B 氏名の変更の事例 (レジュメ作成時に参考にした2例)
@ 戸籍上の氏名の使用が、申立て人に幼少時に受けた性的虐待の加害者である近親者及び加害行為を想起させ、強い精神的苦痛を与えることなどを理由として、氏及び名の変更を共に許可した事例
(大阪家裁 平9.4.1許可)
→申立て任が氏名の変更を求める理由は主観的な極めて特異な事例である。
氏名の変更によって、精神的後遺症からの脱却が可能かについて疑念が残らないでもない
→しかし、戸籍上の氏名の使用を申立て人に強制することは、申立て人の社会生活上も支障をきたし、社会的に見ても不当である。
⇒氏を変更することについて、戸籍法107条1項の「やむを得ない事由」があるものと認めるのが相当
名変更についても使用年数を併せ考えて、同法107条の2の「正当な事由」があるものと解するのが相当
A 英国人と婚姻した日本人に、夫婦の双方の氏を結合した氏(ハロルド甲野)への変更を許可した事例
(東京家裁 平6.10.25許可)
→通称として使用していること、英国での夫婦の氏との不一致のため日常生活ないし社会的手続において多大な不便が生じていること、申立て人の今後の生活のためには氏の変更の必要があること
⇒申立て人には戸籍法107条1項の氏を変更すべき「やむを得ない事由」があるものと認める