iPhone試作機また流出

(日経新聞20119214版国際2面)

【記事抜粋】

【シリコンバレー=時事】米アップルが10月にも発売予定とされるスマートフォン(多機能携帯電話)の人気製品「iPhone(アイフォーン)」の次世代機とみられる試作品が今年7月下旬、サンフランシスコ市内のバーで盗まれていたことが判明した。

(以下略)

 

【コメント】

記事によれば、iPhone試作機の「置き引き」は昨年3月以来2件目とのこと。

前回の事件後、中国系サイトや中国国内のショップで、正規品発売前にニセモノが「先行発売」されたことも話題になりました。

このニセモノが正規品の新機能をそこそこ盛り込みつつ、反応や性能もそこそこだったことから、むしろ正規品に対する期待を大きく高め、発売当初から世界中で好調な売れ行きとなったことも、さらなる続報として伝えられました。

結果として

1.最高機密である試作機を置き忘れにより紛失した

(社員のミス&アップルのダメージ)

2.正規品を出し抜いてニセモノが出回った

(アップルのダメージ増加)

3.ニセモノで新機能の一部が判明&ニセモノの性能に不満

(正規品に対する期待でアップルのリカバリーショット)

4.正規品の新発売

(最高のスタートダッシュ)

という最高のPRになったようなものです。

 

今回の「置き引き」騒動も「2匹目のドジョウ」を狙った作戦ではないかといううがった推理も流布しています。

これが一部でも本当であれば、アップルらしい意表をついた広告宣伝という評価も出てくるのでしょうね。

 

しかし、たとえばニュースのキーワードを次のように入れ替えてみましょう。

「アップル」→「病院」

「iPhoneの試作品」→「患者のカルテが記録されたパソコン」

これでは「間抜けだがちょっと笑える会社」どころか、「情報管理にひどい問題がある病院」とまったく正反対の印象を受けることになるでしょう。

 

具体的な事柄によって印象の振り子はgoodに向かったりbadに向かったりしますが、本質だけにそぎ落とすと両方とも

「組織内でのみ保持されるべき情報(インテリジェンス)が外部に流出した」

ということに変わりはありません。

 

金融業界でおなじみの言葉を借りれば、

「コンプライアンス上非常に問題がある」

とバッサリでしょう。

 

このようなことは、大なり小なり企業や組織で起こっていませんか?

つまり「リスクマネジメントが甘い」という事例です。

 

たとえば、銀行の窓口など他人が聞き取り可能な場所で携帯番号や生年月日を口頭で伝えたり、

逆に記録や拡散の簡単さを甘く考え、思いつきで他者のダメージになるような情報をfacebookやtwitterで流してしまったり。

 

【今日のポイント】

情報管理の大切さ、万が一の危険について改めて考えよう。

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