、自己決定できる
・ Kさんの事例
3章 働くことの指導の基本
1 生活を重視する
2 技能よりも働く意識を育てる
3 訓練はあまり必要ない
4 援助の仕方が重要である
・ ある作業学習の授業
・ 現場実習での事例
・ 一人でできる状況作りが大切である
5 可能性に期待する
・ A君の事例
・ B君の事例
6 プライドを充足する
・ C君の事例
・ E君の事例
7 教師の姿勢が重要である
・ 子どもの事を第一に考える
・ 親と連携できる
・ 真剣さが重要である
8 働く生活を重視する
・ N君の事例
9 実社会に通用しなければ意味がない
10 一般就労を目指した取り組みをする
・ 筆者による指導事例
[指導の実際]
第1回現場実習
第1回アルバイト
第2回現場実習
高等部3年生時の指導
第3回現場実習
第2回アルバイト
第4回現場実習
第5回現場実習
第3回アルバイト
第6回現場実習
4章 働くことの指導の実際
1 小学部段階での指導
・ 人に役立つ活動をする
・ 中途半端なことはさせない
・ 共同作業を取り入れる
・ 家庭生活を重視する
2 中学部段階での指導
・ 生産的活動を重視する
・ 物を作ることの喜びを知る
・ 自立的な活動を重視する
3 高等部段階での指導
・ 実社会に出ることを想定した指導を行う
・ 働くことの意味を分からせる
・ 人間関係を大切にする
・ 働くことを中心とした生活作りをする
4 作業学習
・ 労働性の高い作業学習を
・ 目標の持てる作業学習を
・ 子どもができる作業学習を
・ 子どもが見通しの持てる作業学習を
5 現場実習
・ 現場実習はなぜ必要か
・ 現場実習と作業学習の違い
・ 現場実習の指導のポイント
6 進路指導
・ 進路指導の基本
・ 進路指導の実際
5章 就労事例
1 鉄工所で働くT君の事例
T君の実態/進路指導/就職の実現
2 ホテルで働くKさんの事例
Kさんの実態/就職までの道のり/教えられたこと
3 豆腐製造会社で働くY君の事例
Y君の実態/就労状況/進路指導/生活状況
4 病院で働くNさんの事例
Nさんの実態/就労状況/高等部での実態/進路指導
5 リネン会社で働くO君の事例
O君の実態/高等部入学時の実態/現場実習/就労状況
6 縫製会社で働くS君の事例
S君の実態/進路指導/就労状況
7 クリーニング店で働くI君の事例
I君の実態/進路指導/就労状況/転職
8 リネン会社で働くSくんの事例
S君の実態/就労状況/進路指導/就労当初
9 クリーニング会社で働いていたM君の事例
M君の実態/進路指導/就労後の状況
10 冷凍食品会社で働くTさんの事例
Tさんの実態/就労状況/進路指導/就労後
11 護岸ブロック会社で働くY君の事例
Y君の実態/就労状況/高等部での実態/指導の実際/進路指導/15年間で進歩したこと
6章 就労を目指すための学校教育への提言
1 現場での指導を重視する
2 職場側の要求を的確に把握する
3 支援体制を確立する
4 職場、親、教師が連携する
5 余暇を充実させる
6 家庭指導を重視する
あとがき