by 弾丸X
「ふ〜、さっぱりした・・・」
「う〜、おそ〜い!!」
シャワーを浴び、着替えを済ませたシンジが出てくると、
アスカはシンジの手を引きずるように連れていく。
「さっ、シンジ早く早く!!」
「ちょっとまってよ〜、まだ髪が・・・」
「そんなのほっときゃ乾く!!ウダウダ言ってないで席に着く!!」
青色のタオルで頭をゴシゴシとやりながら、シンジは髪を乾かす間もなく、引きずられるようにテーブルについた。
「・・・全く、いつもアスカは強引なんだよな・・・ベッドの上以外では・・・」
「な・に・か、おっしゃいましたか〜?シンジさん?」
「いや、なんでもないです・・・アスカさん・・・」
つき合いが長くなっても、思いを伝えあっていても・・・
身体を許し合う間柄になっても・・・・
いや、以前にも増してシンジはアスカに敵わなくなっている。
『最初に出会った時からそうだったな・・・僕って・・・』
シンジが自分の世界に浸っていると、間髪いれずにアスカのツッコミが飛ぶ。
「ほう〜、アタシの料理を目の前にしてその態度、いい度胸ねシンジ・・・。」
「いや!!今日は何かな〜って、アハハハ・・・」
シンジは改めてテーブルに並べられた料理を見回した。
温かそうなシチュー。
敷き詰めたサラダ菜の上に並べられたキツネ色の一口サイズコロッケ。
サラダボール一杯のトマトやキュウリ。
少々場違いな茶わんによそわれたご飯が手前に置かれていた。
「凄いや・・・これ、全部アスカが?」
「何よ・・・疑ってんの?」
「ううん、そうじゃないよ・・・これ、大変だったでしょ?」
「・・・ちょっとね。」
「頑張ったんだね、アスカ・・・」
「・・・感謝しなさいよ・・・味は保証しないけど・・・」
「きっと、おいしいと思うよ。凄くいい匂いがする・・・いいよね、食べても?」
「その前に!!・・・やることあるでしょ?」
「そっか、そうだね.・・・それじゃ・・・」
絶妙のタイミング。ほとんど同時に両手を合わせ・・・
「「いただきま〜す」」
いつものようにユニゾンで食事が始まった。
***
「凄いよ!アスカ、このコロッケおいしいよ!!」
「ああもう、そんなにがっついて食べると喉につまるわよ!!」
「だいじょう・・・ぶ・・・ムグっ・・・み・・・水・・・」
「もう!!ホントにバカなんだから・・・」
アスカはシンジにコップを手渡しながら、背中をさすってやる。
アスカはいつものようにシンジの左隣に座っている。
ミサトの居るときも、居ないときも。
差し向いでは恥ずかしい。
かといって離れて座るのは嫌。
だからテーブルが広く使える二人きりの食事でも
アスカはこのポジションを替えようとはしない。
互いにいつもより寄り添うように、食事が進んでいった。
***
「ところでさ、アスカ」
「なあに?」
洗い場に立つアスカのすらりとした脚線美を横目で伺いながら、
シンジは先程から気になっていることを尋ねた。
「・・・あの機械、なんなの?」
「アンタ、今頃気がついたの?」
「いや・・・気にはなっていたんだけど・・・料理に夢中でさ・・・」
最後の言葉に気を良くしたのか、エプロンを外しながら
アスカはにこにこしながらシンジの元へ戻ってきた。
「・・・ふふ♪買っちゃったんだ〜。さ〜あ、なんでしょう〜?」
「どっかで見た記憶があるんだけど・・・アスカ、何なの?」
「シンジ、教えて欲しい?」
「教えてよ〜アスカあ〜」
「・・・じゃあ、椅子をもってコッチに来て。」
「うん。」
シンジは言われた通りに椅子をもってその『機械』の前にやってきた。
「・・・なんだろ?甘い匂いがするな・・・」
鼻をくんくんとさせながら、シンジは促されるまま椅子に座った。
「じゃあ・・・シンジ。目を瞑って手を後ろに回して・・」
「こう?」
シンジは訳が解らないまま、アスカの言う通りに手を後ろに回す。
カチャッ
「え?」
カチャ・・・カチャン!
「ええっ!!」
目を開けたシンジの目の前にアスカの悪戯っぽい笑顔があった。
「な・・・なんなの・・・コレ?」
”じゃらん”と金属の鳴る音がシンジの後ろで響いた。
アスカの悪戯好きはいつもの事だ。
しかし、今日の笑顔はどこかが違う。
アスカの瞳の中に自分の知らない妖しい光を見つけて、シンジはぞっとした。
シンジの手は手錠でがっちりと繋がれ、
その手錠はまた別の手錠でしっかりと椅子の背に固定されていたのだ。
「・・・ふふ、シンジい・・・デザートの時間はこれからよ・・・」
(続)
さて、こんな展開はどうでしょうか?
ハードにする訳じゃありません。
ちょっと小道具があった方が面白そうだったので(^^;
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