東京新聞 2000年1月5日 朝刊第一社会面「破たん国家の内幕」より転載

自民に18億円 集中献金

日本医師連盟96年から3年間 総額の8割増す緊密度


 日本医師会(東京・文京区)の政治団体「日本医師連盟」(同、代表者・坪井栄孝日本医師会長が、自民党と 同党所属の国会議員に対し、1996(平成8)年からの3年間で、総額約18億円に上る政治献金を行っていた ことが4日政治資金収支報告書から明らかになった。日本医師会は97年からの医療保険制度の抜本改革をめぐり、 自民党と独自の覚書を交わして運動を活発に展開する一方、98年の沖縄県知事選挙や衆院石川1区補欠選挙などでは、 自民党を強力に支援するなど同党との緊密さを急速に増している。
献金は8割が自民党一党に集中しており、票と併せて資金面でも強力な支持ぶりが浮かひ上がった。

 日本医師連盟は自民党の政治資金団体「国民政治協会」に対し、96年3億300万円→97年1億7700万円 →98年3億500万円の計7億8500万円を献金。自民党以外の政党に対しては旧新進党や民主党などへ 計2億円を献金しているが、98年は自由党2000万円、民主党1800万円にとどまり、この年の政党への献金は 9割近くが自民党へ集中している。
 自民党の国会議員個人への献金は、現職に限ってみると、96年が73人の資金管理団体に2億6150万円→ 97年2億6000万円(67人)→98年2億9000万円(76人)の計8億1150万円(のべ216人)。 自民党以外の政党の国会議員に対しては2億1700万円(のべ52人)で自民党議員への集中率は79%に達している。
 3年間の合計が最も多かったのは、武見太郎(故人)の三男で参院議員の武見敬三氏が8000万円=別表参照。 次いで医療系議員の集まり「カトレア会」の会長を務める元外相の中山太郎氏が3500万円。加藤紘一・前自民党幹事長、 森喜朗・同幹事長、河野洋平外相、羽田孜・民主党幹事長が各3000万円となっている。
 中山議員の事務所では「日本医師連盟からの寄付は主に、少子化社会対策法案や臓器移植法改正のための調査研究や 会議のために使わせていただいた」と話している。
 また、全国の自民党支部には、3年間で53支部に計1億9500万円を献金。自民党以外では3900万円(10支部) にとどまっている。政党支部は政治家本人が代表者を務めるなど、献金の事実上の第二の受け皿となっている。
 96年には総選挙、98年には参院選挙があり、日本医師連盟では「選挙の年には献金額が増える」と説明したが、 自民党への集中ぶりなどについては「政治資金収支報告書で公開している以上のことはコメントしない」としている。
 日本医師連盟は同じ3年間に、各都道府県医師会の政治団体に総額18億8210万円の寄付を実行。 各都道府県の医師連盟からも政治家個人への献金があるため、全体ではさらに額が膨れ上がることになる。


資金管理団体への寄付上位10位(96年からの3年間合計)

( 1)敬人会(武見敬三)自民党8000万円
( 2)国際経済懇話会 (中山太郎) 3500万円
( 3)社会計画研究会 (加藤紘一) 3000万円
( 3)春風会 (森喜朗) 3000万円
( 3)政治工学研究所 (河野洋平) 3000万円
( 3)親和会 (羽田孜) 民主党 3000万円
( 7)新政治研究会 (武藤嘉文) 自民党 2600万円
( 7)正邦会 (村上正邦) 2600万円
( 7)恒山会 (渡部恒三) 無所属 2600万円
(10)未来産業研究会 (小渕恵三) 自民党 2500万円

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