基本報告書 『虎頭要塞』
学術調査報告書が刊行。
-14年間の日中共同学術調査の集大成-
「第二次世界大戦最後の戦場」といわれる「虎頭要塞」について、ここ数年、メディアによる先行報道が続いていましたが、このたび待望の学術調査報告書が刊行されました。(写真・左)
終戦が伝えられず、8月26日まで10倍以上のソ連軍と組織的激戦をおこない、開拓団を含む2500名の国境守備隊が玉砕・・・。日本陸軍最大唯一の大口径砲や特殊重砲が装備され、秘密のベールに包まれていた東洋最大の地下軍事要塞・・・。「昨日戦争が終わったよう」と形容され今も中露国境の地下に眠るこの巨大軍事遺跡には、当時の日本陸軍最高機密の巨砲・重砲群陣地が残り、地下トンネル内には多くの遺品とご遺骨が放置されたままです。
本書では、佐山二郎氏や辻田文雄氏など、著名な軍事考古学者らによる最新の研究論文と650点の写真・図面を収録。兵士・開拓団員の証言や機密兵器の設計図など本邦初の貴重な資料を大量に公開しています。モノクログラビアでは、陸軍がただ一門だけ保有した最大口径砲・41p榴弾砲陣地の大型ワイド写真をはじめ、カラーグラビアでは陣地内に掩蔽された状態の同41cm榴弾砲の精密再現イラストレーション(写真・右)を戦後初めて制作公開しています。更に重火力要塞であった同要塞配備の各種重砲の方向射界・射程図や、実弾の再現図もカラーで掲載されており、最新のデータをもとにしたビジュアルが充実しています。また、地下施設内から発掘された遺物を鑑定結果とともに掲載。更に、ご遺骨の発掘状況の詳報など、これまでタブーとされてきたご遺骨収集への問題提起もおこなっています。
調査範囲は東部国境・虎頭要塞から西部国境のハイラル、ノモンハンまで中国北部全域に及び、「帝国の生命線」とされた「満州国」建設の背景・対ソ戦略の実態に、そして戦闘を終結できなかった統帥上の背景にも迫ります。
なお、最新レポートとして、本年5月に実施された旧ソ連領の軍事要塞学術調査(戦後初)の概要も掲載。当時関東軍の最重要攻撃目標であった現ロシア軍事都市ダリネレチェンスク(旧イマン)内のシベリア鉄道鉄橋や軍事施設の被弾損害調査(下記朝日新聞記事参照)、要塞付近にはり付けられ全滅を余儀なくされた清和開拓団の逃避行調査も収録しました。ちなみに、同開拓団は、山崎豊子氏の大河小説「大地の子」の冒頭に登場する「佐渡開拓団跡地集団自決事件」に巻き込まれ壊滅した大型開拓団です。
専門論文と共に、やわらかい紀行文形式の調査報告も満載。執筆陣は20代〜50代の戦後世代。中国側の専門家も迎えつつ、政治的中立を堅持。事実解明にあたり冷静かつ科学的な新しい視点を提起しており、各界から大きな反響が寄せられています。(下記新聞記事ご参照)
自費出版のため千部限定です。(写真・上右・新刊紹介リーフレットより)
軍事史学会での発表論文↓の準備草稿も掲載
↑虎頭要塞に関する学術論文が掲載された「軍事史学会」の論文集
当センター主席研究員・辻田文雄氏による論稿。この論稿の準備草稿に相当する内容が本報告集に掲載されています。
お申し込み方法
下記迄、メールにて
kotou826あっとマークyahoo.co.jp (←お申し込み専用メール)
(なお、10日以上たっても本が届かない場合は、お手数ですが、再度ご連絡下さい。)
〒700-0811 岡山市北区番町1-10-30
虎頭要塞日本側研究センター
書籍名「虎頭要塞」 (ことうようさい)
副題:第二次世界大戦最後の激戦地 ソ満国境の地下に眠る関東軍の巨大軍事要塞 THE
KOTOU FORTRESS
2005年4月〜2007年6月 第5回〜第8回 虎頭要塞日中共同学術調査団 日本側調査研究報告書
発行:虎頭要塞日本側研究センター A4版 258ペーシ カラーグラビア2ページ モノクログラビア 9ペーシ ゙
本体価格2800円(内税・送料別) 送料込みでは 3000円/1冊 (国内)
仕事の合間をみて発送作業をしておりますので、到着まで1週間から10日程度頂いております。
代金のお支払いは、本に同封されている郵便振替用紙でお願いします。
振込み手数料は、お客様ご負担でお願い致します。
読者の皆さんより寄せられた声(要旨)
・写真や絵などが沢山掲載されており、大変わかりやすい。
・○回調査報告というのは平易な文章で楽しく読め、臨場感がある。
・軍事上のハイレベルな論文が、専門家にとっても読み応えある
・掲載写真や図面も珍しく、原資料のコレクションとしても意味がある
・要塞の遺跡鑑定に「科学性」を厳密に求めた初めての試みではないか
・邦人犠牲者の遺骨問題に切り込んだ稀有な書物
・資料編が盛りだくさんで良い。報道記事から読めば素人でも解る。
・中国、英語、ロシア語訳の資料が収録され、実践的で国際色豊か
・兵士証言の部分でソ連軍の8月8日の第一撃が明確になった。
・民間の報告書として、水準・作りがずば抜けているが採算大丈夫?
・参加者の声欄では、平和へのメッセージが豊かに表現されていて、本書のポリシーが静かに伝わってくる。
・中国人労働者の写真を掲載していることに大きな意味を感じる
・参謀本部の地図、旧ソ連軍の国境地帯の測量地図は初めてみた。驚いた。これだけでも資料的価値がある。
・内容、装丁、紙質、文句なし。商業出版を切に願う。
・1万円の会席料理をA4版に詰め込んだ感じ。今までと質が異なる本だ。宝石のような輝きを感じる。
・本格的な論文と、読みやすい旅の記録が混在していて、とてもいい味を出している。一気に三回通り読んだ。
・戦後世代がここまで冷静に徹底的に追求していることに驚き。これからの歴史継承のあり方のひとつだと感じる。
・遺骨問題は衝撃。難しい問題だが若い人達に期待したい。
・知人にも虎頭関係者が多い。継続的研究を望む
・政治的に偏っていないのが良い。変な気負いや、周囲へのへつらいがない書きっぷりが、大変気持ちよい。
・歌手の関島さんの感想文などがとても良かった。
・開拓団のことが冒頭に触れられているのが、大変良かった。
・地道に実証研究をされてきたことに敬意を表します。
・父は虎頭に配属されシベリアを経て奇跡的に生還したが生存者53名という玉砕の事実に新ためて驚いている。
・かつて虎林の部隊にいたものとして胸の詰まる思いがする。
・各執筆者の方々が自由な考えでのびのび書かれているのが、とても新鮮に感じた。
・大砲の話も読んでいくと、いろんなことを考えさせられる。事実を深めることの大切さを学べる。
・佐山二郎氏の41榴の移送、30榴についての研究は、阿城連隊の関係者として大変興味深く感慨深い。
・東寧要塞にいたが、南方へ転戦して、関係者は玉砕状態。虎頭要塞関係者も居られた。昨日のように思い出される。貴重な記録だ。
・拝読したが戦友にも是非勧めたい。
・押し付けがましいスローガンがなく、自然に読める。
・仏壇に供えて読ませていただいた。貴重な歴史を記録して下さったことに感謝します。
・親戚にも満州からの引揚者が沢山いるので、みんなに勧めたい。
・虎頭守備隊の激戦でソ連の大軍団が足止めされ、結果的に私達後方の部隊は戦闘を免れた。その事実を知れて嬉しい。
・この本の意味が解る人がどれだけいるのか、それを考えてしまう。しかし、若い方々がよくこれほどまでにまとめられた。大変な労力だったと思います。戦争体験者として、深く感謝と敬意を表したい。
・中国での戦争体験は、よく政党が利用して政治問題にしてしまうが、本書にはそういう姿勢が見られないので、安心できる。
・これまでの日中の歴史問題についての活動団体は、ほとんど党派がらみで辟易していた。報告書でも指摘されていたが、党派関係者は、いつも既成の組織に近づき、乗っ取り、私物化しようとする。日中友好という言葉に、最近、なにかしら違和感を感じているのは私だけではないと思う。真実を追う作業は政治勢力の専売特許ではない。貴会のように普段着の感覚で謙虚に取り組むことが大切だと思う。これからの活動のあり方だ。
・字が小さいので、年寄りには読みづらいが、写真が多いのが救い。写真ばかり見ている。若い人たちががんばってくれているのが何より嬉しい。亡くなった方々も心から喜んでいると思いますよ。
・この内容で3000円は安い。
・私の町の図書館に寄贈したい。
新聞各社でも、大きく紹介されています。↓
朝日新聞 全国版 社会面トップ記事2007.8.15 山陽新聞 全県版 記事 2007.8.15
「日中共同学術調査」とは・・・
1993年に開始された民間研究者を中心とした虎頭要塞の共同探査活動。その原点は1985年からの日本側戦友会と中国政府との間で始まった調査交流にさかのぼる。
途中から介入してきた思想党派による混乱を整理整頓する数年の試行錯誤紆余曲折をへて、現在はニュートラルな一般研究者によって運営され、防衛省戦史資料室・軍事史学会関係の軍事考古学者も参加して、歴史学、考古学、医学など各分野の専門家が発掘・計測・評価・鑑定を通じて歴史的事実の掘り起こしを進め、14年間にわたり日中交流が積み重ねられている。特に2001年以降、調査体制の整備が進み、急速に研究が進展している。その結果、以前は戦争体験者の想像図でしかイメージできなかった要塞施設の概要が、科学的根拠を基礎に次第に再現されつつある。
しかしながら、同要塞は8キロ四方を越えるエリアを占有する巨大施設であり、その大半はまだ瓦礫の下に埋没している。その全容はいまだ2割ほどしか解明されていない。なお本調査活動は、日本側に関しては、元兵士と遺族・軍事専門家をはじめとした各種民間研究者の私費負担によって支えられている。
一方、中国側では、虎頭要塞での日ソ激戦の事実は、日本よりも広く知られている。2005年8月15日には、虎頭要塞の主陣地・中猛虎(なかもうこ)山山頂で黒龍江省政府主催の国際平和式典「虎頭国際平和フォーラム」が開催され1千人が参加、その模様は世界5カ国を衛星回線で結びつつ中国全土に生中継され、「アジアでもっとも視聴者の多い」終戦記念式典となった。日本側からは調査団関係者が代表参加し、中露両国からは政府要人も列席。アナン国連事務総長(当時)からメッセージが寄せられる中、日本側戦友会の代表が戦後初めて中国、ロシアの元兵士たちと和解の握手を交わした。また、中国側建立の「第二次世界大戦終結地記念碑」の前に、日中露三国の戦争犠牲者を等しく悼んで花輪が献花されるなど、中国国内でも異例の内容となり、極東アジアにおける新しい胎動を窺わせる出来事となった。
※虎頭要塞は黒龍江省政府の重要文化財(省級文物保護単位)に指定され、1997年から15ヶ年計画(2012年まで)で大規模な発掘作業が続いている。現地は中国人も数多く犠牲となった戦争跡地だが、20年以上の民間交流の蓄積で、極めて親日的な環境が形成されており、友好活動をベースにしながら三国の犠牲者を共に追悼できる、中国国内でも異色の地となりつつある。現在は、国家級文物にも認定されており、世界遺産登録も視野に入っている。
→共同調査についての歴史は当サイト詳述ページへ
※同書は岡山市内に限っては、
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レジコーナー西隣(エスカレーター降りて左方向)
日本中国友好協会 機関紙でも紹介
岡山政財界の有力企業で構成される「NPO岡山市日本中国友好協会」(※1)の機関紙『岡山と中国』で
同報告書が1面全面を使って紹介されました。
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