ポイント付与
処方薬は禁止
厚労省方針
(日経新聞2011年11月2日14版 経済1面)
【記事抜粋】
厚生労働省はドラッグストアなどが医師の処方箋をもとに調剤した薬を販売する際に、ほかの買い物などに使えるポイントを付けることを原則禁止する方針を固めた。
2012年4月から実施する。
処方薬には公的な保健医療財源が使われるため、薬局の個別判断で付加価値が付くのは不適切と判断した。
クレジットカードでの購入に付随するポイントは容認するが、ドラッグストア側は反発する可能性がある。
(以下略)
【コメント】
11月2日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会に提示された議題のひとつが「調剤薬局等における一部負担金の受領に応じたポイントの付与等について」というものでした。
議事次第によれば、ポイント利用によって健康保険の一部負担金が軽減される効果があれば、健康保険法等に違反するので、保険適用の一部負担金に対するポイント付与は禁止すべきであるというものです。
その一方で電子マネーやクレジットカードによるポイント付与は、決済方法が患者の利便性向上が目的なのでやむを得ないものと認めるようです。
つまり、ポイント還元のある薬局とない薬局が並立するのは「アウト」とする一方、現金決済とクレジットポイント還元が並存するのは「セーフ」というのが厚生労働省の方針と解釈されます。
金融庁の管轄には手を突っ込まないという配慮なのかどうかはともかく、記事の伝えるとおり来年4月以降に保険適用部分の料金についてポイント付与が禁止される場合、調剤項目だけポイント除外することはPOSで簡単に設定を変更できます。
このように、法律で規制されていないことが今後は禁止等規制対象となることは、あらゆる業種で少なからず発生します。
特に税制度では、毎年何らかの税目について新たな規制が設けられます。
この結果、今までは有利な税軽減対策だったけれど、来年度から軽減効果がなくなったり、場合によってはむしろ税負担額が増してしまったりすることもあります。
このような対策と規制のいたちごっこを繰り返すことは、金額以外の時間や労力を含めたトータルコストで考えると、明らかにマイナスといえるでしょう。
【今日のポイント】
自分に有利になるように、ルールを上手に活用する工夫をすることは大切。
しかし細かく、頻繁に、集中的に「やりすぎる」と、ルール変更への対応に苦慮したり、効果の維持に苦労したりする負担が増大することもある。