「過去に眼を閉ざすものは未来にも盲目となる」
リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー 
元ドイツ連邦共和国大統領
(キリスト教民主同盟)


(2013年に、当資料館からの公開質問状に答えて、現・厚生労働省が初めて発表した2013年までの確認被害者の総死亡者数は1,170名もの規模に上る─平成25年-2013年-現在)


12,000人以上の赤ちゃんが苦しみ、
その何倍もの親兄弟、その子どもたちが、
今も苦しみ続けている...

世界最大の食品公害の教訓を後世へ

「国民に支えられた運動の成果は、
           国民にお返ししなければならない」

 岡崎哲夫
(元・森永ミルク中毒のこどもを守る会 全国本部事務局長)

 森永ヒ素ミルク中毒事件とは、昭和30年(1955年)に日本で発生した、森永乳業の粉ミルクによる世界最大の乳幼児大量死亡被災事件。
 猛毒のヒ素(砒素)が混入した第二燐酸ソーダ(産業廃棄物由来)を、製品が新鮮であるかのように見せかける目的で、赤ちゃん用粉ミルクに「乳質安定剤」として添加したために発生した世界史上最大の大規模砒素中毒事件です。現在の、事故米のロンダリングや、粉乳メラミン中毒事件にそのまま直結する要素をもった事件です。昨今の食の安全をめぐる公害事件、さらには科学技術と社会との関係性、御用学者の誕生、専門家を誤用する社会の側の姿勢、それを妄信する社会やメディアの側にとっての教訓が凝縮されている事件といっても過言ではありません。
 当館は1955年の事件発生時からの貴重な一貫資料が通し番号をつけて収蔵・集中管理されており、同事件の全体像を明らかにできる我が国で唯一の資料館です。事件の発生とその背景を解明する科学的資料、被害者の親たちの血涙の証言、そして、事件発生直後から始まった加害企業による被害者家族への弾圧をしめす物証、当時の諸文献やポスター、映像・画像資料、現「被害者」団体と「救済」基金の変質化プロセスを示す資料など、救済運動とそれへの政治的弾圧の歴史をしめす資料もほぼ完全に揃っています。とりわけ、1955年以降、親たちの訴えを14年間にわたって封殺し続け、「国家を手中にしていたかのよう」に展開された陰謀の数々と、それに抵抗する被害者家族の長年月にわたる苦難の闘いを示す一次資料は、A4換算で30万ページ以上のボリュームとして、厳重に保管されています。(以下、報道記事ご参照)


資料館は、森永ミルク中毒のこどもを守る会 全国本部事務局内に設置されています。
資料館は、1.【文書保管庫】と 2.【一般公開用展示室(予約制)】 の二つに区分されております。
(住所: 〒700-0811 岡山市北区番町1-10-30)

森永ヒ素ミルク中毒事件資料館 文書収蔵庫 1階部分
写真:資料館・文書保管庫(1階部分)の一角(


【資料館の基本的立場】
被害者圧殺の14年間を闘いぬき、運動の灯火を守り抜いた岡山の数家族 森永ヒ素ミルク中毒事件資料館所蔵
当資料館は運動体ではありません。
食品公害の教訓を学術的見地から後世へ継承することが主目的です。
当館は、恒久救済対策案を創案した故・岡崎哲夫の遺志に基づき設立され、被害者遺家族によって運営されている非営利・非政府組織です。



なお、救済組織の運営にあたり、限られた資金の運用を被害者第一に考え、不偏不党・透明性と情報公開の原則を主張し続けた故・岡崎哲夫をはじめとする親たち、そして異議を唱える被害者本人までをも、政治的・謀略的な手法で次々に「除名」し、排除し続けるところの、現「被害者」団体。このような「民主集中制」的支配を続ける団体とは、被害者救済のあり方について全く異なる立場を有し、なによりもその大前提となる、民主主義と公正議論・言論の自由・救済事業における正義とモラルのあり方などに関しての理念もまた全く異なります。組織的関係もありません。

また、公害被害者救済運動及び市民運動に対する「民主集中制」党派的勢力の介入と、乗っ取りと私物化、さらに、それによる組織の独裁的支配・腐敗に関しては、それらの掲げる欺瞞的政治スローガンを含め、不寛容の立場を取っております。
【一般公開用展示室(予約制)】のページ

写真解説:
森永乳業と国、医学界が三位一体となっての14年間にわたる圧殺に屈せず、救済運動を守り続けた、岡山県周辺の少数の被害者家族たち(資料館所蔵) 
横断幕には、「森永よ、子供を元に戻してくれ!」 と書かれている。親の願いであり、恒久救済対策案の原点といえる理念が、この時期に形成され、理論化された。
しかし、現状は「救済」事業が、単なる資金配分に矮小化されている結果、「恒久」の意味合いが単純な「長期」になり、「支払いは生存期間限定の、しかも長期分割払い」(つまり「早死に損」)という巧妙&悪徳なシステムに堕しているとの指摘もある。加えて、救済資金の多くが、基金運営組織の専従者集団の給与と管理的支出項目に回っており、それは本来の救済とは異質な資金の消耗であるとの見方がある。配分のやり方に関しても深刻な道義的問題点が指摘されており、このようなシステムをコントロールしそれを推進しているものは誰であるか、それによって結果的に得をしているものは誰であるか、が疑われている。和解当時の「恒久救済対策案」に存在した先進性とそれを裏付ける本来の理念を見出すことはできない。(※1)

(※1 ↓参考資料論文:
森永ヒ素ミルク中毒事件発生から50年-pdf版-等より)




http://ww3.tiki.ne.jp/~jcn-o/nose-report.pdf


【報道記事紹介】一時資料保存と教訓化についての報道記事
広島 中国新聞 公害の記録風化させまい 森永ヒ素ミルク中毒事件 文書資料中国新聞特集記事 ダウンロード125k

読売新聞 能瀬英太郎氏 森永ヒ素ミルク 風化させぬ 全国で唯一の森永事件一時資料の保存を読売新聞特集記事 ダウンロード125k

毎日新聞 森永ヒ素ミルク中毒事件資料 食の安全が脅かされる今日こそ森永事件の教訓を未来へ毎日新聞特集記事 ダウンロード125k

岡山の市民、能瀬英太郎氏、森永ヒ素ミルク中毒事件の最重要資料の目録を制作山陽新聞特集記事 ダウンロード125k

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