北大西洋航路客船   ルシタニア      
 
     
  キュナード・ライン
     (英国)
        
  就航 1907 年
           
  31,550 総トン
           
  全長 239.9 m
           
  全幅 26.5 m
           
  エンジン
   直結タービン
   72,500 馬力
           
  推進器 
   スクリュー4軸
           
  速力 25 ノット
           
  乗客定員 2165
     1等  563
     2等  464
     3等  1138

 

   当時,ドイツの高速船が何隻も運航されている中で,英国の地位について心配が表明されていた。特にホワイト・スター・ラインがアメリカ人所有のIMM社の支配下に落ちていたので,なおさらであった。そんな中,長たらしい交渉を経て,キュナード社と英国政府の間で,ひとつの合意に達した。それは,少なくとも23.5ノットを維持できる2隻の高速汽船を建造するというもので,そのための融資貸付金についての合意であった。

 これらの船を目標速力で推進するには約 68,000軸馬力が必要なことが,初期の水槽試験でわかっており,ここにレシプロ機関にするかタービンにするか,最適な機関方式決定のための慎重な検討が必要となったのである。1903年当時は,舶用タービンの性能と効率に関して使える情報がほとんど無かったので,キュナード社では調査のためにトップ・エンジニアから成る委員会を編成した。委員会は1904年に報告を提出した。委員会のメンバーはすばらしい先見性でもって,「大型高速船に必要な高出力にはタービンが決め手となる」と結論付けている。

 機関の製造会社,ジョン・ブラウン社とウォールゼンド・エンジニアリング社が,ルシタニア号とモーレタニア号のタービンを引き受ける契約にサインしたことは,まさに冒険的企業心の発揮だったと言える。なぜならそれは,既知の技術範囲を超えた大きな飛躍だったからである。

 これらの船は,就航するとすぐに実力を示し始めた。その 72,500軸馬力の機関は,両方の船に「ブルーリボン」をもたらしている。結果的に,モーレタニア号の方がわずかに速かったが,いずれにしても両船とも26ノット近い速力で大西洋を横断したのである。


 (「豪華客船スピード競争の物語」 ルシタニア・モーレタニア号の部分より抜粋)


                              
                                

 
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