A 人工生殖の問題点

a)人工受精

・ 精子の商品化、不妊症カップルに限定されず、独身女性(仕事を持っているから、単に苦痛が嫌だから)、レズビアンにも使用される可能性がある。これを認めても良いか。

・ 親は優秀な精子によって生まれる子は優秀な子だと決め付けてしまう。後天的発達の無視した親の期待によって子に与えられる重圧。子の商品化。

・ 精子バンク利用の場合、子の父親を知る権利の保障はどうなるのか。精子提供者のプライバシー保護と子やその他、利害関係者からの情報開示請求との衝突。

b)体外受精

・ 一般的な体外受精ができない、弱い精子を受精する事による影響。生理学的に「ある」とは言い切れないが「ない」とも言い切れない。

・ 凍結卵の長期保存により、受精と妊娠、出産に著しい時間的差異が生じる。

・ 保存凍結卵の処分の問題。受精卵に法的人格を与えている場合、処分は殺人となるのではないか。

・ 受精卵凍結後に夫婦が離婚した場合、受精卵を引き取る権利を持つのはどちらか。

・ 受精卵凍結後に夫婦が死亡した場合。処分して良いものか。「養子」の他に希望する女性がいた場合、移植して構わないか。研究目的利用を認めて良いか。受精卵から生まれた場合、その子に遺産相続の権利が生じるか。→「孤児胚」

・ 受精卵は人かモノか。(処分は殺人となるか。受精卵から生まれた子は相続権を有するか。など上に掲げた問題点とリンクする。)

・ 研究目的のために受精卵を作ることを認めて良いか。

c)代理母

・ 身体、生殖能力の商品化。

・ 子の商品化。代理母契約で代理母に支払われる金銭は、子についての対価か、代理母の負担についての対価か。

・ 代理母の健康問題や、身体に生じる危険(場合によっては死亡)の責任は誰が負うのか。

・ 代理母契約で子を産んだ代理母が生まれてきた子供に愛情を抱き子の引き渡し拒否する。『ベビーM事件』

・ 障害児の出産などの予想しない事態に対し、子の受け取りを拒否する。

・ 5人の親を持つ子供。(卵子の提供者、精子の提供者、代理母、そして依頼した夫妻の合計5人の親) 子が生まれる前に依頼夫婦が離婚するなど代理母契約が順当に完了しない場合、誰に親権を認めるか。 生みの親か、遺伝的つながりを持つ者か、依頼人か。


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 参考資料としてあげた2つのホームページには、ここで挙げた問題点が実際の事件とし表出したものをわかりやすく取り上げています。

 レジュメ作成時には、学校教育目的(著作権法35条)の利用ということでそれを複製したものも添付していましたが、今回のホームページ掲載にあたっては著作権法上問題があると思い、複製添付はやめておきました。

 興味のある方は、直接参考ホームページの方で調べてみて下さい。

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