住友林業が通販本格化

住宅購入者向け 防災用品など

(日経新聞201110月6日12版 企業2面)

【記事抜粋】

住友林業は同社の住宅を購入した顧客向けに、通信販売事業を本格展開する。

東日本大震災後に関心が高まった防災用品や飲料水などを重点的に取り扱う。

顧客とのつながりを深め、リフォームや建て替え需要の取り込みに役立てる。

(以下略)

 

【コメント】

収益を獲得するビジネスモデルをわかりやすく分類すると、「太く短く」か「細く長く」かということになります。

前者は1回か、多くとも数回までで受け取りは完了する反面、それぞれの受取額は大きくなります。

一方後者は、各回の受取額は少ない代わりに、受取期間は長期に継続するというものです。

掛け算で表現すれば、前者は

10×1

であるのに対し、後者は

1×10

になるということです。

前者の典型的な例は、分譲マンションの購入契約です。

多くの人にとってマイホームの取得は人生に1回程度ですが、その総額は数千万円となります。

一方、後者の事例として、家電量販店で自宅用にインクジェットプリンターを購入した場面を想定しましょう。

プリンター本体は、A3サイズ対応の複合機であっても、10万円前後とビジネス用複合機の1割程度で購入できます。

その代わり、インクカートリッジやプリンターヘッドなどの消耗品を継続的に購入する必要があります。

今回の記事は、住宅メーカーであることから建築による「太く短い」収益を得た後で、通販による「細く長い」収益を獲得していくということを報じています。

住宅に関する初期ビジネスを「建築」と定義すれば、その後の継続ビジネスは「メンテナンス」や「リフォーム」が取り組みやすいテーマとなります。

今回の場合、建築という視野からさらに広げて「生活・暮らし」というカテゴリーで検討したところがポイントとなるでしょう。

長く暮らしていく間に考えられる「不便」「不満」「不安」というネガティブニーズや、「こうなればいい」「これがあればいい」というポジティブニーズを総合的に想定した結果のひとつが「災害への備え」であり、それを解決する手段のひとつが通販ということになったと評価します。

今回の取り組みと同様のしくみを検討する場合、いくつかの課題を明らかにしておかなければならないでしょう。

まず、我が社のビジネスモデル=メシの種は「太く短い」と「細く長い」のどちらに位置づけられるかを理解することです。

次に、我が社は顧客や取引先に対して、商品そのものではなく、「プラス要素の提供」と「マイナス要素の除去」のどちらを提供しているのかを棚卸ししてみましょう。

そして、それを可能にしている我が社の「強み」はそもそも何なのかを把握しましょう。

さらに、その強みによって、「太く短い」商売柄ならば「細く長く」使える方法を、「細く長い」商売柄ならば「太く短く」使える方法を考えてみましょう。

 

【今日のポイント】

契約から支払い完了までの保険料の累計掛金を考えれば、保険は人生で2番目に大きな買い物。

「我が家にとって経済的なダメージの大きな出来事は何か」を考え、それに備えた保険を設計することを考えよう。

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