問5.『たすき掛け』の数学的正当性を証明せよ。

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証明をするために、幾つか前提条件が必要となります。

条件0. 『 X ばらば Y 』 と 『 Y ならば Z 』 が同時に成立している時、『 X ならば Z 』 も成立する。(推移律)
これを認めないと論理学が成立しません。

条件1-0. 任意の数Aに対し、『 A=A 』 がいつでも成立する。 (等式の反射律)
条件1-1. 任意の数A,Bに対し、『 A=B 』 が成立していれば 『 B=A 』 も成立する。 (等式の対称律)
条件1-2. 任意の数A,B,Cに対し、『 A=B 』 と 『 B=C 』 が同時に成立している時、『 A=C 』 も成立する。 (等式の推移律)
これらを認めないと等式が意味を持ちません。

条件2. 任意の数A,Bと任意の非零数Nに対し、『 A÷N=B 』 が成立していれば 『 N×B=A 』 も成立する。
条件3. 任意の数A,Bと任意の非零数Nに対し、『 N×B=A 』 が成立していれば 『 A÷N=B 』 も成立する。
これらは 割り算の定義 『 A÷N とは N×□=A を満たす数 □ を表す 』 を意味しています。

条件4. 任意の数A,Bに対し、『 A×B=B×A 』 である。 (乗法の可換性)

条件5. 任意の数A,B,Cに対し、 『 (A×B)×C=A×(B×C) 』 である。 (乗法の結合律)

条件6. 任意の数A,Bと任意の非零数Nに対し、 『 (A×B)÷N=(A÷N)×B 』 である。
これは条件4のもとで (乗除の結合律) 『 (B×A)÷N=B×(A÷N) 』 と同値

条件7. 任意の数Aに対し、『 0×A=0 』 である。 (0の性質)

条件8. 任意の非零数Nに対し、『 0÷N=0 』 である。
これは条件3,4,7 から導ける。

条件9. 任意の非零数N,Mに対し、『 N×M 』 も非零数である。
これは条件3,8 から導ける。

条件10. 任意の非零数N,Mに対し、『 N÷M 』 も非零数である。
これは条件2,4,7 から導ける。

条件11. 任意の数Aと任意の非零数Nに対し、『 A/N=A÷N 』 である。 (分数の定義)

以上の前提条件を認めた上で以下証明です。

aを任意の数、b,c,dを任意の非零数とし、 Y,Zを
a/b÷c/d=Y
(a×d)/(b×c)=Z
を満たす数と仮定する。
このとき、Y=Z であることを示す。

条件9より、b×c は非零数であり、 条件10,11より c/d は非零数である。

a=0 の場合、条件7,8,11より Y=0=Zであり明らか。

aが非零数 の場合、条件9,10,11より Z も非零数であり、条件10,11より a/b も非零数である。

(a×d)/(b×c)=Z が成立しているので、条件11より、
(a×d)÷(b×c)=Z が成立する。
よって、条件2より、
(b×c)×Z=(a×d) も成立する。
よって、条件5より、
b×(c×Z)=(a×d) も成立する。
よって、条件3より、
(a×d)÷b=(c×Z) も成立する。
よって、条件6より、
(a÷b)×d=(c×Z) も成立する。
よって、条件4より、
d×(a÷b)=(c×Z) も成立する。
よって、条件3より、
(c×Z)÷d=(a÷b) も成立する。
よって、条件6より、
(c÷d)×Z=(a÷b) も成立する。
よって、条件11より、
(c÷d)×Z=a/b も成立する。
よって、条件4より、
Z×(c÷d)=a/b も成立する。
よって、条件3より、
a/b÷Z=(c÷d) も成立する。
よって、条件11より、
a/b÷Z=c/d も成立する。
よって、条件3より、
Z×c/d=a/b も成立する。
よって、条件4より、
c/d×Z=a/b も成立する。
よって、条件3より、
a/b÷c/d=Z も成立する。

故にY=Zである。

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問題です。
問6.『分母は分母どうし、分子は分子どうし割る』の数学的正当性を証明せよ。

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