公共施設で政治活動 医師政治連盟3支部(岐路 2001参院選)
2001.06.14 東京夕刊 18頁 2社 (全1123字)


 東京都医師会の政治団体、東京都医師政治連盟(佐々木健雄委員長)の3支部が、医師会が借りている区民館など自治体施設内の事務所に同居し、そこを拠点に参院選に向けた政治活動をしていたことが分かった。自治体は「公共性の高い医師会に貸したもので政治活動をするのは問題」とし、3支部は今月、いずれも住所を変更した。
 公共施設に入居していたのは連盟の日本橋、東久留米、田無の3支部。日本橋支部は、中央区立久松町区民館にある日本橋医師会事務所内にあった。今月初めまで、事務所前に参院選で同連盟が推す武見敬三議員(自民、比例区)の後援会事務所の看板が立てられていたが、支部は13日までに都選挙管理委員会に住所変更手続きを行った。
 中央区によると、医師会は、区民館と同じ建物内で休日診療所を運営していることから、条例に基づいて通常賃料の半額に当たる年約210万円で貸している。だが連盟支部の同居については「聞いていない。公的施設であり目的外利用はあり得ない」としている。
 東久留米と田無の支部も、休日診療所などが置かれる東久留米市福祉会館と西東京市田無総合福祉センターにある地区医師会事務所に同居。事務所には武見氏のポスターや後援会の文書があり、日常的に政治活動が行われていた。
 市側は「公的な医療活動を支援してもらうために貸した。政治団体と賃借契約を交わしたことはない」と当惑している。
 これらの問題を朝日新聞が指摘したところ、都医師政治連盟は「これまでルーズにしていたが、公の施設での政治活動は好ましくない」と、3支部に転居を指導した。
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 公益法人である医師会は、政治とのかかわりが制限されながら政治団体の医師連盟とほとんど一体化していると指摘されている。今年3月、坂口力厚労相は「医師会と医師
連盟との区分を明確にすべきだ」との見解を示している。
 医師会と医師連盟の「一体」ぶりは、ホームページを使って武見議員の応援をしている医師会があることからも分かる。
 群馬県医師会のホームページでは12日ごろまで、冒頭の画面に武見議員の写真と「群馬県医師連盟は武見議員を応援してます」とのメッセージがあった。県医師会事務局は、写真などの掲載は県医師連盟の活動と説明。武見氏側からの要請はなく、掲載料などはもらっていないというが、指摘を受けて削除した。
 このほか岩手県医師会のページには武見氏を紹介するコーナーがあり、長崎、静岡、香川の各県医師会のページにも武見氏のページにつながる「リンクボタン」が掲載されている。福岡県医師会のページにもリンクボタンがあったが、今月初め、削除した。
 武見事務所は「掲載を依頼したり、広告料を払ったりしたことはない」と話している。


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