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第12章 信じられないこと
じつは、これまでの行程に誤りがありました。なにぶん記憶だけで書いていています。どれだけのことが記憶に残っているか試してみたいと思っています。棚の奥から引っ張り出してきた写真のほかに、資料も見ていません。ここまで書いてきて、ずいぶん印象に残る旅だったのだなと今さら感心してもいます。楽器屋へは、カトマンズの後に行っていました。
カトマンズに戻り、ぶらぶらしても飽きてきました。というより、インドに未だ満足してはいませんでした。ネパールに入る前からまだまだ安らぐには早いかなとは思っていましたが、なぜかルート的に来ることになってしまったのでした。
インドの建築物といえばタージマハール。アグラに行くことにしました。前に書いていた楽器屋もその近くです。南インドのマドラスやスリランカにも行ってみたかったのですが、楽器屋にもぜひとも寄ってみたいし。定番のタージマハールは押さえておくかと。選択が正しかったかどうかわかりませんが、とにかくアグラへ行くために飛行場へ。
空港で、小さな事件が起きました。チェックインして、荷物を預けます。小さな飛行機ですので、乗客の人数もたかが知れています。来るときなど、コックピットをみんなで見物できるほどでしたから。もっともコックピットを見せるのと、飛行機が小さいのとは関係ありませんが。人間がおおらか。セキュリティーがおおまか。
預ける荷物は、自分の手でベルトコンベアーに載せます。運搬と同時にエックス線検査を済ませるようです。 ん? 預ける荷物のX線検査? 検査の機械の向こう側へまわり自分の手で荷物を取り上げて、貨物室行きの台車に乗せろということです。なるほど盗難対策ですな。これなら悪い輩がバッグの中身を抜き取るのを防ぐことができるわけです。こんなにまでしないと空港職員が盗人するの?まあ、アピールしてるのでしょう。私たちはセキュリティーにも気を使ってますよって。
まんまとやられました、私。エックス線検査の機械から、私のバッグだけなかなか出てこなかったのです。おかしいなと思いつつ、どこかで引っかかったんだろうって思ってました。バッグのサイドポケットのファスナーを開けられていて、中の裁縫セットのうち、小さなはさみと爪切りだけ抜かれていました。すぐに気がついたのですが、誰がやったなどわかりっこありません。文句をいってもここぞとばかりにインドの言葉でまくし立てます。他の乗客はみんな飛行機へ向かっています。敵もあっぱれ、あきらめられる程度のものをくすねるわけですね。しかし空港職員がですよ。あーあ。しんじられなーい。
ちなみにこれはエアーインディアではありません。ネパール、インド間は国際線ですが、主に国内線を飛んでいるイン○○アンエアーラインのほうです。しかし、サイドポケットのファスナーを閉めなおしておけば、私もすぐには気がつかなかったのに。単に下手くそだったのか、土産話を持って帰ってもらおうという、気のきいたパフォーマンスだったのか?彼らが下手くそなわけないから、あれはきっとサービスだったんだ。
註:はさみと爪切りを売れば、ネパールの貧しい子供の1か月分の食料になったかも。空港職員なら1食分。
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