第11章 エヴェレストを見にポカラへ
(ほんとうはヒマラヤ山脈のごく一部だった)

何かしら違和感あるいは疎外感を抱いた私は、旅の情報を得て早々にポカラへ出発することに決めました。

なんと言ってもネパールはエヴェレストです。ポカラに行けばエヴェレストが見えるそうです。バスで6時間ほども揺られたでしょうか。途中昼食に寄ったり、最終目的地の手前で降ろそうとされ、目的地まで行けという客とガイドがけんかしたり。これはガイドではなかったのですが、ポカラの入り口で乗り込んできたホテルの客引き、あるいはリキシャのまとめ役だったのでしょう。口論の末、乗客の一人が一発パンチを見舞われてしまいました。彼は身を犠牲にして乗客を守ってくれたのね。南無。

とにかくポカラにつきました。小雨の降る何にもない町。湖畔のホテルを取り、荷を解く。すでに陽は暮れています。夕食の後はガイドブックの写真を眺め、「明日は実物のエヴェレストを見れるんだ。」しかし翌日も雨。エヴェレストの見えないこの町では、ほかに何もすることがありません。共同シャワーで氷水のようなシャワーを浴びるのも、日中なら何とか我慢できます。かなりの気合は必要としますが。洗濯もしました。それしかすることがないから。それでも2泊したのは、いつのまにか旅の単位が1カ所最低2泊となっていたからです。

出発の日の朝、目が醒めると雨はやんでいました。薄暗い早朝です。荷物をまとめてバス停へ向かいました。既に明るくなってはいましたが、エヴェレストはあきらめようかと思っていました。誰かが山が見えるようなことを言っています。ネパール語は理解できません。望みを託して、湖のそばへ歩きます。「見えるかも。」自然に笑みがこぼれてしまいます。既に出発の時間も迫っています。声が聞こえました。思わず走ります。見えました。感激です。ほーっ。雄大ってのは、このことです。立ちつくしてしまいました。私と同じ思いのバックパッカーも何人かいました。ずっと見ていたかったです。バスで往復十数時間かけてやってきて、昨日は雨のためほっつき歩くこともできず、三日間で得た成果が洗濯ではあまりにも寂しいではありませんか。それも旅には違いませんが。

エヴェレストはそれでおしまい。山登りに興味はあってもしたいとまでは思いません。山とか自然はそこに身を置かぬ限り答えてはくれません。トレッキングであってもよいのですが、眺めるだけでは何の反応も得ることはできません。私には山を語る資格などないようです。ちなみにここポカラはトレッキングの起点です。もちろんエヴェレスト登山の拠点でもあります。せっかくポカラに来て、下から眺めるだけで帰る。中途半端なんだよな、私の旅は。それにしてもきれいな景色には違いありませんでした。カトマンズへ戻るバスの中でも、何度も振り返っていました。リゾートとして来れば最高だったな。


で、落ちがもうひとつありました。先日メールでご指摘いただいたのですが、感動して見ていた山がエヴェレストではありませんでした。地理的に見えるわけがない。私ちっとも疑っておりませんでした。20年。ありがたいご指摘感謝いたします。とほほ・・・・
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