『 自閉症 幼児期から成人期まで 』
K・エリス:編 L・ウィング
他:著
久保 紘章 ・ 井上 哲雄:監訳
松浦 秀雄・武南 克子・中島 洋子・奥野 宏二・島田
幸恵・阿部 法子:訳
ルガール社 定価
本体 2,700 + 税
ISBN4-89754-004-6 C0011 ¥2700E
子ども達は日々成長しています。それは健常児でも自閉症児でも同じです。
親として、その年代ごとにいろいろ気をつけてやりたいことも、また同じです。ただ自閉症児たちにとってはその発達段階において、より細やかにケアしていくことが必要でしょうね。
特に思春期において、混乱してしまう子ども達がいます。もしかするとその一因は自分のからだの変化、少年・少女から青年に変わっていくことへのとまどい、不安、困惑があるのかもしれません。この本は、丁寧にしかも正直に「月経」「夢精」自慰」「性的行動」などをとりあげ、対処方法・アドバイスを述べています。そこに貫かれているのはきれいごとでなく、いつでも「自閉症の人たちの味方になること」という姿勢です。
それは、この本が英国自閉症協会(NAS)によって作られたことから考えると当然の話ですね。世界のどこでも、親は自閉症児たちの一番の味方ですね。この本、特に思春期を迎えたお子さんをお持ちのお母さんたちにお薦めの一冊です。
(2002.01)
目次
序 ジェラルディン・ピーコック (英国自閉症協会専務理事)
第1章 自閉症とはなにか ローナ・ウィング
第1節 歴史的概観
第2節 親の活動
第3節 疫学的研究
第4節 自閉症のその他の行動特徴
第5節 社会的障害の本質
第6節 社会的障害の生物学的原因
第7節 「自閉性連続体」とまぎらわしい障害
第8節 この障害の発生率
第9節 治療
第10節 自閉症の子どもたちの自然な成長過程
第11節 キャンパーウェル調査の結果
第12節 自閉症の特異性とはなにか
第2章 幼児期 ウェンディ・ブラウン
第1節 自閉症が心配になり始めたとき、どのような特徴を探すか
第2節 このような自閉症の特徴を私たちはどう受け取っているのか
第3節 子どもたちはどのように感じているのか
第4節 子どもへの援助
第5節 障害の特別な領域における援助
第6節 療育者への援助
第3章 児童期(6歳から12歳まで) リタ・ジョーダン
第1節 教育の場(学校の配属の問題)
第2節 教育的な対応
第3節 教育のためのアセスメント
第4節 自閉症の子どものためのカリキュラム
第5節 言語とコミュニケーション
第6節 自閉症の子どもの社会生活
第4章 青年期と成人初期 I (能力の高い自閉症の青年のニーズ) ギリアン・テーラー
第1節 統合教育か、特殊教育か
第2節 カリキュラム計画の注意点
第3節 生涯教育
第4節 社会的スキル
第5節 成人期への移行段階としての青年期
第6節 性と個人的関係
第7節 精神疾患
第8節 犯罪行為
第9節 結論
第5章 青年期と成人初期 II (重い障害をもつ青年のニーズ) アリソン・エリオット
第1節 健康
第2節 個人の保健衛生と性的発達
第3節 行動
第4節 社会性の発達
第5節 サービス
第6章 成人期の自閉症 ウィリアム・メルドラム
第1節 自閉症の人たちへのサービスの提供
第2節 自閉症の人たちの世話をすること
第3節 自閉症の人のための継続的な援助・訓練・教育の提供
第4節 自閉症の人のための教育・余暇・作業の機会
第5節 「問題」行動をもった成人
第6節 自閉症の人に関わる仕事のストレスと燃えつき