試験結果の詳細
          1998年11月実施
間伐試験地の状況
所在地
真庭郡新庄村
試験地 調査プロット(40m×40m 2箇所、20m×20m)のデータによる換算値
    別図のとおり
    39〜42年生(伐根の年輪計測による)ヒノキ、一部スギ
    平均樹高  15.5m
平均直径  20.8cm
    平均立木材積 0.24m
    面積  1.111ha
    平均立木本数  1,640本/ha
      3箇所 1,388本/ha、1,706本/ha、1,825本/ha
    立木材積    393.6m/ha









間伐状況 
項 目 従来の間伐区 列状区
面積
立木本数
間伐率
間伐本数
 
0.596ha
977
32%
306 2箇所のサンプリ   ングによる推定
0.515ha
844
29.0%
245 毎木調査による
 
間伐方法


 
間伐率30%を目標に不良木の除去を念頭に選木

 
平行な集材線を7.5mおきに設け、集材線の両側1.25m以内の立木を選木
集材路、集材線

 
谷部に最大100m、平均50m林内に進入、土工はなし。 7本の集材線、117m〜42m、平均89.7m
平均集材距離44.9m

  プロットのデータ

 
従来の間伐区 列状間伐区
 

 
本数 222 273 495
haあたり本数 1,388 1,706 1,547
haあたり材積 375 392 387
平均直径 22.2 19.7 20.8
単木材積 0.27 0.23 0.24
平均樹高 15.5 15.5 15.5
伐採本数 69 82  
本数伐採率 0.311 0.300  
伐採木直径 19.3 19.5  
単木材積 0.21 0.22  
伐採材積 14.49 18.04  
材積伐採率 0.242 0.287  
最大直径 49.7 30.1  
最小直径 10.4 10.0  

    作業内容別総作業時間数の比較  のべ作業時間
作業内容 従来の間伐区 列状間伐区
総作業時間 195時間 58時間
選木作業


 
9時間
3名*3時間
間伐目的を理解し、専門知識が必要
4時間
ラインの決定2名*1.5時間、選木2名0.5時間、機械的な作業
 
伐倒作業


 
20.5時間
チェーンソー使用、4人作業
掛かり木率 29/48 60%
11.5時間
チェーンソー使用、4人作業
掛かり木率 8/35 23%
 
枝払い作業

 
28時間
チェーンソー使用
4人作業
5.5時間
プロセッサ使用、一人作業
コマツPC75UU、イワフジGP25T


 
造材作業

 
25.5時間
チェーンソー使用
4人作業
集材作業



 
89時間
小型運材車2台使用
 クローラ式
 850kg、1,000kg積み
2人*2組作業
33時間
タワーヤーダ RME-200T
3人作業相当*11時間

 
その他作業





 
23時間
機械保守点検修理
打ち合わせ、集材路確保(人力)、材整理(とび)、トラック積み込み補助等

 
4時間
機械保守点検修理、打ち合わせ等2時間、材整理(グラップルローダ)2時間


 
 *列状間伐の集材による残存木への損傷は全くなかった。

従来の間伐の作業

作業時間集計表
  真庭森林組合作業班 4名の合計作業時間   単位 時間
  12月10日 12月11日 12月12日 12月14日 12月15日 12月16日 12月17日
伐倒 10.5 3 5 0 2 0   20.5
枝払い 11 5 3 6 3 0   28
造材 4.5 10 2 8 1 0   25.5
集材 2 12 10 14 18 28 5 89
その他 4 2 3 4 2 4 4 23
32 32 23 32 26 32 9 186
               *枝払い、造材は区分が曖昧
 
 作業能率                   実作業 6時間/日とする
作業対象 間伐本数 306本、造材本数 275本(聞き取り、90%)
伐倒 306本/20.5時間・人 ・・・89.6本/人・日
枝払い、造材  275本/53.5時間・人 ・・・30.8本/人・日
伐木造材の総能率 306本/74時間・人 ・・・24.8本/人・日
集材      44.589時間・人  3.0m3/人・日
  間伐対象材の利用率は60.6%であった。
利用率=総生産材積/総伐倒幹材積
44.5/(306本×0.24m3/本)=60.6%
全体   44.5m3 /186時間・人 ・・・・1.44m3/人・日
        作業条件等を勘案すると、標準的な能率であった。

列状間伐の作業

作業対象
間伐木 245本、平均樹高15.5m、平均立木幹材積、0.22m3 総材積53.9m3
 

伐木作業 1998年12月16日
集材線7本の間伐木245本を山側(平均傾斜16度)にくさびを使用して伐倒した。
総作業時間は11.5時間・人であった。掛かり木は時間観測35本のうち8本発生したが軽微なもので人力で処理可能であった。
作業能率
    245本/11.5時間・人 ・・・127.8本/人・日
 非列状間伐に比較して143%と高い能率になっている。これは、ほとんどが掛かり木処理が少なかったためによるものである。

タワーヤーダ作業 富村森林組合作業班  1998年12月17,18日
・作業条件
 7本の集材線を設定
平均集材線長 89.7m 平均集材    距離44.7m(推定)
    下げ荷集材 平均傾斜 16度
    集材線間隔 7.5m  伐採幅      2.5m 理論的間伐率 33.3%
    前山荷かけ1名、荷下ろし1名、オペレータ1名  合計3名作業
     (試験時 作業員数は4名であるが、実作業は3名相当)
・作業結果
 架設撤去を含む総作業時間 11.0時間
    架設、移設時間 総作業時間 3時間25分6秒(7線、平均 29分18秒)
    集材時間 7時間34分54秒
    集材本数  伐倒本数 245本 のうち 234本集材
平均直径 19.5cm 幹材積 0.22 総材積 51.48m3

プロセッサ作業 向井林業
 プロセッサ作業は、すべての間伐木の処理を機械の搬入から撤収まで含めて1日で行った。材の集積は大まかに作業道上に置いたものをグラップルで別途集積した。
  1998年12月21日
  8:30 村内(道の駅)にて打ち合わせの後、入山。
クレーン付き木材運搬兼、機械運搬車(7.5t)にて機械搬入。
        積み降ろしは1名作業で約20分、作業打ち合わせを行う。
  9:15 試験地着
  9:20    作業開始
  12:00 昼休み
  13:00 作業開始
  15:40    作業終了
  15:50 撤収開始
  16:20 運搬車現場発車
       総作業時間 6時間5分 造材作業時間 5時間20分
副作業を含む総作業能率
幹材積51.48m3を副作業も含んで5時間20分で処理したので、9.65m3 /時間・人となる。
(副作業を含まない造材作業のみについての能率)
午前中の3線分の集材線についてVTR荷より時間観測
    3線分連続作業
現場内移動を含む総作業時間   5,661秒  1時間34分21秒
        サイクル数(造材本数) 108
        平均サイクルタイム 52.4秒
時間あたりサイクル数 68.7サイクル/時間
時間あたり処理材積   15.11m3
          立木幹材積 0.22m3 (平均直径18.6cm 平均樹高15.5m)
            0.22×108=23.76 23.76/1.5725=15.11

 プロセッサ作業の考察
 この時間あたりの作業能率と総作業能率から換算すると本試験地でのプロセッサ作業は、総作業時間の64%が造材作業で36%が移動や調整、給油などの副作業であった。
 これまでの経験で、1日8時間作業でも実作業時間は5時間程度(63%)とされていたが本調査地での結果もこれとほぼ同様となった。
 作業全体に非常にスムーズで、目立ったトラブルはなかった。サイクルタイムの頻度分布は図のとおりであり、平均値を中心にきれいな分布をしている。
 作業道の左右の林分とも村有林で、枝葉の処理がスムーズに行えた。また、幅員3m程度の作業道上のみで造材を行ったが、小旋回可能な機種であり、プロセッサの送材力も高かったためスピーディな作業であった。時間あたりの作業量は15.11m3で0.25級のベースマシンであることを考えると大変高能率である。「大プロ・地域に適応した林業機械作業システム」の研究データから求められた標準功程と比較しても、0.45級のベースマシンの良好な作業条件に匹敵する能率であった。
 オペレータの熟練度も高く、近辺の立木に損傷を与えることは全くなかった。

造材された材の処理 
グラップルによる材の集積 真庭森林組合 1名 
 作業機(0.25クラス、揺動式)は付近で他作業を行っていたもの
 造材された材(根株、梢端、不良材を除く丸太材積)25.9m3 の集積に2時間を要した。

全体の作業能率
 間伐対象53.9m3 (立木幹材積)のうち販売できたのは25.9m3 (丸太材積)で利用率48.1%であった。非列状間伐の60.6%に比較して低かった。これは、選木方法と造材方法の違いによると考えられる。総作業時間は58時間で、2.62m3 /人・日となった。これは、非列状間伐の1.44m3 /人より大幅に能率は高くなっている。
列状間伐と従来の間伐の生産コスト等の比較
総人工数 9.9人 31.0人
立木幹材積 53.9m3 73.4m3
生産丸太材積 25.9m3 44.5m3
売上高 636,562円 1,008,054円
総経費 465,128円 891,054円
m3当たり経費 17,959円 20,024円
生産性 2.62m3 1.44m3

注)積算方法は「立木評価の手引き」岡山県農林部による。

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