ここでの参考文献
『家族法大系T家族法総論』 中川善之助教授還暦記念 有斐閣
『家族裁判月報』 47−10、49−9
@ 家籍の変動に伴う氏変更
結婚、離婚、養子縁組、離縁による氏変更
生存配偶者の復氏、父又は母と氏が異なる子の氏変更
A 単なる呼称の変動としての氏変更 《ここで扱う内容です》
戸籍法107条1項
「やむを得ない事由によって氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出ねばならない」
○「やむを得ない事由」=変更事由を厳格に制限する趣旨
・ 本人の同一性につき社会観念上重大な関係がある
・ 変更の効果は同一戸籍内の者や子孫に及ぶ
○家庭裁判所の許可審判を要求する理由
・ むやみな変更は選挙、徴税などの行政事務上また取引上に支障を及ぼす
・ 戸籍制度の円滑な運用を害する
・ 税金や債務を免れる、前科や犯罪を隠すなど悪用される恐れ
→氏の変更を認めない社会利益と、認めることによる個人と社会の利益を公平に比較して決定
→審判に当たっては、必要度と債務免れ前科・犯罪隠し目的でないか注意
1.珍奇 (色魔シカマ、海老、狼、亀、蝶蝶、虎、天狗、飯、腹巻など)
2.難読 (南風花ハイバラ、賀数カカズ、金城カナグスク、尾スエマ、三千ミチ、など)
3.同姓同名 …名の変更によるのが普通
←両者の地域範囲の距離等の調査、前科隠し・債務免れ等が目的ではないかの調査が必要
4.通姓 …個人的、社会的に見て利益があると考えられる場合に許容
←長年使用の事実だけで許容としては結局、改氏自由となってしまうため
←不純理由・目的による乱用防止(前科隠し・債務免れ等姓名判断、タロット占いなど)
5.特殊部落民 …いわれない差別待遇を蒙り屈辱を蒙るため
X 家名継承 (4の通称の要件が加わって許可された例はある)
←家制度的色彩が濃いため(新民法氏は個人の呼称)